貴方に幸福を

真友

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うるさい奴ら

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「わはははははっ!それで?その後どうなったの?」
「次騒いだら退学にするからなって言われて帰された」
「ナニソレ!?大学!?あ、退学か!ややこしーっ!」
「やっかましーんだよ!ガムテープで口塞いだろか!?」

 クニハルは机をバンバンと叩きながら大笑いしている。その様子からして、どうやら俺の怒りの言葉は全く届いていないようだった。
 教授といいコイツといい……俺の周りにはうるさい奴しか集まらない運命なのか?(と言っても二人だけど……)だとしたらなんて悲しい人生なのだろう。

「てかさ、別に退学になってもよくない?大学辞めてウチの社員になろーよ!」
「いやいや、そんなの人生終了も同然じゃん」
「なんでそーゆー事言う!?せっかく誘ってあげたのに!」

 別に、他になりたい職業がある訳じゃない。でも、せっかく苦労して入った大学なのだ。そこまで頭の良い学校でも無いけれど、そんな簡単に辞めるわけにはいかない。
 不満そうな表情を浮かべて、クニハルが言う。

「いつの時代にも、不幸な人間って言うのは必ず存在するから……そんな人達を幸せにするって凄く素敵な事だと思うんだけどなぁ~?ニーズもあるしお金も貰えるし?Win-Winだと思うんだけどな~」
「……なんか詐欺師みたいな喋り方になってるけど大丈夫?」
「え、似てた?詐欺師に転職してみようかな」
「すんな!それ職業じゃねえから!」
「ははっ、ブラジリアンジョークだよ」

 なんとも、ゆる~い感じで新たな犯罪者が生まれかけた瞬間だった。
 実際にクニハルが詐欺師だったら、数百万円程度は余裕で騙し取れると思う。その為の話術と言うか、コミュニケーション力と言うか、胡散臭さがこいつには有る気がする。
 そこまで考えると、一つ大きな欠伸が出た。

「あ~……なんか喋ってたら眠気が戻ってきた……」
「呑気だな~!名前、蜂谷のん気に変えた方が良いんじゃない?」
「イジメられるわ!そんな名前!そもそも君のせいで寝不足なんだけどね!?分かってる!?」

 それだけ言うと、俺はクニハルに背を向けて勢いよく布団に滑り込んだ。ミノムシの様に掛け布団に包まって、まさに夢見心地な気分の俺にクニハルが一言。

「仕事の時間になったら起こすからね?ちゃんと起きてよ!」
「はいはい……」

 あぁ、仕事あるのか。人がせっかく気持ち良く寝ようとしてるのに、一瞬で現実に引き戻す様な事言わないでくれ。
 そう言ってやりたかったのだが、眠たさ故に声を出すのが面倒だったので諦めた。
 それから僅かに数秒後、俺は眠りについた。死人の様な爆睡状態の中で、何だか奇妙な夢を見た。
 
 
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