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荒城の夜半に龍が啼く
同行者
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その日、ゼータは一日魔法管理部の公務手伝いに明け暮れていた。公務手伝いと言っても、正式な官吏ではないゼータにできる作業はたかだか知れている。部屋の隅に一纏めになったゴミ袋をゴミ捨て場へと運び、書棚のファイルを作成年月日順に並べ直し、カミラ手作りの雑巾で部屋中の窓を拭く。10時になれば皆の分の茶を淹れ、昼休みには仲の良い官吏と昼食を共にし、そしてまた細々とした雑務に明け暮れる。ゼータにとっては有り触れた日常だ。
「ゼータさん、十二種族長回覧をお願いしても良いですか」
一人の女性官吏が、そう言ってゼータの前に決裁板を差し出したのは、時計の針が16時を回った頃のことであった。ゼータは手を伸ばし、差し出された書類を受け取る。決裁板に挟み込まれるは3枚の書類、書類の見出しは「国内要人情報変更通知書」王宮の3階端に位置するここ魔法管理部では、ドラキス王国内各所に住まう要人の個人情報管理を行っている。要人、即ち稀有な魔法の使い手を指す。例えば高度な治癒魔法を使う魔族は国内に数名しかおらず、そうした貴重な人材の住まいや後継者の有無情報を管理することが、魔法管理部の主要業務の一つであるのだ。
「回覧ということは、判子を貰ってくれば良いんですよね。丁度手が空いたところだから良いですよ」
ゼータがそう告げると、女性官吏はにこりと微笑んだ。金に近い茶の髪を持つ、整った顔立ちの女性である。
「よろしくお願いします。お手数お掛けしてすみません。書類の精査に時間が掛かって、本日分の決裁箱に入れられなかったんです」
「いえいえ構いませんよ。ファイルの見出し付けも一段落しましたし、少し歩きたいと思っていたところです。今日中に回覧を終えた方が良いですか?」
「執務室におられる種族長の方には、今日中に目通しいただけると助かります。王宮と付き合いのある方で、この度お亡くなりになられた方がいらっしゃるんです。ザト様やツキノワ様は個人的な付き合いもおありのはずですから、早めにお知らせした方が良いかと思って」
「そういう事情ですか。わかりました、すぐに行ってきます」
総勢10名の官吏に見送られ、ゼータは魔法管理部の執務室を出た。けやきの扉を後ろ手で閉め、人通りの少ない廊下を歩く。王宮の北端に位置する魔法管理部の執務室から、王宮中央部の階段室まではかなりの距離がある。しかし決裁板を抱えたゼータの足取りは軽い。その理由の一つは手の中の書類が「回覧用」であるからだ。
王宮内部で作成される書類は大きく二つに分けられる。一つは十二種族長及び王の審査が必要な決裁書類、もう一つは単なる回覧目的である回覧書類だ。決裁書類の中には例えば法律改正案に係る物、種族祭開催案に係る物等が含まれ、各種族長の権限により不承認が可能である。条文番号や誤字脱字の精査も厳しく、書類の内容によっては承認までに数か月の時を要する場合もある。官吏としての文章作成力、説明力が試される仕事だ。これに対し比較的容易な仕事とされているのが回覧書類の作成だ。回覧書類の中には人事異動通知書、会議議事録等が含まれ、大半の書類が単なるお知らせ目的である。十二種族長の判断で不承認となる類の書類ではないから、誤字脱字があっても口頭注意で済まされる場合が多い。新人の官吏や部署異動後間もない官吏は、まずはこの回覧書類の作成から覚えることが常である。
そして今ゼータが小脇に抱えるは後者の回覧書類。基本的にはただ十二種族長の執務室を訪れ、回覧済みを示す判子を貰えば良いだけなのだから、仕事を頼まれた身としても気楽だ。いつぞやの人間族長任命伺いのように、十二種族長の一人にねちねちと小言を言われる心配もない。ゼータは軽快と、午後の日射しが差し込む階段を上る。
おい、と不遜の声が耳に届いたのは、ゼータが人間族長の執務室前に立ったときのことであった。触れかけた扉の取っ手から手を放し、振り向けば少し離れた場所には見知った顔が佇んでいる。ゼータよりも遥かに長身、身震いするほどに男前の顔立ち、漆黒の羽織。吸血族長メリオンの灰色の瞳が、じっとゼータを見据えている。
「来い。話がある」
そう吐き捨てると、メリオンはさっさとゼータに背を向けた。向かう場所は、人間族長の執務室から少し離れた場所にある吸血族長の執務室。ゼータは手の中の回覧書類を気に掛けながらも、黙ってメリオンの背に続く。
無言で歩くメリオンの背に続き、立ち入った場所は白黒で統一された執務室だ。高級感溢れる黒革のソファ、黒木の執務机、酒瓶で埋め尽くされた飾り棚。塵一つなく磨き上げられた白い壁も天井も、ゼータの記憶に相違ない。その執務室の中央に仁王立ちし、メリオンは唐突に語り出す。
「本日の正午頃、バルトリア王国黒の城より文が届いた。文の内容は、我が国にとって快いものとは言い難い」
「…どんな内容ですか?」
ゼータは首を傾げる。白黒の真ん中に佇むメリオンは無表情に語る。フィビアス女王から2か国対談の開催を望む旨の文が届いたこと、突然の提案の裏には悪意が潜む可能性が高いこと、フィビアス女王はサキュバスであること、サキュバスは惑わしの術と呼ばれる魔法を使い多種族を使役すること、ともすれば対談を餌にレイバックを使役せんと目論んでいること。
メリオンが全ての説明を終えた時、執務室の内部には陰鬱な雰囲気が立ち込めていた。ゼータはしばらくの間無言で立ち尽くしていたが、次第に激しく狼狽える。脇に挟み込んでいた決裁板が、ばさりと音を立てて床に落ちる。
「ちょ、ちょっと待ってください。メリオンの話を要約すると、陰謀渦巻く敵の本拠地に乗り込まねばならないということですか?私とレイの2人で?」
「その通りだ」
「嫌ですよ、そんなの。自殺行為じゃないですか。遠征は即刻中止です。フィビアス女王には、即位祝いの記念品を贈って済ませることにしましょう」
「理解が早くて結構。しかし即位式参列は決定事項だ。2か国対談の開催もな。王が辞退を望んでおられない」
「なぜ?今後の友好関係を鑑みての決断ですか?」
「違う。王は憤慨していらっしゃるのだ。サキュバスは狡猾的で卑俗、民に討たれて然るべき存在との侮蔑的な発言が余程気に障ったらしい。俺の言葉が偏見であると、2か国対談の開催を以て証明されるつもりなのであろう」
そんな、とゼータは呟く。レイバックが妃であるゼータに対し多少過保護であることは、王宮内に在籍する皆の知るところだ。ゼータが魔法管理部の執務手伝いをしているときは、何だかんだと理由をつけて様子を見に来るし、魔法研究所への来訪予定も事細かに記録している。ドラキス王国の国王殿は妃を大層大切にしていらっしゃると、皆が暖かな眼差しで見守る事案である。しかしそうであるのだとしても、この度の事件は少し毛色が違う。ここまでの話を聞く限り、メリオンは決してゼータ個人を貶める発言をしたわけではないのだ。サキュバスの王が立ったことの異常性を伝えるために、あえて侮蔑的な言葉を使用しただけ。そこにメリオン個人の偏見は含まれていない。
まごまごと狼狽えるゼータを前に、メリオンは深い溜息を零す。
「以前の王であれば在り得ない判断だ。御身をわざわざ危険に晒すなど。サキュバスが狡猾的というのはバルトリア王国における常識で、俺個人の認識ではないと事前に申し上げたのだ。しかし王は眉を吊り上げ、俺の言葉になどまるで耳をお貸しにならん。これも全てサキュバスの王妃を迎えたゆえの弊害か。愛だの恋だの面倒な情を国政の場に持ち込みおって、この責任はどう取るつもりだ貴様」
「責任転嫁は止めてくださいよ…。でも確かにレイは、妙なところで頑ななんですよね。王様なのに子供っぽい一面があるんです。一度拗ねたら、機嫌が直るまでには数日掛かりますよ。私が切々と黒の城訪問の危険性を訴えたところで、果たして耳を貸してもらえるかどうか」
メリオンがゼータを呼び出した理由は、レイバックの説得に当たり協力を求めるためである。当然のようにそう判断したゼータであるが、対するメリオンは不愉快と表情を歪める。
「勘違いをするな。俺がお前を呼び出した理由は、黒の城訪問に係る心構えを伝授するためだ。決して王の説得に際し助力を乞うためではない」
「そうなんですか。黒の城訪問係る心構えとは?」
「今やお前は王妃ではなく、王の御身をお守りするただ一人の護衛である。王の剣に守られて然るべきなどという甘えは捨て、いざ有事の際には命を賭して王をお守りするのだ」
ただ一人の護衛、いざ有事の際。不穏な単語が鼓膜を通り、頭蓋の内側に反響する。ゼータはこくりと生唾を飲み込む。
「…命を賭して」
「無論。王無くして国は立ち行かぬ。片やお前はろくな公務も請け負わぬ肩書きだけの王妃。どちらの命が宝であるかは語るまでもない」
あまりにも冷淡な物言いだ。ゼータは反論の言葉を返すべく唇を開くが、しかし結局何も言えずに口を噤む。メリオンの言葉は一字一句正しい。名ばかりの王妃であるゼータが死したところで、国政運営に何ら支障は来さない。王宮関係者が数日悲しみに暮れ、それで終わりだ。しかし一方でレイバックがフィビアスの下僕となれば、ドラキス王国は混沌と化す。守り神を失った民の心が不安に陰ることは言うまでもなく、千年の統治者が不在となればまともな国政運営は不可能だ。幾百万の民を守るレイバックと、本職研究員のゼータ。どちらの命が大切かなどと、百人に聞けば百人同じ答えを返すであろう質問だ。ゼータがメリオンに返す言葉も、肯定以外にない。
「仰るとおりです…」
「だがしかし、あちら方とて積極的な交戦は避けたいはずだ。神獣であるドラゴンを相手どれば、如何なる猛者であってもただでは済まぬ。刃を交えての交戦を覚悟するよりは、裏方での画策を心配すべきだ。一度惑わしの術の術に掛けられてしまえば、王の力を以てしても解除は困難である。以上を踏まえ、黒の城滞在中にお前が注意すべきことは三つ。まず一つ、黒の城内部で王を単身にせぬこと。2か国対談の最中は言うまでもなく、客室にいるときや即位式の最中にも気を抜くな。便所の中にまで張り付けとは言わんが、風呂や寝所は共にせよ。敵方に魔法行使の隙を与えるな」
「待ってください。フィビアス女王はレイと2人きりでの対談を望んでいるんですよね?私が同席しても問題はないでしょうか」
「対談の最中に王をどうこうしようと目論んでいるのなら、一筋縄では受け入れられまい。王自身がお前の同席を拒む可能性もある。しかしそこで説得を諦めては敵方の思う壺だ。良いか、いざとなれば恥を捨てて王の傍に張り付け。愛しい番が他の女性と2人きりになるのは嫌々と、涙を流して訴えるんだ。サキュバスの誹謗に憤慨される愛情深い王のこと。愛する妃の涙を見ては、簡単に否とは言えまいよ」
「涙を流して…というのはちょっと難易度が高い…」
涙を流してレイバックの足元に縋りつく己の姿を想像し、ゼータは口端を引き攣らせた。常日頃厚い紳士の皮で本性を隠すメリオンとは対照的に、ゼータは偽りごとの類が得意ではない。「ねぇねぇちょっと内緒の話なんだけどね…」と雑談交じりに囁かれた秘密話でさえ、うっかり人に漏らしてしまうほどである。偽りの涙を流し甘えん坊の妃を演じるなど、無理難題に等しい。
ゼータの訴えを睥睨で一蹴、メリオンは言葉を続ける。
「二つ目。個人向けに出された食事に矢鱈と手を付けぬこと。大皿に盛られた料理ならばさほど気を遣う必要はないが、予め取り分けられた飲食物には注意しろ。例えば食後のコーヒーに睡眠薬を混ぜ込まれては、王の御身をお守りするどころの話ではない。念のため滞在日数分の携帯食を持っていけ。食事の形態によっては、黒の城滞在中まともな飲食は叶わんぞ。王宮軍の備蓄担当には俺の方から話を通しておいてやる。三つ目。王とフィビアス女王の肉体的接触を最低限に抑えること。初対面時の握手程度は致し方なし。しかし親愛の抱擁や口付けには応じるべきではない。というのも、惑わしの術の発動条件が不明であるからだ」
「そうなんですか。普通の魔法とは勝手が違うんでしょうか?」
「対象者を使役させるという技の特異性を鑑みるに、かなり複雑な手順を踏む必要があるはずだ。しかしこればかりは書物を捲っても目ぼしい情報には行き当たらん。サキュバスは、惑わしの術の発動条件を多種族には語らない」
「へぇ…」
ふと、メリオンの視線がゼータの顔面へと落ちた。
「念のために聞くが、惑わしの術の発動条件に心当たりはあるか?」
「ないです。術の存在すら知りませんでした」
「…ほとほと使えん野郎だ」
僅かな期待を孕んだ声音は、一瞬で落胆の色に染まる。これ見よがしに肩を落とされてしまえば、ゼータは「すみませんねぇ」と謝る他にない。
「そういう事情だ。フィビアス女王との肉体敵接触は控えるよう、隙を見て王に伝えておけ。最も注意すべきは即位式後のダンスパーティーだ。会場に長居すれば王とフィビアス女王のダンスは避けられまい。最低限の顔みせが済んだら、適当に理由をつけて会場から退散するんだ。大勢の視線がある中とはいえ、サキュバスと手を取り合ってのダンスは危険すぎる」
そこで言葉を切ると、メリオンは徐にゼータの元へと歩み寄った。ゼータの目の前で歩みを止めると、腰を屈め床に向かって手を伸ばす。その場所にはゼータの手から滑り落ちたままの決裁板がある。優雅な動作で決裁板を拾い上げたメリオンは、慣れた動作で書類を捲る。「ああ、要人情報の変更か」薄い唇が呟く。
回覧書類に視線を走らせたメリオンは、ゼータに背を向け部屋の奥へと進み入った。よく使いこまれた執務机の引き出しを開けて、小さな判子の朱肉を取り出す。どうやら他の種族長らに先立ち、さっさと書類に判子を押してしまうつもりらしい。王宮内の書類の決裁及び回覧には暗黙の了解がある。それは在任歴の短い種族長から順に書類を回すというものだ。つまり本来であればゼータが訪れるべき最初の場所は、人間族長であるクリスの執務室。その後に小人族長ウェールの執務室を訪れ、その次が吸血族長メリオンの執務室であるはずだったのだ。3番目の決裁者であるメリオンが真っ先に判子を押すというのは、王宮内暗黙の決裁ルールに反する行いだ。しかし幸いなことにも、この度ゼータが持ち込んだのは回覧書類。内容の是非が問われる決裁書類ほど、決裁順を気に掛ける必要はないのだ。
メリオンが慣れた動作で書類に判子を押す様を、ゼータは口を引き結び眺めていた。3つの助言を頭の中で反芻する。レイバックを一人にしないこと、食事への薬の混入を疑うこと、フィビアス女王との肉体的接触を控えること。言葉にすればたったそれだけのこと。しかし3つの助言を守り切ることは果たして可能だろうか。訪れる場所は敵の城、そこにいるどれだけの者がフィビアスの僕であるかもわからない。ゼータは言いようのない不安に襲われる。
「…メリオン。やっぱり即位式参列から考え直しませんか?一緒にレイを説得しに行きましょうよ。どう考えても危険が多すぎます。私一人の力では、到底レイを守り切れませんよ」
弱々しくそう伝えれば、部屋の奥からは即座に声が返ってくる。回覧書類への押印を終えたメリオンは、今判子と朱肉を引き出しへと閉まっているところである。
「不参列に勝る安全策はない。しかし現実には難しいであろうな。ドラキス王国は人間と魔族が共存する世界で唯一の理想郷。頂に立つ王は稀代の博愛主義者であると知れている。そのレイバック王が、明確な理由なく即位式を欠席してみよ。博愛主義者と名高い王は、サキュバスを軽んじているとの噂が立つことは避けられず、理想郷の名は返上だ。今後の外交にも不利益が及ぶ。この度の即位式に多数の国王方が参列することを考慮すれば、不参列の選択は利口とは言えぬ」
「そ、そんな…私が頑張る以外に手立てはないということですか?」
逃げ道を無くし呆然とするゼータに、メリオンが歩み寄る。無感情と差し出されるは、押印を終えた回覧書類。
「話は以上。出発日まで残り2日、助言を参考に脳内訓練に励むが良い」
決裁板を受け取り、ゼータは力なく歩み始めた。先刻までの足取りの軽さはどこへやら、重たい両足を持ち上げ部屋の扉を目指す。扉を開け廊下へと一歩歩み出たとき、待て、と背中に声が当たる。
「最後に一つ。七指と呼ばれる者達には注意しろ」
「ななし?」
「七本の指と書き、七指。ブルタス前国王に仕えた7人の実力者、ドラキス王国で言えば我々十二種族長に等しい立場の者達である。旧時代の遺物など女王即位に際し討たれたと推していたが、恐らく奴らは生きている。惑わしの術により、サキュバスの僕と成り果てたのだ。城の実力者7人を味方に囲えば、フィビアス女王としても不足はあるまい。剛腕のシーズイ、鱗人のカデュラ、白髪のユダ。俺が知っている名はそれだけだ。この名をゆめゆめ忘れるな」
扉が閉まる。歩み出た廊下に人影はなく、等間隔に並んだ天井灯りが紅色の絨毯を照らすのみ。ずしりと重たくなった決裁板を両腕に抱え、ゼータは一人溜息を零す。
陰鬱の旅路は3日後に迫る。
「ゼータさん、十二種族長回覧をお願いしても良いですか」
一人の女性官吏が、そう言ってゼータの前に決裁板を差し出したのは、時計の針が16時を回った頃のことであった。ゼータは手を伸ばし、差し出された書類を受け取る。決裁板に挟み込まれるは3枚の書類、書類の見出しは「国内要人情報変更通知書」王宮の3階端に位置するここ魔法管理部では、ドラキス王国内各所に住まう要人の個人情報管理を行っている。要人、即ち稀有な魔法の使い手を指す。例えば高度な治癒魔法を使う魔族は国内に数名しかおらず、そうした貴重な人材の住まいや後継者の有無情報を管理することが、魔法管理部の主要業務の一つであるのだ。
「回覧ということは、判子を貰ってくれば良いんですよね。丁度手が空いたところだから良いですよ」
ゼータがそう告げると、女性官吏はにこりと微笑んだ。金に近い茶の髪を持つ、整った顔立ちの女性である。
「よろしくお願いします。お手数お掛けしてすみません。書類の精査に時間が掛かって、本日分の決裁箱に入れられなかったんです」
「いえいえ構いませんよ。ファイルの見出し付けも一段落しましたし、少し歩きたいと思っていたところです。今日中に回覧を終えた方が良いですか?」
「執務室におられる種族長の方には、今日中に目通しいただけると助かります。王宮と付き合いのある方で、この度お亡くなりになられた方がいらっしゃるんです。ザト様やツキノワ様は個人的な付き合いもおありのはずですから、早めにお知らせした方が良いかと思って」
「そういう事情ですか。わかりました、すぐに行ってきます」
総勢10名の官吏に見送られ、ゼータは魔法管理部の執務室を出た。けやきの扉を後ろ手で閉め、人通りの少ない廊下を歩く。王宮の北端に位置する魔法管理部の執務室から、王宮中央部の階段室まではかなりの距離がある。しかし決裁板を抱えたゼータの足取りは軽い。その理由の一つは手の中の書類が「回覧用」であるからだ。
王宮内部で作成される書類は大きく二つに分けられる。一つは十二種族長及び王の審査が必要な決裁書類、もう一つは単なる回覧目的である回覧書類だ。決裁書類の中には例えば法律改正案に係る物、種族祭開催案に係る物等が含まれ、各種族長の権限により不承認が可能である。条文番号や誤字脱字の精査も厳しく、書類の内容によっては承認までに数か月の時を要する場合もある。官吏としての文章作成力、説明力が試される仕事だ。これに対し比較的容易な仕事とされているのが回覧書類の作成だ。回覧書類の中には人事異動通知書、会議議事録等が含まれ、大半の書類が単なるお知らせ目的である。十二種族長の判断で不承認となる類の書類ではないから、誤字脱字があっても口頭注意で済まされる場合が多い。新人の官吏や部署異動後間もない官吏は、まずはこの回覧書類の作成から覚えることが常である。
そして今ゼータが小脇に抱えるは後者の回覧書類。基本的にはただ十二種族長の執務室を訪れ、回覧済みを示す判子を貰えば良いだけなのだから、仕事を頼まれた身としても気楽だ。いつぞやの人間族長任命伺いのように、十二種族長の一人にねちねちと小言を言われる心配もない。ゼータは軽快と、午後の日射しが差し込む階段を上る。
おい、と不遜の声が耳に届いたのは、ゼータが人間族長の執務室前に立ったときのことであった。触れかけた扉の取っ手から手を放し、振り向けば少し離れた場所には見知った顔が佇んでいる。ゼータよりも遥かに長身、身震いするほどに男前の顔立ち、漆黒の羽織。吸血族長メリオンの灰色の瞳が、じっとゼータを見据えている。
「来い。話がある」
そう吐き捨てると、メリオンはさっさとゼータに背を向けた。向かう場所は、人間族長の執務室から少し離れた場所にある吸血族長の執務室。ゼータは手の中の回覧書類を気に掛けながらも、黙ってメリオンの背に続く。
無言で歩くメリオンの背に続き、立ち入った場所は白黒で統一された執務室だ。高級感溢れる黒革のソファ、黒木の執務机、酒瓶で埋め尽くされた飾り棚。塵一つなく磨き上げられた白い壁も天井も、ゼータの記憶に相違ない。その執務室の中央に仁王立ちし、メリオンは唐突に語り出す。
「本日の正午頃、バルトリア王国黒の城より文が届いた。文の内容は、我が国にとって快いものとは言い難い」
「…どんな内容ですか?」
ゼータは首を傾げる。白黒の真ん中に佇むメリオンは無表情に語る。フィビアス女王から2か国対談の開催を望む旨の文が届いたこと、突然の提案の裏には悪意が潜む可能性が高いこと、フィビアス女王はサキュバスであること、サキュバスは惑わしの術と呼ばれる魔法を使い多種族を使役すること、ともすれば対談を餌にレイバックを使役せんと目論んでいること。
メリオンが全ての説明を終えた時、執務室の内部には陰鬱な雰囲気が立ち込めていた。ゼータはしばらくの間無言で立ち尽くしていたが、次第に激しく狼狽える。脇に挟み込んでいた決裁板が、ばさりと音を立てて床に落ちる。
「ちょ、ちょっと待ってください。メリオンの話を要約すると、陰謀渦巻く敵の本拠地に乗り込まねばならないということですか?私とレイの2人で?」
「その通りだ」
「嫌ですよ、そんなの。自殺行為じゃないですか。遠征は即刻中止です。フィビアス女王には、即位祝いの記念品を贈って済ませることにしましょう」
「理解が早くて結構。しかし即位式参列は決定事項だ。2か国対談の開催もな。王が辞退を望んでおられない」
「なぜ?今後の友好関係を鑑みての決断ですか?」
「違う。王は憤慨していらっしゃるのだ。サキュバスは狡猾的で卑俗、民に討たれて然るべき存在との侮蔑的な発言が余程気に障ったらしい。俺の言葉が偏見であると、2か国対談の開催を以て証明されるつもりなのであろう」
そんな、とゼータは呟く。レイバックが妃であるゼータに対し多少過保護であることは、王宮内に在籍する皆の知るところだ。ゼータが魔法管理部の執務手伝いをしているときは、何だかんだと理由をつけて様子を見に来るし、魔法研究所への来訪予定も事細かに記録している。ドラキス王国の国王殿は妃を大層大切にしていらっしゃると、皆が暖かな眼差しで見守る事案である。しかしそうであるのだとしても、この度の事件は少し毛色が違う。ここまでの話を聞く限り、メリオンは決してゼータ個人を貶める発言をしたわけではないのだ。サキュバスの王が立ったことの異常性を伝えるために、あえて侮蔑的な言葉を使用しただけ。そこにメリオン個人の偏見は含まれていない。
まごまごと狼狽えるゼータを前に、メリオンは深い溜息を零す。
「以前の王であれば在り得ない判断だ。御身をわざわざ危険に晒すなど。サキュバスが狡猾的というのはバルトリア王国における常識で、俺個人の認識ではないと事前に申し上げたのだ。しかし王は眉を吊り上げ、俺の言葉になどまるで耳をお貸しにならん。これも全てサキュバスの王妃を迎えたゆえの弊害か。愛だの恋だの面倒な情を国政の場に持ち込みおって、この責任はどう取るつもりだ貴様」
「責任転嫁は止めてくださいよ…。でも確かにレイは、妙なところで頑ななんですよね。王様なのに子供っぽい一面があるんです。一度拗ねたら、機嫌が直るまでには数日掛かりますよ。私が切々と黒の城訪問の危険性を訴えたところで、果たして耳を貸してもらえるかどうか」
メリオンがゼータを呼び出した理由は、レイバックの説得に当たり協力を求めるためである。当然のようにそう判断したゼータであるが、対するメリオンは不愉快と表情を歪める。
「勘違いをするな。俺がお前を呼び出した理由は、黒の城訪問に係る心構えを伝授するためだ。決して王の説得に際し助力を乞うためではない」
「そうなんですか。黒の城訪問係る心構えとは?」
「今やお前は王妃ではなく、王の御身をお守りするただ一人の護衛である。王の剣に守られて然るべきなどという甘えは捨て、いざ有事の際には命を賭して王をお守りするのだ」
ただ一人の護衛、いざ有事の際。不穏な単語が鼓膜を通り、頭蓋の内側に反響する。ゼータはこくりと生唾を飲み込む。
「…命を賭して」
「無論。王無くして国は立ち行かぬ。片やお前はろくな公務も請け負わぬ肩書きだけの王妃。どちらの命が宝であるかは語るまでもない」
あまりにも冷淡な物言いだ。ゼータは反論の言葉を返すべく唇を開くが、しかし結局何も言えずに口を噤む。メリオンの言葉は一字一句正しい。名ばかりの王妃であるゼータが死したところで、国政運営に何ら支障は来さない。王宮関係者が数日悲しみに暮れ、それで終わりだ。しかし一方でレイバックがフィビアスの下僕となれば、ドラキス王国は混沌と化す。守り神を失った民の心が不安に陰ることは言うまでもなく、千年の統治者が不在となればまともな国政運営は不可能だ。幾百万の民を守るレイバックと、本職研究員のゼータ。どちらの命が大切かなどと、百人に聞けば百人同じ答えを返すであろう質問だ。ゼータがメリオンに返す言葉も、肯定以外にない。
「仰るとおりです…」
「だがしかし、あちら方とて積極的な交戦は避けたいはずだ。神獣であるドラゴンを相手どれば、如何なる猛者であってもただでは済まぬ。刃を交えての交戦を覚悟するよりは、裏方での画策を心配すべきだ。一度惑わしの術の術に掛けられてしまえば、王の力を以てしても解除は困難である。以上を踏まえ、黒の城滞在中にお前が注意すべきことは三つ。まず一つ、黒の城内部で王を単身にせぬこと。2か国対談の最中は言うまでもなく、客室にいるときや即位式の最中にも気を抜くな。便所の中にまで張り付けとは言わんが、風呂や寝所は共にせよ。敵方に魔法行使の隙を与えるな」
「待ってください。フィビアス女王はレイと2人きりでの対談を望んでいるんですよね?私が同席しても問題はないでしょうか」
「対談の最中に王をどうこうしようと目論んでいるのなら、一筋縄では受け入れられまい。王自身がお前の同席を拒む可能性もある。しかしそこで説得を諦めては敵方の思う壺だ。良いか、いざとなれば恥を捨てて王の傍に張り付け。愛しい番が他の女性と2人きりになるのは嫌々と、涙を流して訴えるんだ。サキュバスの誹謗に憤慨される愛情深い王のこと。愛する妃の涙を見ては、簡単に否とは言えまいよ」
「涙を流して…というのはちょっと難易度が高い…」
涙を流してレイバックの足元に縋りつく己の姿を想像し、ゼータは口端を引き攣らせた。常日頃厚い紳士の皮で本性を隠すメリオンとは対照的に、ゼータは偽りごとの類が得意ではない。「ねぇねぇちょっと内緒の話なんだけどね…」と雑談交じりに囁かれた秘密話でさえ、うっかり人に漏らしてしまうほどである。偽りの涙を流し甘えん坊の妃を演じるなど、無理難題に等しい。
ゼータの訴えを睥睨で一蹴、メリオンは言葉を続ける。
「二つ目。個人向けに出された食事に矢鱈と手を付けぬこと。大皿に盛られた料理ならばさほど気を遣う必要はないが、予め取り分けられた飲食物には注意しろ。例えば食後のコーヒーに睡眠薬を混ぜ込まれては、王の御身をお守りするどころの話ではない。念のため滞在日数分の携帯食を持っていけ。食事の形態によっては、黒の城滞在中まともな飲食は叶わんぞ。王宮軍の備蓄担当には俺の方から話を通しておいてやる。三つ目。王とフィビアス女王の肉体的接触を最低限に抑えること。初対面時の握手程度は致し方なし。しかし親愛の抱擁や口付けには応じるべきではない。というのも、惑わしの術の発動条件が不明であるからだ」
「そうなんですか。普通の魔法とは勝手が違うんでしょうか?」
「対象者を使役させるという技の特異性を鑑みるに、かなり複雑な手順を踏む必要があるはずだ。しかしこればかりは書物を捲っても目ぼしい情報には行き当たらん。サキュバスは、惑わしの術の発動条件を多種族には語らない」
「へぇ…」
ふと、メリオンの視線がゼータの顔面へと落ちた。
「念のために聞くが、惑わしの術の発動条件に心当たりはあるか?」
「ないです。術の存在すら知りませんでした」
「…ほとほと使えん野郎だ」
僅かな期待を孕んだ声音は、一瞬で落胆の色に染まる。これ見よがしに肩を落とされてしまえば、ゼータは「すみませんねぇ」と謝る他にない。
「そういう事情だ。フィビアス女王との肉体敵接触は控えるよう、隙を見て王に伝えておけ。最も注意すべきは即位式後のダンスパーティーだ。会場に長居すれば王とフィビアス女王のダンスは避けられまい。最低限の顔みせが済んだら、適当に理由をつけて会場から退散するんだ。大勢の視線がある中とはいえ、サキュバスと手を取り合ってのダンスは危険すぎる」
そこで言葉を切ると、メリオンは徐にゼータの元へと歩み寄った。ゼータの目の前で歩みを止めると、腰を屈め床に向かって手を伸ばす。その場所にはゼータの手から滑り落ちたままの決裁板がある。優雅な動作で決裁板を拾い上げたメリオンは、慣れた動作で書類を捲る。「ああ、要人情報の変更か」薄い唇が呟く。
回覧書類に視線を走らせたメリオンは、ゼータに背を向け部屋の奥へと進み入った。よく使いこまれた執務机の引き出しを開けて、小さな判子の朱肉を取り出す。どうやら他の種族長らに先立ち、さっさと書類に判子を押してしまうつもりらしい。王宮内の書類の決裁及び回覧には暗黙の了解がある。それは在任歴の短い種族長から順に書類を回すというものだ。つまり本来であればゼータが訪れるべき最初の場所は、人間族長であるクリスの執務室。その後に小人族長ウェールの執務室を訪れ、その次が吸血族長メリオンの執務室であるはずだったのだ。3番目の決裁者であるメリオンが真っ先に判子を押すというのは、王宮内暗黙の決裁ルールに反する行いだ。しかし幸いなことにも、この度ゼータが持ち込んだのは回覧書類。内容の是非が問われる決裁書類ほど、決裁順を気に掛ける必要はないのだ。
メリオンが慣れた動作で書類に判子を押す様を、ゼータは口を引き結び眺めていた。3つの助言を頭の中で反芻する。レイバックを一人にしないこと、食事への薬の混入を疑うこと、フィビアス女王との肉体的接触を控えること。言葉にすればたったそれだけのこと。しかし3つの助言を守り切ることは果たして可能だろうか。訪れる場所は敵の城、そこにいるどれだけの者がフィビアスの僕であるかもわからない。ゼータは言いようのない不安に襲われる。
「…メリオン。やっぱり即位式参列から考え直しませんか?一緒にレイを説得しに行きましょうよ。どう考えても危険が多すぎます。私一人の力では、到底レイを守り切れませんよ」
弱々しくそう伝えれば、部屋の奥からは即座に声が返ってくる。回覧書類への押印を終えたメリオンは、今判子と朱肉を引き出しへと閉まっているところである。
「不参列に勝る安全策はない。しかし現実には難しいであろうな。ドラキス王国は人間と魔族が共存する世界で唯一の理想郷。頂に立つ王は稀代の博愛主義者であると知れている。そのレイバック王が、明確な理由なく即位式を欠席してみよ。博愛主義者と名高い王は、サキュバスを軽んじているとの噂が立つことは避けられず、理想郷の名は返上だ。今後の外交にも不利益が及ぶ。この度の即位式に多数の国王方が参列することを考慮すれば、不参列の選択は利口とは言えぬ」
「そ、そんな…私が頑張る以外に手立てはないということですか?」
逃げ道を無くし呆然とするゼータに、メリオンが歩み寄る。無感情と差し出されるは、押印を終えた回覧書類。
「話は以上。出発日まで残り2日、助言を参考に脳内訓練に励むが良い」
決裁板を受け取り、ゼータは力なく歩み始めた。先刻までの足取りの軽さはどこへやら、重たい両足を持ち上げ部屋の扉を目指す。扉を開け廊下へと一歩歩み出たとき、待て、と背中に声が当たる。
「最後に一つ。七指と呼ばれる者達には注意しろ」
「ななし?」
「七本の指と書き、七指。ブルタス前国王に仕えた7人の実力者、ドラキス王国で言えば我々十二種族長に等しい立場の者達である。旧時代の遺物など女王即位に際し討たれたと推していたが、恐らく奴らは生きている。惑わしの術により、サキュバスの僕と成り果てたのだ。城の実力者7人を味方に囲えば、フィビアス女王としても不足はあるまい。剛腕のシーズイ、鱗人のカデュラ、白髪のユダ。俺が知っている名はそれだけだ。この名をゆめゆめ忘れるな」
扉が閉まる。歩み出た廊下に人影はなく、等間隔に並んだ天井灯りが紅色の絨毯を照らすのみ。ずしりと重たくなった決裁板を両腕に抱え、ゼータは一人溜息を零す。
陰鬱の旅路は3日後に迫る。
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