【BL】齢1200の龍王と精を吸わないオタ淫魔

三崎こはく

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埋もれるほどの花びらを君に

2人の祭り

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 2人きりになった途端、アムレットの足取りは軽やかになった。後ろに付くゼータのことなど気にも掛けず、人混みを縫ってすいすいと進んでいく。お坊ちゃま育ちのアムレットでも、好き勝手歩けるのであれば人混みなど苦ではないのだ。ちょこまかと動く妃2人の背を追う必要がなくなり、解放感に満ち溢れるアムレット。一変して他人の背を追うこととなったゼータは大変だ。アムレットは比較的背の高い方だから、ごった返す人混みの中でもその姿を見失うことはない。しかし背が高いということは、歩幅が広く歩みも早い。女性の姿となり、男性時よりも幾ばくか背丈の縮んだゼータにとれば、正に兎の歩みだ。人波に溺れるゼータを振り返ることもせず、アムレットはどんどん先へと進んでいく。

「アム…アムレット様。ちょっと待って…」

 情けないほどに息を切らしたゼータが追い縋れば、アムレットはようやく歩みを止めた。振り返る表情は不機嫌に満ちている。おそらくレイバックの手前、ゼータに向けて不機嫌を露わにすることは躊躇っていたのだろう。しかしレイバックと別れた今、アムレットが不機嫌を取り繕う理由はない。鋭い碧の視線を受けて、ゼータはしおしおと肩を窄める。

「すみません…。アムレット様に対する配慮が足りませんでした…」

 消え入りそうな謝罪を耳に、アムレットはしばらく黙り込んでいた。人混みの中立ち止まった2人を、周囲を通り過ぎる人々は不思議そうに見つめている。
 俯くゼータの頬の横に、一房の髪が落ちた。人混みに揉まれ必死に歩くうちに、右側の三つ編みが解けたのだ。藍色の結い紐が足元へと落ち、黒髪の半分はみるみる解けていく。その瞬間に、ゼータの耳には笑い声が届く。恐る恐る視線を上げれば、目の前に立つアムレットは口元に手を当て微笑みを零していた。無表情な男かと思いきや、人並みの笑顔は造れるようだ。薄い唇が動く。

「構いませんよ。私も、はっきりと申し上げれば良かったです。買い物には興味がありませんから、ぜひとも遊びの屋台を回りたい」

 そう言うと、アムレットは通りの片側を指さした。その場所には灯りのまい路地がある。そして薄暗い路地を通り抜けた先には、煌々と照る灯りがあった。賑わう人波も見える。職人街の南側に位置するその通りでは、様々な遊びを提供する屋台が軒を連ねているのだ。ゼータ一人なら、まず立ち入ることのまい通りである。

「わかりました。散々買い物にお付き合いいただきましたから、これからはアムレット様にお供しますよ。ただ南通りはいつも素通りする場所なので、遊びの腕には期待しないでください」

 ゼータは腰を屈めて、地面に落ちた結い紐を拾い上げた。砂埃で汚れた結い紐を握り込み、残された左側の三つ編みを解く。鏡があれば結い直せるが、生憎手鏡などいう洒落た道具は持ち歩いていない。手櫛で何度か髪を梳けば、うねりのない黒髪はすっかりいつもの通り。

「では2人で初体験と洒落込みましょうか。私が満足いくまでお付き合いいただきますよ」

 多少棘のある物言いに、他者を寄せ付けぬ無表情。こちらもすっかりいつもの通りだ。

***

 路地を抜け、足を踏み入れた南通りは見るに楽しい場所だ。店先に水の入った桶を置き、中に小さな魚を泳がせた屋台。様々な獣の顔面を模した面を売る屋台。天井からくじ引きの紐をぶら下げた屋台。中には何をする場所か見当もつかない屋台もある。店先にたむろする客人には子どもが多く、喧騒もまた華やかだ。人間と魔族が入り混じる少年の輪を、アムレットは感動の面持ちで見つめている。

「ロシャ王国にも祭りはありますか」

 アムレットの視線の先を追いながら、ゼータは問う。

「ありますよ。首都リモラはもちろんですが、地方の集落でも年に数度は独自の祭りが催されます」
「アムレット様は、そのような祭りには参加しておられました?」
「幼い頃は参加していたのかもしれませんが、記憶にはありません。父が厳格な人物で、義塾以外で外に出ることを良しとされなかったのです。10歳を過ぎる頃にはメアリ様の婿候補の話が持ち上がり、父の厳格さにも一層拍車が掛かりました。義塾の友人と村祭りに参加したいと申し出たこともありましたが、許してはもらえませんでした。祭りともなれば、子どもは羽目を外すものですから」

 アムレットにとって、父は神に等しい存在であったのだ。子どもらしい遊びすら許されず、ただひたすら勉学に励み、次期国王としての強い期待の元に育った。父の教えに従い、父を神と見ていたからこそ、アムレットは「魔族は悪」という父の思想を忠実に受け継いだ。「魔族にも人と同じ心がある」などという至極当然の考えに、二十数年もの間辿り着けなかった。更生の機会すら与えられなかった。温室という名の監獄に閉じ込められ、世の偏った常識を与えられ続けたアムレットは、どこまでも可哀そうな子どもだったのだ。
 答える言葉を失くし黙り込むゼータの横で、屋台を眺め見るアムレットは一人楽しそうだ。夢にまで見た祭りの屋台が、目の前に燦然と立ち並んでいる。

「ゼータ様、初めはあれにしましょう。初心者にも優しそうです」

 アムレットが指さすは、通りを少し進んだところにある輪投げの屋台だ。丁度少年少女の団体が捌けたところで、屋台に並ぶ人の姿はない。店先には9つの棒が立てられた木の板が置かれており、小人族の店主が板周りに散らばる木製の輪をせっせと回収している。
 人が並ぶ前にと早足で屋台を目指せば、木製輪の回収を終えた店主と目が合った。白髪を一つに結わえた老年の小人族だ。アムレットに引けを取らない無愛想が、顔面に滲み出ている。しかし無愛想ながらも接客は慣れたもので、銭を差し出すアムレットに向けて一言「まいど」と呟いた。店主から木製輪を受け取ったアムレットは、ぎこちない動きでその内の一つを投げた。緩やかに回転する木製輪は真っ直ぐに木板へと向かい、右上の棒に見事に掛かる。2つ、3つと輪を投げ、アムレットは7つ中4つの輪を棒へと掛けた。大した記録だと思いきや、白髪の店主は賛辞を口にするどころか表情一つ変えぬ。続くゼータは7つ中5つの輪を棒へと掛けたが、やはり店主の表情はぴくりとも動かなかった。
 輪投げの屋台を離れた2人は、参加賞として持たされた袋菓子を手に首を傾げる。

「結構、良い記録だと思ったんですけどねぇ」

 参加賞の袋菓子ではなく、景品と思しき猫又の置物が欲しかった。悔しげに唸るゼータの横で、アムレットは満足げだ。子供向けの袋菓子だが、人生初の祭りの戦利品であることに違いはない。

 その後もアムレットの先導で、いくつかの屋台へと立ち寄った。輪投げの次はくじ引き、くじ引きの次は水風船釣り、水風船釣りの次はもぐら叩き。子どもに混じり屋台遊びを楽しむゼータとアムレットであるが、いずれも結果は芳しくない。くじ引きは外れるし、水風船は参加賞の1つを貰うだけだし、ぬいぐるみのもぐらには華麗に打撃を避けられる始末だ。互いに初体験である以上当然と言えば当然であるが、年端もいかぬ少年に「下手くそ」呼ばわりされれば血気に逸る。何か良い結果を残せる遊びはないかと、足音荒く通りを歩く2人は、アムレットの一声によりはたと歩みを止めた。

「私、あれは得意です」

 いつの間にか賑やかな屋台通りを抜け、広い草の広場へと来ていた。通りの端に位置するその広場には、玉当てや皿投げなど、比較的広い空間を要する屋台が軒を連ねている。アムレットが得意と言った屋台はそのうちの一つ、「射的」とのれんを下げた屋台だ。屋台の奥側には色の違ういくつもの的が立てられており、手前側には射撃用の弓矢が置いてある。弓矢の大きさは大小様々で、中には大の大人の背丈を優に超える巨大な造りの物もあった。目立つ赤色の提灯灯りに照らされた射的の屋台は、よく人の目を集めている。射撃の姿勢が小粋であることはさながら、矢が的に当たると派手な音が鳴るのだ。暗闇に響く軽快な射撃音に、広場に立ち入る人々はまず射的の屋台に目を向ける。

「射的ですか…。私は止めておきます。弓の持ち方も知りませんし」
「では、どうぞ見ていてください」

 ゼータはそそくさと観客に紛れ、アムレットは射撃を待つ人の列へと並んだ。1人目、2人目、3人目と順に弓を持ち、皆一様に一つか二つの的を倒す。使える矢の数は5本だから、的との距離を考えればその程度が妥当なのだろう。アムレットの前々客が3つの的を倒し、観客からは盛大な拍手が降り注いだ。
 遂にアムレットの番がやってきた。背丈に近い大きさの弓を手に取ったアムレットは、足元に置かれた矢筒から1本の矢を引き抜く。慣れた仕草だ。

 アムレットの射った矢は、風を切り裂いて飛んだ。ぱん、と軽快な音を立てて、比較的大きな青の的が倒れる。一撃目で見事な射撃。観客からは歓声が上がる。続く2本目の矢で、アムレットは青よりも一回り小さな黄の的を倒した。3本目も同様に黄の的を倒し、4本目こそ外したものの、5本目は一番小さな赤の的のど真ん中を射って見せた。アムレットが弓を下ろす頃に一際大きな拍手が巻き起こり、中にはアンコールを求める者までいるほどだ。
 「金は要らぬから、見世物としてもう一度射ってくれ」店主にそう促され、アムレットは再び弓を構える。そして今度は5本の矢全てを、一番小さな赤の的に当てて見せた。もちろん観客は大興奮。弓場を出るアムレットは、四方八方から賞賛の嵐だ。巨人族の男の座布団のような手のひらに握手を求められ、英雄アムレットは誇らしげだ。

「景品、一つ選んでいってね。どれでも良いわよ」

 屋台の前にできた客人の列を見やりながら、小人族の店員は満足げである。
 ゼータがアムレットの元へと駆け寄ったとき、彼は丁度景品をかばんの中に仕舞い入れたところであった。ゼータとメアリの手提げかばんほどではないが、アムレットのかばんも程良く膨らんでいる。手持ちの手提げかばんをレイバックに没収されたゼータは、屋台で貰い受けた紙袋に戦利品を詰め込んでいた。

「アムレット様、凄いじゃないですか。弓道は趣味で?」
「いえ、手習いの一つです。弓道は貴族の嗜みですから、子息は多少なりとも腕に覚えがあるものです」
「貴族?」

 何気無いアムレットの言葉に、ゼータは違和感を覚える。

「ロシャ王国は貴族制の国家なんですか?」
「そうです。昔からの地主や、国家のために功績を上げた者は貴族と呼ばれ、社会的地位が保障されます。ロシャ王国内の町や集落には、どこにも支配階級あたる貴族の家がいくつかはあるものです」
「アムレット様は貴族のご子息なのですか」
「ええ。とは言っても古くから続く家ではありません。祖父の上げた功績がもとで貴族に召し上げられました。祖父が当時のヨゼフ国王と懇意であったと聞いています。私がメアリ様の婿候補になったのも、祖父の力が大きいのだと」

 アムレットとゼータは、芝生の広場を並んで歩く。広場の四隅には太い木製の柱が立てられており、柱を横断する紐には色とりどりの提灯がぶら下がっていた。そして提灯灯りの下には、休憩用の椅子とテーブルが並べられている。しかし祭りも佳境に差し掛かる今、テーブル席に空きはない。ここらで少し休憩を挟みたいものだと考えつつも、このままでは芝生に座り込む他なさそうだ。

「ドラキス王国に、貴族はいないのですよね?」
「いないですよ。生まれながらにして身分が優遇される者は存在しません。地方の集落に行けば、見た目や魔力量で個人に優劣が付くことはあるみたいですけれど。例えば巨人族は身体の大きい者が力を持つとされますし、妖精族や精霊族は使える魔法の種類によって集落内での立ち位置が決まります」
「人間社会で言えば、容姿や学歴に類するのでしょうか。持って生まれた才能や努力に応じて、社会の中で多少の優遇を受けることができますから」

 ふとゼータが思い出すのは魔導大学訪問時、馬車の中から垣間見た首都リモラの風景だ。色味のない建物が等間隔に立ち並ぶ、ポトスの街とは似ても似つかぬ街並みであった。しかし街を歩く人々の姿は、ポトスの街の人々と何ら変わりないように見えた。手を繋ぐ親と子がいて、肩を寄せ合う恋人達がいて、通りを駆ける少年達がいる。道の端に除け恭しく頭を下げる人の姿などなく、ふんぞり返る富者の姿もない。少なくともゼータの見ている限り、全ての民が平等と思われたのだ。アムレットの話す貴族制は、首都リモラの街並みにはそぐわない。

「私の所属する魔法研究所にも、ロシャ王国からやってきた研究員がいるんですよ。ほんの最近まで首都リモラに住んでいた人で、かなり込み入った話もする仲ですけれど、貴族制の話は聞いたことがないです」
「生まれた時から首都リモラに住んでいる者であれば、貴族制を意識する機会はないでしょう。首都リモラは、ロシャ王国の中では異質な町です。親の地位や生まれた土地で差別を受けることはありませんし、古臭い慣習とも無縁の土地です。逆に言えば、首都リモラ以外の土地には、未だに時代遅れの慣習が根付いています。貴族制はその最たる例です」
「時代遅れの慣習…とは?」
「貴族制に絡めて言えば、例えば集落の義塾では納入金に応じて講師の対応が変わります。莫大な納入金を収めることのできる子息子女は可愛がられますが、最低限の納入金しか収められない家の子は目に見えて冷遇されることもあります。また小規模集落では皆が互いの地位や職業を把握しておりますから、通りを歩くのも一苦労です。通りの向こうから目上の者が歩いてくれば、道端に除けて会釈をせねばなりませんから」
「…何だか、とても面倒ですね」
「面倒ですよ。だからと言って貴族の子息子女が恵まれているかと言われれば、そうでもない。貴族界には独自の規律があり、どんなに裕福な貴族の家でも規律を破れば爪弾き者です。例えば結婚は親の決めた相手とせねばなりませんし、婚前交渉も許されません。貴族同士の茶会やダンスパーティーには頻繁に参加せねばならず、弓道や馬術、茶道等の手習いは必須です。貴族であることに誇りを持ち、家督を継いで立派に家業を行う者ももちろんいます。しかし一方で厳しい規律から逃れたいと願う子息子女も多い。彼らは皆一様に夢を語るのです。将来は自らの手で事業を起こし、生家を離れ、首都リモラの街中で慎ましやかに暮らすのだと」

 生まれながらに身分に差のできる貴族制を、嫌う民は多い。貴族制の廃止は、数年に一度は要検討案件として国家の議題に上がる。しかしそれも国家の上層部で形ばかりの話し合いが行われて終わり。現実に貴族制の廃止が推し進められることはない。その理由は、貴族の存在が国家にとって重要であるからだ。貴族の収める税金は国家の重要財源であり、地方自治や領土防衛の面でも貴族に頼るところは大きい。また貴族の中には人徳者が多く、集落の中で人々の拠り所となっている場合も多い。
 アムレットの故郷は、10年ほど前に大規模な水害に見舞われた。その時はアムレットの生家を含む3つの貴族の屋敷が、客間を解放し被災者の受入れを行ったのだ。各集落には役人の属する村役場が置かれてはいるが、国の指示に従わねばならない村役場は災害時の初動が遅れがちだ。国庫に頼る以上物資の支援も十分とは言えない。困った時に頼るべくは役人よりも貴族、これは集落の常識である。
 こういった事情があるからこそ、貴族制の廃止は進まない。貴族が人々に頭を下げられるのは、それ相応の責務を果たしているからだ。貴族の家に生まれた事を、幸せとするか不幸せとするかは個人の生き方次第。国家にとって必要とされる地位である以上、例え古臭い慣習であっても守らぬわけにはいかない。そのようなことを、アムレットはつらつらと語った。

 アムレットの語りに耳を澄ませながら、ゼータはかつて出会った人々の顔を思い出す。外交使節団としてポトス城の王宮を訪れた人々、魔導大学で日常を共にしたメレン、デュー、イース、ルーメン。その他教養棟で挨拶を交わした数々の研究員。彼らの中にも、息苦しさから逃げて来た者がいたのだろうか。貴族の名の重圧に負け、生家を捨て、研究員としての新たな生を得た者がいたのだろうか。ともすればゼータを訪ねてやって来た、金の髪の男も。

 話が途切れ2人が黙り込んだ、その時だ。背後から人の悲鳴が聞こえてきた。慌てて振り返れば、近くの草むらに2人の女性が息を切らして座り込んでいる。まなじりに浮かぶ涙の粒を見るに、悲鳴を上げたのはその女性達で間違いなさそうだ。しかし不思議なことに、彼女達の周りに悲鳴の原因となりそうな暴漢や魔犬の類は見受けられない。
涙の粒を拭い、奇妙にも笑い声を立て始める女性達の後ろには大きな建物があった。廃材を組み上げたような不気味な風貌の建物で、床面積は広いが窓はまい。建物の一部、丁度2人の女性が座り込む傍には木製の扉があり、錆びた蝶番がきぃきぃと音を立てていた。はて一体この建物は何だ。考え込んでいたゼータは、やがてああ、と声を上げる。

「これ、化物屋敷です」
「化物屋敷?」
「小人族祭の名物なんです。私は入ったことはないですが、よくできていると聞きますよ」

 どうやら貴族制について話すうちに、芝生の広場を横断していたようだ。今2人のいる場所は、射的の天幕からは離れた広場の片隅。廃材を組み上げた不気味な建物は、提灯灯りの届かぬ広場の一角にひっそりと佇んでいた。しかし名物であるがゆえに、建物を訪れる客人は多い。先ほど2人の女性が飛び出してきた扉は化物屋敷の出口のようで、建物をぐるりと回った場所に入り口が設けられているのだ。「化物屋敷」と血文字の書かれた入り口には、すでに大勢の客人が列を成している。恐怖を提供する化物屋敷が開くのは日が暮れてからだ。射的の屋台を訪れた時はまだ夕刻であったが、歩きながら話すうちにすっかり暮夜。化物屋敷は、今まさに恐怖の幕開けをしたところなのだ。

 次々と人が消えていく化物屋敷の入口を、アムレットは興味深げに眺めていた。芝生の広場に悲鳴が轟き、出口の扉からは息乱す男女が躍り出てくる。

「…アムレット様、入りますか?」
「折角の機会です。入りましょう」

 ゼータの誘いに即答を返したアムレットは、颯爽と列の最後尾についた。ロシャ王国の次期国王は、下町の化物屋敷に興味津々といった様子だ。
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