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番外編

番外!後漢学園文化祭!その8[書画]

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 うーん、ちょっとした休憩のつもりがリューキョー学園長のすっかり話に聞き入ってしまったな。後、一つか二つくらい行ったら戻ろうか。

「さて、アニキ、次どこ行くんだぜ?」

「そうだなぁ…ソンサクのところと…やはりソウソウのところには行かないとまずいか…」

「えー、ソウソウのとこ行くのかよ」

「まあまあ、チョーヒ。選挙戦は選挙戦、文化祭は文化祭です。

 それにソウソウさんからお誘い受けてますし、変に避けるのもよくありませんよ」

「そうだけどよー」

「そうだぞチョーヒ、選挙戦で対立したとはいえ、もう今は関係ないんだから…

 とりあえずソンサクのところ先に行こうか」

「アニキ…それは往生際悪いぜ…!」

 というわけで、俺たちはソンサクが拠点としている東校舎にやってきた。

「本当は学園長室からならソウソウさんのところの方が近いんですけどね」

「まあ、カンウ、ソウソウんとこ行くぐらいの時間はあるんだし、いいじゃないか」

 ここ東校舎では『三国志の書画』と題して、生徒の美術作品を多く展示されている。

「書道の部か。

 これはコウショウという人の『天発神讖碑てんぱつしんしんひ』という作品か。

 うん、奔放ほんぽう過ぎず、厳しすぎず、堂々とした立派な字だな、うんうん」

「アニキ、その変なクセのある字が読めるのか?」

「ごめん…適当言った」

「全く、アニキは学がないんだぜ。オレが教えてやるぜ。

 あれが“ティー”、あれが“プラス”、あれが“イコール”だぜ。後、あれが砂時計の絵文字であれがコブラの絵文字なんだぜ」

「チョーヒ、兄さんに適当なこと言うのやめなさい」

「いや、さすがに信じちゃいないから」

「ハハハ、相変わらずじゃね、君たちは」

「ソンサク!見てたのか」

 俺たちの後ろから声をかけてくれたのは、ツインテールの結び目に大きめのリボンを2つつけ、三日月の髪飾りに、ミニスカートにスパッツ、ブーツ姿のの細身の女生徒・ソンサクであった。


 彼女は空手部主将ソンケンの妹としてトータク戦にも参加し(※第7~14話)、選挙戦ではリュウヨウらを破り、今では東校舎最大勢力となり、小覇王しょうはおうと称されている実力者である。(※第21~24話)

「久しぶりじゃね、リュービ。

 それとカンウ・チョーヒ…と、その子は誰なん?」

「ああ、この子は…」

「キャハハハハ!

 あちしはリューちゃんの隠し子なのだ!」

「ええ!そんなリュービに隠し子が…リュービの隠し子…リュービの隠し子…!」

「だからヒミコちゃん、その冗談やめてよ。

 ソンサクも落ち着いてくれ。この子はヒミコちゃんといってたまたま一緒に回ってるだけだよ」

 俺はグルグル目で取り乱すソンサクを落ち着けて、なんとか話を戻した。

「コホン、じゃあまあ、気を取り直して…

その『天発神讖碑てんぱつしんしんひ』には、三国時代の末期、の最後の皇帝・孫皓そんこう(孫権そんけんの孫)によって建てられたで、天帝てんていの言葉を刻み、功徳くどくべた文章とされているんよ。(つまりは神様に選ばれた素晴らしい国みたいな内容)

 かなり独特な篆書てんしょで書かれてて、内容も神の言葉で解りにくいから、読むんはちょっと難しいかもね」

「しかし、ソンサクさんのところで書画展示って意外ですね。東校舎は体育会系の方が多い印象でしたが」

 カンウがソンサクに尋ねる。確かにソンサク陣営は空手部を中核にして、水泳部などの大小の運動部の連合勢力だったはず。書画展は意外な感じだ。

「うん、うちらは体育会系のイメージが強いからね。ここらで東校舎は文化面も強いということをアピールしたくて企画したんよ」

「でも体育会系の生徒はよく納得したね」

「何人かはユーちゃんに任せて、バンドの方に行くことになったんよ。ユーちゃん、音楽好きだからね」

 ユーちゃんとはソンサクの幼馴染みのシュウユのことだ。副将兼参謀としてソンサクの戦いに加勢していた。

「まあ、参加生徒が少なくなったから、いくつか東校舎外の生徒からも作品募集することになったんよ。

 やっぱり、悔しいけど書道だとソウソウんとこのショーヨーやリュウヒョウんとこのリョウコクが有名じゃからね。

 ショーヨーなんてただのショタコンのくせに…ぶつぶつ」

「アニキ、アニキ、実はオレもここに作品を展示してあるんだぜ!ほら!」

「あ、本当だ。作品名にチョーヒ『立馬銘りつばめい』って書いてあるな。

 なになに…『漢將軍飛漢の将軍の張飛が率精卒萬人万の精鋭を率いて大破賊首八濛の地で張郃於八濛魏の張郃を破ったんで立馬勒銘ここに記すんだぜ』…確かに立派な字だけど、これ本当にチョーヒが書いた?」

「な、な、なに言ってんだぜアニキ、しょ、正真正銘オレの字だぜ!決して他の奴に書かせたりしてないんぜ!」

「まあ、そういうことにしておくか」

「ハハハ、蜀漢しょくかんの将軍・張飛は建安二十年(215年)、の将軍・張郃を破り、それを記念してがけの岩肌に文字を刻んだんよ。

 これを『張飛立馬銘ちょうひりつばめい』といい、刻まれた文字は張飛の自筆と伝えられているんじゃけど、信憑性しんぴょうせいはうーん、どうじゃろ?

 まあ、チョーヒの作品の真贋しんがんはさておき、ここで三国時代の書の話をするね。

 中国での書は、しん(前三世紀頃)かん(前三世紀~三世紀頃)の時代に成熟し、しん(四世紀頃)の時代に完成したと言われとるんよ。三国時代はその中間期にあたるわけじゃね。

 しんかんの時代に成熟するのは一つに文房四宝ぶんぼうしほうと呼ばれる筆、すみ、紙、すずりの文具四点がそろったことも大きな要因じゃろね。

 筆は伝説によるとしん(前三世紀頃)の将軍の蒙恬もうてんが毛筆を作ったと言われ(元々あったものを改良したとも)、すみは古くはうるしを使ったようじゃが、かんの時代には固形のすみがあったようじゃね。

 すみは一説には後漢ごかんからの時代(三世紀頃)の書家・韋誕いたんが発明したとも言われとるんじゃけど、それより以前からあったようじゃね。でも、韋誕いたんすみは有名じゃったようじゃからすみ作りの名人ではあったようじゃね。

 紙誕生以前は竹・木・きぬなんかに字を書いとったんじゃけど、前漢ぜんかん時代(前三世紀~一世紀頃)に紙が生まれ、後漢ごかん時代に蔡倫さいりんによって実用的な蔡侯紙さいこうしが作られるようになるんよ。

 後漢ごかん左伯さはくが更に改良を加えたんじゃけど、紙が一般化するのはしん(四世紀頃)の時代で、三国時代はまだ竹簡ちくかん(竹を細い板に加工したもの)も一般的に使われていたようじゃね。

 すずりの詳しい起源はわからんのんじゃけど、かん代(前三世紀~三世紀頃)にはあったようじゃね。おそらく、固形のすみの誕生によってそれをる台が必要になって使われるようになったんじゃろうね」

「なるほど、かんの時代には今の書道道具はそろっていたわけか」

「そして古代から三国時代にかけて多くの書体が生まれることになるんじゃね」

「書体というと書道の時間に習う楷書かいしょとか草書そうしょとかのこと?」

「そうじゃね、それらの代表的な書体はだいたい三国時代頃までには出揃でそろうことになるんよ。

 古代の漢字と言えばいん(前十七世紀~前十一世紀)の甲骨こうこつ文字が有名じゃけど、次のしゅう代(前十一世紀~前三世紀頃)には篆書てんしょが一般的にもちいられたんじゃけど(大篆だいてん)、地域差が次第に激しくなっちゃったから、しん始皇帝しこうてい宰相さいしょう李斯りしに命じて文字の統一を行ったんじゃ(小篆しょうてん)。これが今、一般的に言われる篆書てんしょで、縦長で丸みを帯びた文字が特徴じゃよ。

 続いて隷書れいしょは伝説によればしん程邈ていばくの発明とも言われとるんじゃけど、実際は戦国時代(前五世紀~前三世紀)頃から使われだして、漢の時代(前三世紀~三世紀)に主流になるんよ。より書き易くなるよう直線が増えたのが特徴じゃね。

 行書ぎょうしょは一説には後漢ごかん劉徳昇りゅうとくしょうが作ったとも言われとる字で、隷書れいしょをより簡略にした字じゃね。

 楷書かいしょ隷書れいしょを更に整理したもので、劉徳昇りゅうとくしょうの弟子でもあった鍾繇しょうようが祖と言われとるね。楷書かいしょとう(七世紀~十世紀頃)の頃に更に発展して、今では最もよく使われる書体になっとるね。

 草書そうしょ行書ぎょうしょをもっと崩した書体で、一説には後漢ごかん杜度とたくによって始められたとも言われとるけど、よくわからんようじゃね」

「そうして生まれた書体は次のしんの時代(四世紀頃)に受け継がれ、“書聖しょせい”とたたえられた王羲之おうぎしを生み、しんの字は中国の歴史の中において最高峰と言われました。

 その王羲之おうぎし後漢ごかん蔡邕さいよう鍾繇しょうようの書を学んだと言われているので、三国時代の書はしっかり受け継がれているわけですね」

 ソンサクの話に割って入ってきたのは金髪の長い髪に、透き通るような白い肌、西洋人形のような整った目鼻立ちで、頭には黒いレースのついた帯飾りをつけ、フリルのついた黒いロングスカートに黒いハイヒールといったゴスロリ風の衣裳いしょうを着た美女、ユーちゃんことソンサクの幼馴染みのシュウユだ。


「ユーちゃん、いつの間に!

 てか、うちの話とらんでよ」

「ふふ、ごめんなさい」

「ユーちゃん、バンドの方はいいの?」

「ええ、本番まで時間があるのでこちらの様子を見に来ました。

 お久しぶりです、リュービさん、それにカンウさんとチョーヒさん、そちらの方が隠し子のヒミコちゃんでしたね」

「キャハハハハ

 あちし隠し子なのだー!」

「シュウユ、もしかして最初から聞いてた?」

「サクちゃん(ソンサク)の邪魔にならないようにと思いまして。

 リュービさん、もしサクちゃんを悲しませるようなことを本当にしたら、私許しませんからね」

「は、はい…」

「それでは私からも少し三国時代の著名な能書家のうしょか(書の名人)の話をしておきましょうか。

 後漢ごかん末の皇帝・霊帝れいていは書道を好み、書の名人を何人も召し抱えたそうです。

 その第一人者を師宜官しぎかんといい、隷書れいしょに巧みでした。

 そして彼の技法を研究し、曹操そうそうより師宜官しぎかん以上の名人と言われたのが、梁鵠りょうこくで、の宮殿の題字は全て梁鵠りょうこくの書だったそうです。

 行書ぎょうしょの産みの親とも言われる後漢ごかん劉徳昇りゅうとくしょうには、鍾繇しょうよう胡昭こしょうが弟子となりました。

 さらにその鍾繇しょうようには宋翼そうよくが弟子となり、その書法を伝えたそうです。

 後漢ごかん時代には他に、草書そうしょの名人に杜度とたく崔瑗さいえん張芝ちょうしがいて、また篆書てんしょには曹喜そうきや彼の書法を取り入れ、隷書れいしょにも巧みであった蔡邕さいようらが有名ですね。

 には曹喜そうきから学び、古文(秦以前の字体)にも精通した邯鄲淳かんたんじゅん(演芸の話に出てきた人物と同一)、その邯鄲淳かんたんじゅん張芝ちょうしの教えを受けた、すみ作りの名人でもある韋誕いたん、全ての書体に巧みであったという衛覬えいきらがいます。

 また呉には杜度とたくの流れを組む皇象こうしょうが達人と言われ、八絶(八人の絶妙な技術の持主。他に呉範ごはん(風占い)、劉惇りゅうとん(天文占い)、趙達ちょうたつ(算術占い)、厳武げんぶ(囲碁)、宋寿そうじゅ(夢占い)、曹不興そうふこう(絵画)、鄭嫗ていう(人相見)がいる)の一人に数えられています」

「呉には書の名人はあまりいない?」

「リュービ、そんなことないんよ。

 今回の展示にも隷書れいしょに巧みなチョウショウさんや、楷書かいしょ篆書てんしょに優れたチョウコウさんの作品も展示してあるし」

「本当だ。チョウコウさんの作品は漢詩か。これはなんて書いてあるの?」

「枕の詩じゃね」

「え?」

「だから愛用の枕が素晴らしいって詩じゃって」

「ああ、そう」

の政治家・張昭ちょうしょう(飲料の話に出てきた人物と同一)、張紘ちょうこうはともに書道が上手かったそうです。

 さらに張紘ちょうこうは詩・(韻文いんぶんを用いた詩の一種)などにもけ、ザクロの木で出来た枕の木目の面白さでを作り、そのを通じて陳琳ちんりん(張紘ちょうこうとは同郷であった)と交流を持ったそうです。

 チョウショウ・チョウコウの二人は五章から本格登場するので楽しみにお待ちください」

「シュウユ、今宣伝しなかった?」

「ふふ、なんのことでしょうか。

 では、次は絵画のコーナーに行ってみましょう」

 なんか誤魔化された気もするが、俺たちは隣の絵画コーナーに移動した。

「でかい屏風に赤い龍の絵が描かれているね。まるで生きてるみたいだ。

 ん、絵の端にハエがいるな、シッシッ」

「兄さん、それ絵ですよ」

「え!あ、ホントだ…」

「アニキ~しっかりしてくれだぜ」

「はは、リュービはそそっかしいね

 その絵の作者のソウフコウはなんでも誤って筆を落としちゃったからそのままハエの絵にしちゃったらしいよ」

「キャハハハハ

 リューちゃん、カッコ悪いのだ!」

「う、面目無い…」

 俺の赤面している横でシュウユは解説を始めてくれた。

「中国では古来より書画同源しょがどうげん、元々絵から発展した象形しょうけい文字である漢字と絵はその起源を同じくすると考えられており、その書法には通じるものがあるとされてきました。

 三国時代までのよく描かれた題材は、第一に人物画、これは肖像画だけでなく、風俗画や歴史的な出来事など幅広く含まれました。

 次に花鳥画かちょうが、動植物を描いた絵ですね。これらが主な題材ですね。

 中国画というと山水画さんすいがなども有名ですが、それらが描かれるのはもう少し後の時代になります」

「でも、三国時代までの中国の絵は、壁画や器物の模様、出土資料なんかで一部が残ってるぐらいで、とう(七世紀~十世紀頃)の時代に書かれた『歴代名画記れきだいめいがき』という本には三国時代の有名能画家のうがか(絵の名人)が何人も載っとるんじゃけど、絵の題名ばかりで作品そのものは残ってないんよ」

「そっか、はるか昔の戦乱の時代だから仕方ないのかもしれないけど、残念だね」

「その『歴代名画記れきだいめいがき』によると三国志ゆかりの絵を描いた人物としては、後漢ごかんからは董卓とうたくのもとで太僕たいぼく(車馬を担当する大臣)に就任した政治家の趙岐ちょうき、大学者の蔡邕さいよう霊帝れいていの招いた画家の劉旦りゅうたん楊魯ようろらの名があがってます。

 からは四代皇帝の曹髦そうぼう(曹操そうそうのひ孫)、「鶏肋けいろく」の故事で知られる俊才・楊脩ようしゅう曹爽そうそう(曹操そうそうの一族)一派の桓範かんはん、孔明の北伐の時涼州りょうしゅう(現甘粛省かんしゅくしょう寧夏回族自治区ねいかかいぞくじちくあたり)を守った徐邈じょばく(飲料の話に出てきた人物と同一)の名が、

 からは八絶はちぜつ(前述)の一人・曹不興そうふこう孫権そんけんの側室・趙夫人ちょうふじん(兄は八絶はちぜつの一人趙達ちょうたつ)。

 蜀漢しょくかんからは宰相さいしょう諸葛孔明しょかつこうめい(名はりょう孔明こうめいあざな)とその子の諸葛瞻しょかつせん

 しんからはの政治家・荀彧じゅんいくの一族・荀勗じゅんきょくらの名前があげられていますね」

蔡邕さいようはさっきの書道でも名前があがっていたね」

諸葛瞻しょかつせんも書画に巧みだったって話じゃし、歴史上書画ともに高名な人物が何人もおるようじゃね。

 この辺りも書画同源しょがどうげんと言われる由縁ゆえんかも知れんね」

「他に絵の逸話だと、徐邈じょばくが魚の絵を描き、川の岸部にかけておくと本物と思ってカワウソが集まってきた話や、曹不興そうふこうが失敗した跡をハエに変えて孫権が本物と思って払おうとした話、趙夫人ちょうふじん刺繍ししゅうでもって見事な龍や鳳凰、風景画を描き、針絶しんぜつたたえられた話なんかが残ってますね」

「この中で一番の有名人だと諸葛孔明しょかつこうめいかな。

 何の絵描いてるの?」

「なんでも南蛮なんばん(南方の異民族やその居住地域)に『夷図えびすず』という南蛮なんばんの風俗を描いた絵を贈ったそうじゃね」

諸葛孔明しょかつこうめいは輸送用に改良された荷車の木牛流馬もくぎゅうりゅうばど/いしゆみ(発射装置のついた弓)を連射式に改良した連弩れんどなどの多くの発明品があります。

 その設計図は残されていませんが、もしかしたら当時は自身で図面も描いていたのかも知れませんね」

「そうか、蜀漢しょくかん諸葛孔明しょかつこうめいは絵も描けて発明も得意なのか。

 いやぁ、さっきの能書家のうしょか蜀漢しょくかんの名前があがらなかったからちょっと心配だったんだよね」

「そうですね、兄さん。

 その子の諸葛瞻しょかつせんは書画も上手ということは書も得意なんでしょうし。

 蜀漢しょくかんの名前が出ないと寂しいですからね。私たちとは関係ないはずなんですけど」

「そうだぜ、やっぱり蜀漢しょくかんの名前聞かないと寂しいぜ!

 オレたちと関係ないけどな!」

「そうだね、やっぱり蜀漢しょくかんの名前を聞くと嬉しいね。

 現代っ子の俺たちにはなんの関係もないけどね」

「リュ、リュービ、にも発明の得意な人物がおるんよ。

 葛衡かつこうは機械にも天文にも詳しかったから、渾天儀こんてんぎと呼ばれる天球儀てんきゅうぎを作ったそうなんよ。

 これは大地の模型の上に天体の模型が並び、機械を動かすと空の星の動きを再現するというものだったそうなんよ」

「サクちゃん、そんな対抗しなくても。私たちと三国志のは関係ないんですよ。

 そういえばにも馬鈞ばきんという発明家がいたそうです。

 彼は磁石じしゃくの力を使わず常に南を指し示す指南車しなんしゃや、綱渡りや逆立ち、楽器の演奏を演じるカラクリ人形、諸葛孔明しょかつこうめいの作った連弩れんどの改良なんかをやったそうですよ」

「ユーちゃん、なんでの話するんよ~裏切り者~」

「いや、ですから私たちと三国志は関係ありませんよ」
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