【BL】齢1200の龍王と精を吸わないオタ淫魔

三崎こはく

文字の大きさ
上 下
232 / 318
安らかに眠れ、恐ろしくも美しい緋色の龍よ

海の向こうへ

しおりを挟む
「カミラに、カイニンが楽しみだと言われたんですよ」

 ゼータがそう告げると、レイバックは怪訝と眉を顰めた。

「解任?なんだ、王妃の座を降りるのか」
「違いますよ。子を身籠る意の懐妊です。最近侍女らの間では、私とレイが子どもを望んでいるともっぱらの噂なんですって。ほら、最近女性の姿で寝所に入ることが多いから」
「…そうだったか?あまり意識もしていなかった」
「…あ、そう」

 妃の容姿くらい多少は気に掛けてくれ、喉まで出かかった言葉をゼータは飲み込んだ。

「それで、カミラには何と返したんだ?」
「女性の姿で寝所に入ることについては、特段深い意味はないと伝えました。カミラの追及を避けるための方便ではないですよ。実際に深い意味はないんです。女性の姿の方が準備も後処理も楽なんですよ。ただそれだけ」
「んん。確かにそうだ」
「それでもカミラが変わらず浮かれ調子でしたから、一応釘を刺しておいたんですよ。ドラゴンとサキュバスじゃ、繁殖可能かどうかもわからないって」
「俺は完全なドラゴンではない。半分は人なのだから、繁殖は不可能ではない…と思う」

 レイバックの声は尻すぼみに消える。言葉にはしたものの、全くもって自信がないといった様子だ。悩まし気な表情のレイバックに、ゼータは顔を近づける。

「カミラが気にしていましたよ。レイの半身は何なのだろうって。例えばレイの半身が悪魔族であれば、悪魔族の私との繁殖確率はかなり高くなります。でも幻獣族や妖精族であるとなると、繁殖は不可能に近いんじゃないかと思うんですよ。異種間交配については明らかになっていない部分も多いですし、確実なことは言えませんけれど」
「んー…まぁ、そうだな」

 そう言ったきり、レイバックは黙り込んだ。雑談は終わりとでも言うように、剣だこのできた固い手のひらがゼータの腰を撫でる。熱を持った吐息が肩先に触れる。今2人がいる場所は、レイバックの寝室である王の間のベッドの上。部屋の灯りは落とされ、薄く開いたカーテンの隙間からは煌々たる月明かりが射し込んでいる。絡み合う2人は共に真裸。肌触りの良い絹の肌掛けに包まれて、思うままに互いの身体に触れる。

 「貴方の半身は何?」懐妊云々の話を持ち出したのは、そう問うためであった。千余年の時を共に過ごしても、ゼータはレイバックの半身が何であるかを知らない。ドラゴンの血を引く王、神獣の血筋。市井で囁かれるレイバックの噂を耳にする度に、ずっと疑問に感じていた。残された貴方の半身は、何。
 溶けるほどに熱い唇が、耳朶に触れる。指先が絡まり、絹に埋もれる4本の足が絡まり、心までもが絡まって、次第に何もわからなくなる。身体の内側は快楽に溶けて、足先までもが幸福に包まれ、濡れた眦からは一粒の涙が零れ落ちる。

 愛しい番。私は貴方の人生を知らぬ。貴方がどこで生まれ、誰と出会い、どうして彼の地に辿り着いたかを私は知らぬ。私が貴方に出会ったとき、貴方はすでに一人の青年であった。暴虐の王を厭い、土地の安寧を願う清廉で勇敢な青年であった。何が貴方を駆り立てたのか。何を思い貴方は王座に座ったのか。貴方のただ一人の協力者でありながらも、私は何も知らない。
 愛しい番。私は貴方の全てを知りたい。邪な思惑など何もなく、ただ愛しい物の全てを知りたい。貴方の人生の始まりを、貴方の人生の道程を、そして貴方の人生の最後を。私は貴方の全てを知るただ一人の者でありたい。愛しい番。どうか最後に一目会わせて。腐り果てた肉塊でも、苔の生えた頭蓋でも、たった一欠片の骨片でも、貴方の痕跡があればそれで良い。
 灼熱の大地でも、極寒の山脈でも、光届かぬ深海でも。貴方のいる場所が、私の旅の行く先。私の旅の終着点。

***

 微睡みから覚めて、先ず先に視界に入る物は星の無い夜空だ。遠い東の空は白み始め、間もなく夜明けが訪れるのだとわかる。起きるにはまだ少しばかり早い、ゼータは再び目を閉じる。瞼の裏に愛しい男の笑顔が浮かぶ。懐かしい夢を見た。もう何か月も前の、レイバックが龍となり姿を消す以前の記憶。心地の良い揺れがもたらした、ほんの一時の幸福。
 はたと気付く。なぜ地面が揺れている。ここが草木生える大地の上であるのなら、心地よさを感じるほどの揺れがあるはずもない。脳味噌は一気に覚醒へと向かい、休眠状態であった五感が蘇る。頬を撫でる潮風、濃い磯の匂い、不規則な波音、背中の下に感じるざらざらとした木板の感触。ここはどこだ。勢いよく身を起こしたとき、目の前にいる者は愛しい男とは似ても似つかぬ、卑しげな笑みを浮かべる壮年の男であった。

「よぉ、随分と早いお目覚めだな」

 口元に嫌味な笑みを張り付けたまま、男は言う。肩まで伸びた茶の頭髪に、眦の吊り上がった金色の眼。赤みの差した頬には何本もの細かな皺が刻まれている。狒々だ、ゼータは思う。この男は狒々の血を引いている。同時に全ての記憶が蘇る。夜の砂浜で、魔族の船を待っていた。遠い海の向こうへと渡るために、人攫いを働く魔族らの船に忍び込むつもりであったのだ。しかし物事とは思うように進まぬもので、桟橋に乗り付けられた船は潜入が不可能なほどの小舟であった。如何せんと思い悩むうちに狒々の魔族に見つかり、魔法を放たれ気を失っていた。
 今ゼータがいる場所は、海原で揺れる木船の上。木の葉型の木船の床には、哀れな4人のロマの民が転がっている。皆等しく意識を失っているようで、大小様々の身体はぴくりとも動かない。出航からどれくらいの時が経ったのだ。ゼータが口を開くよりも早く、狒々の男の手のひらが高々と掲げられた。栗色の体毛に覆われた手のひらが、熱波を放つ。

「騒がれると面倒だ。もう1発いっとくか」

 顔面に熱風を受けて、ゼータは悲鳴を上げた。意識を失う前もこうであったのだ。目も眩むような閃光と、表皮を焼かれるような熱風。熱い、と感じた次の瞬間意識は夢の彼方へと飛んでいた。研ぎ澄まされているとは言い難い、荒々しい魔法だ。意識の消失を覚悟し両目を瞑るゼータであるが、衝撃はいつまで経っても訪れない。そろそろと目を開けて見れば、狒々の手首を掴む華奢な手のひらがあった。

「止めなよ。もうすぐ港に着くんだからさ。あまり長く眠らせると後が面倒だよ」

 そう狒々を叱咤する者は、海風になびく金色の髪の女性であった。腰ほどもある長髪を、結わえもせずに背中に垂らしている。この女性は獅々だ。他者を威圧する百獣の王。ゼータの予想は正しく、女性は小さな木船の頭たる人物であるようだ。狒々の男は不機嫌に鼻を鳴らしたきり、口を閉ざす。
 理不尽な魔法攻撃を回避したところで、ゼータは木船の縁から上体を乗り出した。「もうすぐ港」との獅子の女性の言葉の通り、船の進む先には陸地が見える。海上に発生した海霧に遮られ、陸地の形や港の様子をはっきりと伺うことはできない。

「あれは国ですか?街?」

 誰ともなく尋ねれば、答える者は獅子の女性だ。

「国だよ。ハクジャと名が付いている」
「住まう者は皆魔族ですか?」
「元々の民は魔族ばかりだ。しかし今では民の1割は人間だ。ロマの民が、奴隷としてハクジャに身を置いている」
「奴隷?貴方達がロマの民を攫うのは、人間を奴隷とするため?」

 謎が解けたとばかりに、ゼータは声を大にした。途端に獅子の女性が眉を顰める。「なぜそうも呑気に会話に興じていられるのだ」とでも言いたげである。ふと周りを見回せば、船床に座り込んだ狒々の男性も、船漕ぎに精を出す2人の男性をもがゼータに奇異の眼差しを向けている。顔面に4対の視線を受けて、ゼータはもごもごと言葉を濁す。

「…すみません。何か喋っていないと、恐怖で頭がおかしくなりそうなんです」

 必死の言い訳は無事受け入れられたようで、狒々の男性はふいとゼータから視線を逸らす。櫂を持つ男性2人は船漕ぎに戻り、ゼータの問いに答える者はやはり獅子の女性だ。

「ハクジャでは、人間は奴隷として売買される。私達が遥々船を漕いでロマの地に赴くのは、生きの良い奴隷を市場に並べるためだ」
「奴隷として買われた人間はどうなるんですか?劣悪な環境で死ぬまで働かされる?」
「反抗的な奴隷はそうなる。ハクジャの北方には魔石を採掘するための鉱山があるんだ。逃亡を企てた奴隷や主の命令に従わない奴隷は、鉱山に送られ畜生のごとく働かされる。私は鉱山地帯を訪れた経験はないけれど、過酷な環境であるとの噂を耳にする。食事は一日に一度、風呂やまともな寝床もない。鉱山送りになった奴隷は、1か月と持たず命を落とすんだそうだ」
「従順な奴隷は?」
「色々だ。商店や宿屋の労働力として買われることもあるし、一個人の僕として仕えることもある。あんたのように若くて見目の良い女の奴隷を、愛人として多数囲っている資産家の御仁も多い。人らしい生活を送れるか否かは、主となる魔族の性格によるところが大きい。精々優しい主に買われるよう祈ることだね」

 獅子の女性の切れ長の眼が、ゼータの顔面をじっと見つめた。獲物の価値を品定めしているようにも見える。獅子の女性の言葉の通り、今のゼータは女性の姿だ。アリッサと別れ人気のない山林で夜を迎えた後、来るべき作戦に向けて姿を変えた。女性の姿を選んだ理由は「魔族の船を利用して海を越える大作戦」を確実に成功させるためだ。船への潜入を図るならば少しでも小柄な方が便利だし、人間を装い攫われるのだとしても、女性の姿の方が確実であるとの想像がつく。現に船床に転がる4人の人間のうち、幼子を含む3人は女性だ。岩陰で狒々に打ち倒された後、海底に沈められることなく船に乗せられたのだから、ゼータの選択は大正解とも言える。
 獅子の女性に視線を返しながら、ゼータは質問を重ねる。

「ハクジャの周りに国はありますか?」
「国と呼ばれる大きな土地はない。魔族の集落がいくつかある」
「ハクジャとの定期的な交流はあります?」
「多少の人の移住や商人の行き来はある。だが間違っても、ハクジャを逃れ他集落に助けを求めるなどと考えないことだ。奴隷の隠匿は重罪。他集落で奴隷を保護した場合には、即座にハクジャに送り届けるよう協定が結ばれている」
「へぇ…しっかりしているんですね」

 狒々を含む男性乗組員3人は、無言のまま女性2人の会話に耳を澄ませていた。「喋っていないと恐怖で頭がおかしくなりそう」との先の発言が功を奏し、度重なるゼータの質問を咎める者はいない。

「ハクジャには港があるんですよね。海を越えて逃げようとする奴隷はいないんですか?丸太にでも捕まれば、ロマの地まで辿り着けるような気もしますけれど」
「ロマ近郊の海洋にはセイレーンが住んでいる。奴らは人間の肉が大好物なんだ。海に漂う人間を見つければ、群れになって襲い掛かってくる。生きたまま腸を食われたくなければ、決して海には近づかないことだ」
「魔族が海に落ちても、襲われることはない?」
「セイレーン曰く、魔力の染み込んだ肉は不味くて食えたもんじゃないらしい。迂闊に棲家に近付けば攻撃を受けることはあるが、肉を食われることはない。さて話は終わりだ、直に港に着く」

 そう言うと、獅子の女性は船の進む先へと視線を移した。薄切りに包まれた海洋の先に、目的地となる港を探す。水平線には朝陽が顔を出し、海と空の境目が橙に輝く。ポトスの街には海が無い。水平線に臨む朝陽など、ましてや船上から臨む朝陽など、人生で初めて見る景色だ。美しい、船縁に身を乗り出し、ゼータは呟く。まるで水平線に火が付いたようだ。轟々と燃え盛る太陽は直に朝雲へと燃え移り、遠い東の空を綺麗さっぱり燃やし尽くすのだ。
 束の間の感動は、下卑た声音に遮られた。「おい」と声掛けを聞いて振り返れば、船縁に座る狒々の男が、薄ら笑いを浮かべながらゼータを見下ろしている。

「あんた、人間の割に中々肝が据わっている。気に入った」
「はぁ…どうも」
「あんたは市場に並べない。俺が貰ってやる。気に入った奴隷を引き抜くことができるのは、狩人の特権でな。前回の狩りで引き抜いた奴隷が、早々に死んじまって困っているんだ。全く人間という奴は脆い。身体だけではなく心もだ。多少の暴言も折檻も、愛想笑いを浮かべてやり過ごせば良いものを。あの屑女。片目を潰したその日の夜に、舌を噛み切って死にやがった」

 紡がれる言葉は悪意に満ちている。自らの行いを武勇伝のごとく語る狒々の後ろでは、2人の船漕ぎが憮然とした表情を浮かべていた。頭であるはずの獅子の女性も、苦虫を嚙み潰したような表情で狒々の男をねめつけている。
この男は悪、ゼータは狒々の顔面に見えない烙印を押す。4名の魔族は皆等しく人攫い、ロマの民にとれば極悪人も同然だ。しかし少なくとも、狒々を除く3名の魔族は人の心を有している。獅子の女性は度重なるゼータの問いに嫌な顔一つせず答えたし、2人の船漕ぎがゆっくりと船を進めるのは、船床に転がる人間達がいらない怪我をせぬようにとの配慮だ。1人の船漕ぎの上着は幼子の枕になっているし、もう1人の船漕ぎは自らが捕まえた奴隷に頻繁に視線を送っている。彼らが人攫いであることに違いはない。しかし彼らの心は極悪ではない。悪と知りながらも人間を攫うのは、生活の糧を得るためか。それとも何らかの信念に基づくものか。いずれにせよ彼らは皆、心からの悪人ではない。
 その中でただ一人の異質な存在。卑しげな笑みを浮かべる狒々の男。

「なぁに、心配するな。俺は従順な奴隷には優しいんだ。床に伏して飯を啜り、四六時中俺の足元に這いつくばっていれば殺しはしない。服も着せてやるし、入浴も許可してやる。どうだ、破格の条件だろう」

 正に愚劣の極み、人を人とも思わぬ愚かな発言だ。しかし狒々の男の発言を咎める者はいない。顔中に不快感を露わにしながらも獅子らが狒々を咎めぬのは、彼らの内に人攫いの罪悪感があるためか。悪人が極悪人を責め立てたところで、説得力などないに等しい。
 船床で女性が呻いた。魔法が解け、意識を取り戻そうとしている。女性の呻きに呼応するようにして、他の2人の捕らわれ人も身動ぎをする。魔族らの視線は目覚めの時を待つように、捕らわれ人の頭上へと注がれる。その刹那。ゼータは両腕を身体の前に突き出した。熱を持つ両手のひらが向かう先は、狒々の男の胸元。

「破格の待遇でも御免ですよ、屑野郎」

 魔法の発動。轟く爆音。悲鳴と怒号が木霊する最中に、ゼータは甲板に背を向け勢いよく海の中へと飛び込んだ。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

前世が俺の友人で、いまだに俺のことが好きだって本当ですか

Bee
BL
半年前に別れた元恋人だった男の結婚式で、ユウジはそこではじめて二股をかけられていたことを知る。8年も一緒にいた相手に裏切られていたことを知り、ショックを受けたユウジは式場を飛び出してしまう。 無我夢中で車を走らせて、気がつくとユウジは見知らぬ場所にいることに気がつく。そこはまるで天国のようで、そばには7年前に死んだ友人の黒木が。黒木はユウジのことが好きだったと言い出して―― 最初は主人公が別れた男の結婚式に参加しているところから始まります。 死んだ友人との再会と、その友人の生まれ変わりと思われる青年との出会いへと話が続きます。 生まれ変わり(?)21歳大学生×きれいめな48歳おっさんの話です。 ※軽い性的表現あり 短編から長編に変更しています

悩める文官のひとりごと

きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。 そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。 エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。 ムーンライト様にも掲載しております。 

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

僕はお別れしたつもりでした

まと
BL
遠距離恋愛中だった恋人との関係が自然消滅した。どこか心にぽっかりと穴が空いたまま毎日を過ごしていた藍(あい)。大晦日の夜、寂しがり屋の親友と二人で年越しを楽しむことになり、ハメを外して酔いつぶれてしまう。目が覚めたら「ここどこ」状態!! 親友と仲良すぎな主人公と、別れたはずの恋人とのお話。 ⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。 大晦日あたりに出そうと思ったお話です。

【完結】オーロラ魔法士と第3王子

N2O
BL
全16話 ※2022.2.18 完結しました。ありがとうございました。 ※2023.11.18 文章を整えました。 辺境伯爵家次男のリーシュ・ギデオン(16)が、突然第3王子のラファド・ミファエル(18)の専属魔法士に任命された。 「なんで、僕?」 一人狼第3王子×黒髪美人魔法士 設定はふんわりです。 小説を書くのは初めてなので、何卒ご容赦ください。 嫌な人が出てこない、ふわふわハッピーエンドを書きたくて始めました。 感想聞かせていただけると大変嬉しいです。 表紙絵 ⇨ キラクニ 様 X(@kirakunibl)

今夜のご飯も一緒に食べよう~ある日突然やってきたヒゲの熊男はまさかのスパダリでした~

松本尚生
BL
瞬は失恋して職と住み処を失い、小さなワンルームから弁当屋のバイトに通っている。 ある日瞬が帰ると、「誠~~~!」と背後からヒゲの熊男が襲いかかる。「誠って誰!?」上がりこんだ熊は大量の食材を持っていた。瞬は困り果てながら調理する。瞬が「『誠さん』って恋人?」と尋ねると、彼はふふっと笑って瞬を抱きしめ――。 恋なんてコリゴリの瞬と、正体不明のスパダリ熊男=伸幸のお部屋グルメの顛末。 伸幸の持ちこむ謎の食材と、それらをテキパキとさばいていく瞬のかけ合いもお楽しみください。

死に戻り騎士は、今こそ駆け落ち王子を護ります!

時雨
BL
「駆け落ちの供をしてほしい」 すべては真面目な王子エリアスの、この一言から始まった。 王子に”国を捨てても一緒になりたい人がいる”と打ち明けられた、護衛騎士ランベルト。 発表されたばかりの公爵家令嬢との婚約はなんだったのか!?混乱する騎士の気持ちなど関係ない。 国境へ向かう二人を追う影……騎士ランベルトは追手の剣に倒れた。 後悔と共に途切れた騎士の意識は、死亡した時から三年も前の騎士団の寮で目覚める。 ――二人に追手を放った犯人は、一体誰だったのか? 容疑者が浮かんでは消える。そもそも犯人が三年先まで何もしてこない保証はない。 怪しいのは、王位を争う第一王子?裏切られた公爵令嬢?…正体不明の駆け落ち相手? 今度こそ王子エリアスを護るため、過去の記憶よりも積極的に王子に関わるランベルト。 急に距離を縮める騎士を、はじめは警戒するエリアス。ランベルトの昔と変わらぬ態度に、徐々にその警戒も解けていって…? 過去にない行動で変わっていく事象。動き出す影。 ランベルトは今度こそエリアスを護りきれるのか!? 負けず嫌いで頑固で堅実、第二王子(年下) × 面倒見の良い、気の長い一途騎士(年上)のお話です。 ------------------------------------------------------------------- 主人公は頑な、王子も頑固なので、ゆるい気持ちで見守っていただけると幸いです。

【完】三度目の死に戻りで、アーネスト・ストレリッツは生き残りを図る

112
BL
ダジュール王国の第一王子アーネストは既に二度、処刑されては、その三日前に戻るというのを繰り返している。三度目の今回こそ、処刑を免れたいと、見張りの兵士に声をかけると、その兵士も同じように三度目の人生を歩んでいた。 ★本編で出てこない世界観  男同士でも結婚でき、子供を産めます。その為、血統が重視されています。

処理中です...