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安らかに眠れ、恐ろしくも美しい緋色の龍よ
神具
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指輪の制作には何種類かの金属が使われる。匠はその金属を溶かし、魔力と共に混ぜ合わせ、一枚の板にする。そして刀を鍛えるようにその板を幾度となく叩く。出来上がった板は円柱状に溶接され、工程の最後で2つに切り離される。やすりで削りできた物が対となる2つの指輪だ。
1か月後にゼータのレイバックの薬指に嵌まるであろう2つの指輪は、一枚の板から作り出された片割れなのだ。素材となる金属、色合い、形状、全てにおいて同一の物は他に存在しない。
唯一無二の、片割れ。
ゼータがアメシスの協力を取り付けた翌日のことだ。神殿の2階中央部にある国王の執務室に、3人の要人が集結していた。神殿の主たるアメシスとダイナ、そしてドラキス王国からの客人であるゼータだ。3人の視線の先には、巨大な一枚板のテーブルと、その上に並べられた奇妙な道具。大きさも色合いも素材も異なる様々な道具は、一見すれば何に使う物なのかまるでわからない。中には蛙の形をした陶器の置物のような物さえある。テーブルの上の奇妙な道具をしげしげと眺めていたゼータは、やがてその内の一つを手に取った。
「これが神具ですか…。何だか変わった道具ですねぇ」
今しがたゼータが掴み上げた物は、手鏡に似た道具だ。植物の蔦を模した金細工の中心に、楕円形の鏡が張り付けられている。しかし可笑しなことに、その手鏡が人の姿を映し出すことはない。いくら手鏡を動かしてみても、楕円の鏡には金色の靄が揺らめくだけ。人の顔を映さぬ鏡など一体何に使うのだ、ゼータは手鏡を覗き込み唇を尖らせる。
「それは対象地との距離を測る神具ですわ。ゼータ様、試しにドラキス王国の王宮を思い浮かべてみてくださいませ」
ダイナに促されるがままに、ゼータはドラキス王国の王宮を思い描く。白塗りの壁に、規則正しく並ぶ長方形のガラス窓。6階建ての建物にのる紅色の屋根は、陽の光を受けて燦々と輝いている。その瞬間に、ゼータの手の中にある手鏡に変化が起きた。金色の靄が寄り集まり、ゆらゆら揺れる3桁の数字となる。四、八、七。すごい、とゼータは声を上げる。
「本当に数字が出てきました。これがドラキス王国王宮との距離ということですよね?へぇ、便利じゃないですか」
神具を前に興奮するゼータであるが、対するダイナとアメシスは浮かない表情だ。
「便利と言えば便利なのですけれど…神具とは非常に用途が限定された物なんです。例えばその手鏡は、ゼータ様の記憶を頼りに対象地との距離を算出する道具。訪れた経験のない土地を思い浮かべても、鏡の中の靄に変化は起きないのです」
「へぇ…」
試しにゼータは、頭の中に「ポンペイ」との名を思い浮かべる。先日アメシスから情報を得た、神国ジュリの東方に位置する小集落の名だ。鏡の中の数字は金色の靄に戻り、以降形を変えることはない。ゼータはポンペイの地を訪れた経験がないから、鏡は距離の算出をすることができないのだ。面白い道具ではあるが、微妙に使い勝手が悪そうだ。
ゼータは手鏡をテーブルの上に戻し、手鏡の横にある木製の道具を手に取った。人の腕の長さほどのそれは艶のある琥珀色で、太さの違う4本の弦が張られている。
「この道具は?普通のヴァイオリンのように見えますけれど」
「はい、それはヴァイオリンです。もちろん神具と名の付く物ですから、ただのヴァイオリンではありませんよ。そのヴァイオリンの演奏者は、聴衆の気分の良し悪しを目で見ることができるようになるのです」
「気分の良し悪しを?目で?」
「試してみましょうか。ゼータ様、ヴァイオリンの演奏経験は?」
「恥ずかしながら一度もありません」
「では私が演奏いたしましょう」
ダイナの両手のひらが、淑やかな動作でヴァイオリンを掴み上げる。指先は指板の弦に掛かり、華奢な顎先が顎当てにのる。弓を持ち上げる仕草は手慣れており、ダイナが日頃からヴァイオリンの演奏を嗜んでいるという事実が伺える。
程無くして4本の弦は優雅な旋律を奏で始めた。3人だけの室内に響き渡る心地の良い音色。ダイナが奏でるのは、ゼータの知らない曲だ。しかし腹に響く音色は聴く者を幸福にさせる。ゼータの横に立つアメシスも、紫紺の瞳を閉じダイナの演奏を満喫していた。30秒にも満たぬ演奏が終わり、ダイナはヴァイオリンをテーブルの上へと置く。見事な演奏に拍手喝采を送りたいところではあるが、何よりも先に聞かねばならぬことがある。
「…何かわかりました?」
ゼータは尋ね、生唾を飲み込んだ。事前説明の通りであれば、演奏者ダイナには聴衆であるアメシスとゼータの気分の良し悪しが目に見えたはずなのである。ダイナはにこりと笑い、アメシスに視線を向ける。
「アメシス様はどちらかというとご機嫌寄りですね。神具の演奏ではご機嫌の理由まではわかりませんが、大方ゼータ様に協力できることが喜ばしい、というところでしょうか?」
「んん…まぁ、そうだな」
これ見よがしに咳払いをするアメシス。眉根に皺を寄せたアメシスの表情は、ゼータから見れば不機嫌ともとれる。神具のお披露目当初からその表情を貫いているのだから、てっきりアメシスは神具の貸し出しに不安を感じているのかとも思っていた。メリオンの恩に報いるためとはいえ、ゼータへの神具貸し出しは神国ジュリの法を破ることに他ならない。しかしどうやら、不機嫌顔のアメシスは実はご機嫌とのことである。ゼータはほっと胸を撫で下ろす。
「ゼータ様は…何だかとてもご機嫌に見えましたわ。なぜかしら?」
「…多分、神具を目の前にしているからですね。大好きなんですよ。こういう珍しい物が」
神具を前にしたゼータの浮かれ具合も、演奏者ダイナにはお見通しであったようだ。
その後もダイナの説明の元、数種類の神具を試して回った。思い浮かべた記憶の正確な年月日を指し示す暦。一日の吉凶を占うさいころ。喋る言葉を自動で筆記する鉛筆、等々。道具としては非常に面白くあるが、レイバック探しに有用と思われる神具には中々行き当たらない。
途中で一度の菓子休憩を挟み、心機一転のゼータはこれまた不可思議な道具に触れる。それは両手のひらを広げたよりも、少し大きな木製の箱だ。箱の表面には繊細な幾何学模様が描かれており、箱ではあるが引き出しや開閉口の類は見当たらない。ただの置物かと思いきや、箱の側面には小さな突起があり、長さが50㎝ほどの組み紐が結わえ付けられている。そして箱から伸びる組み紐のもう片端には、用途のわからぬ木の筒がしっかりと結わえられている。全くもって何に使う道具なのかわからない。
「ダイナ、これは?」
「これは談話機、と呼ばれる神具ですわ。この神具を使えば、遠くにいる人と話ができるんです」
「遠くにいる人と?どういうことですか?」
ダイナの右手は、組み紐の先にある木筒を掴み上げた。まるで笛でも吹くようにして、木筒の一方に唇を当てる。
「こうして木筒の内部に声を吹き込むんです。するともう一方の談話機の木筒から、私の声が聞こえます。同様にしてもう一方の木筒に声を吹き込めば、その声がこの木筒の内部から聞こえてきます。離れた場所にいる人物と気ままなお喋りを楽しめる道具だから、談話機と名が付けられているのです」
「…何だかすごい説明を耳にしている気がするんですけれど。この談話機が各国の王宮にあれば、面倒な思いをして文をしたためなくとも良いということですか?思いついたときにいつでも、国政の意見交換が行える?」
現在各国王宮間で訪問日程の調整や、国政の意見交換を行うためには文のやり取りを行う他に方法がない。文のやり取りに関しても、ドラキス王国との間で郵便形態が整っている国家と言えば、ロシャ王国、そして湖畔の国リーニャ程度に限られる。その他の国家に文を送るためには、王宮の兵士や官吏に文を運ばせる他無いのだ。文の到着には数日の時を要し、運搬の道中で魔獣に襲われる危険性もある。特に旧バルトリア王国地帯小国と文のやり取りをするとなれば、1通の文を送るだけで多大な時間と労力を要するという現状があるのだ。しかし談話機と名の付く神具を設置すれば、それらの運搬業務は必要ない。国王間、もしくは官吏間で協議が必要な事項があれば、談話機の前に座り木筒に声を吹き込めば良いのである。
凄い発明だと色めき立つゼータに対し、ダイナはやはり浮かない表情だ。
「それが、思うほど便利な道具でもないんです。というのも、談話機の設置には談話機を製作した神具師手ずからの調整が必要になります。設置方法は複雑で、他の者には真似できません。そして一方の談話機の設置場所が、当初の場所から1mmでもずれると会話は不可能になります。その度に神具師による精密な調整が必要になりますから、利益以上に面倒が多い神具なのです」
「ではこの談話機は、今まであまり活用はされてこなかった?」
「一度試験的に、神殿と神官舎に談話機を設置したことがありました。でも神官舎は人の出入りの多い場所ですから、人の歩く振動ですぐに談話機の位置がずれてしまうんです。最初の1週間で3度の調整が必要になり、すぐに設置を諦めてしまいましたわ」
「そうなんですか…。不便かもしれないですけれど、夢のような道具ですねぇ。談話機が私の部屋にあれば、いつでもダイナとお喋りができるということですよね?寝支度をすっかり済ませた後に、寝間着談話なんていうのも乙ですねぇ」
ゼータがそう言った瞬間に、ダイナの目元が煌めいた。鋭い視線がアメシスへと向かう。
「アメシス様。私、一生に一度のお願いがございます」
「ダイナ、言いたいことは理解している。私の一存での返答は出来かねるから、保留にしてくれ」
ゼータとダイナの気ままな雑談の実現が、アメシスの手腕に託されたところで、ゼータはテーブルの端に置かれた小さな神具を手に取った。それは一見すれば美しい置物のようだ。木製の台座の上に、ガラス製の球体がのっている。球体の大きさは小ぶりの蜜柑ほど、薄いガラスでできた球体の内部はとろりとした液体で満たされている。そして液体の中央には、木片を削り上げただけの小舟が浮かんでいるのだ。小指の先ほどの大きさの小舟の舳先には、これまた木製の小さな鳥が留まっている。赤、黒、白の3色の絵の具で彩色が施された可愛らしい鳥は、啄木鳥だろうか。
「これは…また綺麗な神具ですねぇ。どうやって使う物ですか?」
「これは失せ物探しに使う神具ですわ。片割れを探す神具、と私は呼んでおります」
「片割れ?何でも探せるわけではないんですね」
「はい。失せ物の片割れが、手元にあることが使用の条件になります。試してみましょう」
ダイナは自身の耳朶に指先を宛がい、耳飾りを外した。雫型の紫水晶をぶら下げた、華奢な造りの耳飾りだ。ゼータの手のひらから神具を引き受け、ダイナの指先は木製の台座に触れる。その台座の裏面には、小さな底蓋が付いていた。底蓋を開き、台座の内部に紫水晶の耳飾りを入れ、そして再び底蓋は閉ざされる。ダイナはゼータに微笑みを向け、片割れ探しの神具をテーブルの端へと置いた。
ゼータがガラス製の球体を覗き込んだ時、球体内部の小舟はゆっくりと回転していた。行く先を定めるように啄木鳥を乗せた舳先が揺れ、やがて一点を指してぴたりと止まる。船の舳先が差す場所は、延いては啄木鳥のくちばしが指す場所は、ダイナの片耳にぶら下がるもう一方の耳飾りだ。今台座に込められた耳飾りの、対になる耳飾り。ほぅ、とゼータは感嘆の息を吐く。
「なるほど。片割れとはそういう意味ですか。用途は限定されますけれど、便利ですね。衣服のぼたんを失くした時にも使えます?」
「珍しいぼたんであれば、使えるかもしれません。この神具は使用条件がとても厳しいんです。片割れと簡単には言いましたけれど、正確には同素材の物体を探し出す神具とでも言いましょうか。私の耳飾りには、同じ石から削り出された紫水晶が使用されています。構成成分が完全に一致しているから、こうして探し出すことができるのです。同じ紫水晶でも、違う石から削り出された物であれば探し出すことは不可能でしょう」
ダイナは両手のひらに神具をのせる。窓から差し込む陽光を受け、ガラスの球体は虹色に輝く。ダイナの指先が球体を回転させても、その度に船の舳先はゆらゆらと動き、ダイナの耳元の紫水晶を指し示すのだ。
「この神具が作られたのは、もう数百年も昔。とある神具師の少女が、想い人から送られた耳飾りの方方を失くしてしまったんです。酷く落ち込んだ少女は、失くした耳飾りを探し出すために神具を作ります。数か月の時を経て作られた神具が、この片割れを探す神具です」
「その少女は、無事耳飾りを見つけることができたんでしょうか?」
「出来ました。耳飾りを失くしたことは、想い人には知れてしまったんですけれどね。でもその一件がきっかけとなり、2人の心は結ばれることとなるのです」
「…その話は実話ですか?それとも神具に付随する言い伝え?」
「さぁ、どうでしょう。私はこの神具を引き受けたときに、耳飾りの話を耳にしただけですわ」
ダイナは笑い、球体底部の台座から耳飾りの一方を取り出した。紫水晶の耳飾りが再びダイナの耳朶へとぶら下がる様子を観察していたゼータは、ふと首を傾げる。
「片割れ…片割れ?」
何だか耳に馴染む言葉だ。そう遠くない過去に、どこかでその言葉を耳にしたことがある。でも、一体どこで?悩むゼータは片割れ探しの神具を掴み上げる。力を込めれば容易く割れてしまいそうなガラスの球体を、手のひらに挟み天高く掲げる。その時だ。ガラス玉の他にもう一つ、陽の光を浴びて輝く物があることに気付く。それはゼータの左手薬指に嵌まる指輪だ。ドラキス王国の人間の間では、結婚に際し何らかの宝飾品を贈り合うことが習わしとなっている。人間に倣い民に倣い、ゼータとレイバックの婚姻の儀では揃いの指輪を贈り合ったのだ。ポトスの街の職人街にある、とある工房に製作を依頼した物。そしてこの指輪の製作方法は―
「片割れ!」
ゼータは叫び、ダイナの胸元に神具を押し付けた。突然の叫び声に驚愕としながらも、ダイナは大人しく神具を抱え込む。神具のお披露目に関し傍観を決め込んでいたアメシスも、何事だとばかりに目を剥いていた。
「片割れ、片割れですよ。この指輪、片割れなんです。結婚式で交換した指輪なんですけれどね。レイの物と私の物、同じ素材でできているんですよ」
「…同じ純度の白金の指輪、という程度でしたら神具は作動しませんわ」
「いえいえ、本当に同素材なんです。指輪の製作には何種類かの金属が使われるんです。金属を混ぜ合わせ一枚の板にした物を、工程の終盤で切り離し2つの指輪として削り上げるんです。つまり私とレイの指に嵌まる指輪は、唯一無二の片割れなんですよ」
捲し立てるようにそう告げて、ゼータは薬指に嵌まる指輪を外した。神具を持つダイナが台座の底蓋を開け、銀の指輪は台座の内部へからからと音を立てて落ちる。テーブルの端に置かれた神具を、3対の瞳がじっと眺め入る。
木製の船は、球体の内部で行き先を探すように回転する。東、西、南、北、また東。船の動きは次第に緩やかとなり、そしてついに一方を指し示して止まった。船の舳先の指す方は、丁度部屋の出入り口の扉側。方角で言えば真東だ。
「…止まりました。これ、正しく動作しています?ダイナの耳飾りの時よりも、舳先が揺らいでいるような気がしますけれど」
2頭のドラゴンは高山を超え、東の方へと飛んで行った。その事実から考えれば、東を指し示す神具は正しく動作しているようにも思われる。しかし不安要素もある。ダイナの耳飾りを指したとき、球体内部の船はぴたりと静止していたのだ。方や今、船の舳先は大海原に浮かぶ漁船のごとくゆらゆらと揺らめいている。東の方角を指している、ということはわかるが、正確な方角は定まらない。長い睫毛に縁どられたダイナの両眼は、揺れる舳先をじっと見つめている。
「…正しく動作していると思います。船の舳先が揺らいでいるのは、対象物との距離が遠く離れているからですわ。私の経験上、対象物が神具の半径50mほどに入ったときに、舳先の揺らぎは止まります。今この場で船が揺らぐことは、何らおかしなことではありません」
ダイナが言葉を終えた途端、室内には歓声が上がる。歓声を上げた者は、ひしと抱き合うゼータとダイナ。「やった、これでドラゴン探しを続けられます」「良かったですね、ゼータ様」恋人同士のごとく頬擦りを交わす2人を、アメシスが温かな眼差しで見守っている。
ダンスを踊るようにくるくると回転するゼータとダイナは、部屋を一回りした後神具の元へと戻って来た。希望の標とも言うべき神具を、ゼータは両手のひらで包み込む。
「神国ジュリの法を犯すことは承知の上で、こちらの神具をお借りします。万が一にですけれど、神具を返却できない事態に陥ったらすみません。無事帰るつもりではありますけれど、何せ行く先のわからない旅路ですから…」
「製作者の神具師には、私の方から一筆文をしたためておきますわ。大丈夫、神具の貸し出しにも破損にも紛失にも、何一つとして文句を言われる可能性はございません。だってこの片割れを探す神具は、とうに定められた役目を終えているんですもの」
女神のごとく微笑みを浮かべるダイナの耳元には、対となる紫水晶の耳飾りが光る。
片割れを探す神具。望みを託された神具は、かつて少女と想い人の縁を繋いだように、今また離れた2人の縁をも繋いでくれるだろうか。ゼータが手に入れた物は希望の標となるか、それとも絶望への標となるか。
船の舳先の指すものは、温もりに溢れた生者か、それとも物言わぬ屍か。
1か月後にゼータのレイバックの薬指に嵌まるであろう2つの指輪は、一枚の板から作り出された片割れなのだ。素材となる金属、色合い、形状、全てにおいて同一の物は他に存在しない。
唯一無二の、片割れ。
ゼータがアメシスの協力を取り付けた翌日のことだ。神殿の2階中央部にある国王の執務室に、3人の要人が集結していた。神殿の主たるアメシスとダイナ、そしてドラキス王国からの客人であるゼータだ。3人の視線の先には、巨大な一枚板のテーブルと、その上に並べられた奇妙な道具。大きさも色合いも素材も異なる様々な道具は、一見すれば何に使う物なのかまるでわからない。中には蛙の形をした陶器の置物のような物さえある。テーブルの上の奇妙な道具をしげしげと眺めていたゼータは、やがてその内の一つを手に取った。
「これが神具ですか…。何だか変わった道具ですねぇ」
今しがたゼータが掴み上げた物は、手鏡に似た道具だ。植物の蔦を模した金細工の中心に、楕円形の鏡が張り付けられている。しかし可笑しなことに、その手鏡が人の姿を映し出すことはない。いくら手鏡を動かしてみても、楕円の鏡には金色の靄が揺らめくだけ。人の顔を映さぬ鏡など一体何に使うのだ、ゼータは手鏡を覗き込み唇を尖らせる。
「それは対象地との距離を測る神具ですわ。ゼータ様、試しにドラキス王国の王宮を思い浮かべてみてくださいませ」
ダイナに促されるがままに、ゼータはドラキス王国の王宮を思い描く。白塗りの壁に、規則正しく並ぶ長方形のガラス窓。6階建ての建物にのる紅色の屋根は、陽の光を受けて燦々と輝いている。その瞬間に、ゼータの手の中にある手鏡に変化が起きた。金色の靄が寄り集まり、ゆらゆら揺れる3桁の数字となる。四、八、七。すごい、とゼータは声を上げる。
「本当に数字が出てきました。これがドラキス王国王宮との距離ということですよね?へぇ、便利じゃないですか」
神具を前に興奮するゼータであるが、対するダイナとアメシスは浮かない表情だ。
「便利と言えば便利なのですけれど…神具とは非常に用途が限定された物なんです。例えばその手鏡は、ゼータ様の記憶を頼りに対象地との距離を算出する道具。訪れた経験のない土地を思い浮かべても、鏡の中の靄に変化は起きないのです」
「へぇ…」
試しにゼータは、頭の中に「ポンペイ」との名を思い浮かべる。先日アメシスから情報を得た、神国ジュリの東方に位置する小集落の名だ。鏡の中の数字は金色の靄に戻り、以降形を変えることはない。ゼータはポンペイの地を訪れた経験がないから、鏡は距離の算出をすることができないのだ。面白い道具ではあるが、微妙に使い勝手が悪そうだ。
ゼータは手鏡をテーブルの上に戻し、手鏡の横にある木製の道具を手に取った。人の腕の長さほどのそれは艶のある琥珀色で、太さの違う4本の弦が張られている。
「この道具は?普通のヴァイオリンのように見えますけれど」
「はい、それはヴァイオリンです。もちろん神具と名の付く物ですから、ただのヴァイオリンではありませんよ。そのヴァイオリンの演奏者は、聴衆の気分の良し悪しを目で見ることができるようになるのです」
「気分の良し悪しを?目で?」
「試してみましょうか。ゼータ様、ヴァイオリンの演奏経験は?」
「恥ずかしながら一度もありません」
「では私が演奏いたしましょう」
ダイナの両手のひらが、淑やかな動作でヴァイオリンを掴み上げる。指先は指板の弦に掛かり、華奢な顎先が顎当てにのる。弓を持ち上げる仕草は手慣れており、ダイナが日頃からヴァイオリンの演奏を嗜んでいるという事実が伺える。
程無くして4本の弦は優雅な旋律を奏で始めた。3人だけの室内に響き渡る心地の良い音色。ダイナが奏でるのは、ゼータの知らない曲だ。しかし腹に響く音色は聴く者を幸福にさせる。ゼータの横に立つアメシスも、紫紺の瞳を閉じダイナの演奏を満喫していた。30秒にも満たぬ演奏が終わり、ダイナはヴァイオリンをテーブルの上へと置く。見事な演奏に拍手喝采を送りたいところではあるが、何よりも先に聞かねばならぬことがある。
「…何かわかりました?」
ゼータは尋ね、生唾を飲み込んだ。事前説明の通りであれば、演奏者ダイナには聴衆であるアメシスとゼータの気分の良し悪しが目に見えたはずなのである。ダイナはにこりと笑い、アメシスに視線を向ける。
「アメシス様はどちらかというとご機嫌寄りですね。神具の演奏ではご機嫌の理由まではわかりませんが、大方ゼータ様に協力できることが喜ばしい、というところでしょうか?」
「んん…まぁ、そうだな」
これ見よがしに咳払いをするアメシス。眉根に皺を寄せたアメシスの表情は、ゼータから見れば不機嫌ともとれる。神具のお披露目当初からその表情を貫いているのだから、てっきりアメシスは神具の貸し出しに不安を感じているのかとも思っていた。メリオンの恩に報いるためとはいえ、ゼータへの神具貸し出しは神国ジュリの法を破ることに他ならない。しかしどうやら、不機嫌顔のアメシスは実はご機嫌とのことである。ゼータはほっと胸を撫で下ろす。
「ゼータ様は…何だかとてもご機嫌に見えましたわ。なぜかしら?」
「…多分、神具を目の前にしているからですね。大好きなんですよ。こういう珍しい物が」
神具を前にしたゼータの浮かれ具合も、演奏者ダイナにはお見通しであったようだ。
その後もダイナの説明の元、数種類の神具を試して回った。思い浮かべた記憶の正確な年月日を指し示す暦。一日の吉凶を占うさいころ。喋る言葉を自動で筆記する鉛筆、等々。道具としては非常に面白くあるが、レイバック探しに有用と思われる神具には中々行き当たらない。
途中で一度の菓子休憩を挟み、心機一転のゼータはこれまた不可思議な道具に触れる。それは両手のひらを広げたよりも、少し大きな木製の箱だ。箱の表面には繊細な幾何学模様が描かれており、箱ではあるが引き出しや開閉口の類は見当たらない。ただの置物かと思いきや、箱の側面には小さな突起があり、長さが50㎝ほどの組み紐が結わえ付けられている。そして箱から伸びる組み紐のもう片端には、用途のわからぬ木の筒がしっかりと結わえられている。全くもって何に使う道具なのかわからない。
「ダイナ、これは?」
「これは談話機、と呼ばれる神具ですわ。この神具を使えば、遠くにいる人と話ができるんです」
「遠くにいる人と?どういうことですか?」
ダイナの右手は、組み紐の先にある木筒を掴み上げた。まるで笛でも吹くようにして、木筒の一方に唇を当てる。
「こうして木筒の内部に声を吹き込むんです。するともう一方の談話機の木筒から、私の声が聞こえます。同様にしてもう一方の木筒に声を吹き込めば、その声がこの木筒の内部から聞こえてきます。離れた場所にいる人物と気ままなお喋りを楽しめる道具だから、談話機と名が付けられているのです」
「…何だかすごい説明を耳にしている気がするんですけれど。この談話機が各国の王宮にあれば、面倒な思いをして文をしたためなくとも良いということですか?思いついたときにいつでも、国政の意見交換が行える?」
現在各国王宮間で訪問日程の調整や、国政の意見交換を行うためには文のやり取りを行う他に方法がない。文のやり取りに関しても、ドラキス王国との間で郵便形態が整っている国家と言えば、ロシャ王国、そして湖畔の国リーニャ程度に限られる。その他の国家に文を送るためには、王宮の兵士や官吏に文を運ばせる他無いのだ。文の到着には数日の時を要し、運搬の道中で魔獣に襲われる危険性もある。特に旧バルトリア王国地帯小国と文のやり取りをするとなれば、1通の文を送るだけで多大な時間と労力を要するという現状があるのだ。しかし談話機と名の付く神具を設置すれば、それらの運搬業務は必要ない。国王間、もしくは官吏間で協議が必要な事項があれば、談話機の前に座り木筒に声を吹き込めば良いのである。
凄い発明だと色めき立つゼータに対し、ダイナはやはり浮かない表情だ。
「それが、思うほど便利な道具でもないんです。というのも、談話機の設置には談話機を製作した神具師手ずからの調整が必要になります。設置方法は複雑で、他の者には真似できません。そして一方の談話機の設置場所が、当初の場所から1mmでもずれると会話は不可能になります。その度に神具師による精密な調整が必要になりますから、利益以上に面倒が多い神具なのです」
「ではこの談話機は、今まであまり活用はされてこなかった?」
「一度試験的に、神殿と神官舎に談話機を設置したことがありました。でも神官舎は人の出入りの多い場所ですから、人の歩く振動ですぐに談話機の位置がずれてしまうんです。最初の1週間で3度の調整が必要になり、すぐに設置を諦めてしまいましたわ」
「そうなんですか…。不便かもしれないですけれど、夢のような道具ですねぇ。談話機が私の部屋にあれば、いつでもダイナとお喋りができるということですよね?寝支度をすっかり済ませた後に、寝間着談話なんていうのも乙ですねぇ」
ゼータがそう言った瞬間に、ダイナの目元が煌めいた。鋭い視線がアメシスへと向かう。
「アメシス様。私、一生に一度のお願いがございます」
「ダイナ、言いたいことは理解している。私の一存での返答は出来かねるから、保留にしてくれ」
ゼータとダイナの気ままな雑談の実現が、アメシスの手腕に託されたところで、ゼータはテーブルの端に置かれた小さな神具を手に取った。それは一見すれば美しい置物のようだ。木製の台座の上に、ガラス製の球体がのっている。球体の大きさは小ぶりの蜜柑ほど、薄いガラスでできた球体の内部はとろりとした液体で満たされている。そして液体の中央には、木片を削り上げただけの小舟が浮かんでいるのだ。小指の先ほどの大きさの小舟の舳先には、これまた木製の小さな鳥が留まっている。赤、黒、白の3色の絵の具で彩色が施された可愛らしい鳥は、啄木鳥だろうか。
「これは…また綺麗な神具ですねぇ。どうやって使う物ですか?」
「これは失せ物探しに使う神具ですわ。片割れを探す神具、と私は呼んでおります」
「片割れ?何でも探せるわけではないんですね」
「はい。失せ物の片割れが、手元にあることが使用の条件になります。試してみましょう」
ダイナは自身の耳朶に指先を宛がい、耳飾りを外した。雫型の紫水晶をぶら下げた、華奢な造りの耳飾りだ。ゼータの手のひらから神具を引き受け、ダイナの指先は木製の台座に触れる。その台座の裏面には、小さな底蓋が付いていた。底蓋を開き、台座の内部に紫水晶の耳飾りを入れ、そして再び底蓋は閉ざされる。ダイナはゼータに微笑みを向け、片割れ探しの神具をテーブルの端へと置いた。
ゼータがガラス製の球体を覗き込んだ時、球体内部の小舟はゆっくりと回転していた。行く先を定めるように啄木鳥を乗せた舳先が揺れ、やがて一点を指してぴたりと止まる。船の舳先が差す場所は、延いては啄木鳥のくちばしが指す場所は、ダイナの片耳にぶら下がるもう一方の耳飾りだ。今台座に込められた耳飾りの、対になる耳飾り。ほぅ、とゼータは感嘆の息を吐く。
「なるほど。片割れとはそういう意味ですか。用途は限定されますけれど、便利ですね。衣服のぼたんを失くした時にも使えます?」
「珍しいぼたんであれば、使えるかもしれません。この神具は使用条件がとても厳しいんです。片割れと簡単には言いましたけれど、正確には同素材の物体を探し出す神具とでも言いましょうか。私の耳飾りには、同じ石から削り出された紫水晶が使用されています。構成成分が完全に一致しているから、こうして探し出すことができるのです。同じ紫水晶でも、違う石から削り出された物であれば探し出すことは不可能でしょう」
ダイナは両手のひらに神具をのせる。窓から差し込む陽光を受け、ガラスの球体は虹色に輝く。ダイナの指先が球体を回転させても、その度に船の舳先はゆらゆらと動き、ダイナの耳元の紫水晶を指し示すのだ。
「この神具が作られたのは、もう数百年も昔。とある神具師の少女が、想い人から送られた耳飾りの方方を失くしてしまったんです。酷く落ち込んだ少女は、失くした耳飾りを探し出すために神具を作ります。数か月の時を経て作られた神具が、この片割れを探す神具です」
「その少女は、無事耳飾りを見つけることができたんでしょうか?」
「出来ました。耳飾りを失くしたことは、想い人には知れてしまったんですけれどね。でもその一件がきっかけとなり、2人の心は結ばれることとなるのです」
「…その話は実話ですか?それとも神具に付随する言い伝え?」
「さぁ、どうでしょう。私はこの神具を引き受けたときに、耳飾りの話を耳にしただけですわ」
ダイナは笑い、球体底部の台座から耳飾りの一方を取り出した。紫水晶の耳飾りが再びダイナの耳朶へとぶら下がる様子を観察していたゼータは、ふと首を傾げる。
「片割れ…片割れ?」
何だか耳に馴染む言葉だ。そう遠くない過去に、どこかでその言葉を耳にしたことがある。でも、一体どこで?悩むゼータは片割れ探しの神具を掴み上げる。力を込めれば容易く割れてしまいそうなガラスの球体を、手のひらに挟み天高く掲げる。その時だ。ガラス玉の他にもう一つ、陽の光を浴びて輝く物があることに気付く。それはゼータの左手薬指に嵌まる指輪だ。ドラキス王国の人間の間では、結婚に際し何らかの宝飾品を贈り合うことが習わしとなっている。人間に倣い民に倣い、ゼータとレイバックの婚姻の儀では揃いの指輪を贈り合ったのだ。ポトスの街の職人街にある、とある工房に製作を依頼した物。そしてこの指輪の製作方法は―
「片割れ!」
ゼータは叫び、ダイナの胸元に神具を押し付けた。突然の叫び声に驚愕としながらも、ダイナは大人しく神具を抱え込む。神具のお披露目に関し傍観を決め込んでいたアメシスも、何事だとばかりに目を剥いていた。
「片割れ、片割れですよ。この指輪、片割れなんです。結婚式で交換した指輪なんですけれどね。レイの物と私の物、同じ素材でできているんですよ」
「…同じ純度の白金の指輪、という程度でしたら神具は作動しませんわ」
「いえいえ、本当に同素材なんです。指輪の製作には何種類かの金属が使われるんです。金属を混ぜ合わせ一枚の板にした物を、工程の終盤で切り離し2つの指輪として削り上げるんです。つまり私とレイの指に嵌まる指輪は、唯一無二の片割れなんですよ」
捲し立てるようにそう告げて、ゼータは薬指に嵌まる指輪を外した。神具を持つダイナが台座の底蓋を開け、銀の指輪は台座の内部へからからと音を立てて落ちる。テーブルの端に置かれた神具を、3対の瞳がじっと眺め入る。
木製の船は、球体の内部で行き先を探すように回転する。東、西、南、北、また東。船の動きは次第に緩やかとなり、そしてついに一方を指し示して止まった。船の舳先の指す方は、丁度部屋の出入り口の扉側。方角で言えば真東だ。
「…止まりました。これ、正しく動作しています?ダイナの耳飾りの時よりも、舳先が揺らいでいるような気がしますけれど」
2頭のドラゴンは高山を超え、東の方へと飛んで行った。その事実から考えれば、東を指し示す神具は正しく動作しているようにも思われる。しかし不安要素もある。ダイナの耳飾りを指したとき、球体内部の船はぴたりと静止していたのだ。方や今、船の舳先は大海原に浮かぶ漁船のごとくゆらゆらと揺らめいている。東の方角を指している、ということはわかるが、正確な方角は定まらない。長い睫毛に縁どられたダイナの両眼は、揺れる舳先をじっと見つめている。
「…正しく動作していると思います。船の舳先が揺らいでいるのは、対象物との距離が遠く離れているからですわ。私の経験上、対象物が神具の半径50mほどに入ったときに、舳先の揺らぎは止まります。今この場で船が揺らぐことは、何らおかしなことではありません」
ダイナが言葉を終えた途端、室内には歓声が上がる。歓声を上げた者は、ひしと抱き合うゼータとダイナ。「やった、これでドラゴン探しを続けられます」「良かったですね、ゼータ様」恋人同士のごとく頬擦りを交わす2人を、アメシスが温かな眼差しで見守っている。
ダンスを踊るようにくるくると回転するゼータとダイナは、部屋を一回りした後神具の元へと戻って来た。希望の標とも言うべき神具を、ゼータは両手のひらで包み込む。
「神国ジュリの法を犯すことは承知の上で、こちらの神具をお借りします。万が一にですけれど、神具を返却できない事態に陥ったらすみません。無事帰るつもりではありますけれど、何せ行く先のわからない旅路ですから…」
「製作者の神具師には、私の方から一筆文をしたためておきますわ。大丈夫、神具の貸し出しにも破損にも紛失にも、何一つとして文句を言われる可能性はございません。だってこの片割れを探す神具は、とうに定められた役目を終えているんですもの」
女神のごとく微笑みを浮かべるダイナの耳元には、対となる紫水晶の耳飾りが光る。
片割れを探す神具。望みを託された神具は、かつて少女と想い人の縁を繋いだように、今また離れた2人の縁をも繋いでくれるだろうか。ゼータが手に入れた物は希望の標となるか、それとも絶望への標となるか。
船の舳先の指すものは、温もりに溢れた生者か、それとも物言わぬ屍か。
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