【BL】齢1200の龍王と精を吸わないオタ淫魔

三崎こはく

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無垢と笑えよサイコパス

爆弾魔デュー

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「レイさん、喧嘩の原因はやっぱりゼータさんのことですか?魔導大学入学を勧めているって?」

 食堂の一角で、メレンが声を潜めて聞いた。串団子の三男として喧嘩の現場を目撃したメレンは、先ほどからずっと不安の面持ちだ。目の前に置かれたカレーライスはまだ3口程度しか減っていない。メレンの正面に座るレイバックは、大盛りの丼鉢をつつきながら言う。

「否定しなったところを見るに、そうなんだろうな」

 そうですか、とメレンは呟く。

「何々?何の話ですか?」

 興味津々といった様子で聞き返す者はデューだ。いつもフランシスカに張り付いているデューであるが、今日は珍しく単身だ。メレンの横席に腰を下ろして、メレンの倍量はあるカレーライスを次から次へと口に運んでいる。彼が珍しくもレイバックらと昼食を共にしているのは、先ほど廊下で起きた騒動を気に掛けているからだ。不謹慎は承知ながらも喧嘩の原因が知りたくて仕方がない、デューの顔にはありありとそう書かれている。
 事の説明は、不貞腐れたレイバックに変わりビットが行った。レイバックへと頻繁に視線を送りながら慎重に言葉を選ぶ様は、普段の傍若無人のビットからはおよそ想像がつかぬ姿だ。彼とて獣の血が流れる者、猛る強者は恐ろしいのである。

 「クリスはゼータに魔導大学入学を勧めている」と想像するに至った経緯を、ビットは掻い摘んで説明した。最大限言葉を選んだ説明にレイバックは言葉を挟まず、説明を終えたビットは安堵の表情だ。長話の間に幾ばくか平穏を取り戻しつつあった場は、しかし続くデューの言葉により再び戦慄の雰囲気となるのである。

「確かに可能性は高いですね。クリスさん、ゼータさんのこと大好きみたいだし」
「だ、だ、大好き!?」

 上ずる声はビットのものだ。激しい動揺に、丼鉢から掬い上げた米粒がほたほたとテーブルに落ちる。ビットの横では、レイバックが鈍器で頭部を強かに殴られたような顔をしているが、凍り付く空気にデューが気付く様子はない。

「デュー…あの、大好きの根拠は…?」

 目を剥き頬を引きつらせ、哀れに声を震わせたビットが聞く。

「だってクリスさん、ゼータさんのことを研究室に招待したんでしょう?俺クリスさんとは結構仲良しだと自負していますけれど、研究室にお呼ばれした経験はないですよ。あの人交友関係は広いけど、私生活と仕事には一線を引いているんです。どんなに仲の良い友人にも研究内容は語らないし、自身の研究室には不用意に人を立ち入らせない。結構徹底している印象がありますよ。そこにたった数日の付き合いのゼータさんを招き入れたなんて、異常事態。大好きどころか惚れているんじゃない」
「いやいやいやいや…何言っているのさ。ゼータさんを招いたのは魔導人形の件があるからでしょ?別に惚れているとかじゃ…」
「ビットさんこそ、何言っているんですか?魔導人形の一件がいい証拠じゃないですか。ゼータさんと喧嘩したとき、クリスさん随分としょげていましたよ。制作中止は僕のせいじゃないのに、って。それでうじうじ拗ねていると思ったら、次の瞬間には必死の形相で俺の手を握るんですよ。教授に直談判して、どうにか等身大魔導人形の制作を認めてもらえないかってさ。そのとき俺は思いましたよね。こりゃゼータさんに惚れたかなって」

 デューの語りに、レイバックはさらに2,3発鈍器の殴打を受けたような表情だ。このまま放置すれば、レイバックの怒りがデューに向かいかねない。氷点下の温感となった場に、ビットの乾いた笑い声が響く。

「デューは冗談きついなぁ。ゼータさんが既婚者なの知っているでしょ?お二人は日頃から大層仲睦まじい様子でいらっしゃるのに、出張先で惚れた腫れたの騒ぎに巻き込まれるとかね。このお話がお相手の方の耳に入ったらどうしようかと、僕の心中は不安でいっぱい」
「ビットさん大丈夫ですか?言動がおかしいですよ」

 壊れたからくり人形のように笑い続けるビットに、デューは奇異の面持ちを向けた。

「…まぁ惚れたというのは誇張ですけどね。クリスさんがゼータさんに入れ込んでいるのは間違いないでしょ。魔導大学移籍は現実味ありますよね。クリスさん怖いくらいに口達者だし、ゼータさん上手く丸め込まれちゃうんじゃないの」

 爆弾回収に続き更なる爆弾の投下。これ以上爆弾魔に爆弾を撒き散らかされては不味いと、ビットは努めて明るい声を出した。爆破による悲惨な被害を防ぐためには、強引に話題を変える他にない。

「そういえばさぁ!クリスさんって何学部なの?デューは工学部でメレンちゃんは魔獣学部、イースさんは農学部でルーメンさんは薬学部だよね。僕、クリスさんの学部だけ知らないんだよ」
「クリスさんは理学部ですよ。専攻は忘れました」
「そうなんだ。理学部の研究棟はどこ?」
「博物館の裏手に本館がありますよ。メインストリートからは見えませんけれど。クリスさんの研究棟は本館の4階だったかなぁ。忘れ物を届けに、何度かお邪魔した経験があります」

 ビットの尽力により無難な会話に花が咲いたところで、長らく中断していた食事が再開した。食器のぶつかり合う音が響く。正午を超えた今食堂には徐々に人が増え始め、話す声は周囲の喧騒に飲み込まれてしまいそうだ。

「クリスさん、3か月前にくらいに研究室を移っていますよ。何でも特別な仕事を任されたとかで」

 食事の合間のメレンの言葉に、デューが相槌を打つ。

「あ、そうなんですか。本館にはいないんですかね?」
「いないと思います。私も正確な場所は教えてもらっていないですけれど、別館だとか別棟だという言い方をしていましたから」

 別棟?と声を上げた者はレイバックだ。ゼータ救出に繋がる重要な情報の提供に、不機嫌の表情は剥がれて落ちる。レイバックの表情の変化に気付いているのかいないのか、デューはスプーンを手に言葉を続けるのだ。

「魔獣学部や薬学部は研究員の在籍人数が少ないから、一つの研究棟に全ての研究室が収まっているんです。でも工学部、農学部、理学部はマンモス学部で、一つの学部の研究員数が数百人に及びます。一つの研究棟では全ての研究室を収められるはずもなく、別棟をいくつも抱えているんですよ。工学部では本館の付近に10に近い別棟がありますよ」
「別棟を含め、どの研究室に誰がいるというのは皆に周知されるのか?」
「されないですねぇ。過去に『研究室一覧表』なる冊子が配布されていた時期はあるみたいですけれどね。論文の盗用や研究室荒らしが流行った時期があって、廃止になったと聞いています。魔導大学の研究職は待遇も良いけれど、その分審査も厳しくって。3年間目立った功績を残せないと除籍の対象になるんです。だから毎年審査の直前になると、他人の研究内容に手を出そうとする不埒な輩が少なからずいるんですよ」
「そうなのか…物騒だな」
「物騒ですよ。だから防犯面を考慮して、研究棟の入口にも建物の内部地図はないんです。他人の研究室を訪れるときは大変ですよ。見知った研究員でしたら研究室の場所は大体把握していますけれど、そうじゃなかったら手あたり次第扉を開けるか、研究室の場所を知っている人を探さないといけませんからね」

 デューの語りに耳を澄ますうちに、レイバックは随分と落ち着きを取り戻したようだ。半量ほどに減った丼鉢の中にスプーンを置き、正面に座るデューへと顔を寄せる。クリスと同じ研究員寮に寝起きするとともに、自称「クリスさんとは結構仲良し」のデューだ。膠着状態の現状を打破する有益な情報を提供してくれる可能性は十分にある。

「デュー。クリスの研究室がどこにあるのか知る手段はあるか?魔導大学入学云々は抜きにしても、ゼータの居場所が分からないというのは不安なんだ。ほら、俺は一応今回の旅路の引率者だろう。今ゼータが戻らない分には誰にも迷惑は掛からないが、帰国は3日後に迫っている。馬車の手配はすでに済んでいることだし、集合が遅れることがあっては困るんだ。いざとなれば迎えに出向かねばなるまい」

 すっかりいつもの調子となったレイバックの問いに、そうですねぇ、とデューは唸る。

「クリスさん本人に聞いても教えてもらえなかったんですよね?」
「何度か聞いたが頑なに口を割らんな」
「なら理学部在籍の研究員に声を掛けて知っている人を探すか…あまり現実的ではないですけどね。本館にいるならまだしも、クリスさんがいるのは別棟という話でしょう。別棟って学部の中でも少し特殊な立ち位置なんですよね。俺、工学部棟の別棟にどれだけの研究室があって、誰が在籍しているかなんてまるで知りませんよ」

 スプーンにカレーをのせたまま、メレンが会話に口を挟む。

「警備員室で聞けば良いんじゃないですか?」
「いやぁー…教えてくれないでしょ。今警備員室も情報漏洩には大分気を遣っていますよ」

 警備員室とは?レイバックの無言の問いに、デューは口に運びかけたスプーンを皿の淵へと置く。他の3人がすでに食事を終えようとしているというのに、デューの皿にはまだ半分以上のカレーライスが残っている。本日の会話の中心人物となっているだけに、中々食事が進まないのだ。当の本人は食事の遅れを気に掛けた様子もなく、またつらつらと説明を続ける。

「研究棟の入口にはもれなく警備員室があるんですよ。研究棟内に立ち入る人は、警備員室前で身分証を提示しないといけないんです。建物の施錠確認や夜間巡回は警備員の仕事ですからね。彼らは学部内の研究室の場所や研究員の顔を把握しています。別棟も学部の所属であることに違いはないですし、確かに警備員室ではクリスさんの研究室の場所を知っているとは思いますけれど…」
「聞いても教えてはくれないのか?」
「教えてくれないと思いますよ。建物内の案内板を取り外したのも、研究室一覧表を廃止したのも全部防犯目的ですよ。警備員室で気軽に研究室の場所を教えていたら防犯も何もあったもんじゃないです」
「…確かにそうだ」
「俺がクリスさんの忘れ物を届けに理学部棟に行ったときも、えらく苦労しましたよ。警備員室で事情を説明しても、規則だからの一点張りで研究室の場所を教えてくれないんです。結局研究棟の入口に居座って、出入りする研究員に手あたり次第に尋ねたんです。クリスさん、そのときはまだ本館に在籍していましたからね。幸いすぐ知り合いという人物に行き会って、研究室まで案内してもらいました」

 人の出入りの多い本館に研究室を構えていれば、研究室の場所を探し当てることはさほど難しくはない。しかし問題のクリスは現在別棟に研究室を置き、メレン曰く研究室を移転したのはつい3か月前のことだという。人伝に研究室を探し当てることが不可能だとは言わないが、理学部棟に出入りする研究員の総数を考えれば、目的の人物に行き当たる可能性は薄いように思われた。ただでさえ帰国日に至るまでの日程には講義が詰まっており、理学部棟に赴く時間はわずかしかないのである。それに他国からの視察員であるレイバックが教養棟の外に出るためには、相方であるイースの同行が必要になる。首都リモラの街中に家族を持つイースが、講義時間外に気安く研究室探しに付き合ってくれるとも思えない。
 さらに悪いことに、レイバックとクリスの喧嘩現場を目的して以降イースはひどくご機嫌斜めなのだ。2人の息子を育てるイースは、同年代のクリスが胸倉を掴まれる様子に不快感を覚えたようである。昼食はレイバックとビット、メレンと共にするのが常であるというのに、今日ばかりはカシワギとルーメンの傍に身を置いていた。そこにフランシスカも加わり、レイバックらとは離れた席で会話に盛り上がりを見せている。
 イースと仲違いを起こしてしまった以上、クリスの研究室探しに協力してくれとは言いにくい。ならば今頼るべきはデューであると、レイバックも懸命だ。

「クリスは研究員寮で生活しているんだろう。寮生の中で知っている人物はいないだろうか?」
「今夜でよければ、寮に戻ったときにそれとなく聞いてみますけど…でもあまり期待はしないでくださいよ。さっきも言いましたけどクリスさん、研究と私生活には一線を引いていますからね。恋人に教えていない情報を、簡単に寮生に教えるとも思えないし」

 何とない言葉の中に不可解な単語が混じる。レイバックとビットは同時に小首を傾げた。

「恋人?」
「恋人…?」

 呟く2人の視線は宙を彷徨い、目の前の女性へと留まる。小さな口にカレーライスを頬張るメレンだ。レイバックとビットがクリスの「恋人」であるはずはなく、話を持ち出したデューがそうであるはずもない。ならば必然的にクリスの「恋人」はメレンであるということになるのだ。しかし当のメレンはどうやら話の流れを理解していないらしく、呑気な咀嚼を繰り返している。

「あれ?メレンさん、クリスさんと付き合っているんじゃないんですか?」

 爆弾魔デューは、ここにきて過去最大級の爆弾を投下した。この爆弾により一番の被害を受けた者は、もちろんメレンに想いを寄せるビットだ。銀のスプーンが手のひらから落ち、床の上でからからと音を立てる。頬張っていた丼飯は口内から零れて落ちて、テーブルの上に散らばった。狼を思わせる眼は極限まで見開かれて、米粒に塗れた唇からは絶望に満ちた声が吐き出される。

「付き…付き合…付き合っている…?メレンちゃんとクリスさんが…?」

 世界滅亡同然のビットの表情を目の当たりにして、メレンはようやく話の流れを掴み取ったようだ。艶やかな頬は途端に朱の色を帯びる。

「付き合っていませんよ!何でそんな話になるんですか!?」
「だってよく一緒にご飯食べていますよね。魔導大学内の食堂だけじゃなくて、リモラ駅の飲食店でも目撃情報が上がっていますけど。クリス王子がメレン妃と共に夕餉を召し上がられていたって」
「お付き合いを疑われるほどご一緒していませんよ!せいぜい月に1回くらいですって」
「でも2人きりで食事をするということは、お互い多少なりとも好意はあるんじゃないの?メレンさんにその気がなくても、クリスさんはデートのつもりかもしれませんよ。まだお付き合いに至っていないにしても、虎視眈々と告白の時を狙っているのかも」

 メレンとデューが論争を繰り広げる横で、ビットの顔色はといえば赤くなったり青くなったり白くなったり鮮やかなものである。しかし「メレンとクリスはお付き合いをしていない」という事実はひとまず心中に収めたようで、やがて顔色は平常時に落ち着いた。その頃には爆弾魔ディーに翻弄されていたメレンも、落ち着きを取り戻したようである。

「違う違う、そういんじゃないってば。クリスさんは推薦者として私を気に掛けてくれているだけ。恋愛感情とかお付き合いとか告白とか、そんなんじゃないんです。本当に」

 メレンの使用した特別推薦枠という入学方法には、魔導大学在籍の研究員3人の推薦状が必要となる。身元の保証された研究員の推薦状と引き換えに、難関とされる入学試験が免除されるのだ。しかし面接試験を突破すれば晴れて魔導大学の一員となれる手軽さの一方で、特別推薦入試の利用者は年間1,2人に留まっている。その理由は推薦者と被推薦者双方に不利益が生じる可能性があるからだ。推薦を受けたという立場上、被推薦者である研究員は一般入試で入学した研究員よりも高い評価を求められる。同時に推薦者である3人の研究員は、被推薦者の素行に関して一定の責任を負うことになるのだ。被推薦者が不祥事を起こせば連帯責任として免職になる可能性もあるし、研究成果を残せなければ推薦責任を問われることになる。もちろん被推薦者が功績を残せばそれが推薦者の功績にも繋がるわけであるが、リスクを避けるのは人の常だ。リスクを負って特別推薦入試を選ぶくらいなら、勉学に励み一般入試を受けた方が確実だ。
 つまりメレンの推薦者であるクリスは、魔導大学内においてメレンの後見人とも呼ぶべき立場なのである。メレンの生活や研究の進捗状況を気に掛けるのは当然であるのだ。ゆえにクリスは月に一度はメレンを呼び出し、食事の傍ら雑談に応じている。食事以外にも2人でリモラ駅の書店を巡ることもあるが、目的はあくまで研究に役立つ書物を探すため。話す内容ももっぱらメレンの研究内容に関わることばかりで、それをデートと評しては世の恋人達に申し訳が立たぬ。
 以上がたどたどしく語られるメレンの主張である。

「クリスさんは私のこと、ただの後輩としか思っていませんよ。私だってクリスさんと付き合いたいだとか、そんな風に考えたことはありません」

 メレンは熱を持った顔を手のひらで仰ぐ。デューは溜息交じりに頬杖だ。

「まぁ、そんなことだろうとは思いましたけどね。クリスさんがゼータさんに惚れているって話をしたときに、メレンさん顔色一つ変えなかったじゃないですか。俺の冗談なんて物ともしないくらい熱々なのかとも考えましたけど、現実はこんなもんですよね。つまんね」

 どうやら爆弾魔は、質の悪い愉快犯であったようだ。ここまで見事に「お前とクリスの関係は面白みに欠ける」と言い放たれてしまえば、怒る気力も削がれるようだ。メレンは皿に残るカレーライスを綺麗にさらうばかりであった。溜息を重ねつつ食事を再開するデューの真横を、足元をふらつかせたビットが通り過ぎる。「コーヒー持ってきます」そう言うビットの顔には疲れが滲んでいた。想い人メレンに恋人がいるやもしれぬ、という話題は、冗談であるにしても衝撃が強すぎたのだ。
 人波の中にビットの背を眺めながら、デューは周りに聞こえぬようにと声を潜めた。

「メレンさん。正直なところさ、ビットさんは恋人として有りなの?」
「こ、恋人って。私、ビットさんに告白も何もされていませんよ」
「あれだけ露骨な好意を向けられておいて何言っているんですか?無邪気な青年を邪険に扱えない気持ちはわかりますけれど、恋人にする気がないなら曖昧な態度はとらない方が賢明ですよ」
「そんなことを言われても…ビットさんとはまだ10日足らずの付き合いですよ」
「10日もあれば人となりを把握するには十分でしょ。どうなの、有り?無し?」
「無し…とは言わないですけれど、好みのタイプかと言われるとそうでもないし…」
「あ、そうなんだ。じゃあ参考までに、メレンさんの好みのタイプは?」

 メレンは今日一番気恥しそうに、呟いた。

「…ルーメンさん」

 レイバックとデューは顔を見合わせた。2人の脳裏に浮かぶのは、老紳士の代名詞であるルーメンの姿だ。丁度そのとき、コーヒーカップを手にしたビットが席に戻ってきた。「ついでに甘味を貰ってきましたよ、皆で食べましょう。メレンちゃん、食堂の大福好きだったよねぇ」そう笑うビットは飼い主に擦り寄る子猫そのもので、メレンの求める紳士像とは程遠い。
 ビットの恋、成就までの道のりは長そうだ。
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