学園戦記三国志~リュービ、二人の美少女と義兄妹の契りを結び、学園において英雄にならんとす 正史風味~

トベ・イツキ

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第4部 カント決戦編

第42話 問対!ソウソウの英雄論!

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 少し長めのボブカットに、太めの眉とタレ目の美少女、馬術部部長のコウソンサンは一人、部室で顔を歪ませた。


「まさかエンショウに作戦が漏れていたとは…完全な失態だよ」

「どうやらここまでのようね、コウソンサン!」

「エンショウ…!」

 薄紫の長い髪と白マントをはためかせ、エンショウがコウソンサンの前に現れた。

 後漢学園の勢力図がまた変わろうとしていた…



 中央校舎・臨時生徒会室~

 赤黒い髪と眼をもつ、胸元を大きく開け、ヘソ出しミニスカートの女生徒・ソウソウは参謀・ジュンイクたちと共にリョフ戦の後の処理に励んでいた。

「文芸部は北校舎や東校舎とも接している。

 味方に加わったゾウハたちには引き続き文芸部の防衛に当たらせよう」

 小柄な丸眼鏡の少女・ジュンイクがソウソウに資料を差し出しながら話しかける。


「ソウソウ様、ヒッシンたち、かつてテニス部からリョフ軍に寝返った者たちの処遇はどういたしましょうか?」

 リョフ軍は、元々のリョフ配下、ソウソウ勢力下のテニス部からの寝返り組、文芸部員の大きく3つに別れた。特にテニス部からの寝返り組とソウソウ軍の間には溝があった。

「うーん、やむを得ない事情だ。寝返りの件は不問としよう」

「よろしいのですか?我が軍の中には厳しい処分を望む声もありますが」

「厳しい処分はさらに深い溝を生む。

 それに我が軍には戦力が必要な時だ。望むなら他の離反者も積極的に採用しよう。

 しかし、仕事が増えていかんな。戦力もだが、生徒会も人を増やさんとな」

 その時、臨時生徒会室の扉がノックされ、一人の女生徒が入ってきた。

「ソウソウ様、只今北校舎より戻りました」

 丁寧な口調に似合わず、その格好は金髪にヘアピンをいくつもつけ、口には棒付きキャンディーを咥え、日焼け肌にミニスカートという出で立ちだった。

「トウショウか、北校舎の情勢はどうなっている?」

 金髪褐色肌の女生徒・トウショウは棒付きキャンディーを口より出してソウソウに報告を始めた。

「報告します。エンショウがコウソンサンを…」

「待て!その話ならリュービを呼んでこよう。放送で呼び出せ」

 その人名で全てを察したソウソウは、トウショウの話を遮り、リュービを呼び出した。

「ソウソウ、校内放送で呼び出すなんて何事なんだ?」

 俺が臨時生徒会室に入ると、そこにはソウソウ、ジュンイクたちの他に初めて見るギャルみたいな女生徒が立っていた。 

「リュービ、よく来た。

 内々の話だが、お前も聞いておいた方がいいと思ってな。

 彼女は董真昭恵とうま・あきえ、通称をトウショウ。今まで北校舎の動向を探ってもらっていた。

 では、トウショウ、先ほどの話の続きを」

 金髪の娘・トウショウが話を始めた。

「はい、エンショウがコウソンサンを破り、その勢力を吸収しました」

 コウソンサン敗北!

 コウソンサン先輩は俺の中学の時からの先輩で、たくさんお世話になってきた人だ。その人がエンショウに敗北した…

「え、コウソンサン先輩が!そ、それで先輩はどうなったんですか!」

 俺は取り乱しながらもトウショウに詰め寄った。

「エンショウの捕虜となったようですが、その先までは…」

「そんな…先輩が…」

 俺は先輩に何もできなかった。もし、俺が文芸部の部長のままだったら助けられただろうか…?

「リュービ、生徒会長を目指すエンショウなら、評判を気にしてそこまで酷い扱いはしないだろう。

 それに退学や休学申請はきていない。せいぜい雑用や掃除をやらされるくらいではないか?」

「ソウソウ…」

 黙りこくったままの俺を見かねてか、ソウソウが俺の肩に手をおき、励ましてくれた。 

「それに戦いに勝敗はつきものだ。こればかりはどうしようもできないことだ。エンショウの強大さを思えば、勝つのは難しかっただろう」

「そうだな、ソウソウ。

 俺がもし、あのまま先輩の元に残っていたら、もし文芸部を維持して同盟を組めていたら…

 そんな事ばかり考えてしまうが、それでもやはりエンショウには勝てなかっただろう…」

「嫌なら強くなることだ。お前はまだ強くなれる。その目の輝きがある限りは…」

「ありがとう、ソウソウ」

 トウショウの報告はまだ続けられた。

「それとソウソウ様、以前よりヨウシュウを通じて提携交渉を進めておりました合気道部の件ですが、提携先を巡ってヨウシュウと部長のチョウヨウが対立し、ヨウシュウが部長を追放しました。

 しかし、それに怒った部員のスイコが今度はヨウシュウを追放し、彼が新部長となり、エンショウとの交渉を始めたようです」

 合気道部の部室は、中央校舎より渡り廊下を渡った先、北校舎側に位置する。ソウソウからすれば、対エンショウ戦での橋頭堡きょうとうほになり得る場所で、是が非でも欲しい地点であった。

「それはまずいな…

 ソウジン・シカンにスイコを討つように伝えよ。場所が場所だけにエンショウが動くことも考慮せねばならんな。文芸部の守りに派遣していたウキン・ガクシン・ジョコーもスイコ討伐に合流するように伝えよ!トウショウ、お前も部員の寝返り交渉に動け」

「は、わかりました」

 ソウソウの指示にジュンイクやトウショウたちが慌ただしく動き出した。

 現状を俺なりに考えてみる。

 ソウソウが合気道部を手に入れようとするのは、エンショウとの戦いを想定してのことだ。

 エンショウが先輩を倒し、北校舎最大勢力になった今、次の手は南下、つまり南隣のソウソウへの攻撃。ソウソウとエンショウとの戦いは避けられないだろう。

 ソウソウとエンショウ、果たしてどちらが残るのだろうか。そして、その中で俺はどうなっていくのだろうか…

 俺の思案は、ソウソウの締めの言葉で終わりを迎えた。

「では、本日の会議はこれにて終了する。…リュービ、大事な話があるから少し残ってくれないか」

「え、ああ、わかったよ」

 ジュンイクたちはきびきびと教室から退出し、あっという間に俺はソウソウと二人きりになった。

 ソウソウは教室のカーテンを閉めながら、少しうれいを帯びた表情で俺に問いかけてきた。

「リュービ、この学園に真の英雄はいると思うか?」

「ソウソウ、突然何の話を…」

 ソウソウからの突然の質問に戸惑っていると、ソウソウさらに言葉を続けた。

「君はこれまで多くの人物を見聞きしてきた。その話を聞きたい」

 確かに俺は、反トータク連合、コウソンサン先輩、ソンサク、リョフ、ソウソウ他、多くの陣営を回り、黄巾党、トータク、エンショウ、エンジュツ他、多くの陣営と戦ってきた。しかし、急に言われても難しい質問だ。

「英雄と言われてもすぐわからないけど…例えばエンジュツは実際に戦ったが、なかなか強敵だった」

「あれは最早、生きている英雄ではない。過去のものだ」

 ソウソウは即座にエンジュツを一刀両断にする。彼女にとってエンジュツはもう眼中にないのかもしれない。

「じゃあ、エンショウは?会長最有力候補の呼び声も高いし」

「あいつは決断力に乏しく、人を使いこなせない。ああいうのを英雄とは言わん」

「なら、ソンサクは?瞬く間に東校舎を制圧し、生徒からは小覇王と呼ばれているとか」

「ソンサク、うーん。確かに奴は強い。しかし、力押しに過ぎる。あれではいつか息切れするだろう」

「じゃあ、リュウヒョウやリュウショウ、チョウロなんかも英雄とは言えないか?」

「言えんな。英雄とはその宿命の元に生まれ、天下を従えるものでなければならない」

 今、この学園の有力者たちが次々とソウソウに斬られていく。彼女は何を言おうとしているのだろうか?

「そんな人物がこの学園にいるのか?」

「いる!君と私だ!」

 ソウソウは自信に満ちた眼で俺を指差した。

「な…」

 ソウソウの発言に一瞬、言葉がつまる。俺は唾をゴクリと飲み込み、会話を続けた。

「ソウソウと…俺だって…?

 確かに君は英雄かもしれない。しかし、俺は方々で敗れ、流されるままここにきた。そんな俺が英雄なんて…」

「それがどうした。それは英雄になれない条件ではない」

 ソウソウは俺に近付き、俺の頬を撫でた。

「時にリュービ、英雄は一人なら世を治められるが、二人もいれば世の中は真っ二つに別れてしまう。二人の英雄は世に害悪となる…

 だから、私のものになれ、リュービ!」

「ソウソウ、何をとつぜ…んっ!」


 ソウソウは突然、俺に抱きつくと、強引にキスをしてきた。口の中でうごめくソウソウの舌が俺の思考を奪う。

「ぷはっ…どうだ?私のキスの味は?」

「はぁ…はぁ…ソウソウ、いきなり何を…」

「前に言ったじゃないか、イイ男になったら最後までしてやると。英雄以上にイイ男なんていないだろ?」

「ま、待ってソウソウ…」

「リュービ、お前の身と心と子種が欲しい」

 ソウソウはその場で服を脱ぎ捨て、生まれたままの姿になった。

「ソ、ソウソウ!服を着てくれ!ここ教室だよ!」

「そう口で言っても、お前の息子は準備万端のようだが…」

 ソウソウは話を無視して俺のズボンを脱がせ始めた。

「ほぉ、これが…私も本物は初めて見るが、なかなか立派なものをもってるじゃないか」

「もしかして…ソウソウも初めてなんじゃ」

「そうだな、初めてだ。男とヤるのはな」

「それならなおさら、こんなところでやるべきじゃないんじゃないか」

「あーもう、うるさい!

 いいか、私は今まで男とヤりたくなかったからヤらなかった。

 今お前とヤりたくなったからヤる。

 お前も初めてなら据え膳くらい食っとけ」

「そんな無茶苦茶な…」

「知らん。

 ふふふ…行くぞ、リュービ…」



 どれくらいの時間が経ったのか、辺りはすっかり暗くなっていた。教室の灯りも点けずによくもまあと自分でも呆れる。

 傍らには裸のソウソウが俺に寄り添っていた。

「リュービぃ…痛いじゃないかぁ…」

「ご、ごめん、ソウソウ」

「夢中になるのは結構だが、力任せに突きすぎなんだよ。そんなんで女は喜ばないからな」

 ソウソウはよろよろと脱いだ制服のとこまで歩くと、再び身に付け始めた。

「まあいい…ヤり方は今日から私がみっちり教えてやろう。

 それがお前の仕事だ」

 ソウソウがニタリとこちらに笑いかけた。

 俺はとんでもない過ちを犯してしまったようだ…
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