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第3部 群雄割拠編
第25話 救援!文芸部トウケン!
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コウソンサンのエンショウとの同盟交渉は決裂。エンショウと対立することになった。(※第17~19話参照)
やむなくコウソンサンはエンジュツと同盟を締結。エンジュツを中心とした連合が形成されつつあった。
しかし、エンジュツ連合に加入した文芸部のトウケンがソウソウと対立。戦いに発展したことでコウソンサンからも援軍を派遣することになった。
そこでコウソンサンは馬術部からデンカイ、さらにリュービ・カンウ・チョーヒに応援を依頼した。
中央校舎・文芸部~
救援にやってきた俺達は、コウソンサン先輩からの援軍・デンカイと合流。文芸部が拠点にしている中央校舎の図書室でトウケンと対面した。
「応援に来ました馬術部の田階青、デンカイとお呼びください」
髪をアップにまとめた女生徒・デンカイが先にトウケンへ挨拶をする。彼女には馬術部からの援軍数十人が付き従っている。
「同じく応援に来ました流尾玄徳、リュービです。こちらの髪の長い女生徒が関羽美、カンウ、お団子ヘアーの女生徒が張飛翼、チョーヒ。共に俺の義妹です」
俺に続いて長身でお嬢様の様な雰囲気の女生徒・カンウと、小柄で元気そうな女生徒・チョーヒが頭を下げる。
「よく来てくれた。文芸部部長の陶山謙、トウケンだ」
スラリとした背の高い男子生徒が、穏やかな表情で俺達を出迎えてくれた。
「私達がエンジュツ支持を表明するとソウソウが攻めてきた。
我々はなんとかソウソウ軍を食い止めたが、部員は満身創痍となり、次回の侵攻には耐えられそうにない。
エンジュツさんからの援軍も引き上げてしまった。ソウソウは明日、改めて攻めてくるそうだ。
もう君達しか頼りがいない。助けて欲しい」
「わかりました、お任せください」
デンカイが俺達を代表して、トウケンを強く励ます。
しかし、相手はソウソウ。文芸部員の大半は負傷し、援軍も俺達のみ。何か秘策でもあるのだろうか?
「ついお任せくださいって言っちゃったけど、大丈夫でしょうか」
廊下に出たところで、デンカイの第一声がこれだった。まあ、そんな凄い秘策なんてそう簡単にはでないよなぁ。
「うーん、そう言われても、俺達でソウソウに敵うだろうか?
ソウソウは今、多数の黄巾残党を配下に従え、一番勢いのある勢力だからなぁ」
「ソウソウ軍が何人いようとオレとカン姉でぶっ倒してやるぜ!」
「そうですね…やはり私とチョーヒが敵の大半を引き受けるというのが、一番勝率が高いのではないでしょうか?」
一騎当千の義妹・カンウとチョーヒは、その可愛らしい容姿とは裏腹に、この学園でも随一の戦闘力を誇る。
確かに彼女達の戦闘力が、今回の戦いの要になるだろう。
しかし、今回は敵の数が多すぎる。それにソウソウは司令官として優秀だし、武勇に秀でた配下も多い。
できるだけカンウとチョーヒに危ない目に会わせたくないんだが…
「トウケンさんは美化委員長でもあり、優等生として知られ、教師陣からの評価も高い先輩です。なんとか同盟を維持したいのですが…」
困り顔をするデンカイ。コウソンサン先輩も前の戦いでエンショウに敗れ、勢力としては劣勢となっている。近くの同盟相手が潰されればより苦しくなるだろう。
「とにかくソウソウと交渉してみよう。ちょっと連絡をとってみるよ」
俺はスマホを取り出した。
「リュービさん、ソウソウの連絡先を知ってるんですか?ソウソウのお気に入りって噂本当だったんですね。
じゃあ、交渉はリュービさんにお任せしますね」
「え、あ、ちょっと。…行っちゃった。
困ったな。ソウソウが交渉に応じてくれるかまだわからないのに…」
「なんで兄さんがソウソウさんの連絡先を知ってるんですか」
カンウのジト目が俺を襲う。
「い、いや、別にそんな…反トータク連合の時に連絡のため教えてもらっただけで、やり取りなんてほとんどしてないし…」
「ホントかな?
アニキ、ソウソウ相手に鼻の下よく伸ばしてるぜ」
「伸ばしてない!」
「リュービさん、浮気の言い訳で忙しいところすみません」
「言い訳じゃない!
ん…君は?」
カンウ・チョーヒの詰問に切り返す流れでついつい答えちゃったが、そこにいたのは別の女生徒だった。
「私は文芸部員の美作舳枝、ビジクとお呼びください。少しお話があります」
少しくせっ毛気味の髪に、眼鏡をかけ、背はあまり高くないが、大人びた雰囲気の女生徒だ。
俺達三人は彼女に連れられて、隣の空き教室に通された。
「それでビジクさん、話というのは?」
「リュービさん、悪いことは言いません。トウケンなんて見捨てて早く逃げなさい」
「そういうわけにはいかない。トウケンさんみたいな真面目な人を見捨てるなんて」
「トウケンは貴方が思ってるような人じゃありません。教師受けばかりを気にする似非優等生です。
今回の騒動もトウケンがエンジュツとソウソウ両方に声をかけ、見返りの大きい方につこうとしたのが発端。
あっさりソウソウにバレて相手にされなかったのに腹を立ててちょっかい出して、こんな事態になってしまったのです」
ビジクは、その整った顔を歪ませて、語気を強めに話を続ける。
「文芸部を潰したくないのも自分の評判を落としたくないだけです。
元々、文学とか興味もない人ですし。おかげで何人も部員は去ってしまいました…」
「でも、まだ君達が残ってる。君達の居場所を見捨てて逃げるなんてできないよ」
「そうですか。…私も部活を辞めるつもりでした。でもリュービさんが来ると聞いて取り止めました。
噂通りのお優しい人ですね。私もリュービさんの仲間に加えてください」
「え、でも俺の仲間と言っても、カンウとチョーヒぐらいで勢力と言えるような状態じゃないよ。選挙戦なんてとても…」
「構いません。カンウさん、チョーヒさん、よろしくお願いします」
「おお、よろしくだぜ!」
「一緒に兄さんを盛り上げていきましょう」
弱ったな、生徒会長候補圏外の俺なんかの仲間に加わりたいなんて。カンウ・チョーヒも乗り気だし、どうすればいいんだ?
テニス部部室~
「ほぉ…リュービがトウケンについたか」
赤みがかった長い黒髪、同じく赤黒い瞳に白い肌、胸元を大きく開け、へそ出し、ミニスカートとかなり際どい格好をした女生徒・ソウソウがスマホを片手に呟いた。
傍らにいた男子生徒がソウソウに対して強く意見を述べる。
「ソウソウ、トウケン攻めは考え直しましょう。トウケンは教師受けのいい生徒、下手に攻撃すれば教師陣から反感を買います。
それに文芸部の主だった生徒は部を去りました。吸収しても旨味も少ない」
ひょろりとした体型に、眼鏡をかけた男子生徒・チンキュウだ。彼は反トータク連合結成時よりソウソウの参謀を務めていた。
しかし、ソウソウは彼の意見に反論した。
「それがどうした。教師が何か言ってきても相手にするな。
私のやることが正しい。
私が教師に背こうとも、教師が私に背くことは許さん」
続けてソウソウは「はっはっは」と高らかに笑って、チンキュウの方を振り向いた。
「チンキュウ、お前は留守番だ。チョウバク、ジュンイク、テイイクとともに部室を守れ」
そう言い残すと、軍隊編成のためにソウソウは部室を出ていってしまった。
部室に一人残されたチンキュウは露骨に不満を顔に出し、一人ぼやいた。
「ソウソウは私の意見に耳を貸さなくなった。ジュンイク達の方が話す機会も多い。
それにあの女は最早、化物だ。生徒会長になれば第二のトータクになってもおかしくない。
ソウソウを裏切って別の勢力に行くか?しかし、エン姉妹も会長の器ではない。
私が会長になるか?いや、私では支持も得られないし、力も弱い…
そうか。私一人では無理なら連れてくればいいんだ。強くて人望のある者…いや、強い者と人望のある者の二人を!」
チンキュウは不満顔から一転、晴れやかな表情に変化した。
「チンキュウさん、話って何ですか?」
チンキュウに呼ばれて部室に来たのは三つ編みの女生徒・チョウバクだった。
「チョウバクさん、ソウソウは貴方を売る気だ」
「そんな!私とソウソウとは中学時代からの友人ですよ」
「ソウソウはエンショウと同盟を結ぶ話が出てます。その条約としてエンショウは貴方の追放を要求してきています」
「その話なら知ってます。ソウソウがその要求ははね除けたと」
「ええ、確かに一度目は断りました。
しかし、貴方は昔からエンショウと仲が悪い。エンショウとソウソウの同盟が成立すれば選挙戦の最有力勢力だ。会長がエンショウ、副会長がソウソウ。その時貴方の居場所はこの学園にあるでしょうか?」
「…私に何をさせたいのですか?」
チンキュウの畳み掛けるような話し方にしびれを切らしたチョウバクは尋ねた。
それに対し、待ってましたとばかりにチンキュウは口を開いた。
「私は貴方に生徒会長になってもらいたい。貴方の優しさを多くの人が慕っている」
「私はソウソウのように強くない。強くなければ誰もついてこない」
チョウバクは呆れたような顔で答えた。彼女にとって生徒会長は無縁の地位という意識であった。
しかし、チンキュウの言葉はまだ終わらない。
「では、強い者と組むのはどうですか?」
「強い者?ソウソウやエンショウ程強い者なんてこの学園にいないでしょう」
「それはどうでしょうか?もし今目の前にいかなる兵力差も覆せる強さがあれば貴方は取りますか?」
「…でも…」
逡巡するチョウバクの背後に長身、ポニーテールの女生徒がのそりと現れた。
「エンショウ…ソウソウ…弱い…私の…敵…じゃない…」
「貴方は!」
「ふふふ、では、反ソウソウ連合結成といきましょうか」
やむなくコウソンサンはエンジュツと同盟を締結。エンジュツを中心とした連合が形成されつつあった。
しかし、エンジュツ連合に加入した文芸部のトウケンがソウソウと対立。戦いに発展したことでコウソンサンからも援軍を派遣することになった。
そこでコウソンサンは馬術部からデンカイ、さらにリュービ・カンウ・チョーヒに応援を依頼した。
中央校舎・文芸部~
救援にやってきた俺達は、コウソンサン先輩からの援軍・デンカイと合流。文芸部が拠点にしている中央校舎の図書室でトウケンと対面した。
「応援に来ました馬術部の田階青、デンカイとお呼びください」
髪をアップにまとめた女生徒・デンカイが先にトウケンへ挨拶をする。彼女には馬術部からの援軍数十人が付き従っている。
「同じく応援に来ました流尾玄徳、リュービです。こちらの髪の長い女生徒が関羽美、カンウ、お団子ヘアーの女生徒が張飛翼、チョーヒ。共に俺の義妹です」
俺に続いて長身でお嬢様の様な雰囲気の女生徒・カンウと、小柄で元気そうな女生徒・チョーヒが頭を下げる。
「よく来てくれた。文芸部部長の陶山謙、トウケンだ」
スラリとした背の高い男子生徒が、穏やかな表情で俺達を出迎えてくれた。
「私達がエンジュツ支持を表明するとソウソウが攻めてきた。
我々はなんとかソウソウ軍を食い止めたが、部員は満身創痍となり、次回の侵攻には耐えられそうにない。
エンジュツさんからの援軍も引き上げてしまった。ソウソウは明日、改めて攻めてくるそうだ。
もう君達しか頼りがいない。助けて欲しい」
「わかりました、お任せください」
デンカイが俺達を代表して、トウケンを強く励ます。
しかし、相手はソウソウ。文芸部員の大半は負傷し、援軍も俺達のみ。何か秘策でもあるのだろうか?
「ついお任せくださいって言っちゃったけど、大丈夫でしょうか」
廊下に出たところで、デンカイの第一声がこれだった。まあ、そんな凄い秘策なんてそう簡単にはでないよなぁ。
「うーん、そう言われても、俺達でソウソウに敵うだろうか?
ソウソウは今、多数の黄巾残党を配下に従え、一番勢いのある勢力だからなぁ」
「ソウソウ軍が何人いようとオレとカン姉でぶっ倒してやるぜ!」
「そうですね…やはり私とチョーヒが敵の大半を引き受けるというのが、一番勝率が高いのではないでしょうか?」
一騎当千の義妹・カンウとチョーヒは、その可愛らしい容姿とは裏腹に、この学園でも随一の戦闘力を誇る。
確かに彼女達の戦闘力が、今回の戦いの要になるだろう。
しかし、今回は敵の数が多すぎる。それにソウソウは司令官として優秀だし、武勇に秀でた配下も多い。
できるだけカンウとチョーヒに危ない目に会わせたくないんだが…
「トウケンさんは美化委員長でもあり、優等生として知られ、教師陣からの評価も高い先輩です。なんとか同盟を維持したいのですが…」
困り顔をするデンカイ。コウソンサン先輩も前の戦いでエンショウに敗れ、勢力としては劣勢となっている。近くの同盟相手が潰されればより苦しくなるだろう。
「とにかくソウソウと交渉してみよう。ちょっと連絡をとってみるよ」
俺はスマホを取り出した。
「リュービさん、ソウソウの連絡先を知ってるんですか?ソウソウのお気に入りって噂本当だったんですね。
じゃあ、交渉はリュービさんにお任せしますね」
「え、あ、ちょっと。…行っちゃった。
困ったな。ソウソウが交渉に応じてくれるかまだわからないのに…」
「なんで兄さんがソウソウさんの連絡先を知ってるんですか」
カンウのジト目が俺を襲う。
「い、いや、別にそんな…反トータク連合の時に連絡のため教えてもらっただけで、やり取りなんてほとんどしてないし…」
「ホントかな?
アニキ、ソウソウ相手に鼻の下よく伸ばしてるぜ」
「伸ばしてない!」
「リュービさん、浮気の言い訳で忙しいところすみません」
「言い訳じゃない!
ん…君は?」
カンウ・チョーヒの詰問に切り返す流れでついつい答えちゃったが、そこにいたのは別の女生徒だった。
「私は文芸部員の美作舳枝、ビジクとお呼びください。少しお話があります」
少しくせっ毛気味の髪に、眼鏡をかけ、背はあまり高くないが、大人びた雰囲気の女生徒だ。
俺達三人は彼女に連れられて、隣の空き教室に通された。
「それでビジクさん、話というのは?」
「リュービさん、悪いことは言いません。トウケンなんて見捨てて早く逃げなさい」
「そういうわけにはいかない。トウケンさんみたいな真面目な人を見捨てるなんて」
「トウケンは貴方が思ってるような人じゃありません。教師受けばかりを気にする似非優等生です。
今回の騒動もトウケンがエンジュツとソウソウ両方に声をかけ、見返りの大きい方につこうとしたのが発端。
あっさりソウソウにバレて相手にされなかったのに腹を立ててちょっかい出して、こんな事態になってしまったのです」
ビジクは、その整った顔を歪ませて、語気を強めに話を続ける。
「文芸部を潰したくないのも自分の評判を落としたくないだけです。
元々、文学とか興味もない人ですし。おかげで何人も部員は去ってしまいました…」
「でも、まだ君達が残ってる。君達の居場所を見捨てて逃げるなんてできないよ」
「そうですか。…私も部活を辞めるつもりでした。でもリュービさんが来ると聞いて取り止めました。
噂通りのお優しい人ですね。私もリュービさんの仲間に加えてください」
「え、でも俺の仲間と言っても、カンウとチョーヒぐらいで勢力と言えるような状態じゃないよ。選挙戦なんてとても…」
「構いません。カンウさん、チョーヒさん、よろしくお願いします」
「おお、よろしくだぜ!」
「一緒に兄さんを盛り上げていきましょう」
弱ったな、生徒会長候補圏外の俺なんかの仲間に加わりたいなんて。カンウ・チョーヒも乗り気だし、どうすればいいんだ?
テニス部部室~
「ほぉ…リュービがトウケンについたか」
赤みがかった長い黒髪、同じく赤黒い瞳に白い肌、胸元を大きく開け、へそ出し、ミニスカートとかなり際どい格好をした女生徒・ソウソウがスマホを片手に呟いた。
傍らにいた男子生徒がソウソウに対して強く意見を述べる。
「ソウソウ、トウケン攻めは考え直しましょう。トウケンは教師受けのいい生徒、下手に攻撃すれば教師陣から反感を買います。
それに文芸部の主だった生徒は部を去りました。吸収しても旨味も少ない」
ひょろりとした体型に、眼鏡をかけた男子生徒・チンキュウだ。彼は反トータク連合結成時よりソウソウの参謀を務めていた。
しかし、ソウソウは彼の意見に反論した。
「それがどうした。教師が何か言ってきても相手にするな。
私のやることが正しい。
私が教師に背こうとも、教師が私に背くことは許さん」
続けてソウソウは「はっはっは」と高らかに笑って、チンキュウの方を振り向いた。
「チンキュウ、お前は留守番だ。チョウバク、ジュンイク、テイイクとともに部室を守れ」
そう言い残すと、軍隊編成のためにソウソウは部室を出ていってしまった。
部室に一人残されたチンキュウは露骨に不満を顔に出し、一人ぼやいた。
「ソウソウは私の意見に耳を貸さなくなった。ジュンイク達の方が話す機会も多い。
それにあの女は最早、化物だ。生徒会長になれば第二のトータクになってもおかしくない。
ソウソウを裏切って別の勢力に行くか?しかし、エン姉妹も会長の器ではない。
私が会長になるか?いや、私では支持も得られないし、力も弱い…
そうか。私一人では無理なら連れてくればいいんだ。強くて人望のある者…いや、強い者と人望のある者の二人を!」
チンキュウは不満顔から一転、晴れやかな表情に変化した。
「チンキュウさん、話って何ですか?」
チンキュウに呼ばれて部室に来たのは三つ編みの女生徒・チョウバクだった。
「チョウバクさん、ソウソウは貴方を売る気だ」
「そんな!私とソウソウとは中学時代からの友人ですよ」
「ソウソウはエンショウと同盟を結ぶ話が出てます。その条約としてエンショウは貴方の追放を要求してきています」
「その話なら知ってます。ソウソウがその要求ははね除けたと」
「ええ、確かに一度目は断りました。
しかし、貴方は昔からエンショウと仲が悪い。エンショウとソウソウの同盟が成立すれば選挙戦の最有力勢力だ。会長がエンショウ、副会長がソウソウ。その時貴方の居場所はこの学園にあるでしょうか?」
「…私に何をさせたいのですか?」
チンキュウの畳み掛けるような話し方にしびれを切らしたチョウバクは尋ねた。
それに対し、待ってましたとばかりにチンキュウは口を開いた。
「私は貴方に生徒会長になってもらいたい。貴方の優しさを多くの人が慕っている」
「私はソウソウのように強くない。強くなければ誰もついてこない」
チョウバクは呆れたような顔で答えた。彼女にとって生徒会長は無縁の地位という意識であった。
しかし、チンキュウの言葉はまだ終わらない。
「では、強い者と組むのはどうですか?」
「強い者?ソウソウやエンショウ程強い者なんてこの学園にいないでしょう」
「それはどうでしょうか?もし今目の前にいかなる兵力差も覆せる強さがあれば貴方は取りますか?」
「…でも…」
逡巡するチョウバクの背後に長身、ポニーテールの女生徒がのそりと現れた。
「エンショウ…ソウソウ…弱い…私の…敵…じゃない…」
「貴方は!」
「ふふふ、では、反ソウソウ連合結成といきましょうか」
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