学園戦記三国志~リュービ、二人の美少女と義兄妹の契りを結び、学園において英雄にならんとす 正史風味~

トベ・イツキ

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第4部 カント決戦編

第51話 再編!リュービ軍!

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 北校舎・会議室(エンショウ本拠地)~

 薄紫の長い髪の女生徒・エンショウにとって、部下・ガンリョウの敗北は不愉快な報告であった。

 そして、もう一つ彼女にとって不愉快な報告があった。その不愉快は結果として俺に向けられることになった。

「ガンリョウは倒されたそうね。それもあなたの妹に。

 これはどういうことかしら、リュービ?」

 ガンリョウを倒したソウソウ軍の指揮官は俺の義妹・カンウであった。当然、俺への追及が行われた。

「文芸部での敗北以来、カンウとは連絡がつかず、まさかこのような形で再会するとは自分自身が一番驚いております」

 カンウがソウソウ陣営にいたことは、俺が一番驚いている。俺からエンショウに説明できることは何もなかった。

 そこに茶髪に金のネックレスをつけた男子生徒・カクトが口を挟む。

「白々しい。君が昔からソウソウと懇意なのは皆知っている。やはり裏でソウソウと繋がっているんじゃないか?

 エンショウ様、ガンリョウの仇としてリュービを処分しましょう」

 しかし、カクトの意見に、尻尾を垂らした毛皮の丸い帽子をかぶった、赤髪の男子生徒が反論する。

 彼は確か…

「お待ちください!第二渡り廊下を制圧したのはリュービの功績です。

 彼が裏切り者ならソウソウと合流し、一気にこの本陣に攻めてきたはずです」

 その意見に対し、カクトも反論する。

「ケンショウ、それは間違っている。あれは我らが赴いたからソウソウが逃げたに過ぎない!リュービ一人の功績ではない!」

「しかし、リュービは混乱するガンリョウ軍を建て直し、第二渡り廊下を取り戻すという手柄まで上げました。

 今、ガンリョウを失った穴を埋める指揮官は彼以外おりません」

 毛皮帽子の男子生徒・ケンショウの意見に、エンショウはうなづいた。

「いいでしょう。リュービ、あなたの功績を認め、約束通りコウソンサンを与えます」

「ありがとうございます」

 俺はエンショウに深く頭を下げた。

 危ないところだった。彼が助けてくれなければ、処分されても不思議ではなかった。

 エンショウは続けて、俺に命じた。

「それとあなたを指揮官に任じます。ガンリョウ軍は引き続きあなたが指揮をしなさい」

 俺の指揮官昇格に、またもカクトが口を挟んだ。

「エンショウ様、こんな余所者に一軍を任せるなんて」

「カクト、黙りなさい。しかし、リュービ、あなたの疑いが晴れたわけではありません。出陣時はコウソンサンやビジクは人質として残しなさい」

「わかりました…」

 エンショウに釘を刺された。コウソンサン先輩を取り戻せたが、結果的に俺は人質を取られた形となった。

 会議が終わり、俺が部屋を退出すると、メイド姿のコウソンサン先輩が待っていた。


「ありがとうリュービ!おかげで解放されたよ」

「いや、俺が許されたのもケンショウのおかげだよ。

 助かったよケンショウ」

 俺は同じく退出した、毛皮帽子の男子生徒・ケンショウに改めて礼を言った。

「いやぁ、昔馴染みの縁さ。リュービ、こうして君と会うのは小学生以来だね」

「ああ、君がエンショウ軍にいるなんて思わなかったよ」

 俺は久しぶりに再会した友人のケンショウと固く握手した。

「二人は知り合いなのかい?」

 コウソンサン先輩が俺に質問してくる。

「先輩、彼は牽牛招太けんぎゅう・しょうた、小学生の頃よく遊んでいた友人です。

 中学では別々になったけど、まさか高校で、それもエンショウ軍で再会するとは思わなかったよ」

「今はケンショウと呼ばれています。よろしくお願いします」

 俺とコウソンサン先輩とは中学で知り合ったから、彼を知らないのも無理はない。

「入ってた部活がエンショウ軍に吸収されてね。今はここでお世話になっている。

 俺はリュービの活躍は聞いてたけど、ここじゃ迂闊うかつな事は言えないから、友人ということは黙って陰ながら応援してたよ」

「でも君のおかげで首の皮一枚繋がったよ、ありがとう」

「俺は、ここではまだまだ下っぱだからあまり力にはなれないけれど、出来る限りの協力はするよ」

「ありがとう、ケンショウ。恩に着るよ」

 俺はケンショウと別れ、コウソンサン先輩の案内で別室に通された。

「さぁ、リュービも戦闘で疲れただろう。こちらの教室を我々で使っていいそうだ。ここで休むといいさ」

「ありがとうございます、先輩」

「待ってたよ、リュービ・コウソンサン」

 俺たちを出迎えてくれたのは、野球帽をかぶった、長い眉に、大きな瞳の美少女。


「君は…確かチョーウン。君もエンショウに捕まってたのか?」

 彼女、チョーウンは、かつてエンショウとコウソンサン先輩が戦った時に、助けに入ってくれた娘だ(※第18・19話参照)。あの時は学ラン姿だったが、ジャージの上着にスパッツ姿に変わっている。

「ボクは違うよ。コウソンサンが負けた日、姉が入院したって聞いてね、たまたま実家に帰って留守だったから無事だったよ」

「チョーウンはあの時不在だったのを悔やんで、今も不自由な私を度々助けてくれてたのさ。私に構わずまた活躍して欲しいんだけども」

 チョーウンはカンウ・チョーヒにも引けを取らない戦闘力の持ち主だった。そんな彼女がここに止まっているのを、先輩はよく思ってないようだ。

 チョーウンは申し訳なさそうな顔で答える。

「姉も結局大したことなかったし、あの時離れなければまた事態は変わってたかも知れないし…」

 チョーウンには後悔からの行動であろうが、コウソンサン先輩にとってこのままにしておくのは気が引けるようだった。

「うーん、そうだ!

 もし君がまだ私に情を感じるなら、リュービに仕えないか?ちょうど私もリュービのものになったし」

 「先輩、別に俺はあなたを自由にしようとしただけで、自分のものにしようなんて…」

「わかった。ならボクもリュービに仕えるよ。エンショウにもソウソウにも仕えたいと思わなかったし。

 よろしくね、リュービ」

 チョーウンは俺の肩に手を置くと、俺の頬に口元を近づけてきて…

 チュッ

「チョ、チョーウン!」

「ふふ、ボクなりの主従の誓いさ。

 よろしくね、新しいご主人様」

「と、とりあえず、チョーウン。君は我が軍の武将として活躍して欲しい。

 では、先輩もうちの武将ということでは… 」

 俺はチョーウンの活躍は見てるし、コウソンサン先輩も長らく指揮官として戦っていた人だ。二人がうちの武将となって一軍を率いてくれれば心強い。

 チョーウンはこの提案を了承してくれたが、コウソンサン先輩は首を縦にはふらなかった。

「人質の私はここから動けないからね、武将として戦うのは無理さ。

 それに敗れてわかった。私は人の上に立つべきじゃない。私は感情の赴くまま戦禍を広げ、多くの人を巻き込んでしまった。もう将として戦う気はないよ…

 リュービ、対して君は立派に成長していた。もう姉だとか先輩だとか思って気を使わなくていいよ…」

 コウソンサン先輩は少し寂しそうにそう答えた。

「そんな…俺だってまだまだ…今回も結局、自分の感情で周りを振り回してしまいましたし…」

 カンウはソウソウ軍に加わり、チョーヒは未だ音信不通、それもこれも原因は俺にある。

「とにかく、私はもう人を率いる気はないのさ。

 だから、今日から私はリュービの愛人になるよ」

「はい…?」

「愛人が嫌なら性奴隷でもなんでも好きに呼んで欲しい。さぁ、私の体を好きにしてくれ。リュービの成長を体に教えてくれ」

 先輩は胸元のボタンを外しながらに俺に迫ってきた。

「ちょ、ちょっと、落ち着いてください、先輩!」

「私の事は先輩って呼ばなくていいよ。コウソンサンとか下の名で珊瑚とかハニーとか好きに呼んでくれ。後、敬語もいいよ」

「ま、待って、チョーウンもいるし!」

「チョーウン、見てる?それとも一緒にヤる?」

「先輩、その選択肢はおかしい」

「とりあえず見てるよ」

「いや、チョーウン、その選択もおかしい」

 先輩は胸元を開き、その胸があらわになった。ソウソウも結構あったけど、先輩はかなりでかいな…

「どうだいリュービ、大きさならカンウにも負けないと思うんだけど」

 確かにこれはカンウ並み…いや、仮にも義妹の胸を想像するなんて…

「リュービ…女の子の胸見て反応がいまいちだね…

 もしかして初めてじゃないのかい?」

「え、いや、その…」

「相手は誰だい?カンウか!チョーヒか!

 あんまりだよ、うぶなリュービの手解きをするのが私の夢だったのにさ」

「落ち着いてください先輩!てか、そんなことで泣かないでくださいよ。

 驚いて言葉が出かなかっただけです」

「私、聞いちゃったんです」

「うわ、ビジク、なんでここに」

 気づけば側にくせっ毛の女生徒・ビジクがチョーウンの横に立っていた。

「せっかくだから連れてきたよ」

「チョーウン!」

「私聞いちゃったんです…文芸部でカンウさんとチョーヒさんがリュービさんに、その…抱いて欲しいとかなんとか言ってるのを…」

 確かにそんな話をしたような…あれを聞かれていたのか…

「違うんだ、ビジク、あれはそういう意味じゃなくて…いやそういう意味か…いや誤解で…」

 意味は間違ってないんだが、そうじゃなくて…ダメだ、しどろもどろで上手く言えない。

「そう…やっぱり二人は…いや三人はそういう仲だったんだね。それでリュービは遠慮して」

「いやだから違いますって先輩」

「隠さなくてもいいよ。普通に考えたら血縁でもないのに、高校生の男女が兄妹の契りなんておかしいものね」

「いや、先輩がそれ言いますか」

「でも、今は三人離れ離れ…色々溜まってるだろ?いいんだよ、私に甘えてくれて…」

「先輩、落ち着いて…」

「やはり男の人って溜まるんですか…その…色々と。あ、あの私も手伝いましょうか…」

「ビジクも落ち着いて…」

「ボクも体を提供した方がいいのかな?」

「チョーウンも加わらなくていいから」

 今度はコウソンサン先輩が顔を赤らめながら、口を開く。

「その、リュービ…君はカンウ・チョーヒと散々ちちくりあったかもしれないけど…その…私は…実は初めてなんだ…だから…その…優しくしてね」

「待って先輩!服を脱がそうとしないで!」

「リュービ、一つお願いいいかな?」

「…なんですか、先輩」

「その…ゴムして欲しいな」

「待って先輩!脱ぐの早い!」



「リュービ…少し見ない間に立派になって…」

「先輩、意味深なこと言って終わらないでくださいよ」
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