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無垢と笑えよサイコパス
地獄谷
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ビットが会話に参加するようになってから、前方車の客室内は再び穏やかさを取り戻した。穏やかとは言え、初めて乗る魔獣車に興奮状態のゼータは、気を抜けば得意の魔獣語りを披露しようとする。しかしほぼ初対面であるはずのレイバックとビットは、見事な阿吽の呼吸でゼータの破壊的とも評される魔獣語りを治めて見せた。
「レイ、ビット。今窓の外を見ました?湖のほとり。黒い馬の姿をした魔獣がいましたよ。ケルピーでしょうか。気性の荒い魔獣であるとは聞きますけど、馬の姿をしているんだから上手く慣らせば騎乗用に使えますよねぇ。あ、ケルピーと言えば以前に…」
「ゼータさん。ケルピーの肉って食べたことあります?」
「…ないです。ビットはあるんですか?」
「それがあるんですよ。もう20年位前のことですけれどね。魔法研究所の敷地内に野生のケルピーが迷い込んだことがあって、僕を含むキメラ棟の研究員と大激闘を繰り広げたんです。上手く逃がしてあげられれば良かったんですけれど、向こうも知らない場所に迷い込んで興奮状態だったんですよね。それで大激闘の後に無事ケルピーを討ち取ったわけですけれど、ただ死体を埋めるのも勿体ないから食べてみようという話になったんです。ほら、ポトスの街の歓楽街で馬肉を提供する居酒屋があるじゃないですか。馬に似た魔獣だから食べられるかなと思って」
「お味はいかがでした?」
「それが不味いのなんのって。庭で火を起こして炙り焼きにしたんですけれど、肉が臭くて食えたもんじゃない。美味しかったら他の研究員にもおすそ分けしようと思っていたんですけれど全然駄目。ほとんど食べずに穴を掘って埋めちゃいました」
「へぇ…そんな出来事があったんですか」
「そういえばレイさんは魔獣討伐によく駆り出されるんですよね?魔獣を食べることってあります?」
「俺か?積極的に食べるわけではないが、食事時にたまたま魔獣に出くわせば食して始末をすることはある。死骸をそのまま放っておくと他の魔獣が集まって来るからな。ケルピーを食べた経験はないが、ワイバーンに似た魔獣は何度か食べたことがある。食えない味ではない。そういえば知っているか。隣国のバルトリア王国には魔獣を食べる文化があって―」
こうしてゼータの興味を引く話題を矢継ぎ早に提供することにより、レイバックとビットは狂人的とも言える魔獣語りから逃れることができたのであった。
***
2台の魔獣車は途中で2度の小休憩を挟み、日が暮れる頃には本日の立ち寄り地である地獄谷と呼ばれる集落に到着した。地獄谷は鬼族が居住する巨大集落であり、ドラキス王国の西部地域で最も人の集まる場所だ。ポトスの街とロシャ王国の首都リモラを繋ぐ道沿いにある集落で、日々多くの商人や旅人が地獄谷に立ち寄る。地獄谷を目的地として、ポトスの街から遥々観光に訪れる者も多い。
ぽつりぽつりと家屋の佇む道を走り抜けると、やがて2台の魔獣車は地獄谷の中心街へと入った。山間の集落であるにも関わらず、広い道の両脇にはポトスの街に劣らぬ立派な建物が立ち並んでいる。建物は全て木造で屋根は黒、壁は朱塗りで統一されている。豪華な建物であるはずなのに得も言われぬおどろおどろしさに満ちている。なるほど、確かに地獄の風景に等しい街並みだ。
魔獣車は街中を抜け、なだらかな坂道を上った。坂道を上るうちに地獄の風景はなりを潜め、辺りは道中と同じ山林の風景となる。数分魔獣車を走らせ行く道を左手に折れれば、林の中に木の風合いを生かした上品な建物が佇んでいた。本日の行程の最終目的地、視察員5人が一晩を明かすための御宿だ。左右に黄色い灯りのともされた門扉の手前で、2台の魔獣車は停車した。
「ようこそ地獄谷へ。お待ちしておりました」
開け放たれた門扉の内側には、宿の仲居である若い女性が立っていた。茶色味を帯びた赤髪を後頭部で一つに結わえている。左右に分けられた前髪の中心には長い一本の角があった。額の角は鬼族の証である。
「長旅でお疲れでございましょう。早速お部屋にご案内致します。大きな荷物は後ほど別の仲居がお運び致しますから、どうぞ門扉の脇に置いておいてくださいませ」
言葉通りに手荷物を地面に置いた5人は、赤髪の仲居に続いて木造りの門扉をくぐった。門扉の内側は草木茂る庭園となっており、庭園の脇に作られた石畳を歩くと間もなくして御宿の入り口に辿り着いた。仲居の開けたガラス戸をくぐれば、御宿の内部は外見と同じ上品な佇まいである。壁や柱は全て無垢材、勘定台や飾り棚も全て無垢材の造りだ。赤と黒を基調とした地獄谷の中心部とはまるで別世界である。
仲居の案内で行き着いた場所は、宿の2階にある横並びの客室であった。扉を背にした仲居は懐から2本の鍵を取り出す。
「お部屋は2部屋ご用意してございます。男女でお分かれになりますか?」
「そうだな。そうしよう」
仲居の問いにはレイバックが答える。女性であるフランシスカがいるのだから、それ以外の分かれ方はない。仲居はフランシスカに鍵の一本を渡し、後ほど設備の説明に行く旨を伝えると残るもう一本の鍵を鍵穴に指した。フランシスカを除く4人の男が、仲居に続き客室へと立ち入る。
広々とした客室はい草でできた敷物が敷き詰められており、枯草の良い香りで満たされていた。ベッドは置かれておらず床に布団を敷く様式の客室だ。広い部屋の中央には大きなちゃぶ台が設置されており、4枚の座布団が置かれている。小綺麗で居心地のよい部屋だ。入り口で靴を脱いだ4人は、い草の敷物を足先で撫でながら枯草の香りを吸い込んだ。
「夕食は19時にお部屋にお持ちいたします。外に出られる際には忘れずに鍵をお預けくださいませ。1階に温泉がございます。24時間入浴が可能ですから、どうぞご自由にお入りください」
赤髪の中居はそう告げると、丁寧な礼をして客室を出て行った。部屋の窓際に樽のようなカバンを置いたビットが誰ともなく尋ねる。
「温泉って何ですか?」
「天然の風呂ですよ。地面からお湯が沸いているのです。地獄谷を訪れる観光客のほとんどが、この温泉を目当てにやってきます。ドラキス王国内で温泉に浸かれる観光地は地獄谷の他にありませんから」
ビットの問いに答えた者はカシワギであった。樽サイズのカバンの横に自身のカバンを並べたゼータが、重ねて問う。
「カシワギは地獄谷を訪れた経験があるんですか?」
「ありますよ。私の故郷がここから馬車で一時間ほどの山中にあるのです。故郷と言っても住む者が100人に満たぬ小さな集落ですよ。集落内に衣類や日用品を売る店などありませんからね。皆買い出しのために月に数度地獄谷を訪れるのです。故郷に住んでいた頃は私もそうでした」
「へぇ、大変ですね。同じ鬼族の集落なら、地獄谷に併合してしまえば良いのに」
「それがそう簡単にもいかんのですよ。一口に鬼族と言っても多種の種族が混在します。赤鬼族、青鬼族、黒鬼族。赤鬼族の中でもさらに角の位置や本数で細かく種族がわけられます。鬼族は魔族には珍しく血縁主義の考え方が強いですからね。地獄谷の周辺には私が知るだけでも10の鬼族の集落がありますが、過去に他との併合を受け入れた集落など存在しません。王宮の官吏から集落併合の打診があるたびに喧嘩になると、故郷の者が申しておりました。他者を受け入れられぬという鬼族固有の思いをなかなか理解してもらえんのです」
溜息交じりのカシワギの苦悩を聞いて、ゼータとビットは座布団に座るレイバックの顔を伺い見た。客車内での気の抜けた様子とは程遠い、王の顔をした男がそこにいる。図らずしてカシワギの思いは王の耳に届いた。鬼族の集落の者は2度と望まぬ集落併合を迫られることはないだろう。治世千余年のドラキスの国王は、偶然耳にした民の苦悩を無視するほどに愚鈍ではない。
その時、部屋の扉が開きフランシスカが入室した。重苦しい雰囲気は離散し、各々が思い思いの行動を再開する。ゼータとビットはい草の敷物に寝転がって深い深呼吸を繰り返し、カシワギは慣れた様子で5人分の茶を淹れた。レイバックとフランシスカは座布団に座りカシワギの給仕を観察している。
「ビット、折角だし街中を見に行きません?夕食まではまだ時間がありますし」
「良いですね。行きましょうか」
い草の敷物に寝転がったままされるゼータとビットの会話を、他の3人は茶を啜りながら聞いていた。
「カシワギは?一緒に行きます?」
「いえ、私は部屋でくつろいでおります。何度も来た場所ですから」
「フランシスカは?」
「私もご遠慮するわ。夕食前に温泉に入りに行きたいの」
「レイは?」
「…俺は行く」
少々不満げなレイバックの返事を受けて、ゼータはさっとい草の敷物から立ち上がった。ビットもそれに続く。カバンから探り当てた財布をポケットに突っ込み、部屋の入口へと向かう2人の背をレイバックは追う。
「ゼータさん。駄目ですって。さっきみたいな場合はレイさんを一番に誘わないと。拗ねますよ」
「それもそうですね。レイは結構すぐ拗ねるんですよ。この間なんて私が王宮の官吏と立ち話で盛り上がっていたら、それらしい理由をつけて私をその場から引き離そうとするんです」
「え、大人げない。そこは結婚相手としての余裕を見せるところですよねぇ」
靴を履きながらひそひそと話すゼータとビットの後頭部を、レイバックの両手のひらが叩いた。
「あ痛!」
「痛い!」
「レイ、ビット。今窓の外を見ました?湖のほとり。黒い馬の姿をした魔獣がいましたよ。ケルピーでしょうか。気性の荒い魔獣であるとは聞きますけど、馬の姿をしているんだから上手く慣らせば騎乗用に使えますよねぇ。あ、ケルピーと言えば以前に…」
「ゼータさん。ケルピーの肉って食べたことあります?」
「…ないです。ビットはあるんですか?」
「それがあるんですよ。もう20年位前のことですけれどね。魔法研究所の敷地内に野生のケルピーが迷い込んだことがあって、僕を含むキメラ棟の研究員と大激闘を繰り広げたんです。上手く逃がしてあげられれば良かったんですけれど、向こうも知らない場所に迷い込んで興奮状態だったんですよね。それで大激闘の後に無事ケルピーを討ち取ったわけですけれど、ただ死体を埋めるのも勿体ないから食べてみようという話になったんです。ほら、ポトスの街の歓楽街で馬肉を提供する居酒屋があるじゃないですか。馬に似た魔獣だから食べられるかなと思って」
「お味はいかがでした?」
「それが不味いのなんのって。庭で火を起こして炙り焼きにしたんですけれど、肉が臭くて食えたもんじゃない。美味しかったら他の研究員にもおすそ分けしようと思っていたんですけれど全然駄目。ほとんど食べずに穴を掘って埋めちゃいました」
「へぇ…そんな出来事があったんですか」
「そういえばレイさんは魔獣討伐によく駆り出されるんですよね?魔獣を食べることってあります?」
「俺か?積極的に食べるわけではないが、食事時にたまたま魔獣に出くわせば食して始末をすることはある。死骸をそのまま放っておくと他の魔獣が集まって来るからな。ケルピーを食べた経験はないが、ワイバーンに似た魔獣は何度か食べたことがある。食えない味ではない。そういえば知っているか。隣国のバルトリア王国には魔獣を食べる文化があって―」
こうしてゼータの興味を引く話題を矢継ぎ早に提供することにより、レイバックとビットは狂人的とも言える魔獣語りから逃れることができたのであった。
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2台の魔獣車は途中で2度の小休憩を挟み、日が暮れる頃には本日の立ち寄り地である地獄谷と呼ばれる集落に到着した。地獄谷は鬼族が居住する巨大集落であり、ドラキス王国の西部地域で最も人の集まる場所だ。ポトスの街とロシャ王国の首都リモラを繋ぐ道沿いにある集落で、日々多くの商人や旅人が地獄谷に立ち寄る。地獄谷を目的地として、ポトスの街から遥々観光に訪れる者も多い。
ぽつりぽつりと家屋の佇む道を走り抜けると、やがて2台の魔獣車は地獄谷の中心街へと入った。山間の集落であるにも関わらず、広い道の両脇にはポトスの街に劣らぬ立派な建物が立ち並んでいる。建物は全て木造で屋根は黒、壁は朱塗りで統一されている。豪華な建物であるはずなのに得も言われぬおどろおどろしさに満ちている。なるほど、確かに地獄の風景に等しい街並みだ。
魔獣車は街中を抜け、なだらかな坂道を上った。坂道を上るうちに地獄の風景はなりを潜め、辺りは道中と同じ山林の風景となる。数分魔獣車を走らせ行く道を左手に折れれば、林の中に木の風合いを生かした上品な建物が佇んでいた。本日の行程の最終目的地、視察員5人が一晩を明かすための御宿だ。左右に黄色い灯りのともされた門扉の手前で、2台の魔獣車は停車した。
「ようこそ地獄谷へ。お待ちしておりました」
開け放たれた門扉の内側には、宿の仲居である若い女性が立っていた。茶色味を帯びた赤髪を後頭部で一つに結わえている。左右に分けられた前髪の中心には長い一本の角があった。額の角は鬼族の証である。
「長旅でお疲れでございましょう。早速お部屋にご案内致します。大きな荷物は後ほど別の仲居がお運び致しますから、どうぞ門扉の脇に置いておいてくださいませ」
言葉通りに手荷物を地面に置いた5人は、赤髪の仲居に続いて木造りの門扉をくぐった。門扉の内側は草木茂る庭園となっており、庭園の脇に作られた石畳を歩くと間もなくして御宿の入り口に辿り着いた。仲居の開けたガラス戸をくぐれば、御宿の内部は外見と同じ上品な佇まいである。壁や柱は全て無垢材、勘定台や飾り棚も全て無垢材の造りだ。赤と黒を基調とした地獄谷の中心部とはまるで別世界である。
仲居の案内で行き着いた場所は、宿の2階にある横並びの客室であった。扉を背にした仲居は懐から2本の鍵を取り出す。
「お部屋は2部屋ご用意してございます。男女でお分かれになりますか?」
「そうだな。そうしよう」
仲居の問いにはレイバックが答える。女性であるフランシスカがいるのだから、それ以外の分かれ方はない。仲居はフランシスカに鍵の一本を渡し、後ほど設備の説明に行く旨を伝えると残るもう一本の鍵を鍵穴に指した。フランシスカを除く4人の男が、仲居に続き客室へと立ち入る。
広々とした客室はい草でできた敷物が敷き詰められており、枯草の良い香りで満たされていた。ベッドは置かれておらず床に布団を敷く様式の客室だ。広い部屋の中央には大きなちゃぶ台が設置されており、4枚の座布団が置かれている。小綺麗で居心地のよい部屋だ。入り口で靴を脱いだ4人は、い草の敷物を足先で撫でながら枯草の香りを吸い込んだ。
「夕食は19時にお部屋にお持ちいたします。外に出られる際には忘れずに鍵をお預けくださいませ。1階に温泉がございます。24時間入浴が可能ですから、どうぞご自由にお入りください」
赤髪の中居はそう告げると、丁寧な礼をして客室を出て行った。部屋の窓際に樽のようなカバンを置いたビットが誰ともなく尋ねる。
「温泉って何ですか?」
「天然の風呂ですよ。地面からお湯が沸いているのです。地獄谷を訪れる観光客のほとんどが、この温泉を目当てにやってきます。ドラキス王国内で温泉に浸かれる観光地は地獄谷の他にありませんから」
ビットの問いに答えた者はカシワギであった。樽サイズのカバンの横に自身のカバンを並べたゼータが、重ねて問う。
「カシワギは地獄谷を訪れた経験があるんですか?」
「ありますよ。私の故郷がここから馬車で一時間ほどの山中にあるのです。故郷と言っても住む者が100人に満たぬ小さな集落ですよ。集落内に衣類や日用品を売る店などありませんからね。皆買い出しのために月に数度地獄谷を訪れるのです。故郷に住んでいた頃は私もそうでした」
「へぇ、大変ですね。同じ鬼族の集落なら、地獄谷に併合してしまえば良いのに」
「それがそう簡単にもいかんのですよ。一口に鬼族と言っても多種の種族が混在します。赤鬼族、青鬼族、黒鬼族。赤鬼族の中でもさらに角の位置や本数で細かく種族がわけられます。鬼族は魔族には珍しく血縁主義の考え方が強いですからね。地獄谷の周辺には私が知るだけでも10の鬼族の集落がありますが、過去に他との併合を受け入れた集落など存在しません。王宮の官吏から集落併合の打診があるたびに喧嘩になると、故郷の者が申しておりました。他者を受け入れられぬという鬼族固有の思いをなかなか理解してもらえんのです」
溜息交じりのカシワギの苦悩を聞いて、ゼータとビットは座布団に座るレイバックの顔を伺い見た。客車内での気の抜けた様子とは程遠い、王の顔をした男がそこにいる。図らずしてカシワギの思いは王の耳に届いた。鬼族の集落の者は2度と望まぬ集落併合を迫られることはないだろう。治世千余年のドラキスの国王は、偶然耳にした民の苦悩を無視するほどに愚鈍ではない。
その時、部屋の扉が開きフランシスカが入室した。重苦しい雰囲気は離散し、各々が思い思いの行動を再開する。ゼータとビットはい草の敷物に寝転がって深い深呼吸を繰り返し、カシワギは慣れた様子で5人分の茶を淹れた。レイバックとフランシスカは座布団に座りカシワギの給仕を観察している。
「ビット、折角だし街中を見に行きません?夕食まではまだ時間がありますし」
「良いですね。行きましょうか」
い草の敷物に寝転がったままされるゼータとビットの会話を、他の3人は茶を啜りながら聞いていた。
「カシワギは?一緒に行きます?」
「いえ、私は部屋でくつろいでおります。何度も来た場所ですから」
「フランシスカは?」
「私もご遠慮するわ。夕食前に温泉に入りに行きたいの」
「レイは?」
「…俺は行く」
少々不満げなレイバックの返事を受けて、ゼータはさっとい草の敷物から立ち上がった。ビットもそれに続く。カバンから探り当てた財布をポケットに突っ込み、部屋の入口へと向かう2人の背をレイバックは追う。
「ゼータさん。駄目ですって。さっきみたいな場合はレイさんを一番に誘わないと。拗ねますよ」
「それもそうですね。レイは結構すぐ拗ねるんですよ。この間なんて私が王宮の官吏と立ち話で盛り上がっていたら、それらしい理由をつけて私をその場から引き離そうとするんです」
「え、大人げない。そこは結婚相手としての余裕を見せるところですよねぇ」
靴を履きながらひそひそと話すゼータとビットの後頭部を、レイバックの両手のひらが叩いた。
「あ痛!」
「痛い!」
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