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第2部 反トータク連合編
第11話 鬼神!その名はリョフ!
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校内某所~
部屋の隅にはポニーテールの長身の少女が腰を屈めている。
「セキト…待っててね…私…行ってくる…から…」
「おお、ソウソウ!北口は片付いたんか」
カユウ戦を終え、ソンケン達はソウソウ隊と合流した。
「ああ、ソンケンも無事終わったか」
「うちはソモが欠けてしもうた。無事とは言えんな」
「そうか、うちも一人負傷者が出た」
先程の戦いで負傷したソモは、戦線を離脱し、後方のエンショウ達の陣営に引き返した。
ソウコウは軽傷だったので北口の抑えとして玄関に止まっている。
「やはり、平穏にはすまんかったのぉ」
「しかし、もうすぐ終わる。この階段の先が生徒会室だ。入口は2つとも押さえた。もう逃げ場はない!」
「そこ…まで…」
階段の先に一人の少女が立っていた。長身で無表情だが、整った顔、カンウ並の大きな胸。腰まで伸びたポニーテールに紅のリボンを巻き、深いスリットの入った長いスカートを履いた少女だ。
「誰だ!」
ソウソウがポニーテールの少女に問う。
「大呂…由布子…リョフ…」
「お前さんが鬼神と言われようるリョフか!」
ソンケンもその名を知っていたか。鬼神・リョフ。開戦前にカンウ・チョーヒが言っていた最強の少女が今、俺達の目の前に立っていた。
「君ら…じゃ…私に…勝てない…引き…返して…」
少し強ばった顔になったようだが、表情の変化が少ない。しゃべり方も途切れ途切れで声も小さい。体は色々と大きいが、全体的には細身だし、あまり強そうな印象は受けない。
「お前の噂は聞いたことがある。天下無敵らしいがのぉ、たった一人で何をする気じゃ!」
そう、そしてこの少女は一人で立っている。ソウソウ隊はジョエイ軍を吸収し、ソンケン隊も合流した今、この少女は一人で戦おうというのか。
「君たち…弱い…私…強い…だから…勝つ…なぜ…わから…ない?」
また話が通じない系少女か?それともそれだけの自信があるということか?
「話にならんのぉ!」
赤いスカーフをなびかせてソンケンが一人、リョフに向かっていく。
「ワシは空手部主将・ソンケン!鬼神の腕、見せてもらうぞ!」
「邪魔…」
「ぐはっ!」
勝負は一瞬の出来事だった。
チョーヒの一撃にさえ耐えたあのソンケンが、リョフに近づいた次の間には地面に倒れていた。
「ソンケン!」
ソウソウの声に反応したのか、リョフは俊足の速さで一気にソウソウの元に駆ける。
「危ない!ソウソウ!」
助けに入ったカコウトンが、カコウエンが、ソウジンが、ガクシンが、一騎当千の猛者達が、瞬く間に一人の少女によって蹴散らされていった。
「だから…言った…お前達…弱い…十人でも…百人でも…関係…ない」
相変わらず表情の変化は乏しいが、呆れ顔にも見える。彼女にとってこれは自明の結果だったのだろう。
しかし、俺達にとってこの光景はあまりにも予想外だった。
これが鬼神か、カンウ・チョーヒでも勝てるかどうか…
「ゲホッ…よう言うてくれるのぉ…リョフ、ワシともう一度勝負じゃ!」
テイフ達を払いのけ、ふらつきながらもソンケンが立ち上がる。
「大将!」
「手を出すなよお前ら…これはワシの真剣勝負じゃけんのぉ…」
「弱い…くせに…」
ポニーテールの少女・リョフは静かにソンケンの前に歩み寄った。
そこから先は喧嘩と呼ぶにはあまりにも一方的な闘いが始まった。
響く打撃音、微かな呻き声、流れる血、それらは全てソンケンの体から発せられた。
「はぁはぁ…ワシも空手で全国まで行ったんじゃが、ここまで差があるとはのぉ…」
もはや立っているのもやっとといった状態であった。
「もう…終わり…トドメ」
「待て!次はうちが相手じゃ!」
兄の無惨な姿に見かねてソンサクがリョフの前に飛び出した。
「サク!お前の勝てる相手じゃない!下がれ!」
「邪魔…嫌い…!」
リョフの拳がソンサクに標的を変え、放たれる…
「ぐわー!」
妹・ソンサクを庇ったソンケンはリョフの攻撃をまともに受け、絶叫と共にその体は地面に叩きつけられた。
「兄者ー!」
涙を浮かべ、ソンケンに駆け寄るソンサク。
「どけ…サク…どくんじゃ!」
ソンサクをどけ、再び立ち上がるソンケン。
「ワシが始めた空手部で全国にまで行けた。もう思い残すことはないんじゃ…
あるとすれば、後は、後輩に繋げること…
そのためにワシはトータクを討つ!例えこの身に代えてでも!」
「うる…さい…」
乏しい変化ながらも、ムッとした表情になるリョフ。
「じゃあ…この腕は…もう…いらない…」
バギンッ!!!
リョフはソンケンの腕を掴むと、鈍く低い音とともにその腕はあらぬ方向に曲げられていた。
ソンケンは思わず悲鳴をあげる。
「あ…あ…腕が…う…」
「兄者!兄者!」
「そいつ…もう…戦えない…次…お前の…番」
リョフはソンサクに近づく。
「キャー!」
ソンサクはその場にへたりこみ、泣き叫んだ。
「や、やめろ!」
「リュービ…」
俺は思わずリョフの前に飛び出した。
「お前…すごく…弱い…時間の…無駄…どけ」
そんなことはわかっている。俺は一人ではリョフには到底及ばない。でも、このまま隅でじっと見てるなんてことはできない!
リョフの拳が俺に向けて振り下ろされる。
そして、その拳は俺に…届かなかった。
「兄さんが一人で勝てないのなら二人で!」
「二人でダメなら三人だぜ!」
リョフの拳はカンウ・チョーヒによって遮られていた。
「カンウ・チョーヒ!リョフ!俺達三兄妹が相手だ!」
「三人…じゃ…足りない…どちらでも…時間の…無駄…」
「寝言は寝て言うものです!」
「俺達の強さを思い知らせてやるぜ!」
「行くぞ!リョフ!」
俺はカンウ・チョーヒがリョフに敵わないかもしれないと闘うのに躊躇していた。
だが、俺達は三人で乗り越えると決めたんだ!
だから俺達は兄妹になった!
「この二人…強い…男は…ともかく…私が…押され…てる…」
どうだ!俺達三兄妹の絆の力は!…俺が戦力に勘定されてない気もするが
「私達三人なら貴方に負けません!兄さん!」
「う、うおー!」
カンウの合図で俺はリョフに腰に抱きついた。
「抱き…つく…な…」
リョフの表情が少し赤面しているように感じる。胸の大きさについ目がいくが、この娘、腰細いな。いや、全体的に細い。
どこからこんな力が出てくるんだ?
「リョフ、あなたを逃がしません!」
カンウも腕を掴み、リョフの動きを封じる。
「クッ…離…せ…」
「「チョーヒ!」」
俺とカンウでリョフの動きを封じ、三人の中で最も腕力の強いチョーヒに全てを託す。
「これでトドメだぜ!!!」
チョーヒは真正面からリョフを殴りに行く。
「離せ…!」
リョフのあの細い体からは想像もつかないようなとてつもない力で俺とカンウは吹き飛ばされる。
しかし、もはやリョフにチョーヒの拳をかわす余裕はない。だが、リョフも拳を突き出す。
「相、討ち…!」
リョフとチョーヒ、互いの拳が相手の腹に届く。
「う…」
「「チョーヒ!」」
先にその場に倒れたのはチョーヒだった。俺とカンウは慌ててチョーヒに駆け寄る。
「クッ…ゲホッ…バカ…な…私が…リョフ…なのに…私は…リョフなのに!」
チョーヒ渾身の一撃でもリョフを倒すには至らなかった。だが、確実にリョフにダメージを与えることに成功したようだ。
リョフは腹を抑え、足がふらついている。
「リョフ様、お下がりください。我々が食い止めます!」
屈強な男が俺達の前に現れる。どうやらリョフの部下のようだ。
「でも…」
「敵の増援が迫っております!どちらにしても我々では防ぎきれません!
早くトータク様にこの事をお伝え下さい!」
どうやらエンショウ達が動き出したようだ。
「わかっ…た…」
リョフは屈強な男と交替し、階段を昇っていく。追いかけたいところだが、男が間に入り、道を塞ぐように立ちはだかった。
「反乱者共め!我等風紀委員が相手する!」
屈強な男は白に近い青色の逆立った髪に、鉢金のついたハチマキを巻き、青い道着のような服を着ている。
「風紀委員…?見ない顔だな」
元風紀委員・ソウソウが青髪の男に訊ねる。
「私はリョフ様から直々に取り立てられ、風紀委員に加えていただいた」
「なるほど、西涼組か」
「どなたでも構いません。そこをお退きなさい!」
青髪の男とソウソウの会話を遮り、カンウが割って入る。
カンウも早くリョフを追いたいのだろう。既に攻撃の構えだ。
「そうはいかん。私は私の役目を果たす!」
この青髪の人、一々言葉が堅苦しい。武士かな?
カンウは素早く青髪の男との間合いを詰めると、相手の道着を掴み、得意の投げの動作に移る…しかし、不発!
青髪の男はカンウの投げを防いだ。カンウの気が急いてたのもあるだろうが、相手も武術の心得があるようだ。
「なかなか出来るようね。改めてあなたの相手は私がします。私はリュービが義妹・関羽美、人呼んでカンウ!」
得意の投げ技を防がれたカンウだが、どこか楽しそうだ。好敵手を見つけたようだ。
「お前がカンウか、噂は聞いている。私は風紀委員の張本遼、人呼んでチョーリョー!」
青髪の男・チョーリョーも微かに笑みを浮かべている。
校内某所~
「トータク…入る…ぞ…」
リョフは腹に手を当てながら、トータクのいる部屋のドアを無遠慮に開けた。
「あ゛ああぁんッ…あん…あん…あ゛あ…」
「リョフか…取り込み中だ…しばし待て」
リョフが見たものは、ベッドの上で四つん這いになって喘ぐ眼鏡の女生徒・リジュと、それを後ろから責めるトータクの姿だった。
リョフの到着で動きを速めるトータク。リジュの声が部屋中に響く。
「う…うぅ」
トータクは満足すると、リジュを引き離しリョフに向き直った。
「リョフ、待たせたな」
「前…隠せ…」
表情の変化に乏しいリョフには珍しく、嫌悪感むき出しの顔でズボンを下ろしたままのトータクを睨む。
「お、悪い悪い。なんなら咥えてみるか?」
リョフの表情に怒りが追加される。
「そう怒るな。その様子だと我が軍の劣勢か」
リョフは無言で頷く。
「仕方がない。非常手段だ!リョフ、オーインに準備させろ!
リジュ、いつまで寝てる!早く起きんか!」
「トータクさまぁ、待ってぇ…」
「ソウソウめ許さんぞ!縛ってでもお前を我輩のベッドに寝かせてやる!」
部屋の隅にはポニーテールの長身の少女が腰を屈めている。
「セキト…待っててね…私…行ってくる…から…」
「おお、ソウソウ!北口は片付いたんか」
カユウ戦を終え、ソンケン達はソウソウ隊と合流した。
「ああ、ソンケンも無事終わったか」
「うちはソモが欠けてしもうた。無事とは言えんな」
「そうか、うちも一人負傷者が出た」
先程の戦いで負傷したソモは、戦線を離脱し、後方のエンショウ達の陣営に引き返した。
ソウコウは軽傷だったので北口の抑えとして玄関に止まっている。
「やはり、平穏にはすまんかったのぉ」
「しかし、もうすぐ終わる。この階段の先が生徒会室だ。入口は2つとも押さえた。もう逃げ場はない!」
「そこ…まで…」
階段の先に一人の少女が立っていた。長身で無表情だが、整った顔、カンウ並の大きな胸。腰まで伸びたポニーテールに紅のリボンを巻き、深いスリットの入った長いスカートを履いた少女だ。
「誰だ!」
ソウソウがポニーテールの少女に問う。
「大呂…由布子…リョフ…」
「お前さんが鬼神と言われようるリョフか!」
ソンケンもその名を知っていたか。鬼神・リョフ。開戦前にカンウ・チョーヒが言っていた最強の少女が今、俺達の目の前に立っていた。
「君ら…じゃ…私に…勝てない…引き…返して…」
少し強ばった顔になったようだが、表情の変化が少ない。しゃべり方も途切れ途切れで声も小さい。体は色々と大きいが、全体的には細身だし、あまり強そうな印象は受けない。
「お前の噂は聞いたことがある。天下無敵らしいがのぉ、たった一人で何をする気じゃ!」
そう、そしてこの少女は一人で立っている。ソウソウ隊はジョエイ軍を吸収し、ソンケン隊も合流した今、この少女は一人で戦おうというのか。
「君たち…弱い…私…強い…だから…勝つ…なぜ…わから…ない?」
また話が通じない系少女か?それともそれだけの自信があるということか?
「話にならんのぉ!」
赤いスカーフをなびかせてソンケンが一人、リョフに向かっていく。
「ワシは空手部主将・ソンケン!鬼神の腕、見せてもらうぞ!」
「邪魔…」
「ぐはっ!」
勝負は一瞬の出来事だった。
チョーヒの一撃にさえ耐えたあのソンケンが、リョフに近づいた次の間には地面に倒れていた。
「ソンケン!」
ソウソウの声に反応したのか、リョフは俊足の速さで一気にソウソウの元に駆ける。
「危ない!ソウソウ!」
助けに入ったカコウトンが、カコウエンが、ソウジンが、ガクシンが、一騎当千の猛者達が、瞬く間に一人の少女によって蹴散らされていった。
「だから…言った…お前達…弱い…十人でも…百人でも…関係…ない」
相変わらず表情の変化は乏しいが、呆れ顔にも見える。彼女にとってこれは自明の結果だったのだろう。
しかし、俺達にとってこの光景はあまりにも予想外だった。
これが鬼神か、カンウ・チョーヒでも勝てるかどうか…
「ゲホッ…よう言うてくれるのぉ…リョフ、ワシともう一度勝負じゃ!」
テイフ達を払いのけ、ふらつきながらもソンケンが立ち上がる。
「大将!」
「手を出すなよお前ら…これはワシの真剣勝負じゃけんのぉ…」
「弱い…くせに…」
ポニーテールの少女・リョフは静かにソンケンの前に歩み寄った。
そこから先は喧嘩と呼ぶにはあまりにも一方的な闘いが始まった。
響く打撃音、微かな呻き声、流れる血、それらは全てソンケンの体から発せられた。
「はぁはぁ…ワシも空手で全国まで行ったんじゃが、ここまで差があるとはのぉ…」
もはや立っているのもやっとといった状態であった。
「もう…終わり…トドメ」
「待て!次はうちが相手じゃ!」
兄の無惨な姿に見かねてソンサクがリョフの前に飛び出した。
「サク!お前の勝てる相手じゃない!下がれ!」
「邪魔…嫌い…!」
リョフの拳がソンサクに標的を変え、放たれる…
「ぐわー!」
妹・ソンサクを庇ったソンケンはリョフの攻撃をまともに受け、絶叫と共にその体は地面に叩きつけられた。
「兄者ー!」
涙を浮かべ、ソンケンに駆け寄るソンサク。
「どけ…サク…どくんじゃ!」
ソンサクをどけ、再び立ち上がるソンケン。
「ワシが始めた空手部で全国にまで行けた。もう思い残すことはないんじゃ…
あるとすれば、後は、後輩に繋げること…
そのためにワシはトータクを討つ!例えこの身に代えてでも!」
「うる…さい…」
乏しい変化ながらも、ムッとした表情になるリョフ。
「じゃあ…この腕は…もう…いらない…」
バギンッ!!!
リョフはソンケンの腕を掴むと、鈍く低い音とともにその腕はあらぬ方向に曲げられていた。
ソンケンは思わず悲鳴をあげる。
「あ…あ…腕が…う…」
「兄者!兄者!」
「そいつ…もう…戦えない…次…お前の…番」
リョフはソンサクに近づく。
「キャー!」
ソンサクはその場にへたりこみ、泣き叫んだ。
「や、やめろ!」
「リュービ…」
俺は思わずリョフの前に飛び出した。
「お前…すごく…弱い…時間の…無駄…どけ」
そんなことはわかっている。俺は一人ではリョフには到底及ばない。でも、このまま隅でじっと見てるなんてことはできない!
リョフの拳が俺に向けて振り下ろされる。
そして、その拳は俺に…届かなかった。
「兄さんが一人で勝てないのなら二人で!」
「二人でダメなら三人だぜ!」
リョフの拳はカンウ・チョーヒによって遮られていた。
「カンウ・チョーヒ!リョフ!俺達三兄妹が相手だ!」
「三人…じゃ…足りない…どちらでも…時間の…無駄…」
「寝言は寝て言うものです!」
「俺達の強さを思い知らせてやるぜ!」
「行くぞ!リョフ!」
俺はカンウ・チョーヒがリョフに敵わないかもしれないと闘うのに躊躇していた。
だが、俺達は三人で乗り越えると決めたんだ!
だから俺達は兄妹になった!
「この二人…強い…男は…ともかく…私が…押され…てる…」
どうだ!俺達三兄妹の絆の力は!…俺が戦力に勘定されてない気もするが
「私達三人なら貴方に負けません!兄さん!」
「う、うおー!」
カンウの合図で俺はリョフに腰に抱きついた。
「抱き…つく…な…」
リョフの表情が少し赤面しているように感じる。胸の大きさについ目がいくが、この娘、腰細いな。いや、全体的に細い。
どこからこんな力が出てくるんだ?
「リョフ、あなたを逃がしません!」
カンウも腕を掴み、リョフの動きを封じる。
「クッ…離…せ…」
「「チョーヒ!」」
俺とカンウでリョフの動きを封じ、三人の中で最も腕力の強いチョーヒに全てを託す。
「これでトドメだぜ!!!」
チョーヒは真正面からリョフを殴りに行く。
「離せ…!」
リョフのあの細い体からは想像もつかないようなとてつもない力で俺とカンウは吹き飛ばされる。
しかし、もはやリョフにチョーヒの拳をかわす余裕はない。だが、リョフも拳を突き出す。
「相、討ち…!」
リョフとチョーヒ、互いの拳が相手の腹に届く。
「う…」
「「チョーヒ!」」
先にその場に倒れたのはチョーヒだった。俺とカンウは慌ててチョーヒに駆け寄る。
「クッ…ゲホッ…バカ…な…私が…リョフ…なのに…私は…リョフなのに!」
チョーヒ渾身の一撃でもリョフを倒すには至らなかった。だが、確実にリョフにダメージを与えることに成功したようだ。
リョフは腹を抑え、足がふらついている。
「リョフ様、お下がりください。我々が食い止めます!」
屈強な男が俺達の前に現れる。どうやらリョフの部下のようだ。
「でも…」
「敵の増援が迫っております!どちらにしても我々では防ぎきれません!
早くトータク様にこの事をお伝え下さい!」
どうやらエンショウ達が動き出したようだ。
「わかっ…た…」
リョフは屈強な男と交替し、階段を昇っていく。追いかけたいところだが、男が間に入り、道を塞ぐように立ちはだかった。
「反乱者共め!我等風紀委員が相手する!」
屈強な男は白に近い青色の逆立った髪に、鉢金のついたハチマキを巻き、青い道着のような服を着ている。
「風紀委員…?見ない顔だな」
元風紀委員・ソウソウが青髪の男に訊ねる。
「私はリョフ様から直々に取り立てられ、風紀委員に加えていただいた」
「なるほど、西涼組か」
「どなたでも構いません。そこをお退きなさい!」
青髪の男とソウソウの会話を遮り、カンウが割って入る。
カンウも早くリョフを追いたいのだろう。既に攻撃の構えだ。
「そうはいかん。私は私の役目を果たす!」
この青髪の人、一々言葉が堅苦しい。武士かな?
カンウは素早く青髪の男との間合いを詰めると、相手の道着を掴み、得意の投げの動作に移る…しかし、不発!
青髪の男はカンウの投げを防いだ。カンウの気が急いてたのもあるだろうが、相手も武術の心得があるようだ。
「なかなか出来るようね。改めてあなたの相手は私がします。私はリュービが義妹・関羽美、人呼んでカンウ!」
得意の投げ技を防がれたカンウだが、どこか楽しそうだ。好敵手を見つけたようだ。
「お前がカンウか、噂は聞いている。私は風紀委員の張本遼、人呼んでチョーリョー!」
青髪の男・チョーリョーも微かに笑みを浮かべている。
校内某所~
「トータク…入る…ぞ…」
リョフは腹に手を当てながら、トータクのいる部屋のドアを無遠慮に開けた。
「あ゛ああぁんッ…あん…あん…あ゛あ…」
「リョフか…取り込み中だ…しばし待て」
リョフが見たものは、ベッドの上で四つん這いになって喘ぐ眼鏡の女生徒・リジュと、それを後ろから責めるトータクの姿だった。
リョフの到着で動きを速めるトータク。リジュの声が部屋中に響く。
「う…うぅ」
トータクは満足すると、リジュを引き離しリョフに向き直った。
「リョフ、待たせたな」
「前…隠せ…」
表情の変化に乏しいリョフには珍しく、嫌悪感むき出しの顔でズボンを下ろしたままのトータクを睨む。
「お、悪い悪い。なんなら咥えてみるか?」
リョフの表情に怒りが追加される。
「そう怒るな。その様子だと我が軍の劣勢か」
リョフは無言で頷く。
「仕方がない。非常手段だ!リョフ、オーインに準備させろ!
リジュ、いつまで寝てる!早く起きんか!」
「トータクさまぁ、待ってぇ…」
「ソウソウめ許さんぞ!縛ってでもお前を我輩のベッドに寝かせてやる!」
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