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第3部 群雄割拠編
第31話 姉弟!リョフとリュービ!
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リョフの庇護下に入った俺達三兄妹には、部室隣の準備室を拠点としてあてがわれた。
「アニキ…なんで部長をリョフに譲っちまったんだぜ…」
「今、文芸部は外にエンジュツ・ソウソウ、内にリョフ・ソウヒョウと敵に囲まれている。
やはり今の俺では力不足なんだ。とても守りきれそうにない。リョフが部長になれば一先ずはソウソウ以外の敵を解決できる」
「だからってリョフと姉弟になるなんてよ…」
「チョーヒ、あまり兄さんを困らせてはいけないわ」
「リュービ…ここに…いたか…見回りに…行くぞ…ついて…こい…」
「はい、姉さん」
俺はカンウ・チョーヒを残し、リョフと二人で校内に赴いた。
チョーヒは俺がリョフを姉さんと呼ぶことが不愉快な様子だ。カンウも口には出さないが顔を曇らせながら俺を見送る。
「うう…なんだよリョフの奴!何かと理由つけてアニキとべったりしやがって!
アニキもホイホイついて行っちゃってさ!」
「仕方ありません。今の兄さんは立場上断れませんし」
「オレのせいだよな…」
「それは言わない約束でしょ!
兄さんも言ってたじゃないですか。あの時たまたま反乱が起きただけで、対立は避けられなかったと」
「それでもよ…」
「私だって兄さんが私達から離れるようでさみしい。
でも今は耐えましょう」
リョフは俺の腕を組ながら、しょっちゅう方々を連れ回っている。
あまり表情を変化させないリョフだが、嬉しそうなのは伝わってくる。しかし、リョフみたいに胸の大きな娘に腕を組まれると…その…困ったな。
「リュービ…こっち…だ…」
「姉さん、待って」
「どう…した…顔…赤い…ぞ…」
「え、いやその…
ね、姉さんの胸がさっきからしきりに当たってるんだけど…」
「私の…胸…
リュービ…勃った…のか…?」
「勃っ…姉さん、何言ってんの!」
「トータク…よく…言って…た…私の…胸…見てた…ら…勃つ…だから…揉ませろ…って…
その度に…殴り…飛ばして…た…」
「トータク…ホント酷いな」
かつてこの学園を支配下に置こうとした魔王・トータク。まさか倒した今になってまた俺の頭を悩ましてくるとは思わなかった。
「でも…リュービ…なら…いい…ぞ…揉む…か…?」
「え………
いやいやいや何言ってんだよ、姉さん!」
「リョフ!何やってるんですか!」
「カンウ!」
カンウが鬼の形相でこちらを睨み付けている。
「心配して様子見に来たてみたら…何ハレンチなことやってるんですか!それは姉弟じゃなくて男女の仲でやることです!」
カンウがずかずかとこちらに向かってくると、俺の腕を掴んだ。
「兄さん!ここにいては行けません!帰りますよ!」
「わ、ちょっとカンウ!」
カンウに引っ張られてる形で俺はリョフを一人残して教室に戻った。
「男女…の仲…?」
準備室~
「兄さん!私はもう我慢できません!リョフと姉弟の仲を解消してください!」
「そうだぜアニキ!このままじゃ…その…アニキの貞操が奪われちまうぞ!」
「二人とも落ち着けって!」
先程のリョフとのやり取りでカンウも怒りをあらわにして、チョーヒと共に俺に詰め寄ってくる。
「兄さん…リョフに胸触っていいって言われて少し迷いましたよね?」
「え、いや…それは…」
「やっぱりアニキは大きい方が好きなのか!」
「別にそういうわけじゃ…」
「じゃあ、小さ…大きすぎない方が好きなのか!」
「なんでそうなるんだよ。落ち着いてくれ二人とも…」
「とにかくリョフとの姉弟の仲を解消してください!」
「そうだぜ!あんなデカイ胸の奴と仲良くするなんて絶対許せないぜ!」
カンウはいいのかと思ったが、とてもそんなことを言える状態じゃないな。
「わかった!リョフとの姉弟の仲は解消してもらう!」
「本当ですね、兄さん!」
「アニキ、嘘じゃないな!」
「今からリョフと会って直接言う。すぐに連絡を取ろう!」
俺はリョフへSNSで連絡を送った。
“二人だけで大事な話があります。準備室隣の空き教室まで来て下さい”
リョフからすぐ返事がきた。
“私も大事な話があります。すぐ行きます”
リョフからも大事な話?いや、今は姉弟解消のことを最優先で考えよう。
「よし、じゃあ行ってくる!」
「兄さん、一応私達は入口前で待ってます。何かあったら呼んでください」
俺が空き教室で待つと、まもなくリョフも教室に入ってきた。
あれだけ嬉しそうに俺に構ってくれていたリョフ。姉弟解消がすんなりいくとは思えない。
だが、例え殴られてもここは聞き入れてもらうしかない。
「リュービ…話とは…なんだ…」
「リョフ!君との姉弟の仲を解消して欲しいんだ!」
「わかった…解消…しよう…」
「ああ、すぐ納得してもらえないだろう、だが、やはり
え、いいの?」
「ああ…私も…その事を…言おうと…思ってたん…だ…お前は…弟に…すべきじゃ…なかったんじゃ…ないか…って…」
「そうか、リョフも同じように思ってたのか。良かった、これで姉弟じゃないね」
「ああ…リュービ…
今日…から…私達は…恋人…だ!」
「え、恋人!?」
「お前と…話して…気付いた…私は…リュービを…男として…愛して…いる…と…だから…姉弟…じゃない…
リュービも…同じ…気持ち…で…嬉しい…これで…私達…男女の…仲!」
「ま、待ってリョフ!てか、なんで俺のズボンを掴んでんの!」
リョフは俺のズボンをむんずと掴み、さらにベルトに手を伸ばした。
「トータク…言ってた…男が…いる…女が…いる…愛が…ある…
すなわち…セックスだ…と」
そんなわけないだろ。トータクの性教育を鵜呑みにしちゃダメだって!
「待ってダメだリョフ、それはまずいって!」
「リュービ…初めて…か…?私も…初めて…だ…
ふふ…お揃いだ…な…」
少し顔を赤らめながら微笑むリョフ。表情だけ見ると初々しい乙女だが、とんでもない力で俺のズボンを剥ぎ取り、更にはパンツにまで手をかけた。
「ダメだ…リョフに力では勝てない…待ってくれリョフ!」
俺が声を荒げたのを聞き付けて、外で待機していたカンウ・チョーヒが部屋に入ってきた。
しかし、一歩遅かった。
「大丈夫ですか!兄さん!
キャー!
何出してるんですか兄さん!」
「ア、アニキ…女の子に何見せてんだよ!」
「違う!これはリョフに無理矢理!」
「いいから早くパンツ穿いてください!」
カンウは目をそらしながら、脱ぎ捨ててあるパンツを俺に投げつけてきた。
「うう…見られてしまった…」
「リュービ…大丈夫…トータク…より…大き…かった…自信…持って…」
「そういう話じゃない!」
「何を比べてるんですか!」
「アニキのってトータクより大きいのか…」
「チョーヒも変なこと言わない!」
「私…こういう…の…初めて…
でも…トータクと…リジュの…何度か…見た…だから…わかる…私に…任せ…て!」
リョフはまだ諦めてないようだ。俺の方にジリジリと寄ってくる。
「いや、リョフ、こういうことはもっと深く愛しあった仲でやることであって…」
「リュービ…私とじゃ…イヤ?」
「イヤじゃないんだけど…その…こ、心の準備が…」
「何言ってるんですか兄さん!リョフ!貴女に兄さんは渡しません!」
「わかっ…た…ならば…戦って…リュービを…奪い…とる…! 」
文芸部・準備室~
「リョフからの宣戦布告か。リョフ相手では今の俺達の戦力じゃあとても勝てないな…」
「すみません、兄さん…私のせいで戦争になってしまって」
「いや、どちらにしてもリョフとの姉弟ごっこは長く続かなかったさ」
「こうなったら私がリョフに一騎討ちを挑んで倒します!」
「オレもリョフと一騎討ちするぜ!」
「待ってくれ、リョフと一騎討ちはまずい。
うーん、俺が捕られられても今とそんなに変わらないんじゃ…リョフとこ、恋人になるぐらいで。リョフと恋人か………いやいや、それは避けなくちゃ。
それに捕られておしまいではチンキュウ辺り納得しないだろうし、俺達の学園生活も終わるかもしれないな…」
リョフと戦って勝ち目はないか…ならば取るべき道は一つだな。
「よし、逃げよう」
「逃げるのかよアニキ!」
「今はリョフと戦える状況じゃない」
「でも兄さん、逃げるといってもどこへ?」
「ソウソウのところに逃げよう。今まで密かにソウソウとは関係修復を図っていた。まだ完全とは言えないが、この辺りで受け入れてくれる可能性があるのはソウソウだ」
「でも、ソウソウさんとはこの前戦ったばかりですよ。コウソンサン先輩やソンサクさんのところではどうですか?」
「ここから先輩のいる北校舎もソンサクのいる東校舎も遠すぎて途中で捕まってしまう恐れがある。
それに二人ともエンジュツと同盟を結んでいる。エンジュツと対立している俺が行くと迷惑になってしまうよ」
そうと決まれば準備は早い方がいい。俺についてきてくれた文芸部の面々に今の状況を説明した。
まあ、リョフの恋人云々の辺りは適当にごまかしたが…
「かくかくしかじかで俺達は文芸部を去る。君達は部員だ。残ってくれて構わない」
くせっ毛の女生徒・ビジクとその妹・ビホウが立ち上がってくれた。
「私達姉妹もお供します」
「しょうがねーなー。俺がついていってやるかー。
ま、俺は部員じゃないけどなー」
へらへら顔の男子生徒・カンヨーも俺についていくと言ってくれた。てか、カンヨーいたのか。
その他、何名かの部員が俺との同行を希望してくれた。
「皆、ありがとう。では、ついてくるものだけソウソウのところに向けて走るぞ!」
文芸部・図書室~
「リュービと…戦う…お前達…準備…しろ…」
リョフの突然の命令にキョトンとする参謀・チンキュウ。
「ど、どういう風の吹き回しですか?
いや、それはいいことです。早く倒しましょう、そうしましょう!」
チンキュウにとってリュービは邪魔者でしかない。リョフがようやくリュービ討伐に賛成してくれたと思い、はりきって準備を始めた。
しかしそこへオールバックにした男子生徒・ゾウハが気まずそうに報告する。
「なあ、そのリュービ達ならもういないみたいっすよ」
「な…に…何処に…行った…!」
「リョフ様!リュービの行方なら我らで探しますから今は落ち着いてください」
「うう…リュービ…」
「ソウソウと連絡がついた。俺達を受け入れてくれるそうだ」
「くそーこんな夜逃げみたいなことしなきゃいけないなんて最悪だぜ」
「おかげで見つからずに来れたじゃないですか」
リョフのもとより逃亡した俺達を、赤黒い髪と瞳の女生徒・ソウソウが自ら出迎えてくれた。
「リュービ、よく来た。歓迎するぞ」
「ソウソウ、助けてくれてありがとう」
「うーん、これ状況あんま変わんない気がするぜ」
文芸部・書庫~
チンケイ・チントウ兄妹は逃亡するリュービ達を見送ると、書庫に移動した。
「行ってしまいましたね」
「チントウ、お前は好きな男についていかなくて良かったのか?」
「な、に、兄さん!私はリュービのことはなんとも思ってません!」
「誰もリュービのこととは言ってないがな」
「からかわないでください兄さん!私は文芸部を守るためにいるんです!」
「ああ、そうだ。
我等の次の役目はリョフを追い出すことだ…」
「アニキ…なんで部長をリョフに譲っちまったんだぜ…」
「今、文芸部は外にエンジュツ・ソウソウ、内にリョフ・ソウヒョウと敵に囲まれている。
やはり今の俺では力不足なんだ。とても守りきれそうにない。リョフが部長になれば一先ずはソウソウ以外の敵を解決できる」
「だからってリョフと姉弟になるなんてよ…」
「チョーヒ、あまり兄さんを困らせてはいけないわ」
「リュービ…ここに…いたか…見回りに…行くぞ…ついて…こい…」
「はい、姉さん」
俺はカンウ・チョーヒを残し、リョフと二人で校内に赴いた。
チョーヒは俺がリョフを姉さんと呼ぶことが不愉快な様子だ。カンウも口には出さないが顔を曇らせながら俺を見送る。
「うう…なんだよリョフの奴!何かと理由つけてアニキとべったりしやがって!
アニキもホイホイついて行っちゃってさ!」
「仕方ありません。今の兄さんは立場上断れませんし」
「オレのせいだよな…」
「それは言わない約束でしょ!
兄さんも言ってたじゃないですか。あの時たまたま反乱が起きただけで、対立は避けられなかったと」
「それでもよ…」
「私だって兄さんが私達から離れるようでさみしい。
でも今は耐えましょう」
リョフは俺の腕を組ながら、しょっちゅう方々を連れ回っている。
あまり表情を変化させないリョフだが、嬉しそうなのは伝わってくる。しかし、リョフみたいに胸の大きな娘に腕を組まれると…その…困ったな。
「リュービ…こっち…だ…」
「姉さん、待って」
「どう…した…顔…赤い…ぞ…」
「え、いやその…
ね、姉さんの胸がさっきからしきりに当たってるんだけど…」
「私の…胸…
リュービ…勃った…のか…?」
「勃っ…姉さん、何言ってんの!」
「トータク…よく…言って…た…私の…胸…見てた…ら…勃つ…だから…揉ませろ…って…
その度に…殴り…飛ばして…た…」
「トータク…ホント酷いな」
かつてこの学園を支配下に置こうとした魔王・トータク。まさか倒した今になってまた俺の頭を悩ましてくるとは思わなかった。
「でも…リュービ…なら…いい…ぞ…揉む…か…?」
「え………
いやいやいや何言ってんだよ、姉さん!」
「リョフ!何やってるんですか!」
「カンウ!」
カンウが鬼の形相でこちらを睨み付けている。
「心配して様子見に来たてみたら…何ハレンチなことやってるんですか!それは姉弟じゃなくて男女の仲でやることです!」
カンウがずかずかとこちらに向かってくると、俺の腕を掴んだ。
「兄さん!ここにいては行けません!帰りますよ!」
「わ、ちょっとカンウ!」
カンウに引っ張られてる形で俺はリョフを一人残して教室に戻った。
「男女…の仲…?」
準備室~
「兄さん!私はもう我慢できません!リョフと姉弟の仲を解消してください!」
「そうだぜアニキ!このままじゃ…その…アニキの貞操が奪われちまうぞ!」
「二人とも落ち着けって!」
先程のリョフとのやり取りでカンウも怒りをあらわにして、チョーヒと共に俺に詰め寄ってくる。
「兄さん…リョフに胸触っていいって言われて少し迷いましたよね?」
「え、いや…それは…」
「やっぱりアニキは大きい方が好きなのか!」
「別にそういうわけじゃ…」
「じゃあ、小さ…大きすぎない方が好きなのか!」
「なんでそうなるんだよ。落ち着いてくれ二人とも…」
「とにかくリョフとの姉弟の仲を解消してください!」
「そうだぜ!あんなデカイ胸の奴と仲良くするなんて絶対許せないぜ!」
カンウはいいのかと思ったが、とてもそんなことを言える状態じゃないな。
「わかった!リョフとの姉弟の仲は解消してもらう!」
「本当ですね、兄さん!」
「アニキ、嘘じゃないな!」
「今からリョフと会って直接言う。すぐに連絡を取ろう!」
俺はリョフへSNSで連絡を送った。
“二人だけで大事な話があります。準備室隣の空き教室まで来て下さい”
リョフからすぐ返事がきた。
“私も大事な話があります。すぐ行きます”
リョフからも大事な話?いや、今は姉弟解消のことを最優先で考えよう。
「よし、じゃあ行ってくる!」
「兄さん、一応私達は入口前で待ってます。何かあったら呼んでください」
俺が空き教室で待つと、まもなくリョフも教室に入ってきた。
あれだけ嬉しそうに俺に構ってくれていたリョフ。姉弟解消がすんなりいくとは思えない。
だが、例え殴られてもここは聞き入れてもらうしかない。
「リュービ…話とは…なんだ…」
「リョフ!君との姉弟の仲を解消して欲しいんだ!」
「わかった…解消…しよう…」
「ああ、すぐ納得してもらえないだろう、だが、やはり
え、いいの?」
「ああ…私も…その事を…言おうと…思ってたん…だ…お前は…弟に…すべきじゃ…なかったんじゃ…ないか…って…」
「そうか、リョフも同じように思ってたのか。良かった、これで姉弟じゃないね」
「ああ…リュービ…
今日…から…私達は…恋人…だ!」
「え、恋人!?」
「お前と…話して…気付いた…私は…リュービを…男として…愛して…いる…と…だから…姉弟…じゃない…
リュービも…同じ…気持ち…で…嬉しい…これで…私達…男女の…仲!」
「ま、待ってリョフ!てか、なんで俺のズボンを掴んでんの!」
リョフは俺のズボンをむんずと掴み、さらにベルトに手を伸ばした。
「トータク…言ってた…男が…いる…女が…いる…愛が…ある…
すなわち…セックスだ…と」
そんなわけないだろ。トータクの性教育を鵜呑みにしちゃダメだって!
「待ってダメだリョフ、それはまずいって!」
「リュービ…初めて…か…?私も…初めて…だ…
ふふ…お揃いだ…な…」
少し顔を赤らめながら微笑むリョフ。表情だけ見ると初々しい乙女だが、とんでもない力で俺のズボンを剥ぎ取り、更にはパンツにまで手をかけた。
「ダメだ…リョフに力では勝てない…待ってくれリョフ!」
俺が声を荒げたのを聞き付けて、外で待機していたカンウ・チョーヒが部屋に入ってきた。
しかし、一歩遅かった。
「大丈夫ですか!兄さん!
キャー!
何出してるんですか兄さん!」
「ア、アニキ…女の子に何見せてんだよ!」
「違う!これはリョフに無理矢理!」
「いいから早くパンツ穿いてください!」
カンウは目をそらしながら、脱ぎ捨ててあるパンツを俺に投げつけてきた。
「うう…見られてしまった…」
「リュービ…大丈夫…トータク…より…大き…かった…自信…持って…」
「そういう話じゃない!」
「何を比べてるんですか!」
「アニキのってトータクより大きいのか…」
「チョーヒも変なこと言わない!」
「私…こういう…の…初めて…
でも…トータクと…リジュの…何度か…見た…だから…わかる…私に…任せ…て!」
リョフはまだ諦めてないようだ。俺の方にジリジリと寄ってくる。
「いや、リョフ、こういうことはもっと深く愛しあった仲でやることであって…」
「リュービ…私とじゃ…イヤ?」
「イヤじゃないんだけど…その…こ、心の準備が…」
「何言ってるんですか兄さん!リョフ!貴女に兄さんは渡しません!」
「わかっ…た…ならば…戦って…リュービを…奪い…とる…! 」
文芸部・準備室~
「リョフからの宣戦布告か。リョフ相手では今の俺達の戦力じゃあとても勝てないな…」
「すみません、兄さん…私のせいで戦争になってしまって」
「いや、どちらにしてもリョフとの姉弟ごっこは長く続かなかったさ」
「こうなったら私がリョフに一騎討ちを挑んで倒します!」
「オレもリョフと一騎討ちするぜ!」
「待ってくれ、リョフと一騎討ちはまずい。
うーん、俺が捕られられても今とそんなに変わらないんじゃ…リョフとこ、恋人になるぐらいで。リョフと恋人か………いやいや、それは避けなくちゃ。
それに捕られておしまいではチンキュウ辺り納得しないだろうし、俺達の学園生活も終わるかもしれないな…」
リョフと戦って勝ち目はないか…ならば取るべき道は一つだな。
「よし、逃げよう」
「逃げるのかよアニキ!」
「今はリョフと戦える状況じゃない」
「でも兄さん、逃げるといってもどこへ?」
「ソウソウのところに逃げよう。今まで密かにソウソウとは関係修復を図っていた。まだ完全とは言えないが、この辺りで受け入れてくれる可能性があるのはソウソウだ」
「でも、ソウソウさんとはこの前戦ったばかりですよ。コウソンサン先輩やソンサクさんのところではどうですか?」
「ここから先輩のいる北校舎もソンサクのいる東校舎も遠すぎて途中で捕まってしまう恐れがある。
それに二人ともエンジュツと同盟を結んでいる。エンジュツと対立している俺が行くと迷惑になってしまうよ」
そうと決まれば準備は早い方がいい。俺についてきてくれた文芸部の面々に今の状況を説明した。
まあ、リョフの恋人云々の辺りは適当にごまかしたが…
「かくかくしかじかで俺達は文芸部を去る。君達は部員だ。残ってくれて構わない」
くせっ毛の女生徒・ビジクとその妹・ビホウが立ち上がってくれた。
「私達姉妹もお供します」
「しょうがねーなー。俺がついていってやるかー。
ま、俺は部員じゃないけどなー」
へらへら顔の男子生徒・カンヨーも俺についていくと言ってくれた。てか、カンヨーいたのか。
その他、何名かの部員が俺との同行を希望してくれた。
「皆、ありがとう。では、ついてくるものだけソウソウのところに向けて走るぞ!」
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リョフの突然の命令にキョトンとする参謀・チンキュウ。
「ど、どういう風の吹き回しですか?
いや、それはいいことです。早く倒しましょう、そうしましょう!」
チンキュウにとってリュービは邪魔者でしかない。リョフがようやくリュービ討伐に賛成してくれたと思い、はりきって準備を始めた。
しかしそこへオールバックにした男子生徒・ゾウハが気まずそうに報告する。
「なあ、そのリュービ達ならもういないみたいっすよ」
「な…に…何処に…行った…!」
「リョフ様!リュービの行方なら我らで探しますから今は落ち着いてください」
「うう…リュービ…」
「ソウソウと連絡がついた。俺達を受け入れてくれるそうだ」
「くそーこんな夜逃げみたいなことしなきゃいけないなんて最悪だぜ」
「おかげで見つからずに来れたじゃないですか」
リョフのもとより逃亡した俺達を、赤黒い髪と瞳の女生徒・ソウソウが自ら出迎えてくれた。
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「ソウソウ、助けてくれてありがとう」
「うーん、これ状況あんま変わんない気がするぜ」
文芸部・書庫~
チンケイ・チントウ兄妹は逃亡するリュービ達を見送ると、書庫に移動した。
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「な、に、兄さん!私はリュービのことはなんとも思ってません!」
「誰もリュービのこととは言ってないがな」
「からかわないでください兄さん!私は文芸部を守るためにいるんです!」
「ああ、そうだ。
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