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埋もれるほどの花びらを君に
化物屋敷
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納涼と刺激を求める人々は次から次へと化物屋敷の中へ消え、次はようやくゼータとアムレットの番だ。いざ行かんと扉の前へと進み出れば、廃材を繋ぎ合わせただけの扉の中央にはこう書かれている。
―心の臓の弱い者、持病のある者、幼い子供は入らぬこと
―化物屋敷の内部で起きた出来事に、一切の責任を求めぬこと
2つの注意事項を脳裏に刻み付け、アムレットの手が力強く扉を押せば、廃材の扉は鈍い音を立てて開く。扉の内側は広い部屋だ。外からでは正確な様子はわからないが、漆黒の中に橙色の光がぽつりぽつりと浮いているのが見える。燭台だろうか、それとも提灯だろうか。扉の内側から流れ出てくる冷たい風が、暗闇に恐れ慄く2人の頬を撫でた。風にのる臭いは腐敗臭だ。食べ物を腐らせたような饐えた臭いが、冷たい風と共に鼻腔に流れ込んでくる。なるほど、これはよくできている。
「ゼータ様。念のため聞きますが、この手のものは得意ですか?」
「どうでしょう。初めて入るので。暗闇を恐ろしいと思った経験はありませんが」
「…進んでよろしいですよね?」
「…まぁ、ここまで並びましたしね」
ぶるりと肩を震わせ、2人の男女は化物屋敷の中へと足を踏み入れた。
出入り口の扉をくぐり、最初の部屋は薄暗い宴会場だ。窓のない部屋の床には深紅の絨毯が敷き詰められ、天井と壁紙はくすんだ白。広さのある部屋の中を自由に動き回って良いのかと思いきや、高さのあるテーブルに行く手を阻まれ進む道は一つしかない。深紅の絨毯の上を、真っ直ぐ部屋の奥へと進むのだ。遠目には良く見えないが、部屋の奥にはまた別の部屋へと続く扉が待ち構えているようだ。
アムレットを筆頭に、2人はテーブルの間をそろそろと進んだ。それぞれのテーブルの上には、宴会場を思わせる料理が並べられている。夜目に映るサラダ、スープ、パンにバター、豪勢な肉料理。一見すれば御馳走とも映るたくさんの料理だが、間違っても手を伸ばしてはならない。豪勢な料理から漂うは、香しさではなく腐臭だ。テーブルに並べられた全ての料理が腐っているのである。なるほど、祭りの遊びと評するには、恐ろしいほどによくできている。
テーブルの間を進む最中に、アムレットは右手を掲げ天井付近を指さした。その場所には橙色の灯りが灯っている。蠟燭の灯りだ。金色の小皿に載せられた蝋燭が、小舟のように宙を漂っている。それも一つではなく多数。扉の外側から見えた橙色の光は、宙に浮かぶ蝋燭の灯りだったのだ。
「ゼータ様。あの蝋燭は魔法で浮いているのでしょうか」
「そうでしょうね。浮遊魔法はあまり難しい魔法ではありません。一つ二つの蝋燭なら、私にも浮かすことが出来ますよ」
上下左右と漂う蝋燭を眺めながら、アムレットとゼータは部屋の端へと辿り着いた。火の灯らぬ暖炉があり、暖炉の脇に朱塗りの記帳台が置いてある。周囲にはこれ見よがしに蝋燭が浮いているから、記帳台に立ち寄らずして先に進むことは出来なさそうだ。
腰ほどの高さの記帳台の上には、紙束が置かれていた。アムレットの手が紙の一枚を取り上げれば、真っ白な紙には徐々に文字が浮かび上がる。
―四つの印を集めなければ、屋敷を出ることはできない
ゼータとアムレットが読み終えると同時に文字は消え、続いて紙の上には4つの升が浮かび上がった。その升の全てを、印で埋めろということなのだろう。記帳台の上には紙束の他に金色の判子が置かれているから、恐らくはそれが一つ目の印だ。アムレットは判子を持ち上げ、迷う。付けるべきインクがないのだ。インクがなくては、例え判子があっても紙への印字は不可能だ。
「…インクが見当たりません。不手際でしょうか」
「普通の判子ではないかもしれませんよ。試しに紙に押し付けてみては?」
ゼータの助言を受けて、アムレットは右上の升に金の判子を押し付けた。じゅう、と音を立てて、紙からは細い煙が立ち昇る。そっと判子を外して見れば、升の中にはしっかりと赤の印が押されていた。ゼータの予想は大当たり、ということである。
「ゼータ様、これはどのような魔法でしょう」
「さぁ…」
アムレットは金の判子に眺め入る。手持無沙汰のゼータは、何となしに背後を振り返った。宙に浮かぶ蝋燭灯りをしばし眺め、それから腐敗臭漂う晩餐に視線を移す。今ゼータのいる場所から一番近い場所にあるテーブルには、大皿の肉料理が載っている。萎びたレタスの葉が皿一面に盛られ、その上に巨大な肉の塊がのっているのだ。本当にとても大きくて、何とも奇妙な形をした肉だ。そう、例えるのならば人の形。頭があり、肩があり、胴体があり、手足がある。まるで小人族の皮を剥ぎ、丸焼きにして皿にのせたよう―
「…あ」
肉の塊がふるりと動く。次いで頭部と思しき箇所にある、2つの目玉がぎょろりと動く。全身に冷水を浴びせられたような心地で、ゼータはテーブルから飛び退いた。よろよろと後退り、判子に見入るアムレットの背に激突する。
「どうされました?」
「いえ、その、そこの大皿の料理がですね。とてもよくできているんです」
ゼータの指さす先には、大皿の上で痙攣する奇妙な肉の塊がある。ぎょろぎょろと動き回る目玉に恐れ慄き、アムレットは表情を引き攣らせる。作り物であることはわかっている。しかしこれはかなり気持ちが悪い。
「…先に進みましょうか」
「そうですね。一刻も早く」
升目の紙をポケットへと仕舞い、アムレットは次なる扉を開ける。
扉の先には石造りの廊下があった。前室の宴会場とは打って変わって、色味のない殺風景な廊下だ。ひび割れた石造りの床に、同じく今にも崩れそうな石造りの天井。廊下の中腹辺りの天井には小さな白色灯がぶら下がっており、一定間隔での点灯を繰り返している。灯りのともる間に廊下の向こうを見通せば、長さ15mほどの廊下を通り抜けた先にまた扉があった。先の部屋に進むためには、この廊下を通り抜けなければならない。ただの細長い廊下、というだけならさほどの恐怖はあるまい。しかし悪いことに、廊下の左手には鉄格子がある。檻があるのだ。2人の立つ場所からは、檻の内部を伺い見ることはできない。しかしそこに檻がある以上、何らかの生物が入れられていることにまず間違いはない。
アムレットは廊下を進もうと足を動かす。しかしそれは叶わない。背後に立つゼータが、アムレットの服のすそを掴んだまま微動だにしないのである。
「ゼータ様?」
不審に思ったアムレットが振り返れば、ゼータは半笑いの表情で完全に硬直していた。アムレットの服のすそを掴む指先は震え、気のせいか膝が笑っているようにも見える。
「進むのが恐ろしいですか」
「いえ、怖いというか…お、驚かされたらびっくりするじゃないですか…」
その感情を、人は恐怖と呼ぶのである。アムレットは口に出さないものの、ゼータは完全に化物屋敷の恐怖に屈服していた。しかし今さら引き返すことなどできやしない。
「ゼータ様、前を歩きたいですか?それとも後ろ?」
「え…どっちも嫌です」
前を歩けば、前方から襲い来る恐怖を真っ先に体験することになる。だからと言って後ろを歩けば、背後から忍び寄る恐怖に怯え続ける羽目になる。横並びに歩いたからといって恐怖が半減されることはない。鉄格子側を歩けば飛び出してきた手に捕まれるやもしれぬし、客人が逆側の廊下に寄って歩くことを見越してそちら側の壁に仕掛けがあるかもしれない。故にどこを歩きたいなどという問いに、一問一答で答えることなどできぬ。ゼータは必死でそう訴えかけるのだ。
「そう言われましても、ここを通らねば次の部屋には行けません。私が鉄格子側を歩きますから、ゼータ様は壁側を歩いてください。怖ければ、腕なり腰なり好きなところにしがみ付いて構いません」
「それは…メアリに申し訳ないです」
「ダンスは貴族の嗜みだと申し上げたでしょう。ダンスパーティーともなれば、不特定多数の女性と手を取り合うことは当たり前。当然腰や肩には触れますし、曲によってはかなり際どい部分が触れ合うこともあります。女性の身体に触れることは、私にとって特別な意味は持ちません。気遣いは無用ですよ」
そう言われてしまえば、確かにその通りである。ゼータはそれ以上何も言わずに、アムレットの右腕に両腕を絡めた。
身を寄せ合った2人は廊下を進む。不気味な鉄格子からは極力距離を置き、もう一方の壁に身体を擦り付けるようにし一歩また一歩と歩を進める。通り過ぎる途中でちらと檻の中を見やるが、暗闇に包まれた檻の中に何があるかはわからない。鉄格子の隙間から無数の手が飛び出してくるのか、はたまた鉄格子に気を取られているうちに、背後の扉から死霊が押し入ってくるのか。あれこれと不穏な想像を巡らせるも、廊下を歩く最中にこれといった異変は起こらない。叫び声一つ上げず廊下を渡り切ったゼータとアムレットは、一安心とばかりに肩を落とした。
次なる部屋へと続く扉は、今までとは一味違う鉄製の扉だ。扉の上半分は錆びつき、一部に茶色の液体をぶちまけたような跡がある。勇むアムレットが取っ手を引くが、扉はがしゃりと音を立てただけで動かない。白色灯がともった隙に、錆びた扉を隅々まで眺め見れば、取っ手の真下に小さな南京錠が取り付けられていた。扉と同じくらい錆びついた南京錠には、数字を入力するためのダイヤルが付いている。4桁の数字だ。正しい数字を入力すれば、先へと続く扉は開かれる。
「番号に覚えがありませんね。まさか鉄格子の中を探さねばならないのでしょうか」
「うーん…。行程で物探しをさせるというのは、現実的でないように思えますけれど。人によってはかなりの時間が掛かるでしょうし。判子を押す紙に、それらしい数字は書かれていませんか?」
ゼータに促され、アムレットはポケットから升目の紙を取り出した。白色灯の元に紙を翳し、大当たりとばかりに口の端を上げる。
「ゼータ様、冴えておりますね。1つ目の判子の模様が数字になっております。ええと…1、7…」
紙を片手にアムレットはダイヤルを回す。その時2人の背後で、ぎぎぎと不吉な音がする。恐る恐る振り返れば、通り過ぎたばかりの鉄格子が開いていた。傍を通るときには気が付かなかったが、鉄格子の一部が格子戸となり、手で押せば開く造りとなっていたのだ。きぃきぃと音を立て開閉を繰り返す格子戸の傍に、人の姿はない。いや違う、正確に言えば格子戸の傍に立ち尽くす者はいない。床に這いつくばっているのだ。髪を振り乱し目を血走らせた老婆が、呻きながら床を這って来る。
「アム、アムレット様。何か不味いのが迫っています。急いで!」
「わかっていますから急かさないで!」
アムレットの腰にしがみつき半狂乱のゼータと、震える手でダイヤルを回すアムレット。呻き声を上げる老婆は刻一刻と2人との距離を詰める。そして老婆の指先がゼータの足首を掴む直前に、無事南京錠は外れ2人は扉の向こう側へと逃げ出したのである。
***
過去最大級の恐怖を経験したゼータは、その後見事に使い物にならなくなった。脱出に必要な残り3つの印を、アムレットは実質一人で集める羽目となったのである。大人しく後を付いてくるならまだしも、恐怖に打ち負けたゼータはアムレットの腰にしがみ付いて離れない。巨大なお荷物を引き摺るアムレットは大変だ。
老婆這いずる廊下を抜けた先は、王宮の執務室に似た空間だ。天井には灯りのともらぬシャンデリアがあり、灰色の絨毯の上にはタンスや執務机といった調度品が並び、片隅に置かれた燭台が広い部屋の中を煌々と照らしている。燭台とは別端に置かれたピアノが穏やかな音色と奏で、一見すれば化物屋敷の一室とは思えぬ空間だ。しかし奇妙な点が2点ある。まずはピアノに弾き手がいないという点だ。黒と白の鍵盤が軽やかに跳ね、聞くに楽しい音楽を奏でるも、鍵盤の前に座る者はいない。同様にして執務机の上では持つ者のいない羽ペンが、羊皮紙の上に意味のわからない文字を書き連ねていた。一体この執務室ではどのような恐怖を体験することになるのか。恐々足を進めるゼータとアムレットであるが、幸いにもその部屋において身の毛のよだつ出来事は起こらない。跳ねる鍵盤と宙に浮く羽ペンは不気味であるが、ただそれだけの部屋なのだ。執務机の上にある金の判子を2つ目の升に押し当てて、2人は次なる扉へと進んだのである。
執務室の先は浴室だ。便所と洗面台が一体となった小さな浴室。人一人浸かれば手狭になってしまう小さな浴室には、濁った水が溜まっている。そして緑色の水面に、3つ目となる金の判子がぷかぷかと浮いているのだ。判子を掬い上げるべく浴槽へと手を伸ばしたアムレットは、ここに来て初めて情けない悲鳴を漏らすことになる。水中から伸びてきた青白い手が、アムレットの手首を掴んだのだ。飛び上がったアムレットは背後のゼータを突き飛ばし、ゼータは危うくアムレットの尻に押し潰されるところであった。
そして今、2人は出口を目前にしていた。4つ目の印がある最後の一部屋は子供部屋だ。部屋の隅には子ども用のベッドが置かれており、壁には小さな作りのワンピースが掛けられている。そして薄桃色の絨毯には、足の踏み場がないほど大量の玩具が散らばっているのだ。ブリキの馬車に、羊のぬいぐるみに、色褪せた積み木。中でも最も目立つ物は、壁を背に横一列に並べられた人型人形だ。女児を象った可愛らしい風貌の人形が7体、口元に笑みを浮かべ佇んでいる。その部屋が今までの部屋と違うのは、内装を確認するに足るだけの十分な灯りがあることだ。天井にぶら下がる灯りが、子ども部屋の内部を隅々まで照らしている。
「…普通の子ども部屋に見えますけれど。最後の部屋である以上、何もなしには終わらないでしょうね」
アムレットの呟きにゼータは答えず、2人は無言のまま部屋の中を進み行く。ゼータの爪先がブリキの玩具を蹴り、甲高い音が響き渡った。壁際に並ぶ7体の人型人形が、2人の歩みをじっと見つめている。ガラス玉の瞳に動きなどないはずなのに、一挙一動を観察されているように感じるから不思議だ。化物屋敷の中に置かれているというだけで、子どもの玩具とはこうも不気味に様変わりする。
4つ目となる判子は、床に転がる鳥籠の中に入れられていた。アムレットの手が鳥籠を開け、摘み上げた金の判子を最後の一升に押し付ける。これで全ての印が揃った。役目を終えた紙はアムレットの手を離れ、ふわりと宙に浮きあがる。そして淡い光の粒となり消えた。それと同時にどこからともなく開錠音がする。音の元を辿り子ども部屋を見回せば、ベッドの脇に壁紙と同じ色の扉があった。恐らくそれが外へと続く扉だ。指示通り4つの印を集めたゼータとアムレットは、ついに化物屋敷からの脱出を果たすのである。
「ゼータ様、無事出口まで辿り着きましたね。さぁ外に―」
アムレットが言い終わるよりも早く、異変が起こった。部屋の灯りが突如として消えたのだ。不慮の事故かと思いきや、天井の灯りは部屋の内装を把握するだけの最低限の明るさは残している。つまり灯りは意図的に落とされた。
薄暗闇となった子ども部屋の中で、動く物があった。悪いことにそれは、壁際に並んでいた7体の人型人形だ。力無く横たわっていたはずの人形は、今や2本の足で絨毯の上に立っている。そこそこ大きさのある7体の人形が、横一列に並ぶ様は圧巻だ。人形は2本の足で立つだけでは飽き足りない。見る間にその容貌を変える。頭皮が溶け、髪の毛が抜け落ち、ガラスの目玉は床へと転がり落ちる。皮膚は爛れ、衣服は裂け、化物と呼ぶに相応しく姿を変える。そしてあろうことか、7体の化物は茫然と立ち尽くすアムレットとゼータに向かって駆けてきたのだ。けらけらと甲高い笑い声を立て、7体の人型人形が迫る。
「うわあああああ!」
皇太子らしからぬ雄叫びはアムレットの物。迫りくる化物に自我を失ったアムレットは、傍に立つゼータを突き飛ばし一人出口へと逃げて行く。成人男性の腕力で突き飛ばされたゼータは、悲鳴と共に床へと転がる。慌てて身を起こしたとき、太腿にひやりと触れるものがある。手だ。紅葉よりも小さな人形の手。表皮の焼け爛れた人形の手が、次から次へとゼータに触れる。半狂乱のアムレットに突き飛ばされたゼータは、最悪なことに化物達のど真ん中に倒れ込んだ。
「ぎゃあああああ!」
王妃らしからぬ叫喚とともに、ゼータは化物屋敷を飛び出した。髪を振り乱し顔面からは様々な液体を垂れ流し、芝生に倒れ込む様は哀れを通り越し間抜けだ。少し離れたところでは、同じく芝生に倒れ込んだアムレットが荒い呼吸を繰り返している。ゼータは鼻水と涎と涙をワンピースのすそで拭い、大層申し訳なさそうな表情のアムレットににじり寄る。そしてロシャ王国次期国王の左頬に、渾身の張り手を食らわせるのだ。
「この…裏切り者ぉ!」
―心の臓の弱い者、持病のある者、幼い子供は入らぬこと
―化物屋敷の内部で起きた出来事に、一切の責任を求めぬこと
2つの注意事項を脳裏に刻み付け、アムレットの手が力強く扉を押せば、廃材の扉は鈍い音を立てて開く。扉の内側は広い部屋だ。外からでは正確な様子はわからないが、漆黒の中に橙色の光がぽつりぽつりと浮いているのが見える。燭台だろうか、それとも提灯だろうか。扉の内側から流れ出てくる冷たい風が、暗闇に恐れ慄く2人の頬を撫でた。風にのる臭いは腐敗臭だ。食べ物を腐らせたような饐えた臭いが、冷たい風と共に鼻腔に流れ込んでくる。なるほど、これはよくできている。
「ゼータ様。念のため聞きますが、この手のものは得意ですか?」
「どうでしょう。初めて入るので。暗闇を恐ろしいと思った経験はありませんが」
「…進んでよろしいですよね?」
「…まぁ、ここまで並びましたしね」
ぶるりと肩を震わせ、2人の男女は化物屋敷の中へと足を踏み入れた。
出入り口の扉をくぐり、最初の部屋は薄暗い宴会場だ。窓のない部屋の床には深紅の絨毯が敷き詰められ、天井と壁紙はくすんだ白。広さのある部屋の中を自由に動き回って良いのかと思いきや、高さのあるテーブルに行く手を阻まれ進む道は一つしかない。深紅の絨毯の上を、真っ直ぐ部屋の奥へと進むのだ。遠目には良く見えないが、部屋の奥にはまた別の部屋へと続く扉が待ち構えているようだ。
アムレットを筆頭に、2人はテーブルの間をそろそろと進んだ。それぞれのテーブルの上には、宴会場を思わせる料理が並べられている。夜目に映るサラダ、スープ、パンにバター、豪勢な肉料理。一見すれば御馳走とも映るたくさんの料理だが、間違っても手を伸ばしてはならない。豪勢な料理から漂うは、香しさではなく腐臭だ。テーブルに並べられた全ての料理が腐っているのである。なるほど、祭りの遊びと評するには、恐ろしいほどによくできている。
テーブルの間を進む最中に、アムレットは右手を掲げ天井付近を指さした。その場所には橙色の灯りが灯っている。蠟燭の灯りだ。金色の小皿に載せられた蝋燭が、小舟のように宙を漂っている。それも一つではなく多数。扉の外側から見えた橙色の光は、宙に浮かぶ蝋燭の灯りだったのだ。
「ゼータ様。あの蝋燭は魔法で浮いているのでしょうか」
「そうでしょうね。浮遊魔法はあまり難しい魔法ではありません。一つ二つの蝋燭なら、私にも浮かすことが出来ますよ」
上下左右と漂う蝋燭を眺めながら、アムレットとゼータは部屋の端へと辿り着いた。火の灯らぬ暖炉があり、暖炉の脇に朱塗りの記帳台が置いてある。周囲にはこれ見よがしに蝋燭が浮いているから、記帳台に立ち寄らずして先に進むことは出来なさそうだ。
腰ほどの高さの記帳台の上には、紙束が置かれていた。アムレットの手が紙の一枚を取り上げれば、真っ白な紙には徐々に文字が浮かび上がる。
―四つの印を集めなければ、屋敷を出ることはできない
ゼータとアムレットが読み終えると同時に文字は消え、続いて紙の上には4つの升が浮かび上がった。その升の全てを、印で埋めろということなのだろう。記帳台の上には紙束の他に金色の判子が置かれているから、恐らくはそれが一つ目の印だ。アムレットは判子を持ち上げ、迷う。付けるべきインクがないのだ。インクがなくては、例え判子があっても紙への印字は不可能だ。
「…インクが見当たりません。不手際でしょうか」
「普通の判子ではないかもしれませんよ。試しに紙に押し付けてみては?」
ゼータの助言を受けて、アムレットは右上の升に金の判子を押し付けた。じゅう、と音を立てて、紙からは細い煙が立ち昇る。そっと判子を外して見れば、升の中にはしっかりと赤の印が押されていた。ゼータの予想は大当たり、ということである。
「ゼータ様、これはどのような魔法でしょう」
「さぁ…」
アムレットは金の判子に眺め入る。手持無沙汰のゼータは、何となしに背後を振り返った。宙に浮かぶ蝋燭灯りをしばし眺め、それから腐敗臭漂う晩餐に視線を移す。今ゼータのいる場所から一番近い場所にあるテーブルには、大皿の肉料理が載っている。萎びたレタスの葉が皿一面に盛られ、その上に巨大な肉の塊がのっているのだ。本当にとても大きくて、何とも奇妙な形をした肉だ。そう、例えるのならば人の形。頭があり、肩があり、胴体があり、手足がある。まるで小人族の皮を剥ぎ、丸焼きにして皿にのせたよう―
「…あ」
肉の塊がふるりと動く。次いで頭部と思しき箇所にある、2つの目玉がぎょろりと動く。全身に冷水を浴びせられたような心地で、ゼータはテーブルから飛び退いた。よろよろと後退り、判子に見入るアムレットの背に激突する。
「どうされました?」
「いえ、その、そこの大皿の料理がですね。とてもよくできているんです」
ゼータの指さす先には、大皿の上で痙攣する奇妙な肉の塊がある。ぎょろぎょろと動き回る目玉に恐れ慄き、アムレットは表情を引き攣らせる。作り物であることはわかっている。しかしこれはかなり気持ちが悪い。
「…先に進みましょうか」
「そうですね。一刻も早く」
升目の紙をポケットへと仕舞い、アムレットは次なる扉を開ける。
扉の先には石造りの廊下があった。前室の宴会場とは打って変わって、色味のない殺風景な廊下だ。ひび割れた石造りの床に、同じく今にも崩れそうな石造りの天井。廊下の中腹辺りの天井には小さな白色灯がぶら下がっており、一定間隔での点灯を繰り返している。灯りのともる間に廊下の向こうを見通せば、長さ15mほどの廊下を通り抜けた先にまた扉があった。先の部屋に進むためには、この廊下を通り抜けなければならない。ただの細長い廊下、というだけならさほどの恐怖はあるまい。しかし悪いことに、廊下の左手には鉄格子がある。檻があるのだ。2人の立つ場所からは、檻の内部を伺い見ることはできない。しかしそこに檻がある以上、何らかの生物が入れられていることにまず間違いはない。
アムレットは廊下を進もうと足を動かす。しかしそれは叶わない。背後に立つゼータが、アムレットの服のすそを掴んだまま微動だにしないのである。
「ゼータ様?」
不審に思ったアムレットが振り返れば、ゼータは半笑いの表情で完全に硬直していた。アムレットの服のすそを掴む指先は震え、気のせいか膝が笑っているようにも見える。
「進むのが恐ろしいですか」
「いえ、怖いというか…お、驚かされたらびっくりするじゃないですか…」
その感情を、人は恐怖と呼ぶのである。アムレットは口に出さないものの、ゼータは完全に化物屋敷の恐怖に屈服していた。しかし今さら引き返すことなどできやしない。
「ゼータ様、前を歩きたいですか?それとも後ろ?」
「え…どっちも嫌です」
前を歩けば、前方から襲い来る恐怖を真っ先に体験することになる。だからと言って後ろを歩けば、背後から忍び寄る恐怖に怯え続ける羽目になる。横並びに歩いたからといって恐怖が半減されることはない。鉄格子側を歩けば飛び出してきた手に捕まれるやもしれぬし、客人が逆側の廊下に寄って歩くことを見越してそちら側の壁に仕掛けがあるかもしれない。故にどこを歩きたいなどという問いに、一問一答で答えることなどできぬ。ゼータは必死でそう訴えかけるのだ。
「そう言われましても、ここを通らねば次の部屋には行けません。私が鉄格子側を歩きますから、ゼータ様は壁側を歩いてください。怖ければ、腕なり腰なり好きなところにしがみ付いて構いません」
「それは…メアリに申し訳ないです」
「ダンスは貴族の嗜みだと申し上げたでしょう。ダンスパーティーともなれば、不特定多数の女性と手を取り合うことは当たり前。当然腰や肩には触れますし、曲によってはかなり際どい部分が触れ合うこともあります。女性の身体に触れることは、私にとって特別な意味は持ちません。気遣いは無用ですよ」
そう言われてしまえば、確かにその通りである。ゼータはそれ以上何も言わずに、アムレットの右腕に両腕を絡めた。
身を寄せ合った2人は廊下を進む。不気味な鉄格子からは極力距離を置き、もう一方の壁に身体を擦り付けるようにし一歩また一歩と歩を進める。通り過ぎる途中でちらと檻の中を見やるが、暗闇に包まれた檻の中に何があるかはわからない。鉄格子の隙間から無数の手が飛び出してくるのか、はたまた鉄格子に気を取られているうちに、背後の扉から死霊が押し入ってくるのか。あれこれと不穏な想像を巡らせるも、廊下を歩く最中にこれといった異変は起こらない。叫び声一つ上げず廊下を渡り切ったゼータとアムレットは、一安心とばかりに肩を落とした。
次なる部屋へと続く扉は、今までとは一味違う鉄製の扉だ。扉の上半分は錆びつき、一部に茶色の液体をぶちまけたような跡がある。勇むアムレットが取っ手を引くが、扉はがしゃりと音を立てただけで動かない。白色灯がともった隙に、錆びた扉を隅々まで眺め見れば、取っ手の真下に小さな南京錠が取り付けられていた。扉と同じくらい錆びついた南京錠には、数字を入力するためのダイヤルが付いている。4桁の数字だ。正しい数字を入力すれば、先へと続く扉は開かれる。
「番号に覚えがありませんね。まさか鉄格子の中を探さねばならないのでしょうか」
「うーん…。行程で物探しをさせるというのは、現実的でないように思えますけれど。人によってはかなりの時間が掛かるでしょうし。判子を押す紙に、それらしい数字は書かれていませんか?」
ゼータに促され、アムレットはポケットから升目の紙を取り出した。白色灯の元に紙を翳し、大当たりとばかりに口の端を上げる。
「ゼータ様、冴えておりますね。1つ目の判子の模様が数字になっております。ええと…1、7…」
紙を片手にアムレットはダイヤルを回す。その時2人の背後で、ぎぎぎと不吉な音がする。恐る恐る振り返れば、通り過ぎたばかりの鉄格子が開いていた。傍を通るときには気が付かなかったが、鉄格子の一部が格子戸となり、手で押せば開く造りとなっていたのだ。きぃきぃと音を立て開閉を繰り返す格子戸の傍に、人の姿はない。いや違う、正確に言えば格子戸の傍に立ち尽くす者はいない。床に這いつくばっているのだ。髪を振り乱し目を血走らせた老婆が、呻きながら床を這って来る。
「アム、アムレット様。何か不味いのが迫っています。急いで!」
「わかっていますから急かさないで!」
アムレットの腰にしがみつき半狂乱のゼータと、震える手でダイヤルを回すアムレット。呻き声を上げる老婆は刻一刻と2人との距離を詰める。そして老婆の指先がゼータの足首を掴む直前に、無事南京錠は外れ2人は扉の向こう側へと逃げ出したのである。
***
過去最大級の恐怖を経験したゼータは、その後見事に使い物にならなくなった。脱出に必要な残り3つの印を、アムレットは実質一人で集める羽目となったのである。大人しく後を付いてくるならまだしも、恐怖に打ち負けたゼータはアムレットの腰にしがみ付いて離れない。巨大なお荷物を引き摺るアムレットは大変だ。
老婆這いずる廊下を抜けた先は、王宮の執務室に似た空間だ。天井には灯りのともらぬシャンデリアがあり、灰色の絨毯の上にはタンスや執務机といった調度品が並び、片隅に置かれた燭台が広い部屋の中を煌々と照らしている。燭台とは別端に置かれたピアノが穏やかな音色と奏で、一見すれば化物屋敷の一室とは思えぬ空間だ。しかし奇妙な点が2点ある。まずはピアノに弾き手がいないという点だ。黒と白の鍵盤が軽やかに跳ね、聞くに楽しい音楽を奏でるも、鍵盤の前に座る者はいない。同様にして執務机の上では持つ者のいない羽ペンが、羊皮紙の上に意味のわからない文字を書き連ねていた。一体この執務室ではどのような恐怖を体験することになるのか。恐々足を進めるゼータとアムレットであるが、幸いにもその部屋において身の毛のよだつ出来事は起こらない。跳ねる鍵盤と宙に浮く羽ペンは不気味であるが、ただそれだけの部屋なのだ。執務机の上にある金の判子を2つ目の升に押し当てて、2人は次なる扉へと進んだのである。
執務室の先は浴室だ。便所と洗面台が一体となった小さな浴室。人一人浸かれば手狭になってしまう小さな浴室には、濁った水が溜まっている。そして緑色の水面に、3つ目となる金の判子がぷかぷかと浮いているのだ。判子を掬い上げるべく浴槽へと手を伸ばしたアムレットは、ここに来て初めて情けない悲鳴を漏らすことになる。水中から伸びてきた青白い手が、アムレットの手首を掴んだのだ。飛び上がったアムレットは背後のゼータを突き飛ばし、ゼータは危うくアムレットの尻に押し潰されるところであった。
そして今、2人は出口を目前にしていた。4つ目の印がある最後の一部屋は子供部屋だ。部屋の隅には子ども用のベッドが置かれており、壁には小さな作りのワンピースが掛けられている。そして薄桃色の絨毯には、足の踏み場がないほど大量の玩具が散らばっているのだ。ブリキの馬車に、羊のぬいぐるみに、色褪せた積み木。中でも最も目立つ物は、壁を背に横一列に並べられた人型人形だ。女児を象った可愛らしい風貌の人形が7体、口元に笑みを浮かべ佇んでいる。その部屋が今までの部屋と違うのは、内装を確認するに足るだけの十分な灯りがあることだ。天井にぶら下がる灯りが、子ども部屋の内部を隅々まで照らしている。
「…普通の子ども部屋に見えますけれど。最後の部屋である以上、何もなしには終わらないでしょうね」
アムレットの呟きにゼータは答えず、2人は無言のまま部屋の中を進み行く。ゼータの爪先がブリキの玩具を蹴り、甲高い音が響き渡った。壁際に並ぶ7体の人型人形が、2人の歩みをじっと見つめている。ガラス玉の瞳に動きなどないはずなのに、一挙一動を観察されているように感じるから不思議だ。化物屋敷の中に置かれているというだけで、子どもの玩具とはこうも不気味に様変わりする。
4つ目となる判子は、床に転がる鳥籠の中に入れられていた。アムレットの手が鳥籠を開け、摘み上げた金の判子を最後の一升に押し付ける。これで全ての印が揃った。役目を終えた紙はアムレットの手を離れ、ふわりと宙に浮きあがる。そして淡い光の粒となり消えた。それと同時にどこからともなく開錠音がする。音の元を辿り子ども部屋を見回せば、ベッドの脇に壁紙と同じ色の扉があった。恐らくそれが外へと続く扉だ。指示通り4つの印を集めたゼータとアムレットは、ついに化物屋敷からの脱出を果たすのである。
「ゼータ様、無事出口まで辿り着きましたね。さぁ外に―」
アムレットが言い終わるよりも早く、異変が起こった。部屋の灯りが突如として消えたのだ。不慮の事故かと思いきや、天井の灯りは部屋の内装を把握するだけの最低限の明るさは残している。つまり灯りは意図的に落とされた。
薄暗闇となった子ども部屋の中で、動く物があった。悪いことにそれは、壁際に並んでいた7体の人型人形だ。力無く横たわっていたはずの人形は、今や2本の足で絨毯の上に立っている。そこそこ大きさのある7体の人形が、横一列に並ぶ様は圧巻だ。人形は2本の足で立つだけでは飽き足りない。見る間にその容貌を変える。頭皮が溶け、髪の毛が抜け落ち、ガラスの目玉は床へと転がり落ちる。皮膚は爛れ、衣服は裂け、化物と呼ぶに相応しく姿を変える。そしてあろうことか、7体の化物は茫然と立ち尽くすアムレットとゼータに向かって駆けてきたのだ。けらけらと甲高い笑い声を立て、7体の人型人形が迫る。
「うわあああああ!」
皇太子らしからぬ雄叫びはアムレットの物。迫りくる化物に自我を失ったアムレットは、傍に立つゼータを突き飛ばし一人出口へと逃げて行く。成人男性の腕力で突き飛ばされたゼータは、悲鳴と共に床へと転がる。慌てて身を起こしたとき、太腿にひやりと触れるものがある。手だ。紅葉よりも小さな人形の手。表皮の焼け爛れた人形の手が、次から次へとゼータに触れる。半狂乱のアムレットに突き飛ばされたゼータは、最悪なことに化物達のど真ん中に倒れ込んだ。
「ぎゃあああああ!」
王妃らしからぬ叫喚とともに、ゼータは化物屋敷を飛び出した。髪を振り乱し顔面からは様々な液体を垂れ流し、芝生に倒れ込む様は哀れを通り越し間抜けだ。少し離れたところでは、同じく芝生に倒れ込んだアムレットが荒い呼吸を繰り返している。ゼータは鼻水と涎と涙をワンピースのすそで拭い、大層申し訳なさそうな表情のアムレットににじり寄る。そしてロシャ王国次期国王の左頬に、渾身の張り手を食らわせるのだ。
「この…裏切り者ぉ!」
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