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緋糸たぐる御伽姫
22.街歩き-魔獣園
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その日は朝から雨だった。空にかかる薄灰色の分厚い雲から、しとしとと身体を濡らすような雨が降り続いていた。風はないが、漂う空気がひやりと冷たい朝だった。レイバックはおよそ王とは思えぬ軽装で王の間を出た。茶色のブラウスシャツに動きやすいズボン、それに雨を凌ぐ薄手のコート。ゼータとの密会に合わせ、ポトスの街に降りるときの格好だ。
レイバックがポトス城の正門前に着くと、既に3台の馬車が到着していた。使節団員の面々も徐々に集まりつつある。皆街歩きに備え動きやすい私服を着用し、傘をさしていた。レイバックの後にやってきたメアリも今日はすその長いワンピースではなく、膝丈のスカートにブラウスという軽装だ。髪は後頭部の高い場所ですっきりと纏めている。街を歩いていても隣国の姫君だとは気が付かれないだろう。
今日は使節団員が楽しみにしている街歩きの日だ。悪天候にも関わらず、皆の顔には笑顔が浮かぶ。
「おはようございます。生憎の天気ですね。土砂降りにならないことを願いましょう。これと言った行程の変更点はございませんが、急遽レイバック王は街歩きに同行されることになりました、王は街歩きが趣味でいらっしゃいます。困ったことがあれば私よりも王を頼った方が確実ですよ」
シモンが言えば、使節団員の視線はレイバックへと集まった。魔導具の紹介や、訓練場の訪問にも同席しているレイバックだ。突然の参加にも使節団員が驚いた様子はない。
「では馬車にお乗りください。ポトスの街へは15分ほどでございます。自由にお乗りいただいて構いませんが、傘で椅子を濡らさぬように注意してください」
シモンが促すと、使節団員は後方に停まった2台の客車に次々と乗り込んだ。メアリもそれに続く。サーリィという女性の使節団員と、一緒に馬車に乗ると話がついているらしい。
レイバックはシモンと共に先頭に停まった客車に乗り込んだ。2人に続き、マルコーも同じ客車へと乗り込む。間もなくして客車の扉が閉まり、馬車はゆっくりと走り出した。備え付けられた小さな窓が揺れかたかたと小気味の良い音を立てる。
「レイバック様。ルナ様のお怪我はどのようですか?」
馬車走り出して少し経った頃に、マルコーがレイバックに尋ねた。ルナの怪我、それ即ち剣技の試合でメアリがルナの胸を打ったときの痣を指す。
「もう痛みは引いているようだ。まだ薄い痣は残っているが数日以内には消えるだろう。心配には及ばない」
「そうですか。それは幸いです。メアリ姫も気に掛けておられましたので」
「故意の怪我ではないんだ。気にせぬよう伝えてくれ」
「ありがたいお言葉です。失敬、確認ですがルナ様は剣技を嗜んではおられない?」
「ん?ああ、見ての通りだ。まるで縁遠い」
「失礼ですが王妃ともなるお方であれば、ご自分で身を守る程度の剣技の心得は必要では?」
「剣だけが身を守る手段ではないだろう。一つ得手があれば十分だ」
レイバックの言葉に、マルコーは訝しげに眉を寄せる。魔封じの紐で封じられる程度の魔力しか持たず、更にはろくに剣も使えない。ならば他に何ができるのだ、と。
「それにめちゃめちゃな太刀と打ち合うのは中々楽しいものだ。俺は今のままのルナの剣が好ましい」
「相変わらず仲良しでございますねぇ」
不満げな表情のマルコーに代わりレイバックに言葉を返した者は、微笑み浮かべるシモンであった。
レイバックとシモンが行程の確認をするうちに、馬車は目的地へと到着した。3台の馬車が停まった所は、ポトスの街にある「馬車留まり」と呼ばれる場所である。ポトスの街の中心部からは少し離れた場所にあり、街を訪れる者が一時的に馬車や馬を留めておける駅のような役割を担う。個人の馬と馬車を停める他、近隣の街や集落に向かう乗り合い馬車に乗車するときにも、この馬車留まりを利用する。
馬車留まりからは、ポトス城と反対方向に向かって大通りが伸びている。緩やかな下り坂を進むうちに街並みは次第に賑やかとなり、やがて人行き交い店建ち並ぶポトスの街の中心部に辿り着くのだ。
馬車から降りた使節団員は各々天に傘を開き、坂道の下に望むポトスの街を見て楽しげな声を上げていた。
「まずはここから東に300mほどの場所にある魔獣園に向かいます。人通りの多い道ですから、はぐれないように付いて来てください」
シモンの先導に皆は続く。降り続く雨が均された土の地面に水溜まりを作っている。普段街で暮らしている者にとっては見慣れた光景であったが、メアリは水溜まりを避けることに四苦八苦していた。日常的にポトスの街に下りるレイバックは王としては異質で、一般的な王族は特別な用がなければ安易に街になど下りない。下りたとしても豪華な馬車に乗っての移動が普通なのだから、足元の悪い場所を自らの足で歩くことなどまず有り得ないのだ。
メアリの左足が小さな水たまりを踏み、パシャリと音を立てた。
***
魔獣園の入場口に着いたのは、開園とほぼ同時刻であった。アーチ状の石門付近は既に多くの人で賑わいを見せている。この場所は4つある魔獣園の門の中で、一番大きな西門と呼ばれる場所である。木花が植えられた石門前の広場には、多種多様の種族が入場口をくぐろうと列を成していた。
一行が魔獣園の西門をくぐると、綺麗に整備された園内が広がっていた。長く伸びた石畳の両脇には2階建てほどの建物が幾つも建ち、屋外に直接置かれた檻も目立つ。休憩所や売店などの建物は煉瓦造りで統一され、緑の多い園内は美しい庭園のようだ。
魔獣園はドラキス王国の中で唯一、安全に魔獣を鑑賞することができる施設である。日常生活では恐怖の対象である魔獣をじっくりと観察できる施設とあり、ポトスの街でも人気の観光地の一つだ。国内からの来客も多ければ、ロシャ王国からの旅行者は間違いなくと言っても良いほどこの魔獣園へと足を運ぶのである。
西門の内側にある案内板の前で、シモンは足を止めた。
「園内では自由行動と致します。11時30分にこの場所にお戻りください。園内はとても広く、半日で全ての施設を回ることは不可能です。園内各所に案内板がありますので、行きたいエリアを選んで行動してくださいね。行き先の決まっていない人は、私に着いて来ていただいても結構ですよ」
シモンの言葉に、使節団員の2人―クリスとアンガスは談笑しながらその場を立ち去った。行きたいエリアが決まっているようだ。その他の者は案内板の前を動くことはなく、しばし行動を共にすることとなる。
シモンはまず西門付近にある鳥獣エリアに立ち寄った。屋外には高さ5mはあろうかという巨大な檻がいくつも並べて置かれており、中には翼を持った大小様々な魔獣が入れられている。それぞれの檻の上部には木製の看板が掛けられて入り、魔獣の名称と簡単な生態的特徴が書かれていた。
シモンは立ち並ぶ檻の中で、最も巨大な檻の前で足を止めた。「グリフォン」という看板が檻の上部に掛けられている。檻の中の生物は鷹の翼と上半身に、四足獣の下半身が付いていた。大型犬ほどの大きさで魔獣としては中型に分類されるが、森で出会えば相当の危機感を抱くことだろう。
「こちらは有名なグリフォンです。大きく見えますが、グリフォンの中では小型の部類です。身体が小さく群れから外れ、集落に迷い込んだところを捕獲されたと聞いています」
「集落に迷い込んだ魔獣は、こうして魔獣園に送られるのですか?」
尋ねた者は、グリフィンの檻の傍に屈みこんだサーリィである。30代半ばと見えるサーリィの横には、メアリが腰を屈め檻の内部を覗き込んでいた。
「人を傷つけた個体であれば通常その場で始末されます。幸いこの個体は人を傷つけた形跡がなかったのと、運良く捕獲現場に魔獣園に縁のある者が居合わせたのです。小型個体であれば展示に丁度良いということで処罰を免れました。通常のグリフォンは、馬程度の大きさまで成長しますからね」
「人も魔獣も運が良かった、ということですね」
「そういうことです。魔獣園に展示されている魔獣は、ほとんどがそうして野生から外れた個体なのです。例えば本来ならば使えるべき魔法が使えなかったり、脚が欠けていて上手く走れなかったり、このグリフォンのように身体が小さくて群れに見放されたという個体も多くいます。ですから魔獣園を訪れ魔獣など可愛いものだと思っていると痛い目に遭いますよ。森で出くわす野生の魔獣は、この10倍は恐ろしいと思っていてください。野生のグリフォンに単身武器もなく出くわせば、生き延びることは不可能に近いでしょう」
説明を終えたシモンは次の檻へと進んだ。しかしメアリとサーリィはグリフォンの檻の前で立ち止まったままだ。鷹とライオンのあいの子のような生物がお気に召したらしく、檻を覗き込んで会話を重ねている。
「目が金色で綺麗ですね」
「翼が付いていますが飛べるのでしょうか」
「鳥獣と言うからには飛べるのでは?でも飛ぶには少し頼りない翼ですね」
肩を寄せ合う姿は楽しげだ。談笑する2人を横目に、レイバックが次の檻に進もうとすると、メアリの背後に控えていたマルコーが俄かに声を上げた。
「レイバック様。貴方は魔獣に関して知識がおありですか?」
「王宮内で常識とされる程度には」
「では、グリフォンについて少しご説明を願い出てもよろしいでしょうか」
「ああ…構わないが」
てっきりマルコー相手に説明するのかと思いきや、マルコーはさも自然な動作でレイバックをメアリの隣へと促した。成程メアリ相手に説明せよと言うことかと、レイバックは納得の面持ちである。昨日までの心持ちならば断りの文句を考えるところだが、今日の街歩きの目的はメアリとの距離を詰めることにある。レイバックは大人しく、メアリの傍らへと身を寄せる。
「本来グリフォンは空を飛ぶ魔獣だ。しかしこの展示個体は翼が未発達で飛ぶことができない。魔獣園では鳥獣に分類されているが、グリフォンの生活の基盤は地上だ。地上での生活を主としながら、敵に襲われた際は空を飛んで逃げるという所だな。大方この個体は、敵に襲われた時に群れからはぐれたのだろう」
「ドラキス王国内には当たり前に生息する魔獣ですか?」
「個体数としてはさほど多くはない。国土の西部と南部で群れの生息が確認されている。危険な魔獣であれば群れが確認されれば即座に討伐対象となるんだが、グリフィンは積極的に人里を襲うことがないから放置されている。知能が高いんだ。森を歩くときに鈴を鳴らせば、グリフィンに出くわす事はまずないと言われている。鈴の音に寄って来る魔獣もいるからお勧めはしないがな」
レイバックの説明を、メアリとサーリィは頷きながら聞いていた。
マルコーの采配により魔獣案内係に任命されたレイバックは、それから先もせっせと魔獣の説明に当たった。鳥獣エリアの端にある檻には、綺麗な緑色の鳥が入れられていた。銅のような美しいくちばしを持つ鳥にしげしげと見入るメアリ。しかしレイバックの「猛毒がある。気を付けろ」との言葉に悲鳴を上げて飛びのくのである。
一行は四足獣エリア、小魔獣エリアと順に巡り、10時半を回った頃に魔獣園の中心にある巨大なドーム型の建物に辿り着いた。その頃には使節団員のほとんどは思い思いの場所に散っていた。残された面々は、一見すると親子のようにも見えるメアリとサーリィ、マルコー、レイバック、シモンの5人である。肩を寄せ合うメアリとサーリィを筆頭に、一行は巨大なドーム型の建物へと入場する。
建物の中は薄暗く、人が3人並んで通れるほどの通路が長く続いていた。通路の両側にはガラス張りの小部屋が設置されており、多彩な姿をした生物が入れられている。ここは「キメラ館」と呼ばれる魔獣園で一番人気の建物だ。展示個体の大多数は、ドラキス王国内各地にある研究所で生み出されたキメラ。中には世界に1匹しかいないという珍しい個体もいる。
人通りの多い通路を一行はそろそろと進む。初めのうちは通路から覗く部屋は小さく、中にいるキメラも猫や兎程度の小さな個体ばかりであった。三又の白猫、羽の生えたうさぎ、尾の先が絡み合った3匹の蛇。珍しくはあるが、生物としてはそれほど違和感のない個体ばかりである。
しかし道のりを進むにつれて通路から覗く部屋は大掛かりとなる。中のキメラも人の腰丈を優に超える大きさとなった。六つ脚のしまうま、あげは蝶の羽を携えた孔雀、七色毛並みの豹。息を呑むほどに美しいキメラもいれば、生きている事が不思議になるほど不気味な風貌をしたキメラもいる。すっかりレイバックの案内にも慣れたメアリが、展示ガラスに鼻先を付け尋ねる。
「キメラとは、どのような目的で生み出される生物なのですか?」
「様々だ。意図せず生まれてしまう場合が最も多いとは聞く。実験失敗による産物だな。魔法や薬剤の実験台として動物や魔獣を使用するうちに、予期せずして遺伝子が組み変わってしまう事があるらしい。次いで多いのが観賞を目的としたキメラの合成だ。魔獣園に展示するために、研究所でわざわざキメラを作るんだ。一目見て美しいと感じるようなキメラは、大体鑑賞を目的として合成された物だ」
「観賞用…ですか。何だか可哀そうな気もしますけれど」
「あまり推奨される物でないのは確かだな。キメラは長くは生きられない。生物本来の姿を無理やり変えるなど命の冒涜だとの声は常にあるが、こうしてキメラ館が人気を博していることも事実。キメラ館でのキメラの展示数に応じて、魔獣園の利益の一定額が、国内の各研究所に還元される仕組みになっている。人気の高いキメラを作りキメラ館の展示数を確保し続けていれば、研究所としてはかなりの収益になるんだ。民間の研究所が、こぞってキメラ開発にあたる最大の理由でもある」
「ドラキス王国内には、全部でいくつ研究所があるのですか?ポトスの街に近い所にも魔法研究所があると聞きました」
「ああ、よく知っているな。魔法研究所は国家直属の機関だ。国家直属の研究所は他に2つ、民間の研究所は10ほどあったはずだ。一番大きな研究所は―」
すっかり教師と生徒の様子が板についたレイバックとメアリと展示ガラスの前に残し、マルコーはお手洗いと表示された扉に身体を滑り込ませた。
白で統一された清潔な個室の中で、マルコーは息を吐く。ここまでの成果は上々だ。レイバックをメアリの傍に張り付け、会話の糸口を作り出した。しかし結婚に向けて2人の距離が近づいているかと言われると微妙なところではある。会話と言っても教師と生徒程度の物であるし、傍にはシモンもサーリィもいるのだ。せめてレイバックとメアリを2人きりにする手立てがあれば、とマルコーは便座の上で頭を悩ませる。
思案を重ねるマルコーがお手洗いを出ると、一人先の道へと進んでいたはずのシモンが狭い廊下を歩き回っていた。薄暗い廊下できょろきょろと辺りを見回している。
「シモン殿、どうされました?」
マルコーが声を掛ければ、シモンは急ぎ足でお手洗いの側へとやってくる。顔に浮かぶは安堵の笑み。
「マルコー殿、ここにいらっしゃいましたか。申し訳ありませんが、少々問題が発生致しました。今しがたキメラ館の受付の者に聞いたのですが、この後立ち寄ろうと思っていた西門付近の食堂が、昨日から臨時で休業しているようなのです」
「左様ですか。どうされるおつもりです?」
「別の食堂を探します。しかし西門付近の食堂は小規模の物がほとんどで、我々皆が揃って入れる店がほとんどないのですよ。北門付近に観光客向けの大きな食堂が何軒かありますから、そちらで店を探そうと思っています」
「わかりました。では11時半に北門に集えばよろしいか?」
「ええ、そのようにお願い致します。西門に集ってから皆で移動すると、目当ての食堂に入れない可能性があります。王宮の食堂と同様に、この付近の食堂は正午を越えると酷く込み合うのですよ」
「そうでしょうな。園内には観光客の姿も多い」
「そういう事情ですので、マルコー殿。お手数ですが館内にいる皆に、伝言を願います。私は園内で他の使節団員を探して参ります。探しきれなければ私は当初の予定通り西門に赴き、集まった者を連れて早急に北門に向かいます。マルコー殿はメアリ姫方と共に北門でお待ちください。小走りで行けば10分は掛からずに着きますから」
そう言い残し、シモンは足早にキメラ館の出口へと向かっていった。シモンの背を見送ったマルコーは、薄暗い廊下にメアリの姿を探す。お手洗いからは少し離れた場所に可憐な後ろ姿を見つけ、その背に歩み寄る。しかしその華奢な肩を叩くことはせずに、メアリの横に立つサーリィへと囁きを向ける。
「サーリィ。事務連絡がある。少し良いか」
「あら、何でしょう」
サーリィはマルコーの手招きに従い、メアリの横を離れる。メアリの逆隣にはせっせとキメラの説明にあたるレイバックがいるが、サーリィが傍を離れたことに気が付く様子はない。
サーリィを連れお手洗いの表示下まで舞い戻ったマルコーは、困り顔でこう言った。
「サーリィ。昼食を予定していた食堂が休業のようだ。集合場所は北門に変更、悪いが園内にいる使節団員を探して伝言を頼めるか。シモン殿が皆に伝言に向かわれたが、雨の中の人探しは大変だろう」
「あら、わかりました。北門ですね」
「レイバック様とメアリ姫には私が伝えておく。手数を掛けるが頼むぞ」
「ええ、任せておいてください。では後程」
サーリィはそう言って微笑むと、すぐに薄暗い館内を出口に向かって歩いていった。マルコーの視界に映るのは、並んで展示ガラスに見入るレイバックとメアリ。サーリィの不在に気が付きちらちらと辺りを伺うメアリの背に、マルコーは歩み寄る。
「メアリ姫、レイバック様。集合場所が変更でございます。予定していた昼食会場が今日は臨時休業なのだと、シモン殿が仰っておりました」
「そうなのか。どこに変更だ?」
「…東門でございます。シモン殿は園内にいる使節団員に伝言に向かわれました。雨の中では難儀するでしょうから、私も少し近間を探して参ります。レイバック様、メアリ姫の供をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「ああ、構わん」
「ではどうぞ、メアリ姫をよろしくお願い致します」
満面の笑みを浮かべたマルコーは、深々と頭を下げてその場を離れた。
薄暗い通路にレイバックとメアリが残される。辺りはキメラを間近で見ようとする人でごった返し、入り乱れる歓声で騒がしい。しかしその通路の一角に並んで立つ者が、まさかこの国の王と隣国の姫君であるなどと、気が付く者は誰一人としていない。
レイバックがポトス城の正門前に着くと、既に3台の馬車が到着していた。使節団員の面々も徐々に集まりつつある。皆街歩きに備え動きやすい私服を着用し、傘をさしていた。レイバックの後にやってきたメアリも今日はすその長いワンピースではなく、膝丈のスカートにブラウスという軽装だ。髪は後頭部の高い場所ですっきりと纏めている。街を歩いていても隣国の姫君だとは気が付かれないだろう。
今日は使節団員が楽しみにしている街歩きの日だ。悪天候にも関わらず、皆の顔には笑顔が浮かぶ。
「おはようございます。生憎の天気ですね。土砂降りにならないことを願いましょう。これと言った行程の変更点はございませんが、急遽レイバック王は街歩きに同行されることになりました、王は街歩きが趣味でいらっしゃいます。困ったことがあれば私よりも王を頼った方が確実ですよ」
シモンが言えば、使節団員の視線はレイバックへと集まった。魔導具の紹介や、訓練場の訪問にも同席しているレイバックだ。突然の参加にも使節団員が驚いた様子はない。
「では馬車にお乗りください。ポトスの街へは15分ほどでございます。自由にお乗りいただいて構いませんが、傘で椅子を濡らさぬように注意してください」
シモンが促すと、使節団員は後方に停まった2台の客車に次々と乗り込んだ。メアリもそれに続く。サーリィという女性の使節団員と、一緒に馬車に乗ると話がついているらしい。
レイバックはシモンと共に先頭に停まった客車に乗り込んだ。2人に続き、マルコーも同じ客車へと乗り込む。間もなくして客車の扉が閉まり、馬車はゆっくりと走り出した。備え付けられた小さな窓が揺れかたかたと小気味の良い音を立てる。
「レイバック様。ルナ様のお怪我はどのようですか?」
馬車走り出して少し経った頃に、マルコーがレイバックに尋ねた。ルナの怪我、それ即ち剣技の試合でメアリがルナの胸を打ったときの痣を指す。
「もう痛みは引いているようだ。まだ薄い痣は残っているが数日以内には消えるだろう。心配には及ばない」
「そうですか。それは幸いです。メアリ姫も気に掛けておられましたので」
「故意の怪我ではないんだ。気にせぬよう伝えてくれ」
「ありがたいお言葉です。失敬、確認ですがルナ様は剣技を嗜んではおられない?」
「ん?ああ、見ての通りだ。まるで縁遠い」
「失礼ですが王妃ともなるお方であれば、ご自分で身を守る程度の剣技の心得は必要では?」
「剣だけが身を守る手段ではないだろう。一つ得手があれば十分だ」
レイバックの言葉に、マルコーは訝しげに眉を寄せる。魔封じの紐で封じられる程度の魔力しか持たず、更にはろくに剣も使えない。ならば他に何ができるのだ、と。
「それにめちゃめちゃな太刀と打ち合うのは中々楽しいものだ。俺は今のままのルナの剣が好ましい」
「相変わらず仲良しでございますねぇ」
不満げな表情のマルコーに代わりレイバックに言葉を返した者は、微笑み浮かべるシモンであった。
レイバックとシモンが行程の確認をするうちに、馬車は目的地へと到着した。3台の馬車が停まった所は、ポトスの街にある「馬車留まり」と呼ばれる場所である。ポトスの街の中心部からは少し離れた場所にあり、街を訪れる者が一時的に馬車や馬を留めておける駅のような役割を担う。個人の馬と馬車を停める他、近隣の街や集落に向かう乗り合い馬車に乗車するときにも、この馬車留まりを利用する。
馬車留まりからは、ポトス城と反対方向に向かって大通りが伸びている。緩やかな下り坂を進むうちに街並みは次第に賑やかとなり、やがて人行き交い店建ち並ぶポトスの街の中心部に辿り着くのだ。
馬車から降りた使節団員は各々天に傘を開き、坂道の下に望むポトスの街を見て楽しげな声を上げていた。
「まずはここから東に300mほどの場所にある魔獣園に向かいます。人通りの多い道ですから、はぐれないように付いて来てください」
シモンの先導に皆は続く。降り続く雨が均された土の地面に水溜まりを作っている。普段街で暮らしている者にとっては見慣れた光景であったが、メアリは水溜まりを避けることに四苦八苦していた。日常的にポトスの街に下りるレイバックは王としては異質で、一般的な王族は特別な用がなければ安易に街になど下りない。下りたとしても豪華な馬車に乗っての移動が普通なのだから、足元の悪い場所を自らの足で歩くことなどまず有り得ないのだ。
メアリの左足が小さな水たまりを踏み、パシャリと音を立てた。
***
魔獣園の入場口に着いたのは、開園とほぼ同時刻であった。アーチ状の石門付近は既に多くの人で賑わいを見せている。この場所は4つある魔獣園の門の中で、一番大きな西門と呼ばれる場所である。木花が植えられた石門前の広場には、多種多様の種族が入場口をくぐろうと列を成していた。
一行が魔獣園の西門をくぐると、綺麗に整備された園内が広がっていた。長く伸びた石畳の両脇には2階建てほどの建物が幾つも建ち、屋外に直接置かれた檻も目立つ。休憩所や売店などの建物は煉瓦造りで統一され、緑の多い園内は美しい庭園のようだ。
魔獣園はドラキス王国の中で唯一、安全に魔獣を鑑賞することができる施設である。日常生活では恐怖の対象である魔獣をじっくりと観察できる施設とあり、ポトスの街でも人気の観光地の一つだ。国内からの来客も多ければ、ロシャ王国からの旅行者は間違いなくと言っても良いほどこの魔獣園へと足を運ぶのである。
西門の内側にある案内板の前で、シモンは足を止めた。
「園内では自由行動と致します。11時30分にこの場所にお戻りください。園内はとても広く、半日で全ての施設を回ることは不可能です。園内各所に案内板がありますので、行きたいエリアを選んで行動してくださいね。行き先の決まっていない人は、私に着いて来ていただいても結構ですよ」
シモンの言葉に、使節団員の2人―クリスとアンガスは談笑しながらその場を立ち去った。行きたいエリアが決まっているようだ。その他の者は案内板の前を動くことはなく、しばし行動を共にすることとなる。
シモンはまず西門付近にある鳥獣エリアに立ち寄った。屋外には高さ5mはあろうかという巨大な檻がいくつも並べて置かれており、中には翼を持った大小様々な魔獣が入れられている。それぞれの檻の上部には木製の看板が掛けられて入り、魔獣の名称と簡単な生態的特徴が書かれていた。
シモンは立ち並ぶ檻の中で、最も巨大な檻の前で足を止めた。「グリフォン」という看板が檻の上部に掛けられている。檻の中の生物は鷹の翼と上半身に、四足獣の下半身が付いていた。大型犬ほどの大きさで魔獣としては中型に分類されるが、森で出会えば相当の危機感を抱くことだろう。
「こちらは有名なグリフォンです。大きく見えますが、グリフォンの中では小型の部類です。身体が小さく群れから外れ、集落に迷い込んだところを捕獲されたと聞いています」
「集落に迷い込んだ魔獣は、こうして魔獣園に送られるのですか?」
尋ねた者は、グリフィンの檻の傍に屈みこんだサーリィである。30代半ばと見えるサーリィの横には、メアリが腰を屈め檻の内部を覗き込んでいた。
「人を傷つけた個体であれば通常その場で始末されます。幸いこの個体は人を傷つけた形跡がなかったのと、運良く捕獲現場に魔獣園に縁のある者が居合わせたのです。小型個体であれば展示に丁度良いということで処罰を免れました。通常のグリフォンは、馬程度の大きさまで成長しますからね」
「人も魔獣も運が良かった、ということですね」
「そういうことです。魔獣園に展示されている魔獣は、ほとんどがそうして野生から外れた個体なのです。例えば本来ならば使えるべき魔法が使えなかったり、脚が欠けていて上手く走れなかったり、このグリフォンのように身体が小さくて群れに見放されたという個体も多くいます。ですから魔獣園を訪れ魔獣など可愛いものだと思っていると痛い目に遭いますよ。森で出くわす野生の魔獣は、この10倍は恐ろしいと思っていてください。野生のグリフォンに単身武器もなく出くわせば、生き延びることは不可能に近いでしょう」
説明を終えたシモンは次の檻へと進んだ。しかしメアリとサーリィはグリフォンの檻の前で立ち止まったままだ。鷹とライオンのあいの子のような生物がお気に召したらしく、檻を覗き込んで会話を重ねている。
「目が金色で綺麗ですね」
「翼が付いていますが飛べるのでしょうか」
「鳥獣と言うからには飛べるのでは?でも飛ぶには少し頼りない翼ですね」
肩を寄せ合う姿は楽しげだ。談笑する2人を横目に、レイバックが次の檻に進もうとすると、メアリの背後に控えていたマルコーが俄かに声を上げた。
「レイバック様。貴方は魔獣に関して知識がおありですか?」
「王宮内で常識とされる程度には」
「では、グリフォンについて少しご説明を願い出てもよろしいでしょうか」
「ああ…構わないが」
てっきりマルコー相手に説明するのかと思いきや、マルコーはさも自然な動作でレイバックをメアリの隣へと促した。成程メアリ相手に説明せよと言うことかと、レイバックは納得の面持ちである。昨日までの心持ちならば断りの文句を考えるところだが、今日の街歩きの目的はメアリとの距離を詰めることにある。レイバックは大人しく、メアリの傍らへと身を寄せる。
「本来グリフォンは空を飛ぶ魔獣だ。しかしこの展示個体は翼が未発達で飛ぶことができない。魔獣園では鳥獣に分類されているが、グリフォンの生活の基盤は地上だ。地上での生活を主としながら、敵に襲われた際は空を飛んで逃げるという所だな。大方この個体は、敵に襲われた時に群れからはぐれたのだろう」
「ドラキス王国内には当たり前に生息する魔獣ですか?」
「個体数としてはさほど多くはない。国土の西部と南部で群れの生息が確認されている。危険な魔獣であれば群れが確認されれば即座に討伐対象となるんだが、グリフィンは積極的に人里を襲うことがないから放置されている。知能が高いんだ。森を歩くときに鈴を鳴らせば、グリフィンに出くわす事はまずないと言われている。鈴の音に寄って来る魔獣もいるからお勧めはしないがな」
レイバックの説明を、メアリとサーリィは頷きながら聞いていた。
マルコーの采配により魔獣案内係に任命されたレイバックは、それから先もせっせと魔獣の説明に当たった。鳥獣エリアの端にある檻には、綺麗な緑色の鳥が入れられていた。銅のような美しいくちばしを持つ鳥にしげしげと見入るメアリ。しかしレイバックの「猛毒がある。気を付けろ」との言葉に悲鳴を上げて飛びのくのである。
一行は四足獣エリア、小魔獣エリアと順に巡り、10時半を回った頃に魔獣園の中心にある巨大なドーム型の建物に辿り着いた。その頃には使節団員のほとんどは思い思いの場所に散っていた。残された面々は、一見すると親子のようにも見えるメアリとサーリィ、マルコー、レイバック、シモンの5人である。肩を寄せ合うメアリとサーリィを筆頭に、一行は巨大なドーム型の建物へと入場する。
建物の中は薄暗く、人が3人並んで通れるほどの通路が長く続いていた。通路の両側にはガラス張りの小部屋が設置されており、多彩な姿をした生物が入れられている。ここは「キメラ館」と呼ばれる魔獣園で一番人気の建物だ。展示個体の大多数は、ドラキス王国内各地にある研究所で生み出されたキメラ。中には世界に1匹しかいないという珍しい個体もいる。
人通りの多い通路を一行はそろそろと進む。初めのうちは通路から覗く部屋は小さく、中にいるキメラも猫や兎程度の小さな個体ばかりであった。三又の白猫、羽の生えたうさぎ、尾の先が絡み合った3匹の蛇。珍しくはあるが、生物としてはそれほど違和感のない個体ばかりである。
しかし道のりを進むにつれて通路から覗く部屋は大掛かりとなる。中のキメラも人の腰丈を優に超える大きさとなった。六つ脚のしまうま、あげは蝶の羽を携えた孔雀、七色毛並みの豹。息を呑むほどに美しいキメラもいれば、生きている事が不思議になるほど不気味な風貌をしたキメラもいる。すっかりレイバックの案内にも慣れたメアリが、展示ガラスに鼻先を付け尋ねる。
「キメラとは、どのような目的で生み出される生物なのですか?」
「様々だ。意図せず生まれてしまう場合が最も多いとは聞く。実験失敗による産物だな。魔法や薬剤の実験台として動物や魔獣を使用するうちに、予期せずして遺伝子が組み変わってしまう事があるらしい。次いで多いのが観賞を目的としたキメラの合成だ。魔獣園に展示するために、研究所でわざわざキメラを作るんだ。一目見て美しいと感じるようなキメラは、大体鑑賞を目的として合成された物だ」
「観賞用…ですか。何だか可哀そうな気もしますけれど」
「あまり推奨される物でないのは確かだな。キメラは長くは生きられない。生物本来の姿を無理やり変えるなど命の冒涜だとの声は常にあるが、こうしてキメラ館が人気を博していることも事実。キメラ館でのキメラの展示数に応じて、魔獣園の利益の一定額が、国内の各研究所に還元される仕組みになっている。人気の高いキメラを作りキメラ館の展示数を確保し続けていれば、研究所としてはかなりの収益になるんだ。民間の研究所が、こぞってキメラ開発にあたる最大の理由でもある」
「ドラキス王国内には、全部でいくつ研究所があるのですか?ポトスの街に近い所にも魔法研究所があると聞きました」
「ああ、よく知っているな。魔法研究所は国家直属の機関だ。国家直属の研究所は他に2つ、民間の研究所は10ほどあったはずだ。一番大きな研究所は―」
すっかり教師と生徒の様子が板についたレイバックとメアリと展示ガラスの前に残し、マルコーはお手洗いと表示された扉に身体を滑り込ませた。
白で統一された清潔な個室の中で、マルコーは息を吐く。ここまでの成果は上々だ。レイバックをメアリの傍に張り付け、会話の糸口を作り出した。しかし結婚に向けて2人の距離が近づいているかと言われると微妙なところではある。会話と言っても教師と生徒程度の物であるし、傍にはシモンもサーリィもいるのだ。せめてレイバックとメアリを2人きりにする手立てがあれば、とマルコーは便座の上で頭を悩ませる。
思案を重ねるマルコーがお手洗いを出ると、一人先の道へと進んでいたはずのシモンが狭い廊下を歩き回っていた。薄暗い廊下できょろきょろと辺りを見回している。
「シモン殿、どうされました?」
マルコーが声を掛ければ、シモンは急ぎ足でお手洗いの側へとやってくる。顔に浮かぶは安堵の笑み。
「マルコー殿、ここにいらっしゃいましたか。申し訳ありませんが、少々問題が発生致しました。今しがたキメラ館の受付の者に聞いたのですが、この後立ち寄ろうと思っていた西門付近の食堂が、昨日から臨時で休業しているようなのです」
「左様ですか。どうされるおつもりです?」
「別の食堂を探します。しかし西門付近の食堂は小規模の物がほとんどで、我々皆が揃って入れる店がほとんどないのですよ。北門付近に観光客向けの大きな食堂が何軒かありますから、そちらで店を探そうと思っています」
「わかりました。では11時半に北門に集えばよろしいか?」
「ええ、そのようにお願い致します。西門に集ってから皆で移動すると、目当ての食堂に入れない可能性があります。王宮の食堂と同様に、この付近の食堂は正午を越えると酷く込み合うのですよ」
「そうでしょうな。園内には観光客の姿も多い」
「そういう事情ですので、マルコー殿。お手数ですが館内にいる皆に、伝言を願います。私は園内で他の使節団員を探して参ります。探しきれなければ私は当初の予定通り西門に赴き、集まった者を連れて早急に北門に向かいます。マルコー殿はメアリ姫方と共に北門でお待ちください。小走りで行けば10分は掛からずに着きますから」
そう言い残し、シモンは足早にキメラ館の出口へと向かっていった。シモンの背を見送ったマルコーは、薄暗い廊下にメアリの姿を探す。お手洗いからは少し離れた場所に可憐な後ろ姿を見つけ、その背に歩み寄る。しかしその華奢な肩を叩くことはせずに、メアリの横に立つサーリィへと囁きを向ける。
「サーリィ。事務連絡がある。少し良いか」
「あら、何でしょう」
サーリィはマルコーの手招きに従い、メアリの横を離れる。メアリの逆隣にはせっせとキメラの説明にあたるレイバックがいるが、サーリィが傍を離れたことに気が付く様子はない。
サーリィを連れお手洗いの表示下まで舞い戻ったマルコーは、困り顔でこう言った。
「サーリィ。昼食を予定していた食堂が休業のようだ。集合場所は北門に変更、悪いが園内にいる使節団員を探して伝言を頼めるか。シモン殿が皆に伝言に向かわれたが、雨の中の人探しは大変だろう」
「あら、わかりました。北門ですね」
「レイバック様とメアリ姫には私が伝えておく。手数を掛けるが頼むぞ」
「ええ、任せておいてください。では後程」
サーリィはそう言って微笑むと、すぐに薄暗い館内を出口に向かって歩いていった。マルコーの視界に映るのは、並んで展示ガラスに見入るレイバックとメアリ。サーリィの不在に気が付きちらちらと辺りを伺うメアリの背に、マルコーは歩み寄る。
「メアリ姫、レイバック様。集合場所が変更でございます。予定していた昼食会場が今日は臨時休業なのだと、シモン殿が仰っておりました」
「そうなのか。どこに変更だ?」
「…東門でございます。シモン殿は園内にいる使節団員に伝言に向かわれました。雨の中では難儀するでしょうから、私も少し近間を探して参ります。レイバック様、メアリ姫の供をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「ああ、構わん」
「ではどうぞ、メアリ姫をよろしくお願い致します」
満面の笑みを浮かべたマルコーは、深々と頭を下げてその場を離れた。
薄暗い通路にレイバックとメアリが残される。辺りはキメラを間近で見ようとする人でごった返し、入り乱れる歓声で騒がしい。しかしその通路の一角に並んで立つ者が、まさかこの国の王と隣国の姫君であるなどと、気が付く者は誰一人としていない。
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