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緋糸たぐる御伽姫
後日談:結婚祝賀会
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国民的催事である王と王妃の結婚式から10日が経った。ポトス城内の後片付けが終わり、参列者への礼状のしたためが終わり、催事の主役であるレイバックとゼータの生活も徐々に落ち着きを取り戻しつつある。
その日ゼータは馬車に乗り魔法研究所を目指していた。結婚式前後は多忙を極め一か月足が遠のいていた魔法研究所。まだ王宮内に仕事を残しながらもゼータがわざわざ足を運ぶのは、研究所内唯一無二の親友であるビットからの呼び出しを受けたためである。受け取った文に呼び出しの理由は書かれておらず、ただ「今日という日に魔法研究所に来るように」と書かれていた。ビットから文を受け取るなど初めてのことで、ゼータは首を傾げながらも指示通りに魔法研究所を訪れることにしたのだ。
ゼータが魔法研究所の玄関口で馬車を降りると、屋外に人影はなかった。午前の始業時刻は当に過ぎており、研究員は皆自身の研究室にこもっている時間である。ゼータは3つある建物の内の一つ、生活棟の入口をくぐり自室へと続く階段を上る。研究所で最も古株のゼータは、研究室も生活棟の自室も最上階の端の部屋が割り当てられていた。しかし最上階の部屋が他に比べて快適というわけではない。確かに窓からの眺めは良いが、日々6階分の階段を上り下りするというのは楽なことではない。特に重たい荷物を抱えているときは大変なのだ。
人気のない廊下を歩き6階の端部屋へと辿り着いたゼータは、かばんの底から使い古した鍵を引っ張り出す。鍵穴に指して時計回りに回せば、かちゃりと音を立てて扉の鍵が開く。扉を押し開け部屋に立ち入れば、一か月間に見た時と変わらぬ姿の部屋がそこにあった。窓を開け閉ざされていた部屋に風を通し、ゼータは絨毯の床へと座り込んだ。肘に掛けていた手提げ袋の中からいくつもの麻袋を引き出す。
今日ゼータが魔法研究所を訪れたのには、ビットに呼び出されたのとは別にもう一つの目的があった。私室の後片付けをするためだ。王妃として王宮に住まいを移した今、ゼータが魔法研究所の生活棟に暮らすことはない。必要な衣類や書物は王妃の間に移し、不要な食器や家具は全て引き払わねばならない。
「よし、やりますか」
意気込んでタンスの中身を麻袋に詰め始めたゼータであるが、袋の一つが満たされたときにはたと気付く。残りの麻袋は2つ、対して持ち帰らねばならぬ物品は衣類に書物、文具、いくつかの食器、他の研究員から貰った土産物等々。何をどう頑張っても手持ちの麻袋には入りそうにない。特に重たい書物を袋に詰めるというのは運搬面でも現実的ではない。
そこまで考えてゼータは衣類の散らばった絨毯から立ち上がった。生活棟の裏口に不要のダンボールが置かれている。その箱をいくつか頂戴して荷物を詰めればよいのだ。
ゼータはダンボールを手に入れるべく私室を出た。
***
「あれ、変質者かと思ったらゼータさんだ。何しているんですか?こんな所で」
それはゼータが生活棟の裏口でダンボールを漁っている時であった。背後から名を呼ばれ、振り向けばビットが立っている。ビットの肩肘には中身の見えない紙袋がぶら下がっていた。
「あ、ビット。おはようございます。ダンボールをいくつか貰おうと思って」
「ダンボール?何するんですか」
「部屋の片付けです。もう生活棟で暮らすことはありませんから」
「ああ、そういう事。でも大丈夫ですか?やはりお前のような変人に王妃は務まらん、って早々に捨てられたりしません?」
「…ビット。いい機会なので私への態度を改めてみませんか?」
「改めません」
失礼極まりない言動を繰り返すビットの足元に向かって、ゼータは空のダンボールをいくつも放る。運搬を手伝えと言わんばかりに投げつけられるダンボールを、ビットは文句を言うこともなく腕の中に積み上げた。上階へと続く階段に向かって歩き出したビットの背を、同じく腕の中にダンボールを積み上げたゼータが追う。
「ゼータさん。早く来たのって部屋の片付けのためですか?僕、正午を目指して来てくださいって文に書きましたよね」
「片付けのためですよ。結婚式は終わったけどまだ何かと忙しいんです。今日を逃すと次はいつ魔法研究所に来られるかわかりませんし、やるべきことはできる時にやっておかないと」
前を歩くビットが、へぇと相槌を打った。結婚式の片付けが終わった後のゼータの仕事と言えば、もっぱらが客人対応であった。王妃の誕生を祝うべく、連日王宮にはドラキス王国内各所から客人が詰めかける。レイバックが結婚式の招待状に「長話をしたければ結婚式ではなく個人的に王宮を訪れてくれ」と一筆をしたためたためだ。客人の数は尋常ではなく、多い時には日に10件もの来客予約が入るほどである。余計な一文を添えるべきではなかったと、レイバックが呟いているのを先日ゼータは耳にした。
客人対応と言ってもゼータがやるべきことは多くはない。歓談の場には同席するものの会話の中心はもっぱらレイバックと客人で、ゼータはルナの姿でソファに座っているだけだ。たまに話を振られたときにだけ無難な相槌を打てば良い。歓談中にすべきことがないだけに自然と茶菓子をつまむ頻度は増え、ゼータは腹に蓄えつつある贅肉が気になりだしたほどだ。
ダンボールを抱えた2人は雑談を続けながら階段を上り、やがて目的地であるゼータの部屋へと辿り着いた。先に部屋へと立ち入ったビットは扉付近にダンボールを投げ捨て、絨毯に散らばった衣類を眺め下ろす。
「ゼータさん。片付けって言いましたけど、まさかある物全部引き上げるつもりですか?」
「いえ。衣類と書物程度は引き上げますけど、それ以外は魔法研究所内で引き取り手を探そうかと思っています。余計な家具や日用品を王宮に持ち込んでも、結局ゴミになるだけですし」
「引き取り手かぁ。食器やタオルは欲しい人がいるかもしれないですけど、家具はどうでしょうね。皆私室にはお気に入りを揃えていますし。最近新しく入ってきた研究員もいないですし」
「そうですねぇ…」
ゼータとビットは腕を組んで考え込む。運良く引き取り手が見つかれば良いが、そうでなければ不要となったゼータの家具はキメラ棟の裏手にある物置に押し込められることとなる。そこには研究所内で不要となった机や椅子、タンスや書棚といった家具が積み木のように積み上げられているのだ。姿見や食器棚程度であれば6階のゼータの私室からであっても運搬は容易だが、タンスやベッドとなると大変だ。物置に大型の家具がいくつも収まるだけのスペースが確保されているかどうかも定かでない。
室内の家具を順に目で追っていたビットが、ぽつりと言った。
「部屋、このままにしておいたら良いんじゃないですか」
「え?」
「他に空き部屋はあるんだし無理に片づけなくてもいいでしょ。王宮住まいと言ったって、ゼータさんのことだから毎日のように魔法研究所に通うんでしょ?生活棟に私物が残っていたところで文句を言う人はいないと思いますよ」
「…それもそうですね」
確かに、とゼータは頷いた。部屋を使う当てがないのならば無理に今片付ける必要はない。重たい家具を6階から1階まで運び下す手間もない。もし日用品や家具を欲しいという人がいれば、その都度ゼータの部屋から運び出してもらえば済むのだ。ビットの案は非常に建設的で現実的である。
「それに、もしかしたらゼータさんの部屋にそのまま住みたいという人が現れるかもしれないですよ。家具を揃えるのって結構大変じゃないですか。今のところ新しい研究員が入る予定はありませんけれど、長い目で見ればそのうち引き取り手は見つかりますよ。まあ、この部屋は王国屈指のマッドサイエンティストの元棲家。言うなれば曰くつき物件。お祓いが必要な部屋にわざわざ住みたいという奇特者が現れれば、の話ですけれどね」
「…ビット」
「改めません」
止むことを知らぬ失礼な言動にゼータが肩を落としたところで、ビットは部屋の扉に手を掛けた。
「じゃ、僕ちょっとやることがあるんで。またお昼に」
「あれ、私に用事があるというのは?」
「それはお昼に話します」
「今じゃ駄目?」
「駄目です。12時になったら研究棟一階の会議室に来てください。12時ぴったりですよ。読書に没頭して約束を忘れたらぶっ飛ばします」
ビットは拳を打つ出す動作を披露するが、慣れぬ動きゆえ迫力は皆無だ。「12時ですからね、12時」何度も繰り返した後にビットはゼータの私室を後にした。
***
その後2時間に渡り私物の箱詰め作業に没頭したゼータは、ビットとの約束時刻である12時に間に合うようにと私室を出た。一階まで続く長い階段を下り、玄関から一度屋外に出て隣接する研究棟に入る。不思議な事に、間もなく正午になろうかという頃なのに研究棟の一階には人の姿がない。いつもならば早めの昼食を取るために炊事室付近に人がたむろする時間だ。
ひっそりとした廊下を通り過ぎ、ゼータはビットに指定された会議室前に辿り着く。会議室は研究所内で最も広さのある部屋であるが、大人数での会議とは無縁の生活を送る研究員の巣窟ゆえ使用する機会はほとんどない。てっきりビットは会議室前で待っているものだと思っていたゼータであるが、予想に違い扉の前に人の姿はない。時刻は丁度約束の12時。会議室に立ち入っても良いのだろうか。思い悩むゼータの視界に謎の掛札が飛び込んでくる。
―12時になったら開けるべし
明らかにビットの字で書かれたとわかるその掛札は、左右開きの扉の右側の取っ手にぶら下がっていた。近くの部屋に顔だけを入れたゼータは、時計の針が12時を指していることを確認して扉の取っ手に手を掛ける。思い切って扉を引き開けたゼータの目の前に色とりどりの花びらが舞った。
「ゼータさん、結婚おめでとう!」
「おめでとうございます」
「よ、王妃!」
視界に舞う花びら、耳に飛び込む祝辞。ゼータの開けた扉の向こうでは、大勢の研究員が花びらを手に満面の笑みを称えていた。突然の出来事に面食らいながらも、ゼータは部屋の中へと歩を進める。後ろ手で扉を閉め自らを囲う人々の輪の中に立ち竦めば、待っていましたとばかりに全身に花びらが降り注いだ。明らかに顔面を狙って投げつけられる花びらもある。
「ちょっと待って…。花びらの量が尋常じゃない!」
顔面を覆い助けを求めるゼータの姿に、研究員らの口からは和やかな笑いが漏れた。
ゼータの全身に一通りの花びらが浴びせられたところで、会話の場は会議室の奥側へと移された。会議用の黒板には「ゼータさん、結婚おめでとう」の文字。壁のそこかしこには紙花が張り付けられ、天井には紙の輪飾りがぶら下がっていた。黒板の前に並べられた会議用の机には白の卓布が掛けられ、大皿の料理がいくつも載っている。手製と思われるウェディングケーキもある。大量の酒瓶と人数分のグラスも並べられていた。
「すごい…。これ、誰が作ったんですか?」
ゼータが指さす物は机の真ん中に置かれた純白のケーキだ。大きな丸いスポンジの上にたっぷりの生クリーム、クリームの上には宝石のような果物が飾られている。「祝!王妃誕生」と書かれたクッキープレートまで載る手の込みようだ。
「ケーキはリオンさんの手作りですよ。料理もリオンさんが筆頭で、得意な人が何人か手伝いました。部屋の飾り付けは、僕を含む料理苦手組のお仕事です」
「うわぁ…。感激しすぎて涙が出そうです。皆、ありがとうございます」
「お礼はまずリオンさんに言った方が良いですよ。リオンさん、人混みは苦手だからと言って結婚式に不参列だったじゃないですか。僕が結婚式の主役がゼータさんであったと伝えた時の顔といったら。結婚式の翌日には、僕にこの祝賀会の提案をしてきましたからね」
「それは申し訳ないことをしましたね。リオンは?」
「リオンさんは後で来ますよ。準備が残っているから、と言っていました」
「そうですか…」
ゼータは魔法研究所の者達を結婚式に誘うときに、自身の結婚式であるとは伝えなかった。「王宮に滞在するうちに王宮関係者との仲が深まり、レイバック王とルナ王妃の結婚披露宴にお呼ばれした。ただで美味しい王宮料理を食べられるから、ぜひ一緒に来てほしい」そう説得したのである。真実を伝えなかったのにはもちろん理由がある。まず先にあったのは、正直に説明しても冗談だと取り合ってもらえないだろうという思いだ。そして次に、皆を驚かせてやろうという思いがあった。真摯に真実を伝えることよりも悪戯心が勝ったわけだが、リオンを含む結婚式不参列者には申し訳ないことをしてしまった。
「あの、すみません。正直にお誘いをしなくって」
誰ともなしに投げ掛けられた謝罪に、数人の研究員が飛びついた。ゼータとビットが話し込む間に祝賀会は始まっていたようで、皆酒の注がれたグラスを手にしている。
「本当だよ!ゼータの結婚式だって言ってくれれば、何にも優先して参列したのに」
「すみません…」
「ゼータさんがウェディングドレスを着たんですよね。見たかったなぁ」
「あの、男の姿で着たわけではないですよ?」
「あ、サキュバスなんだっけ。ちょっと変身してみてよ」
「…嫌です」
四方八方から掛けられる声にゼータがしどろもどろ返事を返していると、グラスを手にした男性研究員が近寄ってきた。なみなみと酒の注がれたグラスをゼータの手に押し付け、礼を言おうとするゼータの耳に口を近づける。
「なぁ。結婚の話題はさて置き例の話はどうなったんだ?」
「例の話?何でしたっけ」
「追加予算の申請と、人員派遣の案件だ。任された仕事の成功報酬として追加予算が下りると以前言っていただろ。結局仕事はやり切ったのか?」
それはもう数か月前になる研究員との会話だ。ゼータはレイバックの妃候補を演じるための王宮滞在について、研究所の皆にそう説明をしたのだ。取り壊しになった研究所の予算を融通してもらえないかと交渉に当たっている。王宮内でとある仕事を任されており、成功報酬として追加予算の配分が検討される、と。
ゼータはズボンのポケットにしまい込んでいた四つ折りの紙を取り出した。
「そうそう。その件について皆にお話ししようと思っていたんです。はい、これレイバック王直筆の書類です」
「王様直筆ということは無事予算を貰えることになったのか。どれどれ、いくらくらい…」
書類を受け取った男性研究員は期待に心躍らせながら4つ折りの紙を開く。周りにいた数人の研究員がそれを覗き込む。10の眼が紙の上を滑り、そしてある一点で動きを止めた。
―南研究所に配分予定であった予算全額を、魔法研究所の追加予算として計上することを認める
南研究所は魔法研究所と同規模の施設だ。研究所解体までの運営費やの解体に係る費用、荷物の運搬に宛てられた費用はもちろんあるが、その額を除くにしても予算の残額はかなりの物になる。それが丸々移されるとなれば、魔法研究所にはほぼ2年分の予算が割り当てられたと同様だ。
「注意事項が3つあります。一つは他所の研究所の者に当件を漏らさないこと。異例の予算計上ですからね。2つ目は追加予算を人件費には充てないこと。3つ目は予算の使い道は月に一度私を通してレイバック王に報告すること。報告とは言っても余程私的な支出じゃなければ注意が入ることはありません。上手く使ってくれ、とのことでした。あと人の派遣については次年度までお待ちください。王宮の官吏の移動時期に合わせて2名キメラの育成に知のある者を派遣してくれるそうです。2年の任期付きですけどね」
ゼータの説明に紙を覗き込んでいた研究員らは茫然と頷き、さらに周りにいる研究員が何事かと集まってきた。紙を持つ男性研究員の手は小刻みに震え、やがて両端が手汗で濡れた紙は皆の頭上に高々と掲げられた。
「椅子だ!誰か魔法研究所内で最も豪華な椅子を持ってこい!ゼータ様を生活棟の屋上に奉るぞ!」
「何で頑なに屋根は付けてもらえないんですか?」
ゼータの持ち込んだ一枚の用紙により、結婚祝賀会は一気に荒れ模様となった。王様直筆の紙は一人の研究員の手により額縁に入れられ黒板の上部に掲げられている。巨額の予算確保に湧いた人々は次から次へとグラスを空け、酒が足りぬと自前の酒瓶を持ち込む程であった。顔を赤らめ酒を酌み交わす人々の輪の中で、ゼータは人目に付かぬようにとビットの背後に身を隠していた。「ゼータさん、結婚おめでとう」と書かれた黒板の全面には、紙花の飾り付けられた木製の椅子が置かれている。ゼータを奉るための椅子だ。興奮状態にある研究員に一度目を付けられれば、椅子に手足を固定され生活棟の屋上まで運び上げられること間違いなしだ。
本日の主役であるはずなのに、身を潜めちびちびと酒を飲むゼータにビットは問う。
「ゼータさん。王宮で任されたお仕事って何なんですか?これだけの報酬を貰えるってことはやばい案件なんじゃないの。僕、唯一無二の友人が犯罪者なんて嫌ですよ」
「法は犯していませんよ。ちょっと王様の我儘に付き合っただけです」
「王様の我儘?それってゼータさんとレイバック王が結婚に至ったことと何か関係があるの?」
「うーん…何と説明したらよいのか…」
言い淀むゼータの背後で会議室の扉が開いた。室内の喧騒は止み、皆の視線は開け放たれた扉へと集まる。扉の前に立つ者は、祝賀会の幹事でありながら今まで不在であったリオンである。祝賀会開催の礼を言わねばならない。思い立って口を開きかけたゼータであるが、リオンの両手に握られた白い物体を目にして口を噤む。それは手製と思われるドレスであった。白の布地の胸元にはいくつもの花飾りが、腰元には大きなリボンが、そして膝丈のスカートのすそには幾重にも重なるフリルがあしらわれている。あのドレスを着た者は、誰でも御伽話の中のお姫様のような姿となれることだろう。
はっとして身を強張らせたゼータは、縮めていた身をさらに縮めてビットの背後へと回り込んだ。物騒なドレスを手にしたリオンに存在を認知されぬように。しかしゼータの思いは虚しく、唯一無二の親友は華麗なステップでゼータの元を去る。隠れ場所を失ったゼータの瞳が、満面の笑みを称えたリオンの瞳と合った。
その日ゼータは馬車に乗り魔法研究所を目指していた。結婚式前後は多忙を極め一か月足が遠のいていた魔法研究所。まだ王宮内に仕事を残しながらもゼータがわざわざ足を運ぶのは、研究所内唯一無二の親友であるビットからの呼び出しを受けたためである。受け取った文に呼び出しの理由は書かれておらず、ただ「今日という日に魔法研究所に来るように」と書かれていた。ビットから文を受け取るなど初めてのことで、ゼータは首を傾げながらも指示通りに魔法研究所を訪れることにしたのだ。
ゼータが魔法研究所の玄関口で馬車を降りると、屋外に人影はなかった。午前の始業時刻は当に過ぎており、研究員は皆自身の研究室にこもっている時間である。ゼータは3つある建物の内の一つ、生活棟の入口をくぐり自室へと続く階段を上る。研究所で最も古株のゼータは、研究室も生活棟の自室も最上階の端の部屋が割り当てられていた。しかし最上階の部屋が他に比べて快適というわけではない。確かに窓からの眺めは良いが、日々6階分の階段を上り下りするというのは楽なことではない。特に重たい荷物を抱えているときは大変なのだ。
人気のない廊下を歩き6階の端部屋へと辿り着いたゼータは、かばんの底から使い古した鍵を引っ張り出す。鍵穴に指して時計回りに回せば、かちゃりと音を立てて扉の鍵が開く。扉を押し開け部屋に立ち入れば、一か月間に見た時と変わらぬ姿の部屋がそこにあった。窓を開け閉ざされていた部屋に風を通し、ゼータは絨毯の床へと座り込んだ。肘に掛けていた手提げ袋の中からいくつもの麻袋を引き出す。
今日ゼータが魔法研究所を訪れたのには、ビットに呼び出されたのとは別にもう一つの目的があった。私室の後片付けをするためだ。王妃として王宮に住まいを移した今、ゼータが魔法研究所の生活棟に暮らすことはない。必要な衣類や書物は王妃の間に移し、不要な食器や家具は全て引き払わねばならない。
「よし、やりますか」
意気込んでタンスの中身を麻袋に詰め始めたゼータであるが、袋の一つが満たされたときにはたと気付く。残りの麻袋は2つ、対して持ち帰らねばならぬ物品は衣類に書物、文具、いくつかの食器、他の研究員から貰った土産物等々。何をどう頑張っても手持ちの麻袋には入りそうにない。特に重たい書物を袋に詰めるというのは運搬面でも現実的ではない。
そこまで考えてゼータは衣類の散らばった絨毯から立ち上がった。生活棟の裏口に不要のダンボールが置かれている。その箱をいくつか頂戴して荷物を詰めればよいのだ。
ゼータはダンボールを手に入れるべく私室を出た。
***
「あれ、変質者かと思ったらゼータさんだ。何しているんですか?こんな所で」
それはゼータが生活棟の裏口でダンボールを漁っている時であった。背後から名を呼ばれ、振り向けばビットが立っている。ビットの肩肘には中身の見えない紙袋がぶら下がっていた。
「あ、ビット。おはようございます。ダンボールをいくつか貰おうと思って」
「ダンボール?何するんですか」
「部屋の片付けです。もう生活棟で暮らすことはありませんから」
「ああ、そういう事。でも大丈夫ですか?やはりお前のような変人に王妃は務まらん、って早々に捨てられたりしません?」
「…ビット。いい機会なので私への態度を改めてみませんか?」
「改めません」
失礼極まりない言動を繰り返すビットの足元に向かって、ゼータは空のダンボールをいくつも放る。運搬を手伝えと言わんばかりに投げつけられるダンボールを、ビットは文句を言うこともなく腕の中に積み上げた。上階へと続く階段に向かって歩き出したビットの背を、同じく腕の中にダンボールを積み上げたゼータが追う。
「ゼータさん。早く来たのって部屋の片付けのためですか?僕、正午を目指して来てくださいって文に書きましたよね」
「片付けのためですよ。結婚式は終わったけどまだ何かと忙しいんです。今日を逃すと次はいつ魔法研究所に来られるかわかりませんし、やるべきことはできる時にやっておかないと」
前を歩くビットが、へぇと相槌を打った。結婚式の片付けが終わった後のゼータの仕事と言えば、もっぱらが客人対応であった。王妃の誕生を祝うべく、連日王宮にはドラキス王国内各所から客人が詰めかける。レイバックが結婚式の招待状に「長話をしたければ結婚式ではなく個人的に王宮を訪れてくれ」と一筆をしたためたためだ。客人の数は尋常ではなく、多い時には日に10件もの来客予約が入るほどである。余計な一文を添えるべきではなかったと、レイバックが呟いているのを先日ゼータは耳にした。
客人対応と言ってもゼータがやるべきことは多くはない。歓談の場には同席するものの会話の中心はもっぱらレイバックと客人で、ゼータはルナの姿でソファに座っているだけだ。たまに話を振られたときにだけ無難な相槌を打てば良い。歓談中にすべきことがないだけに自然と茶菓子をつまむ頻度は増え、ゼータは腹に蓄えつつある贅肉が気になりだしたほどだ。
ダンボールを抱えた2人は雑談を続けながら階段を上り、やがて目的地であるゼータの部屋へと辿り着いた。先に部屋へと立ち入ったビットは扉付近にダンボールを投げ捨て、絨毯に散らばった衣類を眺め下ろす。
「ゼータさん。片付けって言いましたけど、まさかある物全部引き上げるつもりですか?」
「いえ。衣類と書物程度は引き上げますけど、それ以外は魔法研究所内で引き取り手を探そうかと思っています。余計な家具や日用品を王宮に持ち込んでも、結局ゴミになるだけですし」
「引き取り手かぁ。食器やタオルは欲しい人がいるかもしれないですけど、家具はどうでしょうね。皆私室にはお気に入りを揃えていますし。最近新しく入ってきた研究員もいないですし」
「そうですねぇ…」
ゼータとビットは腕を組んで考え込む。運良く引き取り手が見つかれば良いが、そうでなければ不要となったゼータの家具はキメラ棟の裏手にある物置に押し込められることとなる。そこには研究所内で不要となった机や椅子、タンスや書棚といった家具が積み木のように積み上げられているのだ。姿見や食器棚程度であれば6階のゼータの私室からであっても運搬は容易だが、タンスやベッドとなると大変だ。物置に大型の家具がいくつも収まるだけのスペースが確保されているかどうかも定かでない。
室内の家具を順に目で追っていたビットが、ぽつりと言った。
「部屋、このままにしておいたら良いんじゃないですか」
「え?」
「他に空き部屋はあるんだし無理に片づけなくてもいいでしょ。王宮住まいと言ったって、ゼータさんのことだから毎日のように魔法研究所に通うんでしょ?生活棟に私物が残っていたところで文句を言う人はいないと思いますよ」
「…それもそうですね」
確かに、とゼータは頷いた。部屋を使う当てがないのならば無理に今片付ける必要はない。重たい家具を6階から1階まで運び下す手間もない。もし日用品や家具を欲しいという人がいれば、その都度ゼータの部屋から運び出してもらえば済むのだ。ビットの案は非常に建設的で現実的である。
「それに、もしかしたらゼータさんの部屋にそのまま住みたいという人が現れるかもしれないですよ。家具を揃えるのって結構大変じゃないですか。今のところ新しい研究員が入る予定はありませんけれど、長い目で見ればそのうち引き取り手は見つかりますよ。まあ、この部屋は王国屈指のマッドサイエンティストの元棲家。言うなれば曰くつき物件。お祓いが必要な部屋にわざわざ住みたいという奇特者が現れれば、の話ですけれどね」
「…ビット」
「改めません」
止むことを知らぬ失礼な言動にゼータが肩を落としたところで、ビットは部屋の扉に手を掛けた。
「じゃ、僕ちょっとやることがあるんで。またお昼に」
「あれ、私に用事があるというのは?」
「それはお昼に話します」
「今じゃ駄目?」
「駄目です。12時になったら研究棟一階の会議室に来てください。12時ぴったりですよ。読書に没頭して約束を忘れたらぶっ飛ばします」
ビットは拳を打つ出す動作を披露するが、慣れぬ動きゆえ迫力は皆無だ。「12時ですからね、12時」何度も繰り返した後にビットはゼータの私室を後にした。
***
その後2時間に渡り私物の箱詰め作業に没頭したゼータは、ビットとの約束時刻である12時に間に合うようにと私室を出た。一階まで続く長い階段を下り、玄関から一度屋外に出て隣接する研究棟に入る。不思議な事に、間もなく正午になろうかという頃なのに研究棟の一階には人の姿がない。いつもならば早めの昼食を取るために炊事室付近に人がたむろする時間だ。
ひっそりとした廊下を通り過ぎ、ゼータはビットに指定された会議室前に辿り着く。会議室は研究所内で最も広さのある部屋であるが、大人数での会議とは無縁の生活を送る研究員の巣窟ゆえ使用する機会はほとんどない。てっきりビットは会議室前で待っているものだと思っていたゼータであるが、予想に違い扉の前に人の姿はない。時刻は丁度約束の12時。会議室に立ち入っても良いのだろうか。思い悩むゼータの視界に謎の掛札が飛び込んでくる。
―12時になったら開けるべし
明らかにビットの字で書かれたとわかるその掛札は、左右開きの扉の右側の取っ手にぶら下がっていた。近くの部屋に顔だけを入れたゼータは、時計の針が12時を指していることを確認して扉の取っ手に手を掛ける。思い切って扉を引き開けたゼータの目の前に色とりどりの花びらが舞った。
「ゼータさん、結婚おめでとう!」
「おめでとうございます」
「よ、王妃!」
視界に舞う花びら、耳に飛び込む祝辞。ゼータの開けた扉の向こうでは、大勢の研究員が花びらを手に満面の笑みを称えていた。突然の出来事に面食らいながらも、ゼータは部屋の中へと歩を進める。後ろ手で扉を閉め自らを囲う人々の輪の中に立ち竦めば、待っていましたとばかりに全身に花びらが降り注いだ。明らかに顔面を狙って投げつけられる花びらもある。
「ちょっと待って…。花びらの量が尋常じゃない!」
顔面を覆い助けを求めるゼータの姿に、研究員らの口からは和やかな笑いが漏れた。
ゼータの全身に一通りの花びらが浴びせられたところで、会話の場は会議室の奥側へと移された。会議用の黒板には「ゼータさん、結婚おめでとう」の文字。壁のそこかしこには紙花が張り付けられ、天井には紙の輪飾りがぶら下がっていた。黒板の前に並べられた会議用の机には白の卓布が掛けられ、大皿の料理がいくつも載っている。手製と思われるウェディングケーキもある。大量の酒瓶と人数分のグラスも並べられていた。
「すごい…。これ、誰が作ったんですか?」
ゼータが指さす物は机の真ん中に置かれた純白のケーキだ。大きな丸いスポンジの上にたっぷりの生クリーム、クリームの上には宝石のような果物が飾られている。「祝!王妃誕生」と書かれたクッキープレートまで載る手の込みようだ。
「ケーキはリオンさんの手作りですよ。料理もリオンさんが筆頭で、得意な人が何人か手伝いました。部屋の飾り付けは、僕を含む料理苦手組のお仕事です」
「うわぁ…。感激しすぎて涙が出そうです。皆、ありがとうございます」
「お礼はまずリオンさんに言った方が良いですよ。リオンさん、人混みは苦手だからと言って結婚式に不参列だったじゃないですか。僕が結婚式の主役がゼータさんであったと伝えた時の顔といったら。結婚式の翌日には、僕にこの祝賀会の提案をしてきましたからね」
「それは申し訳ないことをしましたね。リオンは?」
「リオンさんは後で来ますよ。準備が残っているから、と言っていました」
「そうですか…」
ゼータは魔法研究所の者達を結婚式に誘うときに、自身の結婚式であるとは伝えなかった。「王宮に滞在するうちに王宮関係者との仲が深まり、レイバック王とルナ王妃の結婚披露宴にお呼ばれした。ただで美味しい王宮料理を食べられるから、ぜひ一緒に来てほしい」そう説得したのである。真実を伝えなかったのにはもちろん理由がある。まず先にあったのは、正直に説明しても冗談だと取り合ってもらえないだろうという思いだ。そして次に、皆を驚かせてやろうという思いがあった。真摯に真実を伝えることよりも悪戯心が勝ったわけだが、リオンを含む結婚式不参列者には申し訳ないことをしてしまった。
「あの、すみません。正直にお誘いをしなくって」
誰ともなしに投げ掛けられた謝罪に、数人の研究員が飛びついた。ゼータとビットが話し込む間に祝賀会は始まっていたようで、皆酒の注がれたグラスを手にしている。
「本当だよ!ゼータの結婚式だって言ってくれれば、何にも優先して参列したのに」
「すみません…」
「ゼータさんがウェディングドレスを着たんですよね。見たかったなぁ」
「あの、男の姿で着たわけではないですよ?」
「あ、サキュバスなんだっけ。ちょっと変身してみてよ」
「…嫌です」
四方八方から掛けられる声にゼータがしどろもどろ返事を返していると、グラスを手にした男性研究員が近寄ってきた。なみなみと酒の注がれたグラスをゼータの手に押し付け、礼を言おうとするゼータの耳に口を近づける。
「なぁ。結婚の話題はさて置き例の話はどうなったんだ?」
「例の話?何でしたっけ」
「追加予算の申請と、人員派遣の案件だ。任された仕事の成功報酬として追加予算が下りると以前言っていただろ。結局仕事はやり切ったのか?」
それはもう数か月前になる研究員との会話だ。ゼータはレイバックの妃候補を演じるための王宮滞在について、研究所の皆にそう説明をしたのだ。取り壊しになった研究所の予算を融通してもらえないかと交渉に当たっている。王宮内でとある仕事を任されており、成功報酬として追加予算の配分が検討される、と。
ゼータはズボンのポケットにしまい込んでいた四つ折りの紙を取り出した。
「そうそう。その件について皆にお話ししようと思っていたんです。はい、これレイバック王直筆の書類です」
「王様直筆ということは無事予算を貰えることになったのか。どれどれ、いくらくらい…」
書類を受け取った男性研究員は期待に心躍らせながら4つ折りの紙を開く。周りにいた数人の研究員がそれを覗き込む。10の眼が紙の上を滑り、そしてある一点で動きを止めた。
―南研究所に配分予定であった予算全額を、魔法研究所の追加予算として計上することを認める
南研究所は魔法研究所と同規模の施設だ。研究所解体までの運営費やの解体に係る費用、荷物の運搬に宛てられた費用はもちろんあるが、その額を除くにしても予算の残額はかなりの物になる。それが丸々移されるとなれば、魔法研究所にはほぼ2年分の予算が割り当てられたと同様だ。
「注意事項が3つあります。一つは他所の研究所の者に当件を漏らさないこと。異例の予算計上ですからね。2つ目は追加予算を人件費には充てないこと。3つ目は予算の使い道は月に一度私を通してレイバック王に報告すること。報告とは言っても余程私的な支出じゃなければ注意が入ることはありません。上手く使ってくれ、とのことでした。あと人の派遣については次年度までお待ちください。王宮の官吏の移動時期に合わせて2名キメラの育成に知のある者を派遣してくれるそうです。2年の任期付きですけどね」
ゼータの説明に紙を覗き込んでいた研究員らは茫然と頷き、さらに周りにいる研究員が何事かと集まってきた。紙を持つ男性研究員の手は小刻みに震え、やがて両端が手汗で濡れた紙は皆の頭上に高々と掲げられた。
「椅子だ!誰か魔法研究所内で最も豪華な椅子を持ってこい!ゼータ様を生活棟の屋上に奉るぞ!」
「何で頑なに屋根は付けてもらえないんですか?」
ゼータの持ち込んだ一枚の用紙により、結婚祝賀会は一気に荒れ模様となった。王様直筆の紙は一人の研究員の手により額縁に入れられ黒板の上部に掲げられている。巨額の予算確保に湧いた人々は次から次へとグラスを空け、酒が足りぬと自前の酒瓶を持ち込む程であった。顔を赤らめ酒を酌み交わす人々の輪の中で、ゼータは人目に付かぬようにとビットの背後に身を隠していた。「ゼータさん、結婚おめでとう」と書かれた黒板の全面には、紙花の飾り付けられた木製の椅子が置かれている。ゼータを奉るための椅子だ。興奮状態にある研究員に一度目を付けられれば、椅子に手足を固定され生活棟の屋上まで運び上げられること間違いなしだ。
本日の主役であるはずなのに、身を潜めちびちびと酒を飲むゼータにビットは問う。
「ゼータさん。王宮で任されたお仕事って何なんですか?これだけの報酬を貰えるってことはやばい案件なんじゃないの。僕、唯一無二の友人が犯罪者なんて嫌ですよ」
「法は犯していませんよ。ちょっと王様の我儘に付き合っただけです」
「王様の我儘?それってゼータさんとレイバック王が結婚に至ったことと何か関係があるの?」
「うーん…何と説明したらよいのか…」
言い淀むゼータの背後で会議室の扉が開いた。室内の喧騒は止み、皆の視線は開け放たれた扉へと集まる。扉の前に立つ者は、祝賀会の幹事でありながら今まで不在であったリオンである。祝賀会開催の礼を言わねばならない。思い立って口を開きかけたゼータであるが、リオンの両手に握られた白い物体を目にして口を噤む。それは手製と思われるドレスであった。白の布地の胸元にはいくつもの花飾りが、腰元には大きなリボンが、そして膝丈のスカートのすそには幾重にも重なるフリルがあしらわれている。あのドレスを着た者は、誰でも御伽話の中のお姫様のような姿となれることだろう。
はっとして身を強張らせたゼータは、縮めていた身をさらに縮めてビットの背後へと回り込んだ。物騒なドレスを手にしたリオンに存在を認知されぬように。しかしゼータの思いは虚しく、唯一無二の親友は華麗なステップでゼータの元を去る。隠れ場所を失ったゼータの瞳が、満面の笑みを称えたリオンの瞳と合った。
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