61 / 223
第4部 カント決戦編
第58話 咆哮!リュービの道!
しおりを挟む
「カンウ… 」
その長く美しい黒髪の美少女…
忘れもしない、俺とチョーヒと共に兄妹の誓いをかわしたカンウだ。
「兄さん…あの時の答え、聞きに来ました」
カンウは睨み付けるように俺を見ている。相応の覚悟でここに来たことが伝わってくる。
俺がその場に立ち止まっていると、しびれを切らしたチョーヒが前に飛び出した。
「やい、カン姉…いやカンウ!なんでアニキを裏切り、ソウソウ軍につきやがった!
事と次第によっちゃあ、オレがお前を成敗するぜ!」
激昂するチョーヒを、カンウは静かに、力強く押し止める。
「チョーヒ、あなたも感づいていたはずです。兄さんとソウソウさんの間を…」
「それは…」
カンウの言葉にチョーヒも拳を下ろす。
「そして兄さんはソウソウさんに反旗を翻した。
それは大義か痴情のもつれか、私はそれが知りたいのです」
カンウは俺の方に静かに歩み寄る。
「さぁ、兄さん。あの時の宿題に答えてください。
あなたは何故、ソウソウと戦うのですか?」
元はと言えば俺の行動が招いた事態。
あの時、俺は曖昧な理由でソウソウに反旗を翻した。
「まず、カンウ・チョーヒ、あの時俺はソウソウに抱く感情に整理をつけず、無鉄砲に戦いを挑んでしまった。それを謝りたい。本当にすまなかった」
しかし、あれから俺はソウソウの敵として彼女を見てきた。そして同じ様にソウソウに反旗を翻す者たちにも会った。
俺に出来ること、言えることを今ぶつけるしかない。例えそれがカンウの心に届かなかったとしても。
「だが、あの時、確かに違和感を抱き反抗した。口では言えなかったが、ソウソウは危険だと。
今、ソウソウとエンショウが戦っている。おそらく彼女達の能力は学内随一、頂上決戦に相応しい二人だろう。
そして、その二人の部下もまた学内有数の実力者達だ。人材活用の差はあれど、どちらも能力に秀でて、実力を持ち、結果を出した者を上手く活用している。
おそらく、どちらが勝っても歴代有数の生徒会首脳部が生まれるだろう」
俺はソウソウの陣営もエンショウの陣営も見てきた。だからその実力はわかる。だが…
「だが、この学園にはそこからあぶれた者もたくさん通っている!
自ら戦うことを望まなかった者がいる!
戦いに敗れ、立場を失った者がいる!
馴染めず、飛び出していった者がいる!
能力を評価されず、加われなかった者もいる!
そして利用され、囚われの身になった者がいる!」
リョフ、コウソンサン、カコウリン、リューヘキ、黄巾党、リューキョー学園長…ついでにカンヨーも。他にもたくさんこの学園にいるはずだ。
「そいつら皆ひっくるめてこの学園じゃないのか!
戦いに敗れた者は!能力が認められなかった者は!従えなかった者は!居場所を奪っていいのか!
それでもソウソウなら、彼ら彼女らを省みること無く、学園を上手くまとめてしまうだろう。
だが、結果を出せず、能力を認められず、従えなかったからといって、その人達の居場所まで奪っていい権利なんて誰にも無い!
全ての生徒が競わず、争わず、縛られない。楽しむ事を許される学園が作りたい!
だから、俺はここに改めて宣言する。俺はソウソウを倒し、生徒会長になる!」
俺は一気に思いの丈をぶちまけた。勢いで生徒会長になるとまで言ってしまったが、もう俺に迷いはない。
「それで、生徒会長には具体的にはどうやってなる気なんですか?」
「そ、それは…」
カンウに痛いところを突かれた。確かに今の俺はソウソウやエンショウと肩を並べられるどころか、群雄の一人に数えてもらえるかどうかも怪しい立場だ。
「全く、具体策もない。甘々な宣言ですね」
カンウは呆れたようにため息をついた。
だが、顔を上げたその顔は優しげな表情に変わっていた。
「ですが、私もあなたがの学園が見てみたい…ソウソウさんでもエンショウさんでもなく、あなたの学園が…
兄さん…私をまたその仲間に加えていただけますか?」
「カンウ…もちろん!」
「アニキ…オレはアニキの心が移ったと思って許せなかった…
でも、それでも、オレが一緒にいたいのはアニキとカン姉なんだ!オレもまた加えて欲しい…」
「ああ、チョーヒ。
ごめんな、俺が不甲斐ないばっかりに」
「では兄さん、チョーヒ。
リュービ三兄妹再結成ですね」
こうして俺たちは再び義兄妹の仲に戻った。
だが、その前に一つ…
「待ってくれ。今回二人を振り回したのは俺のせいだ。だから二人とも俺を一発殴ってくれ」
俺はカンウとチョーヒに頭を下げた。
「え、でもオレたちが殴ったら、アニキの体…」
「構わない!」
「では兄さん、遠慮なくいかせていただきます」
「アニキ、歯食いしばれ!」
カンウとチョーヒは拳を大きく振りかざす。
「兄さんの甲斐性なし!」
「アニキの甲斐性なし!」
その言葉と同時に俺の意識は遠退き、体が遠くに吹き飛ばされた。
「ちょっとスッキリしました」
「そもそもアニキが女にだらしないのが悪いんだぜ」
再び集まった俺たちだが、俺はビジク達を助けるため、カンウは別れの挨拶のため、エンショウ・ソウソウ、双方の陣営に一度戻ることとなった。
一方、チョーヒ・リューヘキ達には中央校舎南部の拠点確保と仲間集めを任せることとなった。
中庭・エンショウ本陣~
エンショウ本陣に戻った俺を、薄紫の長い髪の女生徒、この軍の総大将・エンショウは冷ややかな目で出迎えた。
「ソウジンに敗れ、そのままおめおめと帰ってくるとはいい度胸ですね、リュービ」
エンショウの俺への心象は最悪か。だが、ここで上手く返してビジクたちを連れ出さなければならない。
「この度の敗戦は不馴れな借り物の兵だったからです。俺に再び自分の部隊を率いることをお許しください」
「何を言い出すかと思えばくだらない提案ですね。人質を解放しろということですか」
エンショウは馬鹿馬鹿しいとばかりに話を切り上げようとしてきた。
だけど、ここで退くわけにはいかない。
「お待ちください!今、南部で反ソウソウの気運が高まっているのに、いまいち成果が上がらないのは連携が取れていないからです。
俺が中央校舎南部に拠点を構え、東部のチンランや寝返り組、東校舎のソンサク、南校舎のリュウヒョウと連携を取れば大連合を結成できます。
そして北校舎のエンショウ様とソウソウを挟み撃ちにすれば生徒会長に就任すること間違いなしです」
俺なりにエンショウにも魅力のある提案をしたつもりだ。エンショウは対ソウソウ包囲網を作り出した。しかし、その包囲網を構成する勢力は各々好き勝手に動いている状態であり、協力とは無縁であった。
しかし、エンショウはこう切り返した。
「しかしリュービ、連携ならこちらからでも指示できますわ」
確かにエンショウの言うことも一理ある。だが、この役を譲ることは出来ない。俺の強味を最大に生かすしかない。
「ソンサクとリュウヒョウはこの前まで争っていた仲です。誰かが直接睨みを効かさねば従わないでしょう。
俺ならソンサクと面識がありますし、ソウソウ陣営にいたので寝返り組と面識がある者もいます。これにエンショウ様の威光があればまとめあげることが可能です」
長らく同盟関係のあったリュウヒョウはともかく、エンショウ陣営にソンサクやソウソウ陣営と面識のある者はいないはずだ。
あいにく俺はまだリュウヒョウとは面識ないが、そちらはエンショウの名を出せば協力を得やすいはずだ。
「ふーん…確かに同盟者の足並みが揃わないのは懸念事項ではありました。いいでしょう、あなたの部隊の出陣を許可します」
「ありがとうございます。早速、出陣いたします!」
やった!エンショウの説得に成功した。監視役くらいつけられると思ったが、思ったよりあっさり通ったな。
俺は仲間たちの待つ教室へ向かった。
リュービの退出後、茶髪に金のネックレスをつけた男子生徒・カクトはエンショウの前に赴き、苦言を呈した。
「エンショウ様、宜しいのですか、リュービを行かせてしまって?」
「ええ、彼の南部連合構想は私が生徒会長に就任した後も学園支配に活用できるもの。やらせてみるのも面白いわ」
「しかし、もう戻ってこないかもしれませんよ」
「それで、何か変わるの?リュービが例え逃げたところで我が軍に実害は無いし、状況を何か変えられるわけじゃないわ。
多少足並みが揃わないといえども、ソウソウは最早、四面楚歌。私の勝ちは揺るがないわ!」
生徒会長の椅子が目前に迫るエンショウにとってリュービはもう些末な問題でしかなかった。逆らうなら会長就任後、ゆっくり討てばよいくらいに考えていた。
「逆らえるものなら逆らってみなさいリュービ。私の学園で逆らって生きていけるとは思わないことね」
その長く美しい黒髪の美少女…
忘れもしない、俺とチョーヒと共に兄妹の誓いをかわしたカンウだ。
「兄さん…あの時の答え、聞きに来ました」
カンウは睨み付けるように俺を見ている。相応の覚悟でここに来たことが伝わってくる。
俺がその場に立ち止まっていると、しびれを切らしたチョーヒが前に飛び出した。
「やい、カン姉…いやカンウ!なんでアニキを裏切り、ソウソウ軍につきやがった!
事と次第によっちゃあ、オレがお前を成敗するぜ!」
激昂するチョーヒを、カンウは静かに、力強く押し止める。
「チョーヒ、あなたも感づいていたはずです。兄さんとソウソウさんの間を…」
「それは…」
カンウの言葉にチョーヒも拳を下ろす。
「そして兄さんはソウソウさんに反旗を翻した。
それは大義か痴情のもつれか、私はそれが知りたいのです」
カンウは俺の方に静かに歩み寄る。
「さぁ、兄さん。あの時の宿題に答えてください。
あなたは何故、ソウソウと戦うのですか?」
元はと言えば俺の行動が招いた事態。
あの時、俺は曖昧な理由でソウソウに反旗を翻した。
「まず、カンウ・チョーヒ、あの時俺はソウソウに抱く感情に整理をつけず、無鉄砲に戦いを挑んでしまった。それを謝りたい。本当にすまなかった」
しかし、あれから俺はソウソウの敵として彼女を見てきた。そして同じ様にソウソウに反旗を翻す者たちにも会った。
俺に出来ること、言えることを今ぶつけるしかない。例えそれがカンウの心に届かなかったとしても。
「だが、あの時、確かに違和感を抱き反抗した。口では言えなかったが、ソウソウは危険だと。
今、ソウソウとエンショウが戦っている。おそらく彼女達の能力は学内随一、頂上決戦に相応しい二人だろう。
そして、その二人の部下もまた学内有数の実力者達だ。人材活用の差はあれど、どちらも能力に秀でて、実力を持ち、結果を出した者を上手く活用している。
おそらく、どちらが勝っても歴代有数の生徒会首脳部が生まれるだろう」
俺はソウソウの陣営もエンショウの陣営も見てきた。だからその実力はわかる。だが…
「だが、この学園にはそこからあぶれた者もたくさん通っている!
自ら戦うことを望まなかった者がいる!
戦いに敗れ、立場を失った者がいる!
馴染めず、飛び出していった者がいる!
能力を評価されず、加われなかった者もいる!
そして利用され、囚われの身になった者がいる!」
リョフ、コウソンサン、カコウリン、リューヘキ、黄巾党、リューキョー学園長…ついでにカンヨーも。他にもたくさんこの学園にいるはずだ。
「そいつら皆ひっくるめてこの学園じゃないのか!
戦いに敗れた者は!能力が認められなかった者は!従えなかった者は!居場所を奪っていいのか!
それでもソウソウなら、彼ら彼女らを省みること無く、学園を上手くまとめてしまうだろう。
だが、結果を出せず、能力を認められず、従えなかったからといって、その人達の居場所まで奪っていい権利なんて誰にも無い!
全ての生徒が競わず、争わず、縛られない。楽しむ事を許される学園が作りたい!
だから、俺はここに改めて宣言する。俺はソウソウを倒し、生徒会長になる!」
俺は一気に思いの丈をぶちまけた。勢いで生徒会長になるとまで言ってしまったが、もう俺に迷いはない。
「それで、生徒会長には具体的にはどうやってなる気なんですか?」
「そ、それは…」
カンウに痛いところを突かれた。確かに今の俺はソウソウやエンショウと肩を並べられるどころか、群雄の一人に数えてもらえるかどうかも怪しい立場だ。
「全く、具体策もない。甘々な宣言ですね」
カンウは呆れたようにため息をついた。
だが、顔を上げたその顔は優しげな表情に変わっていた。
「ですが、私もあなたがの学園が見てみたい…ソウソウさんでもエンショウさんでもなく、あなたの学園が…
兄さん…私をまたその仲間に加えていただけますか?」
「カンウ…もちろん!」
「アニキ…オレはアニキの心が移ったと思って許せなかった…
でも、それでも、オレが一緒にいたいのはアニキとカン姉なんだ!オレもまた加えて欲しい…」
「ああ、チョーヒ。
ごめんな、俺が不甲斐ないばっかりに」
「では兄さん、チョーヒ。
リュービ三兄妹再結成ですね」
こうして俺たちは再び義兄妹の仲に戻った。
だが、その前に一つ…
「待ってくれ。今回二人を振り回したのは俺のせいだ。だから二人とも俺を一発殴ってくれ」
俺はカンウとチョーヒに頭を下げた。
「え、でもオレたちが殴ったら、アニキの体…」
「構わない!」
「では兄さん、遠慮なくいかせていただきます」
「アニキ、歯食いしばれ!」
カンウとチョーヒは拳を大きく振りかざす。
「兄さんの甲斐性なし!」
「アニキの甲斐性なし!」
その言葉と同時に俺の意識は遠退き、体が遠くに吹き飛ばされた。
「ちょっとスッキリしました」
「そもそもアニキが女にだらしないのが悪いんだぜ」
再び集まった俺たちだが、俺はビジク達を助けるため、カンウは別れの挨拶のため、エンショウ・ソウソウ、双方の陣営に一度戻ることとなった。
一方、チョーヒ・リューヘキ達には中央校舎南部の拠点確保と仲間集めを任せることとなった。
中庭・エンショウ本陣~
エンショウ本陣に戻った俺を、薄紫の長い髪の女生徒、この軍の総大将・エンショウは冷ややかな目で出迎えた。
「ソウジンに敗れ、そのままおめおめと帰ってくるとはいい度胸ですね、リュービ」
エンショウの俺への心象は最悪か。だが、ここで上手く返してビジクたちを連れ出さなければならない。
「この度の敗戦は不馴れな借り物の兵だったからです。俺に再び自分の部隊を率いることをお許しください」
「何を言い出すかと思えばくだらない提案ですね。人質を解放しろということですか」
エンショウは馬鹿馬鹿しいとばかりに話を切り上げようとしてきた。
だけど、ここで退くわけにはいかない。
「お待ちください!今、南部で反ソウソウの気運が高まっているのに、いまいち成果が上がらないのは連携が取れていないからです。
俺が中央校舎南部に拠点を構え、東部のチンランや寝返り組、東校舎のソンサク、南校舎のリュウヒョウと連携を取れば大連合を結成できます。
そして北校舎のエンショウ様とソウソウを挟み撃ちにすれば生徒会長に就任すること間違いなしです」
俺なりにエンショウにも魅力のある提案をしたつもりだ。エンショウは対ソウソウ包囲網を作り出した。しかし、その包囲網を構成する勢力は各々好き勝手に動いている状態であり、協力とは無縁であった。
しかし、エンショウはこう切り返した。
「しかしリュービ、連携ならこちらからでも指示できますわ」
確かにエンショウの言うことも一理ある。だが、この役を譲ることは出来ない。俺の強味を最大に生かすしかない。
「ソンサクとリュウヒョウはこの前まで争っていた仲です。誰かが直接睨みを効かさねば従わないでしょう。
俺ならソンサクと面識がありますし、ソウソウ陣営にいたので寝返り組と面識がある者もいます。これにエンショウ様の威光があればまとめあげることが可能です」
長らく同盟関係のあったリュウヒョウはともかく、エンショウ陣営にソンサクやソウソウ陣営と面識のある者はいないはずだ。
あいにく俺はまだリュウヒョウとは面識ないが、そちらはエンショウの名を出せば協力を得やすいはずだ。
「ふーん…確かに同盟者の足並みが揃わないのは懸念事項ではありました。いいでしょう、あなたの部隊の出陣を許可します」
「ありがとうございます。早速、出陣いたします!」
やった!エンショウの説得に成功した。監視役くらいつけられると思ったが、思ったよりあっさり通ったな。
俺は仲間たちの待つ教室へ向かった。
リュービの退出後、茶髪に金のネックレスをつけた男子生徒・カクトはエンショウの前に赴き、苦言を呈した。
「エンショウ様、宜しいのですか、リュービを行かせてしまって?」
「ええ、彼の南部連合構想は私が生徒会長に就任した後も学園支配に活用できるもの。やらせてみるのも面白いわ」
「しかし、もう戻ってこないかもしれませんよ」
「それで、何か変わるの?リュービが例え逃げたところで我が軍に実害は無いし、状況を何か変えられるわけじゃないわ。
多少足並みが揃わないといえども、ソウソウは最早、四面楚歌。私の勝ちは揺るがないわ!」
生徒会長の椅子が目前に迫るエンショウにとってリュービはもう些末な問題でしかなかった。逆らうなら会長就任後、ゆっくり討てばよいくらいに考えていた。
「逆らえるものなら逆らってみなさいリュービ。私の学園で逆らって生きていけるとは思わないことね」
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
百合系サキュバス達に一目惚れされた
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
男女比世界は大変らしい。(ただしイケメンに限る)
@aozora
ファンタジー
ひろし君は狂喜した。「俺ってこの世界の主役じゃね?」
このお話は、男女比が狂った世界で女性に優しくハーレムを目指して邁進する男の物語…ではなく、そんな彼を端から見ながら「頑張れ~」と気のない声援を送る男の物語である。
「第一章 男女比世界へようこそ」完結しました。
男女比世界での脇役少年の日常が描かれています。
「第二章 中二病には罹りませんー中学校編ー」完結しました。
青年になって行く佐々木君、いろんな人との交流が彼を成長させていきます。
ここから何故かあやかし現代ファンタジーに・・・。どうしてこうなった。
「カクヨム」さんが先行投稿になります。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
デリバリー・デイジー
SoftCareer
キャラ文芸
ワケ有りデリヘル嬢デイジーさんの奮闘記。
これを読むと君もデリヘルに行きたくなるかも。いや、行くんじゃなくて呼ぶんだったわ……あっ、本作品はR-15ですが、デリヘル嬢は18歳にならないと呼んじゃだめだからね。
※もちろん、内容は百%フィクションですよ!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる