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荒城の夜半に龍が啼く
宴
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長話を終えたゼータは、レイバックとザトに両脇を抱えられ、初めて建物の外に出た。緑の美しい集落であった。広い草原地帯にまばらに建てられた葦作りの家、その数は目に届く範囲で20軒程もある。家と家の間は土を均しただけの道で繋がれ、道の両側には綺麗に狩り揃えられた芝生があった。果実の生る木が生えている場所もある。緑の草木と葦の家。ポトスの街中からは想像もできない、御伽話の中に迷い込んだような錯覚を起こさせる集落だ。
まばらに建てられた家々の中心には拓けた広場があり、10頭程の小さな獣がじゃれ合うように芝生を転がりまわっていた。その内の3頭には見覚えがある。ゼータの寝顔を覗き込んでいたニコと少年少女だ。ならば芝生を転げまわる者は皆、この集落に住まう子ども達か。
ゼータが芝生に座り込みふわふわ毛並みの子どもたちと戯れる間に、村には狩りを終えた大人たちが戻ってきた。果実や山菜で山盛りとなった籠を持つ者がおり、兎や魚を肩から下げる者もいる。熊のような風貌の青年は、肩に鹿の死骸を担ぎ上げている。大人たちは目覚めたゼータに各々挨拶を投げ掛け、宴の準備をするのだと言って村の奥の方に向かって行った。少し離れた場所に村祭りをするための大きな広場があるのだという。
そうして子ども達と戯れ、昼時には肉と根菜のたっぷり入ったスープを頂き、子ども達の案内で村の散策をして過ごす内に太陽はあっという間に山陰に姿を隠した。家々の天井には灯りが灯されるが、窓にも出入口にも簾が下ろされるためその灯りが屋外に漏れ出すことはない。レイバックが昨晩上空を飛行しながらも、集落の存在に気が付かなかったことにも納得だ。
完全に日が暮れた頃に、レイバックとゼータ、ザトと4人の兵士は、子ども達の案内で村祭りの広場に向かった。そこはレイバックとゼータが往路の休憩地点とした場所であった。ドラゴンの離着陸に支障のない広さである広場の中心には、太い丸太が井桁型に組まれている。着火直後であるためか中の焚火はまだ燻ぶる程度であるが、数分も経てば広場全体を照らし出すような業火となるだろう。焚火を囲うようにして、芝生の上には葦で編まれた茣蓙が並べられている。茣蓙の数は全部で12、一人当たり5,6人が座れる程の大きな物だ。茣蓙の上にはそれぞれ大皿に盛られた肉料理や果実の類がのせられており、同じ茣蓙に座った者で料理を取り分けて食べるようだ。
ザトと4人の兵士は5人で一つの茣蓙に案内され、レイバックとゼータは2人で一つの茣蓙に案内された。レイバックとゼータの座る茣蓙は一際豪華で、茣蓙の上に木で作った簡易的な座椅子が置かれている。並べられる料理も他の茣蓙の料理とは一味違っている。大きな皿に円形に並べられた肉料理、山菜の煮物、川魚の丸焼き、果実、そしてそれらの料理の中心には鹿や兎の頭部がのっているのだ。一応茹でられてはいるようだが、生きている時の姿を保った動物の頭部がいくつも並べられている様は中々迫力がある。驚愕の光景にレイバックとゼータは互いに顔を見合わせるのであったが、子ども達はこれが獣人族の村のもてなしなのだと言った。
客人が皆茣蓙に座り、子ども達があちこちの茣蓙の隅に腰を下ろしたときに、広場の端から大勢の村人が焚火の方に向かって来た。その数は40名程で、皆揃いの藍色の衣服を羽織っていた。裾丈は長く、背中には赤と金の糸で幾何学的な文様が描かれている。手ぶらな者が多いが、10名程の人は手に楽器を抱えている。ある者は木と獣の皮で作った太鼓、ある者は竹を切り出した笛、琴のような楽器を身体の前に下げている者もいる。
村人の全員が焚火の灯りの届く範囲に入った頃に、村人の一人が唐突に竹笛を吹いた。風音に似た柔らかな音色が辺りに響く。それが宴の始まりの合図だ。誘われるように他の村人も楽器を鳴らし、何も持たぬ者は踊りだす。踊手の行進。焚火が近づくにつれて踊りは激しさを増し、客人の前を通り過ぎる頃には天高く舞い上がるような踊りが披露されていた。
轟々と燃えだした井桁型の焚火の周りを、村人たちは踊り回る。それは踊りというよりは一種の儀式だ。人の姿をした村人はある瞬間には獣の様態に姿を変え、すぐにまた人に戻る。その変化は全ての村人が一矢の乱れもなく同時に行うものだから、変化の後にはまるで幻を目にしたかのような不思議な錯覚を起こさせるのだ。
10分に及ぶ踊りが終わった時には、客人達は皆呆気に取られぽかんと口を開けていた。大勢が集いダンスを踊る精霊族祭の会場も確かに迫力はある。しかし今しがた披露された踊りは、その迫力を遥かに凌ぐ。人と獣の共演、神が降りたかのような演舞。優雅とは言い難いが洗練された踊りであった。
踊りを終えた村人がそれぞれの茣蓙に座り込んだ時に、先に待っていた子ども達が大人たちのコップに酒を注いで回った。ゼータとレイバックの元には、酒瓶を抱きかかえたニコと少年少女が駆けてくる。我先にと少年少女が2つのコップに酒を注ぎ、少年はアマイチ、少女はミシャと名乗った。全ての村人のコップに酒が注がれ、乾杯の音頭もなく宴は始まった。皆茣蓙の上の料理を好きように取り分け談笑しながら口に運ぶ。レイバックとゼータの茣蓙にはアマイチとニコ、ミシャが座り込み料理の食べ方を教えてくれた。2人で食べるにはいささか多いと思われた料理だが、3人の子ども達も一緒に食べるようだ。
「村では15歳で成人と見なされます。でも成人となるには年齢の他にもう一つ条件があって、先ほどの踊りを間違えずに踊れるようにならなければならないんです。手取り足取り教えてくれる人はいませんから、村祭りの時に見て覚えなければなりません。これが結構大変で」
そう言って、レイバックの皿に肉の塊をのせる者はアマイチだ。続いて自身の皿にも肉をのせ、すぐさまそれを口に運ぶ。食事に関してあまり細かい決まりはないようで、レイバックは安心してアマイチのよそってくれた肉の塊に齧り付く。ゼータの皿にはミシャがよそった山菜の煮物と握り飯がのっていて、ゼータはまず見慣れた握り飯を手に取った。
「村祭りの時、子どもは給仕担当なんです。お酒を注いだりとか、料理が足りなかったら村から運んできたりとか。お客様がいる時は、こうして持て成すのも子どもの役目なんですよ。国の端っこにある集落だから、お客様は滅多に来ないんですけどね。僕はお客様のいる宴なんて初めてです」
見た目の幼さとは異なり、ニコはしっかりとした口調で語った。その後も5人で料理をつつきながら、他愛のない会話を楽しむ。3人の子ども達はレイバックとゼータが寝床を借りた家で兄弟のように暮らす。一緒に暮らす大人は狩りの時に鹿を担ぎ上げていた巨躯の青年で、彼が村では長のような立場である。アマイチとミシャは彼の実子だが、ニコは母親が亡くなったために青年に引き取られた。一つの家が家族というよりは村全体は大きな家族といった印象で、困った事があれば皆が手を差し伸べ合って生きていると言う。
「食事は2,3人の大人が、村人全員の分を作ります。食材は毎日大人たちが森に狩りに出てその日の分の肉や果実を獲って来るんです。村の奥には畑があって、大豆や多少の穀物を育ててはいますけれど、森から獲った物を食べる事が多いです」
「獣の血が濃い者達の集落であると聞きましたけど、食事は人のものに近いんですね」
「日が明るいうちに活動する村人は、人の食事をとります。でも夜行性の村人は気性が獣に近くて、食事も肉しかとりませんよ。焚火を挟んで正面の茣蓙に座る人たちがそうです」
ミシャの指さす先には、5人の村人が座る茣蓙があった。茣蓙の上の料理は確かに肉料理ばかりだ。生肉も混じっている。人の形をした者が生肉に齧り付くというのは異様な光景である。
「彼らは日が暮れてから活動を始めるから、村祭りはいつも日没後に行われるんです。いつもなら日が暮れるとすぐに寝てしまう村人も多いんですけれど、祭の日はみんな夜更かしするんですよ」
そう言ってミシャは笑う。時計がないため正確な時間はわからないが、今はまだ精々19時前後という所だ。それでもこの村では夜更かしの部類に入るらしい。ゼータは程よい味付けの山菜の煮物を口に運びながら、焚火を囲む村人たちを眺め見る。
それから間もなくすると、酒瓶を持った村人たちが続々とレイバックとゼータの元を訪れた。名を名乗り、しばしの談笑を楽しみ、空いたグラスに酒を注いで満足そうに帰って行く。ゼータは怪我人という事もあり酒の給仕は勘弁してもらったのだが、村人が立ち去った後にはなぜか目の前に満杯のコップが滑り込んでくるのである。満杯の酒をゼータの前に差し出す者は、申し訳なさそうな顔をしたレイバックだ。彼は酒に弱いわけではないが、絶え間なく注がれる酒を次から次へと空けていれば祭が終わる頃には泥酔状態だ。結局全ての村人の挨拶が終わる頃には、ゼータは軽い酩酊状態に陥る程の酒を腹に収める事となった。
皿の料理の大半がなくなった頃に、村人たちは焚火を囲んで踊り始めた。登場の時の洗練された踊りとは違う、場を楽しむための踊りだ。子ども達も踊れる踊りのようで、アマイチとミシャ、ニコも茣蓙を離れ人の輪に入ってゆく。レイバックとゼータも誘われたのではあるが、ゼータは怪我が痛む、レイバックは酒が回っているからという理由で丁重にお断りした。本当は、レイバックはコップ1杯分ほどの酒しか身体に入れていないのではあるが。
煌々と燃える焚火と軽やかに回る人輪、そして焚火の作り出す人の影を眺めていたゼータに、レイバックが身体を寄せる。村人が奏でる楽器の音に掻き消されにようにと、湿布を貼った頬に唇が寄せられる。
「俺は先にお暇する。ゼータは明日ザトと一緒に帰って来てくれ。傷に障らぬようにな」
「え、今から帰るんですか?空を飛んで?」
「そうだ。人を乗せずに飛べば、30分もあれば王宮に帰り着く。昨晩の悪天候に比べれば、風のない今日の飛行は楽なものだ」
「それにしたって…。折角だから最後まで宴を楽しんでいけば良いのに」
「当初の予定では今日の内に帰り着くはずだったからな。国家の最高権力者が、宴のために余分に王宮を空けるというのも宜しくはないだろう。村の者には泊まって行ってくれと散々言われたがな。ドラゴンの姿で宴を盛り上げるからという約束で帰還を認めてもらったんだ。村人の中には、俺の竜体を見ていない者もいるから」
「…人気者も大変ですね」
宴が始まってから気が付いた事であるが、村人の態度は客人によって大分違いがある。最たる例は呼び名であるが、4人の兵士は「そこの兵士さん」、ゼータは「ゼータさん」、ザトは「白い爺ちゃん」、レイバックは「レイバック様」だ。ザトは一応ドラキス王国のナンバー2という地位であるにも関わらず、まさかの爺ちゃん呼ばわりである。当のザトはあまり気にした様子もない。獣の血が混じる者が、神獣のレイバックの別格として扱うのは仕方のないことだと理解しているのだろう。
今だってレイバックとゼータは茣蓙の上で和やかな時を過ごしているが、4人の兵士とザトは踊りの輪の中に引き込まれている。兵士らは楽しそうだがザトは渋い顔だ。自ら進んで輪の中に入ったというよりは、誘いを断り切れなかったのだろう。しかし見様見真似の踊りは様になっている。
「短い飛行とはいえ気を付けてくださいね。飛行獣が飛んでいる可能性もありますから」
「ああ…」
ゼータの言葉に相槌を打ったきり、レイバックは黙り込んだ。帰路の話を振ってきたのだからてっきりすぐに出発すると思っていたが、レイバックは一向に席を立とうとしない。それどころか何かを言いたげに隣に座るゼータの様子をちらちらと伺うのだ。
「…何かありました?」
焦れたゼータが問えば、レイバックは言葉を探すように口を開閉する。いつもはっきりとした物言いをする彼にしては珍しい様子だ。やがて大きく息を吐きだした後に、緋色の瞳はゼータを見据える。
「その、謝罪をせねばいかんと思って」
「謝罪?何かありましたっけ」
大怪我をしながらも長時間雨風に晒された昨晩の出来事なら、もう謝罪は受けているはずだ。そう思い首を傾げるゼータであるが、レイバックの様子を見るに事はもう少し深刻なようだ。
「今回の事件は俺の判断誤りだ。メリオンには対談を断るようにと言われたんだが、俺の一存で参加を決めてしまった。結果俺はフィビアスの魔法に掛けられ、ゼータにはいらぬ怪我を負わせる始末だ。その…すまなかった」
「ああ、そういう事ですか。気にしていないですよ。怪我は時が経てば治ります」
「あとは…フィビアスと身体を重ねてしまった事についても謝らねばと…」
「強姦行為じゃないですか、あんなの。レイが謝る必要はありません」
ゼータはぴしゃりと言ってのけるが、レイバックの眉は情けなく下がったままだ。風の音のような低い笛音と、身体が弾む軽快な太鼓の音。かき鳴らされる音楽をどこか遠くに聞きながら、ゼータはレイバックの次の言葉を待つ。
「アムレット皇太子が正式に国王となれば、ロシャ王国の王宮を訪れる機会もあるだろう。バルトリア王国の行く末はわからんが、次の王がまともな者であれば当然国交は必要だ。神国ジュリを含む小国地帯との交易も始まるかもしれない。そうなれば王妃としての責務は増える。面倒な付き合いをせねばならん事もあるし、音も葉もない噂を流される事があるかもしれない。嫌な思いや息苦しい思いをさせる事はきっとある。今回のように命の危険に晒す事も。それでも、傍にいてくれるか」
レイバックの指先がゼータの手の甲に触れる。握り込む事を躊躇うように。ゼータは僅かに触れた指先を見て、それから悲哀を映す緋色の瞳を見つめる。その問いに対する答えなら、考える必要はない。
「傍にいます」
凛と返された答えに、レイバックは安心したように息を吐いた。橙色の炎光に照らされる顔は、少年のように屈託のない笑みとなる。「良かった」と何度も呟いて、レイバックはゼータの手のひらを握り込んだ。そしてそのまま、さも自然な動作でゼータの手の甲に唇を付ける。まるで騎士が、愛しの姫君に永遠の愛を誓うように。
「…ん?」
ゼータがその口付けの意味を理解する前に、レイバックはさっと席を立ち焚火に向かって走り出した。軽やかに舞う人の輪を縫うように走り抜け、人気のない広場に向かって一人駆けてゆく。突然の客人の行動に、何事かと皆が踊る足を止めてその行く先を追った。焚火からは大分離れた場所ではたと足を止めたレイバックは、振り返り声を張り上げた。
「世話になった!」
次の瞬間、人の身体は溶けるように姿を変える。数秒の後に暗闇の草原に羽を広げていたのは巨大な緋色のドラゴンだ。村人たちの歓声を聴きながら、ドラゴンは緋色の羽をはためかせ、草木を吹き飛ばす程の爆風と共に宙に浮かぶ。一瞬で遥か上空まで舞い上がったドラゴンは、大地を揺るがす雄叫びを上げ、闇夜を切り裂き星空の向こうへと消えた。
一人になったゼータの元にザトがやってきた。王妃の会話の相手をすることを理由に、踊りの輪を抜けてきたようだ。慣れない踊りに巻き込まれたためか、皺の刻まれた額には汗の粒が浮かんでいる。
「全く老体になんて仕打ちだ…。ゼータ、手をどうした?虫にでも刺されたか」
ザトは、招き猫のように持ち上げられたままのゼータの右手を指さす。ザトの言葉にはっと我に返ったゼータは、長い事宙に浮いていた右手をようやく膝の上に下ろした。
「いえ、虫はいないんですけれど。…何でしょうね」
「うん?」
曖昧な答えを気に掛けた様子もなく、ザトは茣蓙に置かれた空のグラスに酒を注いだ。
差し出されたコップを両手で受け取りさっさと口に運んだゼータであるが、度数の強い酒が器官に入り盛大に咽返った。
「何だ何だ、どうした。大丈夫か?」
慌てるザトに背中を撫でられながら、ゼータは思うのだ。炎光が顔を照らしていてくれて本当に良かった、と。
まばらに建てられた家々の中心には拓けた広場があり、10頭程の小さな獣がじゃれ合うように芝生を転がりまわっていた。その内の3頭には見覚えがある。ゼータの寝顔を覗き込んでいたニコと少年少女だ。ならば芝生を転げまわる者は皆、この集落に住まう子ども達か。
ゼータが芝生に座り込みふわふわ毛並みの子どもたちと戯れる間に、村には狩りを終えた大人たちが戻ってきた。果実や山菜で山盛りとなった籠を持つ者がおり、兎や魚を肩から下げる者もいる。熊のような風貌の青年は、肩に鹿の死骸を担ぎ上げている。大人たちは目覚めたゼータに各々挨拶を投げ掛け、宴の準備をするのだと言って村の奥の方に向かって行った。少し離れた場所に村祭りをするための大きな広場があるのだという。
そうして子ども達と戯れ、昼時には肉と根菜のたっぷり入ったスープを頂き、子ども達の案内で村の散策をして過ごす内に太陽はあっという間に山陰に姿を隠した。家々の天井には灯りが灯されるが、窓にも出入口にも簾が下ろされるためその灯りが屋外に漏れ出すことはない。レイバックが昨晩上空を飛行しながらも、集落の存在に気が付かなかったことにも納得だ。
完全に日が暮れた頃に、レイバックとゼータ、ザトと4人の兵士は、子ども達の案内で村祭りの広場に向かった。そこはレイバックとゼータが往路の休憩地点とした場所であった。ドラゴンの離着陸に支障のない広さである広場の中心には、太い丸太が井桁型に組まれている。着火直後であるためか中の焚火はまだ燻ぶる程度であるが、数分も経てば広場全体を照らし出すような業火となるだろう。焚火を囲うようにして、芝生の上には葦で編まれた茣蓙が並べられている。茣蓙の数は全部で12、一人当たり5,6人が座れる程の大きな物だ。茣蓙の上にはそれぞれ大皿に盛られた肉料理や果実の類がのせられており、同じ茣蓙に座った者で料理を取り分けて食べるようだ。
ザトと4人の兵士は5人で一つの茣蓙に案内され、レイバックとゼータは2人で一つの茣蓙に案内された。レイバックとゼータの座る茣蓙は一際豪華で、茣蓙の上に木で作った簡易的な座椅子が置かれている。並べられる料理も他の茣蓙の料理とは一味違っている。大きな皿に円形に並べられた肉料理、山菜の煮物、川魚の丸焼き、果実、そしてそれらの料理の中心には鹿や兎の頭部がのっているのだ。一応茹でられてはいるようだが、生きている時の姿を保った動物の頭部がいくつも並べられている様は中々迫力がある。驚愕の光景にレイバックとゼータは互いに顔を見合わせるのであったが、子ども達はこれが獣人族の村のもてなしなのだと言った。
客人が皆茣蓙に座り、子ども達があちこちの茣蓙の隅に腰を下ろしたときに、広場の端から大勢の村人が焚火の方に向かって来た。その数は40名程で、皆揃いの藍色の衣服を羽織っていた。裾丈は長く、背中には赤と金の糸で幾何学的な文様が描かれている。手ぶらな者が多いが、10名程の人は手に楽器を抱えている。ある者は木と獣の皮で作った太鼓、ある者は竹を切り出した笛、琴のような楽器を身体の前に下げている者もいる。
村人の全員が焚火の灯りの届く範囲に入った頃に、村人の一人が唐突に竹笛を吹いた。風音に似た柔らかな音色が辺りに響く。それが宴の始まりの合図だ。誘われるように他の村人も楽器を鳴らし、何も持たぬ者は踊りだす。踊手の行進。焚火が近づくにつれて踊りは激しさを増し、客人の前を通り過ぎる頃には天高く舞い上がるような踊りが披露されていた。
轟々と燃えだした井桁型の焚火の周りを、村人たちは踊り回る。それは踊りというよりは一種の儀式だ。人の姿をした村人はある瞬間には獣の様態に姿を変え、すぐにまた人に戻る。その変化は全ての村人が一矢の乱れもなく同時に行うものだから、変化の後にはまるで幻を目にしたかのような不思議な錯覚を起こさせるのだ。
10分に及ぶ踊りが終わった時には、客人達は皆呆気に取られぽかんと口を開けていた。大勢が集いダンスを踊る精霊族祭の会場も確かに迫力はある。しかし今しがた披露された踊りは、その迫力を遥かに凌ぐ。人と獣の共演、神が降りたかのような演舞。優雅とは言い難いが洗練された踊りであった。
踊りを終えた村人がそれぞれの茣蓙に座り込んだ時に、先に待っていた子ども達が大人たちのコップに酒を注いで回った。ゼータとレイバックの元には、酒瓶を抱きかかえたニコと少年少女が駆けてくる。我先にと少年少女が2つのコップに酒を注ぎ、少年はアマイチ、少女はミシャと名乗った。全ての村人のコップに酒が注がれ、乾杯の音頭もなく宴は始まった。皆茣蓙の上の料理を好きように取り分け談笑しながら口に運ぶ。レイバックとゼータの茣蓙にはアマイチとニコ、ミシャが座り込み料理の食べ方を教えてくれた。2人で食べるにはいささか多いと思われた料理だが、3人の子ども達も一緒に食べるようだ。
「村では15歳で成人と見なされます。でも成人となるには年齢の他にもう一つ条件があって、先ほどの踊りを間違えずに踊れるようにならなければならないんです。手取り足取り教えてくれる人はいませんから、村祭りの時に見て覚えなければなりません。これが結構大変で」
そう言って、レイバックの皿に肉の塊をのせる者はアマイチだ。続いて自身の皿にも肉をのせ、すぐさまそれを口に運ぶ。食事に関してあまり細かい決まりはないようで、レイバックは安心してアマイチのよそってくれた肉の塊に齧り付く。ゼータの皿にはミシャがよそった山菜の煮物と握り飯がのっていて、ゼータはまず見慣れた握り飯を手に取った。
「村祭りの時、子どもは給仕担当なんです。お酒を注いだりとか、料理が足りなかったら村から運んできたりとか。お客様がいる時は、こうして持て成すのも子どもの役目なんですよ。国の端っこにある集落だから、お客様は滅多に来ないんですけどね。僕はお客様のいる宴なんて初めてです」
見た目の幼さとは異なり、ニコはしっかりとした口調で語った。その後も5人で料理をつつきながら、他愛のない会話を楽しむ。3人の子ども達はレイバックとゼータが寝床を借りた家で兄弟のように暮らす。一緒に暮らす大人は狩りの時に鹿を担ぎ上げていた巨躯の青年で、彼が村では長のような立場である。アマイチとミシャは彼の実子だが、ニコは母親が亡くなったために青年に引き取られた。一つの家が家族というよりは村全体は大きな家族といった印象で、困った事があれば皆が手を差し伸べ合って生きていると言う。
「食事は2,3人の大人が、村人全員の分を作ります。食材は毎日大人たちが森に狩りに出てその日の分の肉や果実を獲って来るんです。村の奥には畑があって、大豆や多少の穀物を育ててはいますけれど、森から獲った物を食べる事が多いです」
「獣の血が濃い者達の集落であると聞きましたけど、食事は人のものに近いんですね」
「日が明るいうちに活動する村人は、人の食事をとります。でも夜行性の村人は気性が獣に近くて、食事も肉しかとりませんよ。焚火を挟んで正面の茣蓙に座る人たちがそうです」
ミシャの指さす先には、5人の村人が座る茣蓙があった。茣蓙の上の料理は確かに肉料理ばかりだ。生肉も混じっている。人の形をした者が生肉に齧り付くというのは異様な光景である。
「彼らは日が暮れてから活動を始めるから、村祭りはいつも日没後に行われるんです。いつもなら日が暮れるとすぐに寝てしまう村人も多いんですけれど、祭の日はみんな夜更かしするんですよ」
そう言ってミシャは笑う。時計がないため正確な時間はわからないが、今はまだ精々19時前後という所だ。それでもこの村では夜更かしの部類に入るらしい。ゼータは程よい味付けの山菜の煮物を口に運びながら、焚火を囲む村人たちを眺め見る。
それから間もなくすると、酒瓶を持った村人たちが続々とレイバックとゼータの元を訪れた。名を名乗り、しばしの談笑を楽しみ、空いたグラスに酒を注いで満足そうに帰って行く。ゼータは怪我人という事もあり酒の給仕は勘弁してもらったのだが、村人が立ち去った後にはなぜか目の前に満杯のコップが滑り込んでくるのである。満杯の酒をゼータの前に差し出す者は、申し訳なさそうな顔をしたレイバックだ。彼は酒に弱いわけではないが、絶え間なく注がれる酒を次から次へと空けていれば祭が終わる頃には泥酔状態だ。結局全ての村人の挨拶が終わる頃には、ゼータは軽い酩酊状態に陥る程の酒を腹に収める事となった。
皿の料理の大半がなくなった頃に、村人たちは焚火を囲んで踊り始めた。登場の時の洗練された踊りとは違う、場を楽しむための踊りだ。子ども達も踊れる踊りのようで、アマイチとミシャ、ニコも茣蓙を離れ人の輪に入ってゆく。レイバックとゼータも誘われたのではあるが、ゼータは怪我が痛む、レイバックは酒が回っているからという理由で丁重にお断りした。本当は、レイバックはコップ1杯分ほどの酒しか身体に入れていないのではあるが。
煌々と燃える焚火と軽やかに回る人輪、そして焚火の作り出す人の影を眺めていたゼータに、レイバックが身体を寄せる。村人が奏でる楽器の音に掻き消されにようにと、湿布を貼った頬に唇が寄せられる。
「俺は先にお暇する。ゼータは明日ザトと一緒に帰って来てくれ。傷に障らぬようにな」
「え、今から帰るんですか?空を飛んで?」
「そうだ。人を乗せずに飛べば、30分もあれば王宮に帰り着く。昨晩の悪天候に比べれば、風のない今日の飛行は楽なものだ」
「それにしたって…。折角だから最後まで宴を楽しんでいけば良いのに」
「当初の予定では今日の内に帰り着くはずだったからな。国家の最高権力者が、宴のために余分に王宮を空けるというのも宜しくはないだろう。村の者には泊まって行ってくれと散々言われたがな。ドラゴンの姿で宴を盛り上げるからという約束で帰還を認めてもらったんだ。村人の中には、俺の竜体を見ていない者もいるから」
「…人気者も大変ですね」
宴が始まってから気が付いた事であるが、村人の態度は客人によって大分違いがある。最たる例は呼び名であるが、4人の兵士は「そこの兵士さん」、ゼータは「ゼータさん」、ザトは「白い爺ちゃん」、レイバックは「レイバック様」だ。ザトは一応ドラキス王国のナンバー2という地位であるにも関わらず、まさかの爺ちゃん呼ばわりである。当のザトはあまり気にした様子もない。獣の血が混じる者が、神獣のレイバックの別格として扱うのは仕方のないことだと理解しているのだろう。
今だってレイバックとゼータは茣蓙の上で和やかな時を過ごしているが、4人の兵士とザトは踊りの輪の中に引き込まれている。兵士らは楽しそうだがザトは渋い顔だ。自ら進んで輪の中に入ったというよりは、誘いを断り切れなかったのだろう。しかし見様見真似の踊りは様になっている。
「短い飛行とはいえ気を付けてくださいね。飛行獣が飛んでいる可能性もありますから」
「ああ…」
ゼータの言葉に相槌を打ったきり、レイバックは黙り込んだ。帰路の話を振ってきたのだからてっきりすぐに出発すると思っていたが、レイバックは一向に席を立とうとしない。それどころか何かを言いたげに隣に座るゼータの様子をちらちらと伺うのだ。
「…何かありました?」
焦れたゼータが問えば、レイバックは言葉を探すように口を開閉する。いつもはっきりとした物言いをする彼にしては珍しい様子だ。やがて大きく息を吐きだした後に、緋色の瞳はゼータを見据える。
「その、謝罪をせねばいかんと思って」
「謝罪?何かありましたっけ」
大怪我をしながらも長時間雨風に晒された昨晩の出来事なら、もう謝罪は受けているはずだ。そう思い首を傾げるゼータであるが、レイバックの様子を見るに事はもう少し深刻なようだ。
「今回の事件は俺の判断誤りだ。メリオンには対談を断るようにと言われたんだが、俺の一存で参加を決めてしまった。結果俺はフィビアスの魔法に掛けられ、ゼータにはいらぬ怪我を負わせる始末だ。その…すまなかった」
「ああ、そういう事ですか。気にしていないですよ。怪我は時が経てば治ります」
「あとは…フィビアスと身体を重ねてしまった事についても謝らねばと…」
「強姦行為じゃないですか、あんなの。レイが謝る必要はありません」
ゼータはぴしゃりと言ってのけるが、レイバックの眉は情けなく下がったままだ。風の音のような低い笛音と、身体が弾む軽快な太鼓の音。かき鳴らされる音楽をどこか遠くに聞きながら、ゼータはレイバックの次の言葉を待つ。
「アムレット皇太子が正式に国王となれば、ロシャ王国の王宮を訪れる機会もあるだろう。バルトリア王国の行く末はわからんが、次の王がまともな者であれば当然国交は必要だ。神国ジュリを含む小国地帯との交易も始まるかもしれない。そうなれば王妃としての責務は増える。面倒な付き合いをせねばならん事もあるし、音も葉もない噂を流される事があるかもしれない。嫌な思いや息苦しい思いをさせる事はきっとある。今回のように命の危険に晒す事も。それでも、傍にいてくれるか」
レイバックの指先がゼータの手の甲に触れる。握り込む事を躊躇うように。ゼータは僅かに触れた指先を見て、それから悲哀を映す緋色の瞳を見つめる。その問いに対する答えなら、考える必要はない。
「傍にいます」
凛と返された答えに、レイバックは安心したように息を吐いた。橙色の炎光に照らされる顔は、少年のように屈託のない笑みとなる。「良かった」と何度も呟いて、レイバックはゼータの手のひらを握り込んだ。そしてそのまま、さも自然な動作でゼータの手の甲に唇を付ける。まるで騎士が、愛しの姫君に永遠の愛を誓うように。
「…ん?」
ゼータがその口付けの意味を理解する前に、レイバックはさっと席を立ち焚火に向かって走り出した。軽やかに舞う人の輪を縫うように走り抜け、人気のない広場に向かって一人駆けてゆく。突然の客人の行動に、何事かと皆が踊る足を止めてその行く先を追った。焚火からは大分離れた場所ではたと足を止めたレイバックは、振り返り声を張り上げた。
「世話になった!」
次の瞬間、人の身体は溶けるように姿を変える。数秒の後に暗闇の草原に羽を広げていたのは巨大な緋色のドラゴンだ。村人たちの歓声を聴きながら、ドラゴンは緋色の羽をはためかせ、草木を吹き飛ばす程の爆風と共に宙に浮かぶ。一瞬で遥か上空まで舞い上がったドラゴンは、大地を揺るがす雄叫びを上げ、闇夜を切り裂き星空の向こうへと消えた。
一人になったゼータの元にザトがやってきた。王妃の会話の相手をすることを理由に、踊りの輪を抜けてきたようだ。慣れない踊りに巻き込まれたためか、皺の刻まれた額には汗の粒が浮かんでいる。
「全く老体になんて仕打ちだ…。ゼータ、手をどうした?虫にでも刺されたか」
ザトは、招き猫のように持ち上げられたままのゼータの右手を指さす。ザトの言葉にはっと我に返ったゼータは、長い事宙に浮いていた右手をようやく膝の上に下ろした。
「いえ、虫はいないんですけれど。…何でしょうね」
「うん?」
曖昧な答えを気に掛けた様子もなく、ザトは茣蓙に置かれた空のグラスに酒を注いだ。
差し出されたコップを両手で受け取りさっさと口に運んだゼータであるが、度数の強い酒が器官に入り盛大に咽返った。
「何だ何だ、どうした。大丈夫か?」
慌てるザトに背中を撫でられながら、ゼータは思うのだ。炎光が顔を照らしていてくれて本当に良かった、と。
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