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第十四話 最初の客
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ガチャ屋オープン初日、二十時を過ぎたころようやく一人目の客が訪れた。
「いらっしゃいませ」
「ジャスミンさん! 来ちゃいました!」
なんだ、ジャスミンの知り合いかよ。
音声は愛用のワイヤレスイヤホンで聞いている。
普段から持ち歩いていて良かった。
というかアイリはガチャ職人なのにこんなモニターやカメラまで作れるなんてな。
神様に感謝だな。
「あら、遊びに来てくれたんですか?」
「だって酒場に顔見せなくなったから心配じゃないですかぁ」
「ふふ、ありがとうございます。元気ですので安心してください」
この女性も冒険者なのか?
ただジャスミンに会いに来ただけか?
「これがガチャってやつですか?」
「はい。サービスで単ガチャをやってみますか?」
「いいんですか!? やりたいです!」
まぁ最初だし、他に誰もいないし、いいだろう。
「ではこちらへ来てください。そしてこの銀貨を入れてください」
「はい!」
「危ないですからここからは出ないでくださいね」
女性が銀貨を入れると、ガチャシステムが作動しはじめた。
「うわっ! なんか暗くなりましたよ!?」
まずは部屋の中全体が薄暗くなる。
そこからレア度アップの演出が次々に発生する仕組みだ。
「おっ!? 部屋全体がなんかキラキラしてますよ!? きれいですね!」
この演出は五十%の確率で発生する。
だがこれだけではまだ最低レアリティの品も出るからな。
「あっ!? 月が出てきましたよ!? 満月ですか!?」
二つ以上の演出で銀箱以上の商品は確定だ。
といってもそれより下の商品は銅貨三十枚とドリンク引換券が出る銅箱しかないけどな。
月は満月と三日月のパターンがあり、満月だとより期待が持てる。
「おお!? 流れ星がめちゃくちゃ流れてますよ!?」
ただの流れ星じゃなくて流星群だと!?
いきなり金箱以上確定を引くとは!
金箱の中身は銅装備や皮装備が入ってる。
だから最低でも銀貨五枚以上の価値だ。
「えっ!? これはオーロラってやつですか!?」
……嘘だろ?
単ガチャでいきなり虹箱高確率を引いたのか……。
虹箱の中身は鉄装備や特殊な杖が入っている。
最低でも銀貨十五枚以上はする。
でもまだ虹確定ではないからな。
「あっ、上から虹色のクリスタルみたいなものが降ってきましたよ!?」
あぁ、きれいだ。
ずっと見ていたくなるな。
「クリスタルの中に虹色の宝箱があります!」
クリスタルは消え、女性の目の前に虹箱がゆっくりと置かれた。
さぁ、開けてみてくれ。
きっと喜んでもらえるはずだ。
「ジャスミンさん、開けていいんですか!?」
「はい」
「……これは!? もしかして鉄の剣ですか!?」
「そうです。おめでとうございます」
「えぇ~!? 銀貨一枚でこんなに高い商品がもらえていいんですか!?」
「はい。それがガチャです」
そうだ、それがガチャだ。
「凄い! もう一回やりたいです!」
「次からは自腹になりますよ?」
「もちろんです!」
「わかりました。では次は十連に挑戦してみますか?」
「はい! お願いします!」
「では今度はこちらの十連用の銀貨投入口に銀貨十枚もしくは大銀貨一枚をお入れください」
「こっちですね! いいの出ろ! えいっ!」
初十連だな。
今日は大盤振る舞いでもいいぞ。
再びガチャシステムが作動する。
基本的な演出は単ガチャも十連ガチャも同じだ。
「キラキラきました! あっ、今度は三日月です!」
ここからが勝負だぞ。
「……え?」
上から十個のクリスタルがゆっくりと降ってくる。
「流れ星は? オーロラは?」
十個の宝箱が女性を取り囲んだ。
「……銅の宝箱六個に銀の宝箱四個ですね」
女性は一つずつ中身を確認していく。
「大銅貨三枚、ポーション、ポーション、大銅貨三枚、ドリンク引換券?」
女性の顔が青ざめていく。
「ポーション、エーテル、ドリンク引換券、ドリンク引換券、ドリンク引換券」
女性は固まってしまった。
魔力回復アイテムのエーテルは銀貨二枚もするから当たりだぞ?
「以上が今回の景品になります。ドリンクはあちらでお好きな物をお選びください」
女性はその場から動かない。
「あの……これ、結構損してますよね?」
「そうなりますかね。でもこれがガチャですので」
そうだ、これがガチャだ。
でもさっきのように単ガチャでも最高レアを引き当てることもある。
それがガチャだ。
「じゃあ、コーヒー三本ください……ありがとうございます」
「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」
女性はそれ以上なにも言わずに店を出ていった。
あまりのショックに鉄の剣が当たったことを忘れて置いていった。
サービスで演出を見せてくれただけだと思ったのかもしれない。
ジャスミンは悲しそうな表情をしている。
「いらっしゃいませ」
「ジャスミンさん! 来ちゃいました!」
なんだ、ジャスミンの知り合いかよ。
音声は愛用のワイヤレスイヤホンで聞いている。
普段から持ち歩いていて良かった。
というかアイリはガチャ職人なのにこんなモニターやカメラまで作れるなんてな。
神様に感謝だな。
「あら、遊びに来てくれたんですか?」
「だって酒場に顔見せなくなったから心配じゃないですかぁ」
「ふふ、ありがとうございます。元気ですので安心してください」
この女性も冒険者なのか?
ただジャスミンに会いに来ただけか?
「これがガチャってやつですか?」
「はい。サービスで単ガチャをやってみますか?」
「いいんですか!? やりたいです!」
まぁ最初だし、他に誰もいないし、いいだろう。
「ではこちらへ来てください。そしてこの銀貨を入れてください」
「はい!」
「危ないですからここからは出ないでくださいね」
女性が銀貨を入れると、ガチャシステムが作動しはじめた。
「うわっ! なんか暗くなりましたよ!?」
まずは部屋の中全体が薄暗くなる。
そこからレア度アップの演出が次々に発生する仕組みだ。
「おっ!? 部屋全体がなんかキラキラしてますよ!? きれいですね!」
この演出は五十%の確率で発生する。
だがこれだけではまだ最低レアリティの品も出るからな。
「あっ!? 月が出てきましたよ!? 満月ですか!?」
二つ以上の演出で銀箱以上の商品は確定だ。
といってもそれより下の商品は銅貨三十枚とドリンク引換券が出る銅箱しかないけどな。
月は満月と三日月のパターンがあり、満月だとより期待が持てる。
「おお!? 流れ星がめちゃくちゃ流れてますよ!?」
ただの流れ星じゃなくて流星群だと!?
いきなり金箱以上確定を引くとは!
金箱の中身は銅装備や皮装備が入ってる。
だから最低でも銀貨五枚以上の価値だ。
「えっ!? これはオーロラってやつですか!?」
……嘘だろ?
単ガチャでいきなり虹箱高確率を引いたのか……。
虹箱の中身は鉄装備や特殊な杖が入っている。
最低でも銀貨十五枚以上はする。
でもまだ虹確定ではないからな。
「あっ、上から虹色のクリスタルみたいなものが降ってきましたよ!?」
あぁ、きれいだ。
ずっと見ていたくなるな。
「クリスタルの中に虹色の宝箱があります!」
クリスタルは消え、女性の目の前に虹箱がゆっくりと置かれた。
さぁ、開けてみてくれ。
きっと喜んでもらえるはずだ。
「ジャスミンさん、開けていいんですか!?」
「はい」
「……これは!? もしかして鉄の剣ですか!?」
「そうです。おめでとうございます」
「えぇ~!? 銀貨一枚でこんなに高い商品がもらえていいんですか!?」
「はい。それがガチャです」
そうだ、それがガチャだ。
「凄い! もう一回やりたいです!」
「次からは自腹になりますよ?」
「もちろんです!」
「わかりました。では次は十連に挑戦してみますか?」
「はい! お願いします!」
「では今度はこちらの十連用の銀貨投入口に銀貨十枚もしくは大銀貨一枚をお入れください」
「こっちですね! いいの出ろ! えいっ!」
初十連だな。
今日は大盤振る舞いでもいいぞ。
再びガチャシステムが作動する。
基本的な演出は単ガチャも十連ガチャも同じだ。
「キラキラきました! あっ、今度は三日月です!」
ここからが勝負だぞ。
「……え?」
上から十個のクリスタルがゆっくりと降ってくる。
「流れ星は? オーロラは?」
十個の宝箱が女性を取り囲んだ。
「……銅の宝箱六個に銀の宝箱四個ですね」
女性は一つずつ中身を確認していく。
「大銅貨三枚、ポーション、ポーション、大銅貨三枚、ドリンク引換券?」
女性の顔が青ざめていく。
「ポーション、エーテル、ドリンク引換券、ドリンク引換券、ドリンク引換券」
女性は固まってしまった。
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「以上が今回の景品になります。ドリンクはあちらでお好きな物をお選びください」
女性はその場から動かない。
「あの……これ、結構損してますよね?」
「そうなりますかね。でもこれがガチャですので」
そうだ、これがガチャだ。
でもさっきのように単ガチャでも最高レアを引き当てることもある。
それがガチャだ。
「じゃあ、コーヒー三本ください……ありがとうございます」
「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」
女性はそれ以上なにも言わずに店を出ていった。
あまりのショックに鉄の剣が当たったことを忘れて置いていった。
サービスで演出を見せてくれただけだと思ったのかもしれない。
ジャスミンは悲しそうな表情をしている。
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