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第3部 群雄割拠編
第19話 勇将!チョーウン参上!
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「ボクはもっと強いよ」
「誰だ!」
野球帽を目深にかぶり、学ランを着たその生徒は猛スピードでスケボーを走らせ、あっという間にチョーコーの手からリュービを奪還してしまった。
「う…君は…?」
「気がついたみたいだね、君がリュービだよね」
目を覚ますと俺はお姫様抱っこされた状態で、スケボーに乗っていた。
「誰だか知らないが、その男を置いていってもらおう!」
チョーコーは持っていた木の棒をこちらに向かって投げつける。
「うわっとっ!」
うなりをあげて飛んで来る木の棒を避けようとしてバランスを崩したのか俺達はその場に倒れた。
「イタタ…君、大丈夫か?」
俺は助けてくれた彼に重なるように倒れてしまった。恩人を押し潰したのでは申し訳がない。俺が起き上がろうとすると、右手になにやら柔らかなものがあたる。
「…この感触はもしかして」
「ん…揉まないでよ、エッチだなぁ」
「君、女の子だったの!」
帽子が脱げた彼…いや彼女は長い眉に大きな瞳をもつ女の子だった。
「ごめん!知らずにその…触っちゃって…」
「リュービー!お姉ちゃんというものがありながら他の女の子の胸を触るなんていい度胸じゃないか」
「イタタタタ…先輩、痛い、離して」
「君は女性だったか。しかし、このチョーコー、一度戦場に出たならば、例え女性といえども手加減はしない」
「ふーん、まるで手加減しなければボクに勝てるみたいな物言いだね」
学ランの彼女は帽子をかぶり直すと、乗っていたスケボーを俺に渡してきた。
「その子は白龍、ボクの相棒だから大事に持っててね。
ボクは朝雲龍子、チョーウンと呼ばれている」
「では、改めて名乗ろうチョーウン。私は長江儁、チョーコーだ。受けとれチョーウン」
チョーコーは、部下から新たに渡された木の棒を一つ、チョーウンに投げ渡す。
「いいのかい、ボクは武器を持っても強いよ?」
「その度胸だけは買ってやろう」
チョーコーは一気に距離を詰めると、その勢いのまま突きを放った。チョーウンはさらりとその一撃をかわすと一瞬の間にチョーコーの真後ろに移った。
「こいつ速い!」
チョーコーはすぐに後ろに向き直り、突きを放つが、チョーウンは一瞬のうちに右へ左へと移動してしまう。
「君もなかなか速いようだけど、ボクの方が上みたいだね」
「調子に乗るな、貴様!」
チョーコーは棒を構え直すと円を描くように周囲一帯を薙ぎ払った。しかし、チョーウンの姿はどこにもなかった。
「上だよ」
チョーコーが空中を見上げると同時に着地したチョーウンは、チョーコーの棒を払いのけると、腹に蹴りを食らわした。
チョーコーは後ろによろめき、そのまま片膝をついた。
「どうやらボクの勝ちみたいだね」
「そのようだな…私の敗けだ。そして君を倒すのは我が部隊では戦力不足のようだ。ここは撤退させてもらおう」
チョーコーは敗けを認めるとそのまま部隊ごと撤退していった。
「さあ、コウソンサン、今のうちに部隊を撤退させるんだ」
「よし、わかった。全軍に通達、我らは撤退し、体勢を立て直す!」
コウソンサン軍に撤退の指令が響き渡る。
「コウソンサンが逃げますわ!貴方たち、追いなさい!」
エンショウが後方より指示を出すが、傍らにいた白髪の執事服を着た男性がその声を遮る。
「お待ち下さいエンショウお嬢様。チョーコー隊が退けられ、ガンリョウ・ブンシュウ隊も劣勢です。我らも一度撤退した方がよろしい」
「あなた!このエンショウに逃げろと言うの!」
「しっ!静かに!お嬢様失礼します!」
「ちょっとデンポウ離しなさい!スケベ!」
「エンショウ!どこだぜ!出てきやがれ!」
リュービの義妹・チョーヒがエンショウ兵を次々と蹴散らし、エンショウのいる最奥の本陣に着々と迫っていた。
いかなる屈強な男をもってしてもチョーヒの進撃を止めることはできず、彼女の通過と同時にその場に倒れ伏していった。
「チョーヒ、コウソンサン軍が撤退し始めました。我らも退きましょう」
「わかったぜカン姉。チッ、エンショウめ、どこに隠れやがった」
迎えに来た義姉・カンウと共にチョーヒが撤退したのを見届け、垣根に隠れていたエンショウ達も外に出てきた。
「どうやらガンリョウ・ブンシュウは退けられられたようですね」
「なんなのよ、あの娘!あのデタラメな強さは!」
本陣の混乱に気付き、前方よりキクギがエンショウのところまでやってきた。
「大丈夫かエンショウ!俺らも体勢を立て直した方がいい」
「くぅぅ…仕方ありませんわ!私達も立て直してすぐに追撃軍を出しなさい!」
撤退したコウソンサン軍は校庭の北東部に再び集結した。
「ありがとうチョーウン、君のおかげで助かったよ。
しかし、あんな差し迫った状況でよく私達の味方についてくれたね」
「あなたの方がエンショウよりマシに見えたから」
平然と答えるチョーウンの姿に思わずコウソンサンは笑いだした。
「ははは、君は怖いもの無しだね。
頼む。このまま私達に力を貸してくれないだろうか?」
「いいよ、そのために来たんだ」
助けてもらった俺もチョーウンにお礼を言う。
「さっきはありがとう。それとその…ごめん」
「…いいよ…気にしてないから」
「学ランだったからてっきり男だと思ってて、まさかこんな可愛い女の子だったなんて」
「か、可愛いとか言うなよ、は、恥ずかしいだろ…」
赤面してもじもじしながら目をそらすチョーウン。
よく見るとチョーウンはかなり華奢な体型だ。服装だけで男と思い込むなんて。
「ア~ニ~キ~、何、女の子ナンパしてんだぜ!」
「いや、これはナンパとかではなくて…」
「兄さん、でれでれしないでください!」
でれでれしているつもりはないのだが、チョーヒやカンウに詰め寄られてしまった。そんなにでれでれしてたかなぁ。
コウソンサン先輩は全軍に改めて指示を出す。
「さて、私達は今千人力の仲間を得た!
先程の戦いでゲンコウ達が敵の捕虜になってしまった。次こそはエンショウを倒し、仲間を取り戻そう!」
「コウソンサン部長、大変です。エンショウの追撃部隊がこちらに向かってきてます!」
「なんだって!率いているのは誰だ、キクギか?」
「サイキョギョウだそうです!」
「あの占い女か!みんな目にもの見せてやるよ!」
チョーウン・カンウ・チョーヒを先陣に挑んだ再戦でコウソンサン方は勝利、サイキョギョウを捕虜にする。しかし、コウソンサンとエンショウの戦いは一進一退を繰り返し、戦線を拡大するばかりで一向に終着が見えなかった。
「俺のせいでこんな戦いになってしまってすみません」
「別にリュービのせいじゃないよ。頭に血が上った私が悪かった。それ以上にあのワガママお嬢様が悪かったけどね。
でも、ごめんね。選挙戦、私はリュービにこれ以上協力できそうにない」
「そんなこと気にしないでください。今はそんな状況ではないんですから」
「ここにいてもリュービのプラスにはならない。
どうだろう、他の勢力のところに行ってみたら?」
「俺のせいなのにそんな見捨てるようなことできませんよ」
「今や長期戦に入り、事態はすぐに動きそうにないし、戦力にチョーウンも加わってくれた。
それに…エンショウの近くにリュービを置きたくない!」
先輩の表情が少し恐くなる。あまり逆らわない方が良さそうだ。
「わかりました。では、他の人のところに行ってみます」
俺は二人の義妹、カンウ・チョーヒと共に新たな旅に出ることになった。
「アニキ、どこか行く宛はあるのかぜ?」
「うーん、ソウソウ…いや、ソンケンのところにでも行ってみようかな」
「どこであれ私達は兄さんに付いていきますよ」
「だぜ!」
「カンウ、チョーヒ…」
「リューービーどーのー!!!」
彼方より土煙をあげながら何者かが俺達の前に滑り込んできた。
「リュービ殿ですね?あなたのお力をお借りしたい!」
どうやら俺達の戦いはまだ終わらないようだ。
「誰だ!」
野球帽を目深にかぶり、学ランを着たその生徒は猛スピードでスケボーを走らせ、あっという間にチョーコーの手からリュービを奪還してしまった。
「う…君は…?」
「気がついたみたいだね、君がリュービだよね」
目を覚ますと俺はお姫様抱っこされた状態で、スケボーに乗っていた。
「誰だか知らないが、その男を置いていってもらおう!」
チョーコーは持っていた木の棒をこちらに向かって投げつける。
「うわっとっ!」
うなりをあげて飛んで来る木の棒を避けようとしてバランスを崩したのか俺達はその場に倒れた。
「イタタ…君、大丈夫か?」
俺は助けてくれた彼に重なるように倒れてしまった。恩人を押し潰したのでは申し訳がない。俺が起き上がろうとすると、右手になにやら柔らかなものがあたる。
「…この感触はもしかして」
「ん…揉まないでよ、エッチだなぁ」
「君、女の子だったの!」
帽子が脱げた彼…いや彼女は長い眉に大きな瞳をもつ女の子だった。
「ごめん!知らずにその…触っちゃって…」
「リュービー!お姉ちゃんというものがありながら他の女の子の胸を触るなんていい度胸じゃないか」
「イタタタタ…先輩、痛い、離して」
「君は女性だったか。しかし、このチョーコー、一度戦場に出たならば、例え女性といえども手加減はしない」
「ふーん、まるで手加減しなければボクに勝てるみたいな物言いだね」
学ランの彼女は帽子をかぶり直すと、乗っていたスケボーを俺に渡してきた。
「その子は白龍、ボクの相棒だから大事に持っててね。
ボクは朝雲龍子、チョーウンと呼ばれている」
「では、改めて名乗ろうチョーウン。私は長江儁、チョーコーだ。受けとれチョーウン」
チョーコーは、部下から新たに渡された木の棒を一つ、チョーウンに投げ渡す。
「いいのかい、ボクは武器を持っても強いよ?」
「その度胸だけは買ってやろう」
チョーコーは一気に距離を詰めると、その勢いのまま突きを放った。チョーウンはさらりとその一撃をかわすと一瞬の間にチョーコーの真後ろに移った。
「こいつ速い!」
チョーコーはすぐに後ろに向き直り、突きを放つが、チョーウンは一瞬のうちに右へ左へと移動してしまう。
「君もなかなか速いようだけど、ボクの方が上みたいだね」
「調子に乗るな、貴様!」
チョーコーは棒を構え直すと円を描くように周囲一帯を薙ぎ払った。しかし、チョーウンの姿はどこにもなかった。
「上だよ」
チョーコーが空中を見上げると同時に着地したチョーウンは、チョーコーの棒を払いのけると、腹に蹴りを食らわした。
チョーコーは後ろによろめき、そのまま片膝をついた。
「どうやらボクの勝ちみたいだね」
「そのようだな…私の敗けだ。そして君を倒すのは我が部隊では戦力不足のようだ。ここは撤退させてもらおう」
チョーコーは敗けを認めるとそのまま部隊ごと撤退していった。
「さあ、コウソンサン、今のうちに部隊を撤退させるんだ」
「よし、わかった。全軍に通達、我らは撤退し、体勢を立て直す!」
コウソンサン軍に撤退の指令が響き渡る。
「コウソンサンが逃げますわ!貴方たち、追いなさい!」
エンショウが後方より指示を出すが、傍らにいた白髪の執事服を着た男性がその声を遮る。
「お待ち下さいエンショウお嬢様。チョーコー隊が退けられ、ガンリョウ・ブンシュウ隊も劣勢です。我らも一度撤退した方がよろしい」
「あなた!このエンショウに逃げろと言うの!」
「しっ!静かに!お嬢様失礼します!」
「ちょっとデンポウ離しなさい!スケベ!」
「エンショウ!どこだぜ!出てきやがれ!」
リュービの義妹・チョーヒがエンショウ兵を次々と蹴散らし、エンショウのいる最奥の本陣に着々と迫っていた。
いかなる屈強な男をもってしてもチョーヒの進撃を止めることはできず、彼女の通過と同時にその場に倒れ伏していった。
「チョーヒ、コウソンサン軍が撤退し始めました。我らも退きましょう」
「わかったぜカン姉。チッ、エンショウめ、どこに隠れやがった」
迎えに来た義姉・カンウと共にチョーヒが撤退したのを見届け、垣根に隠れていたエンショウ達も外に出てきた。
「どうやらガンリョウ・ブンシュウは退けられられたようですね」
「なんなのよ、あの娘!あのデタラメな強さは!」
本陣の混乱に気付き、前方よりキクギがエンショウのところまでやってきた。
「大丈夫かエンショウ!俺らも体勢を立て直した方がいい」
「くぅぅ…仕方ありませんわ!私達も立て直してすぐに追撃軍を出しなさい!」
撤退したコウソンサン軍は校庭の北東部に再び集結した。
「ありがとうチョーウン、君のおかげで助かったよ。
しかし、あんな差し迫った状況でよく私達の味方についてくれたね」
「あなたの方がエンショウよりマシに見えたから」
平然と答えるチョーウンの姿に思わずコウソンサンは笑いだした。
「ははは、君は怖いもの無しだね。
頼む。このまま私達に力を貸してくれないだろうか?」
「いいよ、そのために来たんだ」
助けてもらった俺もチョーウンにお礼を言う。
「さっきはありがとう。それとその…ごめん」
「…いいよ…気にしてないから」
「学ランだったからてっきり男だと思ってて、まさかこんな可愛い女の子だったなんて」
「か、可愛いとか言うなよ、は、恥ずかしいだろ…」
赤面してもじもじしながら目をそらすチョーウン。
よく見るとチョーウンはかなり華奢な体型だ。服装だけで男と思い込むなんて。
「ア~ニ~キ~、何、女の子ナンパしてんだぜ!」
「いや、これはナンパとかではなくて…」
「兄さん、でれでれしないでください!」
でれでれしているつもりはないのだが、チョーヒやカンウに詰め寄られてしまった。そんなにでれでれしてたかなぁ。
コウソンサン先輩は全軍に改めて指示を出す。
「さて、私達は今千人力の仲間を得た!
先程の戦いでゲンコウ達が敵の捕虜になってしまった。次こそはエンショウを倒し、仲間を取り戻そう!」
「コウソンサン部長、大変です。エンショウの追撃部隊がこちらに向かってきてます!」
「なんだって!率いているのは誰だ、キクギか?」
「サイキョギョウだそうです!」
「あの占い女か!みんな目にもの見せてやるよ!」
チョーウン・カンウ・チョーヒを先陣に挑んだ再戦でコウソンサン方は勝利、サイキョギョウを捕虜にする。しかし、コウソンサンとエンショウの戦いは一進一退を繰り返し、戦線を拡大するばかりで一向に終着が見えなかった。
「俺のせいでこんな戦いになってしまってすみません」
「別にリュービのせいじゃないよ。頭に血が上った私が悪かった。それ以上にあのワガママお嬢様が悪かったけどね。
でも、ごめんね。選挙戦、私はリュービにこれ以上協力できそうにない」
「そんなこと気にしないでください。今はそんな状況ではないんですから」
「ここにいてもリュービのプラスにはならない。
どうだろう、他の勢力のところに行ってみたら?」
「俺のせいなのにそんな見捨てるようなことできませんよ」
「今や長期戦に入り、事態はすぐに動きそうにないし、戦力にチョーウンも加わってくれた。
それに…エンショウの近くにリュービを置きたくない!」
先輩の表情が少し恐くなる。あまり逆らわない方が良さそうだ。
「わかりました。では、他の人のところに行ってみます」
俺は二人の義妹、カンウ・チョーヒと共に新たな旅に出ることになった。
「アニキ、どこか行く宛はあるのかぜ?」
「うーん、ソウソウ…いや、ソンケンのところにでも行ってみようかな」
「どこであれ私達は兄さんに付いていきますよ」
「だぜ!」
「カンウ、チョーヒ…」
「リューービーどーのー!!!」
彼方より土煙をあげながら何者かが俺達の前に滑り込んできた。
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どうやら俺達の戦いはまだ終わらないようだ。
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