【BL】齢1200の龍王と精を吸わないオタ淫魔

三崎こはく

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無垢と笑えよサイコパス

後日談:ハジメテ

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「ミコ様が楽しみでございますね」

 それはある暖かな日の午後のこと。レイバックの執務室で窓掃除に精を出しながら、カミラはご機嫌である。食後の眠気に耐えながら決裁書類に目を通していたレイバックは、何の話だとばかりに首を傾げるのだ。

「ミコ?来客の予定があったか?」
「何を仰います。御子様でございますよ。あなたとゼータ様の」

 まるで解らぬという様子のレイバックに、カミラは優しく言い直す。

「子ども、です」

 聞きなれた単語を耳にして、レイバックはようやくカミラの言葉の意味を理解した。そして激しく狼狽えた。分厚い書類の束が両手のひらから滑り落ち、緋色の絨毯にばさばさと音を立てて落ちる。

「いやいやいや!授かる予定はないぞ」
「何を仰います。未来のことなど誰にもわかりませんよ」
「いや、本当に。絶対に授からないんだ」
「…それは避妊をしているから、という意味でございすか?」
「避妊というか…そもそもゼータとはそういった行為をしていないから…」
「…はぁ」

 今度はカミラが、レイバックの言葉に理解が及ばぬという表情を浮かべる。

「そういった行為をしておられない?」
「していない」
「ただの一度も?」
「ただの一度も」
「結婚式から1年以上が経ちますが」
「そうだな…」

 余計なことを言ってしまったと、レイバックはカミラから視線を逸らした。カミラはしばらく無言でレイバックの横顔を見つめていたが、やがて大袈裟な悲鳴とともにふらふらと床に崩れ落ちた。悲劇の姫君を思わせる、見事な倒れっぷりである。

「愛し合う者同士が一つ屋根の下で暮らしているというのに、一度も身体を重ねておられない?信じられない…。外見はお若いというのに、性欲は老爺のように枯れ果てていらっしゃる」
「この歳で枯れ果ててたまるか!」

 一国の王を相手に散々な物言いだ。しかしカミラがそう言うのも仕方のないことだと、レイバックは居住まいを正す。午後の眠気など、とうに眩しい窓の外に飛んで行ってしまった。

「結婚したからといって、必ずしも身体を重ねる必要はない。互いに想い合い、身体を繋げずとも愛を伝える方法を心得ていればそれで十分だろう。俺達には俺達の距離感があるのだがら、外部からとやかく言われる筋合いはない」
「ではレイバック様とゼータ様は、互いに納得の上で身体を繋げずにいると?」
「そ…」

 レイバックは何かを言わんとして口を開き、結局何も言えずに黙り込む。この件について、ゼータとの間で明確な取り決めがなされているわけではない。夜伽に対する希望など、互いに伝えあった経験がないのだ。意図的に話題を避けていた、というのは少し違う。ただ機を逃してしまったのだ。

 もしレイバックとゼータが世間一般の「結婚の手順」を踏んでいれば、身体の触れ合いなど当たり前のように受け入れていたはずだ。しかし幸と言うべきか不幸と言うべきか、2人の馴れ初めは少々特殊であった。「恋心の自覚」「告白」「愛の育み」「求婚」「許諾」通常であれば数か月もしくは数年の時をかけるべきこれらの手順が、たった一晩の間に詰め込まれてしまったのだ。性急な求婚の弊害は、気持ちの変化が関係の変化に追いつかなかったこと。結婚に至るまでに育むべき愛情が、十分に育まれなかった。だから結婚関係に落ち着いた後も、適度な距離を保つ友人同士のような関係が続いてしまったのだ。
 現在の関係に不満はない。友人同士のような関係の中で、時たま思い出したように抱擁を求め口付けを交わす。それで十分満たされるのだ。その先を求め居心地の良い関係を崩してしまうことは何よりも恐ろしい。しかしこの複雑な感情を、2人の特殊な馴れ初めを知らないカミラにどうやって説明すればよい。今レイバックを見据える古株の侍女は、レイバックとゼータの結婚が十分に愛を育んだ結末と信じて疑わないのだ。

「レイバック様、今夜ゼータ様と腹を割って話し合いをなさいませ」

 レイバックの沈黙を、カミラは自身の都合の良いように解釈したようだ。老女とは思えぬ強圧的な声色に、レイバックは思わず息を呑む。

「話し合いって…何をだ」
「致すか、致さぬかに決まっておりましょう。お二人が納得の上で純潔な関係を続けるというのであれば、私はもう何も言うますまい。金輪際御子だの、子どもだのという言葉は口に致しませんよ。しかしもしゼータ様が身体の触れ合いを望んでおられるとしたら、レイバック様の腕に抱かれたいと考えながらもそれを口にできずにいるとなれば、余りにも気の毒でありましょう。長い付き合いであっても、人の心を知る方法などないのです。愛を伝えていれば十分などと決めつけずに、一度真正面から向き合ってお話をなさいませ」

 レイバックがどぎまぎと返答に窮しているうちに、カミラは留めの一言を放った。

「寝所でのすれ違いは、拗れれば離婚に至ります」

***

 ゼータは軽い足取りで、「歓談の間」へと続く扉を開けた。
 歓談の間は王の寝室である王の間と、王妃の寝室である王妃の間の中間部に位置する部屋だ。扉を隔てて双方の寝室へと繋がっており、王と王妃の語らいの場として設けられた部屋である。部屋自体の造りは広くはなく、置かれている調度品は小ぶりのソファと小さなテーブルだけ。質素な部屋でありながらも殺風景な印象を受けないのは、少ない調度品で趣を演出すべく侍女らが趣向を凝らしているためだ。例えば小さなテーブルの上には摺りガラスの花瓶が置かれ、ラベンダーの乾燥花が柔らかな芳香を放つ。絨毯とカーテン、ソファの色合いは暖色系で統一がされており、壁に掛けられた野原の絵画が良い差し色となっている。窓を開けば心地の良いそよ風が流れ込み、夜分であれば涼やかな虫の音が耳に届く。寛ぎの場としては最適となるように、各種趣向が凝らされた部屋であることに間違いはない。

 ゼータが扉をくぐり抜けたとき、歓談の間にはすでに先客がいた。2人掛けのソファの背もたれに、重力に逆らう緋色の髪が埋もれている。

「レイ、こんばんは。来ましたよ」
「ん、座れ」

 ソファの片端を指さされ、ゼータは大人しくその場所に腰を下ろす。

「珍しいですね。改まって話があるだなんて。何か問題でも起こりました?」

 ときはすでに夜分。王宮で働く官吏らも、カミラを含む侍女らも、皆白の街に帰り各々の時を過ごしている時間だ。ゼータとて、いつもであれば王妃の間にこもり一人読書に勤しんでいる頃である。
 そのような時間帯にゼータが歓談の間へと足を踏み入れたのは、他でもないレイバックに呼び出されたためだ。夕方、突如として王妃の間にやって来たレイバックは、黙々と夕食を取るゼータに向けてこう言い放った。
―今夜10時、寝支度を済ませて歓談の間に来るように。大切な話がある

 話ならこの場で済ませてしまえば良いのに。そう思いながらもゼータが大人しく要望を飲んだのは、王妃の間を訪れたレイバックが厳粛たる雰囲気をまとっていたためだ。呑気に食事をしながら話せるような内容ではない。レイバックの表情は暗にそう告げており、ゼータは余計な発話はせずに黙って首を縦に振るに留めたのである。そうしてレイバックの言葉通りすっかり寝支度を済ませたゼータは、並々ならぬ緊張感とともに歓談の間に足を踏み入れた。座れとの指示に応じ、レイバックの真横に静かに腰を下ろしたところである。

「問題…か。確かに厄介な問題を抱えている」
「やっぱり?仕事上の問題ですか」
「いや、私生活上の問題だ」
「へぇ…私生活上の問題で私に相談を?力になれる内容なら良いですけれど」

 身が引き締まる思いで、ゼータは背筋をぴんと伸ばす。レイバックは咳払いを一つして、ゆっくりとした調子で語り出す。

「実は今日、カミラにミコが楽しみだと言われてな」
「ミコ?すみません、どなたでしたっけ」
「子どもだ」
「子ども…。ああ、もしかしてキメラの?そういえば何日か前にカミラに話しましたね。魔法研究所のキメラが近々出産を控えていると」
「いや…子どもは子どもでも、キメラの子どもではなくて…」
「では誰の?」
「…俺とゼータの子どもだ」
「はぁ」

 ゼータは背筋を伸ばしたまま、レイバックの言葉の意味を考えた。難解な言語だ。聞きなれた単語の羅列であるはずなのに、その言葉の意味が全くと言って良いほどわからない。じっと考え込むうちに、ゼータは目の前にある摺りガラスの花瓶へと目を留める。不思議な色合いの花瓶だ。ころりとした球体の花瓶は上半分が黄色で、下半分は橙に近い赤色。黄色と赤色の境界は美味い具合にぼかされていて、まるで暮れなずむ夕日を移したような色合いなのだ。加えて花瓶に差し込まれているのは、鮮やかな紫色のラベンダー。歓談の間の一角にある小さな花瓶は、紫紺の空と燃え盛る夕陽をものの見事に表現していた。一体誰の作品であろうか、とゼータは思う。カミラは有能な侍女であるが、実益の伴わない装飾品の選出は苦手としているのだ。例えば歓談の間にラベンダーを置いた者がカミラであるのなら、花瓶の色には無難な白色が選ばれるはずなのである。滑らかな陶磁器の花瓶に生けられた、ラベンダーの乾燥花。悪くはないが、特段人の目に留まることもない。
 一方で今ゼータの目の前にある花瓶は明らかに人の目を惹く。差し込まれたラベンダーと一体になり、夕焼けを思わせる一つの作品として完成されているのだ。美しい夕焼けは人を立ち止まらせる。それと同様に、夕陽の花瓶は人目を奪い通常の思考を鈍らせるのだ。今ゼータの思考がぐるぐる回る渦の中にいるのは、夕陽の花瓶を目前にしたためか。それとも不可解な単語の羅列を耳にしたためか。

「ゼータ、聞いているか?」

 目の前に、夕陽と同じ緋色の瞳が現れた。不安げな表情のレイバックが、ゼータの顔を覗き込んでいる。ぱちぱちと瞬く夕陽色の瞳を数秒覗き込んで、ゼータはようやく正常な思考を取り戻した。

「聞いています、聞いていますよ。私とレイの子どもですよね。それで、カミラには何と返したんですか?」
「授かる予定がないと言ったさ。そもそも子を授かるような行為をしていないから」
「まぁ…その通りですね」
「俺達には俺達の距離感がある、とカミラに説明はしたんだ。そうしたら、その距離感は互いに納得の上のものなのかと問われてな。その…この件に関して明確な話し合いはしていないだろう」
「まぁ…していないですね」
「腹を割って話し合いをしろと言われたんだ。互いに納得の上の関係ならばよいが、寝所でのすれ違いは拗れれば離婚に繋がるからと…。長い付き合いであっても人の心を知る方法はないのだと…。確かにその通りだと思い至ってだな」
「はぁ…」

 大層居心地が悪いというように、レイバックはもぞもぞと尻を動かした。小さなソファの座面が小刻みに揺れ、ゼータの身体も左右に揺らぐ。2つの肩は音もなくぶつかり合う。

「…どう思う」
「どう…とは」
「だから…子どもができるような行為を致すか、致さないかということで…」

 ゼータは顎に手を当て、考え込む。致す、致さないの判断を下すことは簡単だ。しかし熟考なしにどちらと判断を下すことは危険である。性の問題は、単純に見えても非常にデリケートなのだ。一度意見が食い違えば、確執が根強く残る可能性もある。注意すべきはレイバックが当件に関してまだ自身の意見を述べていないという点だ。ゼータとの目合(まぐわ)いを望むか、否か。レイバックの立場を明らかにしないことには、ゼータはいかんとも答えを返しようがない。

「参考までに、レイはどうしたいんですか?」
「正直言えば今すぐ抱きたい」

 見事なまでの即答である。

「身体を繋げずとも愛を伝える方法を心得ていればそれで十分、などと格好良いことを言ったがな。そんなわけがあるか。したいに決まっているだろうが。好きで結婚したんだぞ。勘違いしてもらっては困るが、現状に不満があるわけではない。口付けと抱擁で十分満たされてはいる。しかしもっと深いところで繋がりたいと思うこともまた事実。おかしくなんかないだろ?ドラゴンの血が混じっているとはいえ、俺だって生物学上の雄だ」
「おかしくはないですよ。雄の気持ちは私にもよくわかります」
「だが一度身体を繋げれば、現在の関係が壊れてしまわないだろうかという懸念はある。千余年、友人として仲良くやってきたじゃないか。その関係がなくなるのも嫌なんだ。わがままな願いだという自覚はあるが、俺にとっては友人のゼータも妃のゼータも必要なんだよ」

 情けない声音でそう告げたかと思うと、レイバックはゼータの身体を力任せに抱き込んだ。屈強な男に予告なく抱き込まれたゼータは、肺を潰され痛みに呻く。必死の形相で身体を捩り、どうにか話をするに足るだけの呼吸を確保するのだ。

「レイがそこまで悩んでいるとは思い至りませんでした。夜伽に関しては、私の方からお誘いを掛けようかと思ったことは何度かあるんですよ。でもほら、ドラゴンの繁殖形態は人とは違うじゃないですか。繁殖期があるとも言われていますしね。もし繁殖期以外での生殖行動が不可能だったらどうしよう、と変に勘繰ってしまったんです。私がお誘いを掛けて、レイが生体構造的にそれに応じられないとなると、気まずい雰囲気になってしまうじゃないですか。それでこの件に関しては、レイの出方を伺おうと思っていたんです」

 息も絶え絶えにそう伝えれば、レイバックは目の玉が零れ落ちんばかりの表情だ。半開きの唇は、信じられない事実を聞いたとばかりにふるふると震えている。

「つまりゼータは、ずっと俺としたいと思っていたのか?」
「私だって人の子です。人並みの肉欲はありますよ。好いた男が常時傍にいれば尚更です」

 レイバックがゼータの顎に指先を掛けたのは、ゼータが言葉を終えるのとほぼ同時であった。唇が触れ合う。いや、一方的にかじり付いたというのが正しい表現であろうか。ゼータの腰を力強く抱き込んだまま、レイバックは柔らかな唇を貪り尽くす。下唇を吸い上げ、舌先を絡め合い、上下の歯列を執拗になぞる。どれだけ唾液を交わしてもまだ足りない。先の触れ合いを求めるようにして、レイバックは腰を抱く手のひらに力を込める。名残惜しげに唇を放し、吐息のかかる距離で囁く。

「本当に良いんだな?」
「駄目です」

 予想だにせぬ否。レイバックはソファの座面から転がり落ちた。

「い、今の流れで断るか!?普通」
「明日からキメラの毛刈りを手伝う予定なんですよ。毛刈りはキメラ棟の一大行事ですからね。逃げるキメラを追い回す場面もありますし、足腰立たなくては皆に迷惑が掛かります」

 淡々とそう告げると、ゼータはすっくと立ちあがった。橙色の絨毯に倒れ伏すレイバックを一瞥し、軽快な足取りで王妃の間へと続く扉を目指す。

「公休日の前日にしましょう。翌日に疲れを残しても、一日寝ていれば済みますから。駄目とは言わせませんよ。手合わせには万全の状態で臨みたいんです。記念すべき初手合わせですからね。無様な姿を晒すわけにはいきません。色々と準備も必要なんですよ」
「準備…とは…」
「身体の準備とか心の準備とか、色々ですよ。なんたって私、処女ですから」

 超弩級の置き土産を残し、ゼータは扉の向こうへと消えた。
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