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無垢と笑えよサイコパス
魔導具
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歓迎会の翌日、早朝。教養棟の玄関口に集合した5人の視察員と5人の研究員は、肩を並べて目的地へと向かっていた。のんびりと歩き辿り着いた場所は、工学部棟の本館に隣接する灰色の建物だ。箱形の建物にはいくつかの小さな窓と、シャッター式の出入り口がついている。
先頭を歩いていたデューが、道に面したシャッター式の扉を開ける。のっぺりとしていて特徴に欠ける外見とは裏腹に、建物の内部は雑多とした様子であった。壁にはたくさんの工具が掛けられ、床には木くずや鉄片が散らばっている。どうやらここは物造りをするための倉庫のようだ。散らばった木片を足先で除けながら、デューは倉庫の奥へと進む。
「散らかっていてすみません。ここは工学部棟の研究員共有の倉庫なので、ほぼ毎日のように人が出入りするんです。大型の制作を行うとすぐに汚くなっちゃうんですよ。一応、一週間前に片付けたんですけれどね」
そう説明をするデューは、倉庫の一角で足を止めた。足の踏み場もないほどに散らかった倉庫の中で、その一角だけは比較的綺麗に整頓されている。壁際に置かれた木箱の中には、様々な形状に削られた木材。さらにノコギリやナタといった工具、彩色に使うための絵具と筆、釘や蝶番が一抱えもある木箱の中に押し込められている。本日の予定は「思念操作魔導力人形」と呼ばれる魔導具の制作。またの名を「魔導人形」と呼ばれるその人形は、かつてロシャ王国の外交使節団がドラキス王国の王宮へと持ち込んだ。ゼータとレイバックにとっては懐かしい品だ。
「皆様お揃いでしょうか。事前にお伝えしている通り、本日は魔導人形と呼ばれる魔導具の制作にあたります。説明担当は私、魔導大学工学部魔導工学科魔導機械専攻博士課程4年目のデューです。どうぞよろしく」
恭しく述べられる自己紹介に、9人の観客からはまばらの拍手が巻き起こる。拍手をしながら「マドウキカイセンコウハカセカテイ…?」とたどたどしく呟く者はビットであった。
「まず魔導人形の構造について簡単に説明しましょう。魔導人形とは、人の意志に従い単純な動作を行う木製人形の総称です。魔導大学では人型が主として制作されていますが、動物や昆虫の形での制作も可能です。今日は一人一体自由に魔導人形を制作していただきますから、今の内に何の形にするか考えておいてください。制作時間は本日限りですから、あまり複雑な形はお勧めしません」
デューは壁際に寄せられた木箱の一つから木製の人形を取り出し、床に置いた。初めは人型、それから兎、馬、孔雀、芋虫。多種多様な構造の魔導人形が石造りの床に並ぶ。一通りの魔導人形を並べ終えたデューは、その内の一つ、人型の人形を両手で抱え上げた。膝丈ほどの大きさの魔導人形は軽々と持ち上げられる。
「木製の人形とお伝えしましたが、使用する木材はただの木材ではありません。動力が隅々まで行き渡るようにと特殊な加工が施された木材です。この特殊な加工については現段階では視察員の皆様にお教えすることはできません。魔導人形が共同開発の品目の一つとして正式に認められた後の教授となりますので、ご容赦を。木箱の中身は全て加工済みの木材ですから、どれを使っていただいても構いません」
視察員5人が頷いたことを確認し、デューは抱え上げた魔導人形の胸元に指先を掛けた。人形の胴体前面には小さな扉が付いており、デューの指先が扉を開くと、内部には親指先大の水晶玉が収められている。デューは人形の胴体からその水晶玉を引き抜き、皆の前に掲げる。
「続いて動力源の説明に移りましょう。魔族の皆様との共同開発が検討されているということで、見当が付いている方もおられるのではないかと存じますが、魔導人形の動力源は魔力です。この水晶玉―魔溜晶は大きさに応じて一定の魔力を蓄える性質を有しています。魔溜晶を内部に組み込むことにより、魔導人形は魔力を原動力として自由自在に動かすことが可能になるのです」
皆が見守る中で、デューは魔導人形の胸部に魔溜晶をはめ込んだ。指先で小さな扉を閉め、人形を再び石床へと横たえる。
「起き上がれ」
ぐったりと寝そべった魔導人形は、デューの言葉に即座に反応を示した。小さな手のひらを床に付き、上体を起こす。それから球体の膝を折り曲げて立ち上がる。
「歩け」
続く命令で、魔導人形は滑らかな歩行を開始した。視察員の間からは歓声があがる。一番の歓声を上げている者は、以前にルナの姿で同じ光景を見ているはずのゼータである。倉庫の奥側へと向かって歩いてゆく魔導人形と、満面の笑みのゼータを交互に眺めながら、レイバックは思うのであった。幸せな奴め。
「細かい作業内容は、実際に制作にあたりながら説明します。分からないことがあったら遠慮せず聞いてください。視察員の皆様には一人一つ魔導人形を作っていただきますが、相方の研究員は各々の判断にお任せします。補助に回っても構いませんし、余力があれば制作を行われても構いませんよ。では、開始」
デューの合図で、視察員と研究員はわらわらと動いた。木箱から好みの木材を物色する者もいれば、何型の人形をこしらえようかと相方と話し合う者もいる。そんな中、歩行を終えたばかりの魔導人形をまじまじと見つめる者はゼータだ。隣にはクリスが立っている。
「クリス。この人形の間接はどういう構造になっているんですか?」
「腕や脚部分の木材は筒状になっていて、中にゴム紐を通してある。完全に接着してしまうと関節が自由に動かなくなるからね。遊びを持たせて、ゴム紐の伸び縮みで関節の曲げ伸ばしを可能にしているんだ。」
「ふーん…」
ゼータが人形の腕を軽く引っ張ると、確かに上腕と前腕に相当する木材は筒状にくり抜かれていた。筒の内部には太いゴム紐が通してある。小さな指先にもやはり1本1本に細いゴム紐が通されており、自由な稼働が可能となっていた。作るのに時間はかかるが、決して複雑な構造というわけではない。「よし」と呟き、ゼータは意気揚々と木材の確保に向かった。
***
制作開始の合図から30分が経ち、5人の視察員と5人の研究員は魔道具作りの真っ最中。あらかじめ設置された作業机で作業をする者が多い中、ゼータは木材を手に床に座り込んでいる。角ばった角材に手のひらを滑らせ、魔法で滑らかに研磨する。単調な作業の繰り返しを、ゼータの真正面に座り込んだクリスが興味深げに眺めていた。
「魔法って便利だねぇ。それは魔族なら誰でも使える魔法?」
「理論的には使えるとされていますよ。木材を研磨する魔法は訓練魔法を呼ばれていて、魔力を有する者であれば訓練次第で使える魔法であると言われているんです。現実には使えない人も多いんですけれどね。魔法を苦手とする種族もいますし、人によって得手不得手はありますから」
「へぇ。魔法を使えない人もいるんだ…」
「割といますよ。身近なところで言えば、レイは魔法をほとんど使えないんです。簡単な生活魔法でも難儀するくらい魔法は不得手ですよ」
作業の手を止めゼータが視線を送る先では、椅子に座り込んだレイバックが木材を手に四苦八苦を重ねていた。手には鋭く研がれた彫刻刀。ビットとフランシスカ、カシワギが作業に何かしらの魔法を使っているのに対し、レイバックはひたすら彫刻刀で木材を削り込んでいる。慣れない作業に失敗を重ねるレイバックを見かね、傍らに座るイースが頻繁に口やら手やらを貸していた。イースの一日はレイバックの制作の補助で終わりそうである。
レイバックの作業風景をしばし眺めていたクリスが、「本当だ」と笑う。
クリスとの雑談を挟みながら、ゼータは間もなく全ての木材の研磨を終えた。続いてそれらの木材を、出来上がりの形に近付くようにと床に並べてゆく。頭、首、胴体、上腕、前腕、手のひらと指。そう、ゼータの制作物は等身大の魔導人形だ。人と同じ大きさの人形を自由自在に動かすことができれば、さぞかし楽しいであろうと心高鳴らせるゼータ。しかしそんなゼータの横では、クリスが次第に表情を曇らせる。
「ゼータ。もしかしてだけど、これ等身大の人形にするつもり?」
「そのつもりです」
「あのね…残念だけど、この大きさの魔導人形を作ることは不可能だよ」
「え」
ゼータは手に持っていた木材を取り落とした。愕然とクリスの顔を見る。
「大きな人形を動かすためには、それだけ多くの動力が必要になる。それだけの魔力を蓄える大きさの魔溜晶がないんだ。今魔導大学で作っている魔溜晶だと、一番大きい物でも膝丈の人形を動かすので精いっぱいなんだよ」
「そんな…」
「ごめん、先に言えば良かったね。随分大きな物だとは思っていたけど、まさか等身大の人形だとは想像しなかったんだ。びっくり箱か何かかなって」
クリスは心底申し訳なさそうに眉を下げる。ゼータは茫然としながらも、離れた場所で作業にあたる他の視察員を眺め見た。皆の目の前にある木材は、どれも手のひらよりも小さく削られた物ばかり。ゼータのように、鈍器のような大きさの木材を並べている者は誰一人としていない。
茫然とするゼータの脳裏に1年前の記憶が蘇る。ポトス城王宮の一室で、クリスは「人に近い大きさの人形を動かすだけの動力の確保ができない」と述べた。当時魔導人形の動力源については言及がされなかったが、「動力の確保ができない」とは即ち「人形の動力源となる魔溜晶の大きさには限りがある」という意味だったのだ。
意気消沈するゼータと、申し訳ないと謝罪を繰り返すクリス。クリスの後ろに、デューがひょこりと顔を出す。
「ゼータさん、何か問題が起こりました?」
「デュー…。等身大の人形を動かすための魔溜晶がないと言われてしまって。ここまで作ったのに…。」
「え、これ人形だったんですか?俺、てっきり木馬か何かかと思っていましたよ。確かにここまでの大きさとなると、複雑な動きをさせるだけの動力は確保できないですね。例えば首を捻るだけとか、腕を動かすだけとか、それくらいの動作なら可能だとは思いますけど」
「それじゃ土産物の首振り人形と大差ないじゃないですか…」
ゼータは深々と溜息をついた。1時間の時をかけて木材の研磨を終えたところであるが、動かせないと言われては仕方がない。等身大の人形は諦めて、今から違う物を作り直すしかないだろう。項垂れるゼータの前で、デューが不意に声を上げた。「ちょっと待っていてください」そう言い残し、倉庫の奥側へと歩いていく。そこに置かれている木箱に片端から上体を突っ込み、やがて「あった!」と叫んだ。満面の笑みでゼータの元へと戻ってくるデューの右手には、手のひら大の水晶玉が握られている。
「捨てていなくて良かったです。これ、以前試作で作った魔溜晶なんです。この大きさなら、ゼータさんの作品を動かすにも不足はないと思いますよ」
デューは特大魔溜晶に付いた埃を、衣服のすそで拭う。
「ただ一つ問題があって、魔溜晶への魔力の補給は一気に行わないといけないんです。途中で休憩を挟んだり、他の人物に変わったりすると、内部の魔力が混濁して上手く動作しなくなるんですよ。指先ほどの大きさの魔溜晶なら、経験上魔力の補給に難儀することはないんですけどね。でもここまでの大きさとなると蓄積する魔力量が膨大過ぎて、十分な魔力の補給が行えた試しがないんですよ」
「魔力の補給ってどうやるんですか?」
「手のひらで魔法を発動させる感じ、らしいですよ。人間には想像がつかない感覚です」
「へぇ…」
磨き上げられた魔溜晶が、ゼータの手のひらに託された。澄んだ球体の内部には虹色のもやが揺らめいている。しばし手の中の魔溜晶に見入っていたゼータであるが、やがてよしと意気込んで姿勢を正した。駄目を承知で込められるだけの魔力を込めてみよう。ふぅと息を吐き魔溜晶を両手で握り込んだゼータであるが、魔法の発動はクリスの声により遮られた。
「ゼータ、ちょっと待って。頼むから魔力切れだけは勘弁してよ。昏睡状態になるんでしょ?昏睡した客人を医務室に運び込んだなんてセージ学長に知れたら、監督不行届で相方の僕が怒られる羽目になる」
「医務室なんて大層な場所に運んでもらわなくて結構ですよ。2時間も寝れば回復しますから、その辺の床に転がしておいてください」
「それはそれで問題だってば。本当、勘弁してよ。どうしてもやると言うなら、せめて一番魔力量の多そうな人にお願いして…」
クリスは不意に黙り込む。2人はしばし顔を見合わせ、それから示し合わせたかのように同じ場所へと視線を送る。その場所には「ああ、また切りすぎた!」と愚痴を零すレイバックの後ろ姿がある。なんだ、適任がいるではないか。
「レイ、ちょっとお願いがあるんですけれど」
ゼータの声に、振り向いたレイバックの左手には彫刻刀が握られていた。机の上には何らかの動物を模したと思われる削りかけの木片。鱗と思しき紋様が彫り込まれているところを見るに、ドラゴンの置物だろうか。彫刻刀により削り飛ばされた木くずが衣服のあちこちに付き、そのうちの一欠片が鼻先に載っている。
「ん、何だ」
「この魔溜晶に魔力を込めて欲しいんです」
「魔力を?自分でやれば良いじゃないか」
「そうできれば良いんですけれど、木材の研磨にかなりの魔力を使ってしまったんですよ。私が魔力切れを起こして倒れると、クリスがセージ学長に叱られるんです。お願いします」
「それなら構わんが…魔力を込めるって、具体的にどうすれば良いんだ」
「手のひらで魔法を発動する感覚ですって」
ゼータの説明に、隣に立つクリスが言葉を添えた。
「今魔溜晶は透明ですけれど、込めた魔力量に応じて色が変化します。初めは青緑、黄色、橙色、赤。全体が赤く染まれば完了です。途中で休憩を挟むと魔力が混濁して動作に支障が出るので、可能であれば一気に魔力を込め切って欲しいんです」
「ふーん…」
差し出された魔溜晶を、レイバックは何となしに受け取った。澄んだ球体を手の中でくるくると回し、揺らめくもやに眺め入る。呑気そのもので魔溜晶に見入るレイバックを、皆が緊張の面持ちで見つめる。ここまでの成り行きを知らぬイースでさえも、ただ事ならぬ雰囲気を察知し沈黙を貫いていた。
これはいわば勝負である。膨大な魔力量を誇るとされる神獣ドラゴンの血筋、ドラキス王国の最強戦力者レイバック。対するは特大の魔溜晶、魔力の補給が困難という理由でお蔵入りした代物だ。レイバックの敗北はゼータの等身大魔導人形の制作失敗を意味し、下手をすればレイバック自身が魔力切れにより昏倒する末路となる。しかし勝利を収めれば、今後の魔導具の制作技術は飛躍的に発展することとなる。等身大魔導人形の制作はデューの属する魔導工学科魔導機械専攻の最終目標の一つであり、長年動力の補給が問題点とされてきたのだ。レイバックの勝利はその問題点の改善を意味し、さらに特大の魔溜晶の組み込みによりゼータの魔導人形が正常に動作すれば、最終目標の一つが達成されることに他ならない。もちろんこれらの事情をレイバックが知る由もまく、緋色の瞳はといえば魔溜晶を眺め呑気な色を浮かべている。方や一世一代の大勝負を目前に、デューとクリスは何度も生唾を飲み込んでいる。
「よし、行くぞ」
掛け声と共に、レイバックの周囲にふわりと微風が舞った。魔法の発動。握り込まれた魔溜晶はすぐに青緑色へと染まる。黄色、橙色、想像以上の速さで色を変える魔溜晶に、デューとクリスは驚愕の表情だ。間もなく内部の靄が赤く染まり、それから少しすると球体全体が深紅に染まった。レイバックが魔力を込め始めてからこの間僅かに10秒足らず。対特大魔溜晶の一大勝負はレイバックの完全勝利である。
仕事を終え一息を付いたレイバックは、デューに問う。
「これで良いんだな?魔溜晶に魔力を込めるというのは随分疲れるんだな。普段はどうしているんだ」
「普段は…魔族から魔力を買っているんです。魔導大学の西方にウェイトメリアという小さな集落があって、そこはロシャ王国の中で例外的に魔族の滞在が認められているんです」
「そうなのか。それは知らなかったな」
「認められているとは言っても、対外的に開示されている情報ではないんです。魔法に似せた効力を持たせる以上、魔導具の研究開発に魔族の協力は必要不可欠です。ですが国家の機密機関である魔導大学に魔族を招き入れることはできません。だからあらかじめ契約を交わした魔族の方々をウェイトメリアに招き入れて、魔導大学の研究員と落ち合う約束になっているんです」
「成程な。魔導具の共同開発が実現すれば、研究所内で堂々と魔族の協力を仰ぐことができる。魔力など食べて寝れば回復するのだから、金を支払う必要もない。過去に共同開発の提案がなされなかったのが不思議なくらいだ」
「本当に。一刻も早く研究所の新設に着手して欲しいですよ」
デューと会話を重ねるレイバックの手のひらから、魔力の補給を終えた魔溜晶が掠め取られた。深紅の魔溜晶を頭頂に掲げ、倉庫の隅へと駆けてゆく人物はゼータである。等身大の魔導人形の動力を無事確保できたことに喜色満面のゼータは、レイバックへの礼も忘れ制作を再開するつもりなのだ。
トビウオのごとく飛び跳ねるゼータの背を、まだ緊張冷めやらぬクリスが追った。
先頭を歩いていたデューが、道に面したシャッター式の扉を開ける。のっぺりとしていて特徴に欠ける外見とは裏腹に、建物の内部は雑多とした様子であった。壁にはたくさんの工具が掛けられ、床には木くずや鉄片が散らばっている。どうやらここは物造りをするための倉庫のようだ。散らばった木片を足先で除けながら、デューは倉庫の奥へと進む。
「散らかっていてすみません。ここは工学部棟の研究員共有の倉庫なので、ほぼ毎日のように人が出入りするんです。大型の制作を行うとすぐに汚くなっちゃうんですよ。一応、一週間前に片付けたんですけれどね」
そう説明をするデューは、倉庫の一角で足を止めた。足の踏み場もないほどに散らかった倉庫の中で、その一角だけは比較的綺麗に整頓されている。壁際に置かれた木箱の中には、様々な形状に削られた木材。さらにノコギリやナタといった工具、彩色に使うための絵具と筆、釘や蝶番が一抱えもある木箱の中に押し込められている。本日の予定は「思念操作魔導力人形」と呼ばれる魔導具の制作。またの名を「魔導人形」と呼ばれるその人形は、かつてロシャ王国の外交使節団がドラキス王国の王宮へと持ち込んだ。ゼータとレイバックにとっては懐かしい品だ。
「皆様お揃いでしょうか。事前にお伝えしている通り、本日は魔導人形と呼ばれる魔導具の制作にあたります。説明担当は私、魔導大学工学部魔導工学科魔導機械専攻博士課程4年目のデューです。どうぞよろしく」
恭しく述べられる自己紹介に、9人の観客からはまばらの拍手が巻き起こる。拍手をしながら「マドウキカイセンコウハカセカテイ…?」とたどたどしく呟く者はビットであった。
「まず魔導人形の構造について簡単に説明しましょう。魔導人形とは、人の意志に従い単純な動作を行う木製人形の総称です。魔導大学では人型が主として制作されていますが、動物や昆虫の形での制作も可能です。今日は一人一体自由に魔導人形を制作していただきますから、今の内に何の形にするか考えておいてください。制作時間は本日限りですから、あまり複雑な形はお勧めしません」
デューは壁際に寄せられた木箱の一つから木製の人形を取り出し、床に置いた。初めは人型、それから兎、馬、孔雀、芋虫。多種多様な構造の魔導人形が石造りの床に並ぶ。一通りの魔導人形を並べ終えたデューは、その内の一つ、人型の人形を両手で抱え上げた。膝丈ほどの大きさの魔導人形は軽々と持ち上げられる。
「木製の人形とお伝えしましたが、使用する木材はただの木材ではありません。動力が隅々まで行き渡るようにと特殊な加工が施された木材です。この特殊な加工については現段階では視察員の皆様にお教えすることはできません。魔導人形が共同開発の品目の一つとして正式に認められた後の教授となりますので、ご容赦を。木箱の中身は全て加工済みの木材ですから、どれを使っていただいても構いません」
視察員5人が頷いたことを確認し、デューは抱え上げた魔導人形の胸元に指先を掛けた。人形の胴体前面には小さな扉が付いており、デューの指先が扉を開くと、内部には親指先大の水晶玉が収められている。デューは人形の胴体からその水晶玉を引き抜き、皆の前に掲げる。
「続いて動力源の説明に移りましょう。魔族の皆様との共同開発が検討されているということで、見当が付いている方もおられるのではないかと存じますが、魔導人形の動力源は魔力です。この水晶玉―魔溜晶は大きさに応じて一定の魔力を蓄える性質を有しています。魔溜晶を内部に組み込むことにより、魔導人形は魔力を原動力として自由自在に動かすことが可能になるのです」
皆が見守る中で、デューは魔導人形の胸部に魔溜晶をはめ込んだ。指先で小さな扉を閉め、人形を再び石床へと横たえる。
「起き上がれ」
ぐったりと寝そべった魔導人形は、デューの言葉に即座に反応を示した。小さな手のひらを床に付き、上体を起こす。それから球体の膝を折り曲げて立ち上がる。
「歩け」
続く命令で、魔導人形は滑らかな歩行を開始した。視察員の間からは歓声があがる。一番の歓声を上げている者は、以前にルナの姿で同じ光景を見ているはずのゼータである。倉庫の奥側へと向かって歩いてゆく魔導人形と、満面の笑みのゼータを交互に眺めながら、レイバックは思うのであった。幸せな奴め。
「細かい作業内容は、実際に制作にあたりながら説明します。分からないことがあったら遠慮せず聞いてください。視察員の皆様には一人一つ魔導人形を作っていただきますが、相方の研究員は各々の判断にお任せします。補助に回っても構いませんし、余力があれば制作を行われても構いませんよ。では、開始」
デューの合図で、視察員と研究員はわらわらと動いた。木箱から好みの木材を物色する者もいれば、何型の人形をこしらえようかと相方と話し合う者もいる。そんな中、歩行を終えたばかりの魔導人形をまじまじと見つめる者はゼータだ。隣にはクリスが立っている。
「クリス。この人形の間接はどういう構造になっているんですか?」
「腕や脚部分の木材は筒状になっていて、中にゴム紐を通してある。完全に接着してしまうと関節が自由に動かなくなるからね。遊びを持たせて、ゴム紐の伸び縮みで関節の曲げ伸ばしを可能にしているんだ。」
「ふーん…」
ゼータが人形の腕を軽く引っ張ると、確かに上腕と前腕に相当する木材は筒状にくり抜かれていた。筒の内部には太いゴム紐が通してある。小さな指先にもやはり1本1本に細いゴム紐が通されており、自由な稼働が可能となっていた。作るのに時間はかかるが、決して複雑な構造というわけではない。「よし」と呟き、ゼータは意気揚々と木材の確保に向かった。
***
制作開始の合図から30分が経ち、5人の視察員と5人の研究員は魔道具作りの真っ最中。あらかじめ設置された作業机で作業をする者が多い中、ゼータは木材を手に床に座り込んでいる。角ばった角材に手のひらを滑らせ、魔法で滑らかに研磨する。単調な作業の繰り返しを、ゼータの真正面に座り込んだクリスが興味深げに眺めていた。
「魔法って便利だねぇ。それは魔族なら誰でも使える魔法?」
「理論的には使えるとされていますよ。木材を研磨する魔法は訓練魔法を呼ばれていて、魔力を有する者であれば訓練次第で使える魔法であると言われているんです。現実には使えない人も多いんですけれどね。魔法を苦手とする種族もいますし、人によって得手不得手はありますから」
「へぇ。魔法を使えない人もいるんだ…」
「割といますよ。身近なところで言えば、レイは魔法をほとんど使えないんです。簡単な生活魔法でも難儀するくらい魔法は不得手ですよ」
作業の手を止めゼータが視線を送る先では、椅子に座り込んだレイバックが木材を手に四苦八苦を重ねていた。手には鋭く研がれた彫刻刀。ビットとフランシスカ、カシワギが作業に何かしらの魔法を使っているのに対し、レイバックはひたすら彫刻刀で木材を削り込んでいる。慣れない作業に失敗を重ねるレイバックを見かね、傍らに座るイースが頻繁に口やら手やらを貸していた。イースの一日はレイバックの制作の補助で終わりそうである。
レイバックの作業風景をしばし眺めていたクリスが、「本当だ」と笑う。
クリスとの雑談を挟みながら、ゼータは間もなく全ての木材の研磨を終えた。続いてそれらの木材を、出来上がりの形に近付くようにと床に並べてゆく。頭、首、胴体、上腕、前腕、手のひらと指。そう、ゼータの制作物は等身大の魔導人形だ。人と同じ大きさの人形を自由自在に動かすことができれば、さぞかし楽しいであろうと心高鳴らせるゼータ。しかしそんなゼータの横では、クリスが次第に表情を曇らせる。
「ゼータ。もしかしてだけど、これ等身大の人形にするつもり?」
「そのつもりです」
「あのね…残念だけど、この大きさの魔導人形を作ることは不可能だよ」
「え」
ゼータは手に持っていた木材を取り落とした。愕然とクリスの顔を見る。
「大きな人形を動かすためには、それだけ多くの動力が必要になる。それだけの魔力を蓄える大きさの魔溜晶がないんだ。今魔導大学で作っている魔溜晶だと、一番大きい物でも膝丈の人形を動かすので精いっぱいなんだよ」
「そんな…」
「ごめん、先に言えば良かったね。随分大きな物だとは思っていたけど、まさか等身大の人形だとは想像しなかったんだ。びっくり箱か何かかなって」
クリスは心底申し訳なさそうに眉を下げる。ゼータは茫然としながらも、離れた場所で作業にあたる他の視察員を眺め見た。皆の目の前にある木材は、どれも手のひらよりも小さく削られた物ばかり。ゼータのように、鈍器のような大きさの木材を並べている者は誰一人としていない。
茫然とするゼータの脳裏に1年前の記憶が蘇る。ポトス城王宮の一室で、クリスは「人に近い大きさの人形を動かすだけの動力の確保ができない」と述べた。当時魔導人形の動力源については言及がされなかったが、「動力の確保ができない」とは即ち「人形の動力源となる魔溜晶の大きさには限りがある」という意味だったのだ。
意気消沈するゼータと、申し訳ないと謝罪を繰り返すクリス。クリスの後ろに、デューがひょこりと顔を出す。
「ゼータさん、何か問題が起こりました?」
「デュー…。等身大の人形を動かすための魔溜晶がないと言われてしまって。ここまで作ったのに…。」
「え、これ人形だったんですか?俺、てっきり木馬か何かかと思っていましたよ。確かにここまでの大きさとなると、複雑な動きをさせるだけの動力は確保できないですね。例えば首を捻るだけとか、腕を動かすだけとか、それくらいの動作なら可能だとは思いますけど」
「それじゃ土産物の首振り人形と大差ないじゃないですか…」
ゼータは深々と溜息をついた。1時間の時をかけて木材の研磨を終えたところであるが、動かせないと言われては仕方がない。等身大の人形は諦めて、今から違う物を作り直すしかないだろう。項垂れるゼータの前で、デューが不意に声を上げた。「ちょっと待っていてください」そう言い残し、倉庫の奥側へと歩いていく。そこに置かれている木箱に片端から上体を突っ込み、やがて「あった!」と叫んだ。満面の笑みでゼータの元へと戻ってくるデューの右手には、手のひら大の水晶玉が握られている。
「捨てていなくて良かったです。これ、以前試作で作った魔溜晶なんです。この大きさなら、ゼータさんの作品を動かすにも不足はないと思いますよ」
デューは特大魔溜晶に付いた埃を、衣服のすそで拭う。
「ただ一つ問題があって、魔溜晶への魔力の補給は一気に行わないといけないんです。途中で休憩を挟んだり、他の人物に変わったりすると、内部の魔力が混濁して上手く動作しなくなるんですよ。指先ほどの大きさの魔溜晶なら、経験上魔力の補給に難儀することはないんですけどね。でもここまでの大きさとなると蓄積する魔力量が膨大過ぎて、十分な魔力の補給が行えた試しがないんですよ」
「魔力の補給ってどうやるんですか?」
「手のひらで魔法を発動させる感じ、らしいですよ。人間には想像がつかない感覚です」
「へぇ…」
磨き上げられた魔溜晶が、ゼータの手のひらに託された。澄んだ球体の内部には虹色のもやが揺らめいている。しばし手の中の魔溜晶に見入っていたゼータであるが、やがてよしと意気込んで姿勢を正した。駄目を承知で込められるだけの魔力を込めてみよう。ふぅと息を吐き魔溜晶を両手で握り込んだゼータであるが、魔法の発動はクリスの声により遮られた。
「ゼータ、ちょっと待って。頼むから魔力切れだけは勘弁してよ。昏睡状態になるんでしょ?昏睡した客人を医務室に運び込んだなんてセージ学長に知れたら、監督不行届で相方の僕が怒られる羽目になる」
「医務室なんて大層な場所に運んでもらわなくて結構ですよ。2時間も寝れば回復しますから、その辺の床に転がしておいてください」
「それはそれで問題だってば。本当、勘弁してよ。どうしてもやると言うなら、せめて一番魔力量の多そうな人にお願いして…」
クリスは不意に黙り込む。2人はしばし顔を見合わせ、それから示し合わせたかのように同じ場所へと視線を送る。その場所には「ああ、また切りすぎた!」と愚痴を零すレイバックの後ろ姿がある。なんだ、適任がいるではないか。
「レイ、ちょっとお願いがあるんですけれど」
ゼータの声に、振り向いたレイバックの左手には彫刻刀が握られていた。机の上には何らかの動物を模したと思われる削りかけの木片。鱗と思しき紋様が彫り込まれているところを見るに、ドラゴンの置物だろうか。彫刻刀により削り飛ばされた木くずが衣服のあちこちに付き、そのうちの一欠片が鼻先に載っている。
「ん、何だ」
「この魔溜晶に魔力を込めて欲しいんです」
「魔力を?自分でやれば良いじゃないか」
「そうできれば良いんですけれど、木材の研磨にかなりの魔力を使ってしまったんですよ。私が魔力切れを起こして倒れると、クリスがセージ学長に叱られるんです。お願いします」
「それなら構わんが…魔力を込めるって、具体的にどうすれば良いんだ」
「手のひらで魔法を発動する感覚ですって」
ゼータの説明に、隣に立つクリスが言葉を添えた。
「今魔溜晶は透明ですけれど、込めた魔力量に応じて色が変化します。初めは青緑、黄色、橙色、赤。全体が赤く染まれば完了です。途中で休憩を挟むと魔力が混濁して動作に支障が出るので、可能であれば一気に魔力を込め切って欲しいんです」
「ふーん…」
差し出された魔溜晶を、レイバックは何となしに受け取った。澄んだ球体を手の中でくるくると回し、揺らめくもやに眺め入る。呑気そのもので魔溜晶に見入るレイバックを、皆が緊張の面持ちで見つめる。ここまでの成り行きを知らぬイースでさえも、ただ事ならぬ雰囲気を察知し沈黙を貫いていた。
これはいわば勝負である。膨大な魔力量を誇るとされる神獣ドラゴンの血筋、ドラキス王国の最強戦力者レイバック。対するは特大の魔溜晶、魔力の補給が困難という理由でお蔵入りした代物だ。レイバックの敗北はゼータの等身大魔導人形の制作失敗を意味し、下手をすればレイバック自身が魔力切れにより昏倒する末路となる。しかし勝利を収めれば、今後の魔導具の制作技術は飛躍的に発展することとなる。等身大魔導人形の制作はデューの属する魔導工学科魔導機械専攻の最終目標の一つであり、長年動力の補給が問題点とされてきたのだ。レイバックの勝利はその問題点の改善を意味し、さらに特大の魔溜晶の組み込みによりゼータの魔導人形が正常に動作すれば、最終目標の一つが達成されることに他ならない。もちろんこれらの事情をレイバックが知る由もまく、緋色の瞳はといえば魔溜晶を眺め呑気な色を浮かべている。方や一世一代の大勝負を目前に、デューとクリスは何度も生唾を飲み込んでいる。
「よし、行くぞ」
掛け声と共に、レイバックの周囲にふわりと微風が舞った。魔法の発動。握り込まれた魔溜晶はすぐに青緑色へと染まる。黄色、橙色、想像以上の速さで色を変える魔溜晶に、デューとクリスは驚愕の表情だ。間もなく内部の靄が赤く染まり、それから少しすると球体全体が深紅に染まった。レイバックが魔力を込め始めてからこの間僅かに10秒足らず。対特大魔溜晶の一大勝負はレイバックの完全勝利である。
仕事を終え一息を付いたレイバックは、デューに問う。
「これで良いんだな?魔溜晶に魔力を込めるというのは随分疲れるんだな。普段はどうしているんだ」
「普段は…魔族から魔力を買っているんです。魔導大学の西方にウェイトメリアという小さな集落があって、そこはロシャ王国の中で例外的に魔族の滞在が認められているんです」
「そうなのか。それは知らなかったな」
「認められているとは言っても、対外的に開示されている情報ではないんです。魔法に似せた効力を持たせる以上、魔導具の研究開発に魔族の協力は必要不可欠です。ですが国家の機密機関である魔導大学に魔族を招き入れることはできません。だからあらかじめ契約を交わした魔族の方々をウェイトメリアに招き入れて、魔導大学の研究員と落ち合う約束になっているんです」
「成程な。魔導具の共同開発が実現すれば、研究所内で堂々と魔族の協力を仰ぐことができる。魔力など食べて寝れば回復するのだから、金を支払う必要もない。過去に共同開発の提案がなされなかったのが不思議なくらいだ」
「本当に。一刻も早く研究所の新設に着手して欲しいですよ」
デューと会話を重ねるレイバックの手のひらから、魔力の補給を終えた魔溜晶が掠め取られた。深紅の魔溜晶を頭頂に掲げ、倉庫の隅へと駆けてゆく人物はゼータである。等身大の魔導人形の動力を無事確保できたことに喜色満面のゼータは、レイバックへの礼も忘れ制作を再開するつもりなのだ。
トビウオのごとく飛び跳ねるゼータの背を、まだ緊張冷めやらぬクリスが追った。
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