【BL】齢1200の龍王と精を吸わないオタ淫魔

三崎こはく

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荒城の夜半に龍が啼く

即位式

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 黒の城の敷地内にある儀式棟は、教会を模した巨大な建物である。建物の外装は灰色を基調とした石造りで、所々に黒の石が織り交ぜられている。建物の入り口には大きな3つのアーチがあり、真ん中のアーチをくぐると強固な鉄製の扉が佇んでいる。この鉄製の扉はおよそ1200年の間まともに開かれた事はない。ブルタス前国王時代は儀式棟において頻繁に催しがなされ、煌びやかな衣服を纏った賓客がこの鉄製の扉を悠々とくぐっていたものである。しかしブルタス前国王の崩御の後、儀式棟の扉は固く閉ざされていた。出入りをする者と言えば、数年に一度建物内の様子を見に訪れる官吏だけとなっていたのだ。
 新王の即位式が執り行われる今日、この強固な鉄の扉は左右に開かれ、1200年の時を動かすように煌びやかな人波を飲み込んでいた。

「レイバック殿、お噂は兼ねてよりお聞きしております。ドラゴンの王に相見える日を待ち望んでおりました」
「こちらこそ。失礼だが貴方の名前を伺っても宜しいか?」
「これは失礼いたしました。私ワラクと申しまして、小さな鬼族の集落を治めております。国境付近に位置する集落ですので、ドラキス王国からの移住者が集落内に何名かおります」
「ああ、そうなのか」
「ええ、ええ。彼らに貴方様の話を聞き、一度お会いしたいと切望していたのです。神獣の力を受け継ぐ王などまさに神に等しき存在、神々しさに目が眩む思いです。宜しければ握手をしていただいても?」
「…構わんが」

 儀式棟内部にある大聖堂の一角で、ゼータとレイバックは次から次へと訪れる要人と挨拶を交わす事に大忙しだ。2人の元を訪れる者は、即位式に賓客として招かれたバルトリア王国内各集落の首長。小国地帯の国王らの名前こそ、事前学習として頭に詰め込んできゼータとレイバックであるが、小さな集落の首長の名前など知りうるはずもない。無難な相槌を打つことで会話を乗り切るしかないのだ。

 やがて来客の波が途絶えたときを狙って、2人は逃げるようにして大聖堂の隅へと身を寄せた。その場所には、紅色のドレスをまとった美しい女性が立っている。褐色の肌と、刈り上げるほどに短い黒茶色の髪。獣人国家オズトの王妃兼国王代理のラガーニャだ。武人のいで立ちが板についたラガーニャは、紅のドレスもよく似合う。

「ああ、レイバック殿、ゼータ殿。お疲れのようだな」
「ラガーニャ殿、教えてくれ。何故客人が皆、俺のことを知っているんだ。バルトリア王国を訪れたのは初めての経験なのに」

 レイバックは愛想笑いで強張った頬の筋肉をほぐしながら、そう尋ねる。両頬を揉みしだき奇怪な面容となったレイバックに、ラガーニャはからからと朗らかな笑いを返す。

「大方黒の城からの招待状の中で、貴殿の参列が知らされていたんだろうよ。紅に近い髪の者はいても、燃えるような緋色の髪というのは珍しい。事前に身体的特徴を知っていれば、人混みの中で貴殿を探し出すのは容易な事だ」
「…式典の広告宣伝費として黒の城にいくらか請求せねば割に合わんな」

 その後しばらくはラガーニャとの会話で時間を繋いだ。ラガーニャと話しているうちは、他人に話しかけられる心配はない。安心して会話を楽しんでいたレイバックとゼータであるが、ラガーニャが別国の国王に声を掛けられた事により、和やかな会話は終わりを迎える。レイバックの会話相手が不在となるや否や、まるで狙いすましていたかのように老齢の男性が声を掛けてきたのだ。その男性は、バルトリア王国西部にある小さな集落の首長だという。レイバックへの賛辞を繰り返し述べる男性を前に、ゼータは顔面に愛想笑いを張り付けるのだ。

 それから十数分後、儀式棟内部は徐々に静寂となりつつあった。鉄製の扉からは武装した兵士が幾人も入城し、重たい扉が音を立てて閉じられる。兵士は大聖堂の最奥部に置かれた、大理石の演台を守るような形で配置につく。

「…厳重警戒ですね」
「サキュバスは戦闘に優れた種族ではないだろう。悪意のある者が紛れ込んでいる可能性もあるのだから、当然の警備じゃないか」
「ふらふら単身で街を出歩くうちの王様とは大違いですね」
「そうだな」

 レイバックは小さく声を立てて笑う。

 間もなくして大聖堂内は一瞬にして薄暗闇となった。何事かと皆が目線を上げれば、壁の高い位置に取り付けられた燭台の灯りが全てかき消されている。天井付近に設けられた小窓から、僅かばかりの陽光が差し込み、壁に施された優美な装飾をうっすらと照らす。

 薄暗闇の中で光を放つ物があった。大聖堂の床には、入り口から最奥部の演台に向かって一直線に絨毯が敷かれていた。その絨毯が、まるで金の粒子を散りばめたように光り輝いているのだ。まるで夜空を横断する天の川のように。幻想的な光景に歓喜の悲鳴を上げた者は、件の魔法好きの王妃だけではない。人々の口からは感嘆の声が漏れ、光り輝く天の川を一目見ようと精いっぱい背伸びをしている。
 感嘆の声が治まらぬ間に、鉄製の扉がまた音を立てて開いた。陽光を背に立つ者は、藍色のドレスを纏う妖艶な女性―フィビアスだ。フィビアスが大聖堂内に1歩足を踏み入れると、鉄製の扉は鈍い音を立てて閉まる。陽光が途絶え再び薄暗闇となった大聖堂の中で、星空を思わせる絨毯だけが採光を放つ。

 輝く絨毯の上を、フィビアスはゆっくりと歩みだした。その瞬間に、世にも奇妙なことが起こる。絨毯上に煌めく金の粒が、フィビアスの歩みに合わせて藍色のドレスへと移ってゆくのだ。一歩、また一歩と進むたびに、ドレスは輝きを増す。まるで星空を切り取って作られたような幻想的なドレスだ。フィビアスはゆっくりと歩みを進め、やがて大聖堂の最奥部へと辿り着く。大理石の演台に上り、優雅な一礼。その瞬間大聖堂の内部には一瞬にして灯りがともり、星空を思わせるドレスの輝きもまた掻き消えた。

 劇的な主役の登場から始まった即位式。しかしその後の進行には、これといって珍しい様子はなかった。老齢の官吏が恭しい口上を述べ、フィビアスの頭部に金色の冠を載せる。幾多の玉飾りを付け重たそうな王冠を頭に載せたフィビアスは、大聖堂内に集まった賓客に向けて参列の謝辞と治世の抱負を述べる。長々とした抱負の最後はこう締めくくられる。

「私の統治の元では、全ての民に等しい恩恵を与えましょう。種族や生まれた土地、稼業、自らの力では如何ともしがたい境遇で差別に晒される事はもうないのです。どうぞ国家の未来を私に委ねてくださいませ。長い道のとなる事でしょうが、必ずやこの混沌の地を、見る者が羨む理想郷へと変貌させることをお約束致します」

 結局独裁的ともいえる治世の在り方には触れることなく、フィビアスは即位の挨拶を終えた。大聖堂内部は再び静寂に包まれ、先ほどフィビアスの頭部に王冠をのせた老齢の官吏が恭しく口を開く。

「新王即位にあたり国賓をお招きしております。遠路はるばるお越し頂いた隣国の国王方より、新女王への祝辞を頂戴致します。初めに竜族国家リンロンのミーシャ国王殿、お願いいたします」

 ゼータの斜め後ろに立っていた橙色のドレスの女性が、フィビアスの前に立った。サロンで何度も顔を合わせ、すっかり見慣れた竜族国家リンロンの女王ミーシャ。すらりと細身の体躯には、マーメイドラインのドレスがよく似合う。
 大理石の演台の上で、2人の女性が向かい合う。

「フィビアス女王殿、貴女の即位を心よりお祝い申し上げます。竜族国家リンロンは小国ではありますが、武力には優れた土地。貴女が国土を平穏に導くに当たり、お力添えをできる事は多々ありましょう。必要な支援はどうぞ気兼ねなく仰ってくださいませ。私は可能な限り貴女の希望にお応え致しましょう。そしてバルトリア王国と、竜族国家リンロンの友好が未来永劫続きますことを」

 言葉を終えたミーシャはフィビアスの足元に跪き、差し出された手の甲に口づけた。大聖堂内からは小さなどよめきが起こる。サキュバスという種族は狡猾的であると評され、バルトリア王国内での信用度は低い。そのサキュバスの女王に向けて、一国の王が膝を折ったのだ。すなわち竜族国家リンロンの女王は、サキュバスの女王をバルトリア王国の主として認めたという事だ。
 続いて演台の上に立ったラガーニャも、ミーシャと同様フィビアスの治世に協力する旨の祝辞を述べた。祝辞の後にはフィビアスの足元に跪き、白く滑らかな手の甲に口付ける。次の王も、その次の王もそうした。大聖堂内には次第にひそひそとした話し声が響くようになる。

―いかにして隣国の援助を取り付けたのだ。まともな交易などなかったというのに
―サキュバスの女王など胡散臭いと思ったが、まさか本当に王の器なのか

 耳元に届く囁き声に、ゼータは唇を噛む。フィビアスにかしずく国王らは、決して彼女の統治の全てを認めたわけではない。国庫を圧迫するバルトリア王国からの難民問題を解決するために、国壁の建設に一時的な協力を申し出ているだけだ。しかし次々と祝辞を述べる国王らは、フィビアスの独裁的政治について触れることはない。当たり前だ。国土を壁で覆い民の移動を制限しようなどと、まともに発言すれば、フィビアスの即位が首長らに認められるはずもない。

「続きまして、神国ジュリのアメシス国王殿」

 老齢の官吏に名を呼ばれ、ゼータの横に立つ紫紺の髪の男が動いた。濃紺の燕尾服をまとったアメシスは、靴音を響かせながら演台に上り、微笑みを浮かべるフィビアスの真正面に立つ。

「即位の儀礼に参列できました事を誠に嬉しく存じます。貴女の創る国が、民にとっての理想郷となることを願っております」

 一息で言葉を終えたアメシスは、差し出されたフィビアスの手を取ることはなく、その場で深く一礼をした。行き場を失った右手を身体の横に下ろしながらも、フィビアスは笑みを崩さない。アメシスも無表情を崩さぬままフィビアスを一瞥し、演台を下り自らの定位置へと戻った。

「ドラキス王国のレイバック国王殿」

 大聖堂内に響くしわがれた声に、囁きを零していた人々はしんと静まり返る。アメシス同様顔面に無表情を張り付けたレイバックは、演台の上でフィビアスと向かい合う。

「王とて所詮ただの人、王座が民の指示の上にある事をお忘れなきよう」

 毅然と向けられた言葉に、藍色の目を細めたフィビアスは、レイバックに向けて手の甲を差し出す事はしなかった。レイバックも初めからフィビアスの手を取るつもりはなかったようで、晴れ晴れとした表情で自身の立ち位置へと戻るのであった。

***

「レイ、良かったんですか。あの挨拶で」
「何だ。不満だったか?」

 即位式を終え客室へと戻ったレイバックとゼータは、正装のままベッドの端に腰かけていた。

「不満というわけじゃないですけど、完全に場の雰囲気を壊しましたよね。司会役の官吏の表情が凍り付いていましたよ」

 ゼータの憂慮は、レイバックの祝辞が祝辞にあらず、フィビアスの治世への忠告であったことに起因する。ミーシャとラガーニャを含む7人の国王らの祝辞と口付けで、フィビアスを女王と認めつつあった大聖堂内の空気は、アメシスの祝辞で疑惑の色を帯びた。そして辛辣な忠告に加え、フィビアスに満足な礼すらしなかったレイバック。会場内は再びどよめきに満ちたのである。ドラゴンの王は、フィビアスをバルトリア王国の王として認めていないと。

「俺はドラキス王国の民の代弁者だ。場の空気を読んだ発言をする必要はない」
「でもフィビアス女王がレイの後ろ盾を必要としているなら、表立って批判するのはまずいですよ。ドラゴンの力欲しさに、服従の魔法を掛けようとする可能性は高くなります。アメシス殿のように無難にやり過ごすこともできたのに」
「明日に対談が控えていないのであればそうしたがな。公の場で下手に友好関係を匂わせれば、それを盾に無茶な要求を突き付けられかねない」
「それは、そうですけど…」
「それに俺の態度は、フィビアス女王にとって予想の範疇だろうよ。反抗的な態度を取られるとわかっていたから、俺の祝辞を最後に回したんだ」
「…そうなんですか?」

 ベッドにころりと横になったレイバックは、無機質な天井を仰ぎながらつらつらと語る。
 大勢の賓客を招く場であれば、通常は目上の者から挨拶をするのが普通だ。今回の場合で言えば国家の規模からレイバックの祝辞が真っ先で、その後に神国ジュリのアメシスが祝辞を述べるのが正当である。しかし2人の祝辞はなぜか後に回された。それは昨日の9か国対談で、レイバックとアメシスがフィビアス女王の治世に対して批判的であったからだ。表立って批判的な意見を述べたわけではないが、対談中に沈黙を貫いていたのである。
 発言の影響力が強いレイバックとアメシスの祝辞は、他国の国王らの思考に多大な影響を及ぼす。特に神獣と称えられるレイバックが、フィビアスに対して批判的であるというのは宜しくない。下手をすれば、昨日の対談で取り付けた国壁建設に係る援助を、全て破棄されかねない事態だ。だからフィビアスは正当な順番を無視して、レイバックとアメシスの祝辞を他の国王らの後に回したのである。

「俺の祝辞は明日の対談にさしたる影響は与えない。険悪で始まるか、途中で険悪になるかだ。可能な限りの警戒網を敷いて、身を守らねばならぬ事にも変わりはない」
「…険悪になるんですか」
「なるだろうな。俺はフィビアスの治世に一切の協力するつもりはない。しかし対談時間を設けている以上、彼女が俺に何かしらの協力を依頼したい事は確かだ」
「レイは昨日、フィビアス女王の政策が、千年後の未来に理想郷を作り出す可能性もあると言っていましたよね。態度を硬化した理由は私の言葉がきっかけですか?」

 レイバックは昨日の対談後、フィビアスの治世に批判的というわけではなかった。「バルトリア王国の民は囚人のような生活を強いられる事になる」と嘆くゼータを、「未来の事はわからない」と諭したのは他でもないレイバックである。しかし今日のレイバックは、フィビアスに対し敵対的とも言うべき態度で応じている。もしや自身の無遠慮な発言が、2国の友好関係に悪影響を与えてしまったのではないかと、ゼータは不安に肩を竦めるのであった。情けない表情となったゼータを眺め、レイバックはベッドに寝ころんだまま笑う。

「別に、ゼータの言葉を受けて態度を変えたわけではない。ただ昨日寝る前に想像したんだ。フィビアスの統治が如何様であるかと。俺は彼女を国家の主として認められるかと」
「想像したら、どうだったんですか」

 問わずとも、ゼータにはその答えは想像がついた。レイバックは即位式でフィビアスに満足な礼すらしなかった。その事が彼の思いを物語っている。

「フィビアスの統治は治世にあらず、支配欲を満たすためだけのままごと遊びだ。俺は彼女を王とは認めない」
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