126 / 146
Ⅲ.貴方様と私の計略 ~ 婚約者 ~
126.侯爵令嬢の自覚無き行い
しおりを挟む
苦手…と言うよりも、知らないのかもしれませんわね。
私は、ユミナ様と庭園でお茶の時間を楽しんでいました。
暖かな日差しが花々を揺らし、優しく穏やかな時間が流れていました。
今日は、ユミナ様と久しぶりのデートなのですわ。ユミナ様のお仕事が一区切りつき、少し落ち着けるそうおっしゃって、デートに誘ってくださったのです。
シュトラウス領の小さな町にある庭園の花が綺麗に咲いているから見に行かないかと誘ってくださいました。
私は、二つ返事で了承し、今に至りますの。公共の場で人の眼があるためか、ユミナ様は適度な距離を保って私と接してくださっています。ですから、私も少しだけ余裕をもってこのデートを楽しめています。
「お、お客様。お待ちください。そちらは、本日領主様が貸し切られて…」
「知っていましてよ。ですから、こちらに来たのですもの」
穏やかな時間が流れていた空間に、前触れもなくそんな声が飛び込んできましたの。
―――何事ですの?
私とユミナ様は、声のする庭園の入り口へと視線を向け、そこである人を見つけました。
「…マグノリア様」
そう。そこには、深紅のドレスに身を包んだマグノリア様がいらっしゃいました。
何やら物騒な表情をされて、こちらへと歩いてっこられているようです。
―――どうされたのかしら?
「ごきげんよう。シュトラウス辺境伯様」
マグノリア様は私の存在を無視され、ユミナ様へと声をかけている。
その時、微かに香る香りに覚えがあるようで…
「?!マルクスっ」
私は、恥や外聞等気にするなく、慌ててマルクスへと声をかける。
今日の護衛としてついていた、マルクスとメビウスが私の声とほぼ同時に動いていました。
私とユミナ様へと魔力を帯びた障壁を構築しているようです。
先ほど感じた香りを感じなくなりましたもの。
―――二人が気づいてくれてよかったわ。これは、あの秘薬の香りですもの。でも、どうしてマグノリア様からこの香りが?
「テスタメント嬢。少々不躾ではないか?今日は、私がここを貸し切っていたはずだが?」
ユミナ様は私の慌てた姿を見ることもなく、マグノリア様だけを見つめているようです。
ですが、一瞬私へと視線だけを向け、頷いてくださっている様に見えました。
私は、慌てて立ち上がってしまっていたのを何事もなかったように座りましたわ。
ユミナ様の後ろにはマルクスが、私の後ろにはメビウスがわからない程度ですけれど、厳しい表情で立っています。
「申し訳ありません。ただ、小耳にはさんだことがございまして…早急にお耳に入れなければと」
マグノリア様は、口元を扇で隠してはいますけれど、目が意地悪そうに笑っているいます。恐らくですけれど、口元も意地悪そうに弧を描いているのでしょう。
「そこにいらっしゃる、ミリュエラ様とその後ろに控えている方が謀反を考えていると。そう小耳にはさみましたの」
彼女は、私の方を見下したように見つめながら、楽しそうな声音で話されています。
―――そういう話をする場合は、もう少し神妙な声で話すものでしてよ?
「私の伝手で、王都で情報を収集しましたところ、王に奏上もされているようでしたから、信ぴょう性があると思いません?」
マグノリア様は可愛らしく小首を傾げられています。けれど…
―――何故かしら?こう…胸のあたりがもやっとしてイラっとしますわ
少しだけ己の内へと思考を向けていた私の反応が気に入らなかったのか、マグノリア様は少々苛立たし気にユミナ様へ話かけています。
「これは、辺境伯として問題ではございませんの?」
―――なんとなくですけれど…弟君との婚約を破棄されたことを恨んでいらっしゃるのかしら?
「はぁ。不躾にもほどがあるな。これがテスタメント家の品と言うやつなのか?」
重いため息と共に、ユミナ様がそんなことをおっしゃれば、マグノリア様の顔が種に染まりました。
―――ストレートな言葉であれば、馬鹿にされたことは、お分かりになるのね。
ユミナ様は、再三『不躾にもほどがある』とおっしゃっていました。これは、言葉の通りの意味ともう一つ意味があるのですわ。
お前の家は礼儀を教えていないのか。そう、暗に非難し、馬鹿にしているのです。
マグノリア様はそれにお気づきのようではございませんでした。
―――社交の場に初めて出る令嬢でももう少し、駆け引きができると思うのですけれど…苦手…いえ、どちらかと言えばご存じないのかしら?
「それに、古い話を持ってきたものだね。それについては、解決しているはずだが?」
ユミナ様は少々うんざりしたように、眉間に皺をよせていらっしゃいます。
―――そうなのよね。何故今頃その話題を?と言う感じだわ
私がまだ王都に居た頃。ユミナ様と婚約をする前。確かに私は、謀反の疑いを奏上されている。
ユミナ様も王家も私を疑いはしませんでしたけれど、貴族の中には信じられた方もいらっしゃいましたわ。
でも、それもお爺様やクルツ、ユミナ様が言いがかりであり、そんな事実がないことを反論の証拠と共に議会へ提出し、王家も議会もそれを承認しています。
ですから、私の謀反の疑いははれているはずなのです。また、新たな火種が奏上されていれば別ですけれど、お爺様からもクルツからもそんな連絡はありませんし、ユミナ様もご存じない様子。
メビウスについては、古の血約もありますし、私に不利になることはしないでしょう。
「何をおっしゃっていますの?そのような疑いをかけられるような令嬢なのですよ?辺境伯家には相応しくありませんわ」
マグノリア様は自身ありげに、断言されています。けれど…
―――マグノリア様の言い分もわからなくはないですけれど、それを決めるのはあなたではないわ。辺境伯であるユミナ様や王家の方々が決めること。テスタメント侯爵家が越権行為をしたと奏上されてもおかしくありませんわ。
普通の貴族への越権行為であれば、それほど厳しく罰せられることはないけれど、辺境伯への越権行為はその限りではありませんの。
辺境伯は王による指名制。手柄により与えられたり、血筋によって受け継がれる爵位ではない。
ですから、辺境伯への越権行為は間接的に王への越権行為とみなされることがあるのですわ。
そう見なされれば、重い処罰を受けることになります。一番軽いもので爵位のはく奪。重いものでは処刑も過去にはあったと記憶しています。
「テスタメント嬢。君のその発言は、辺境伯への越権行為ととらえられるが、それを認識しているか?」
「何をおっしゃっていますの?私は事実を申し上げただけです」
マグノリア様の返答にユミナ様は、あからさまに顔をしかめられました。
それもそうでしょう。彼女は、越権行為をしている認識なく、それを行っているのですもの。
これは、彼女自身の問題だけではなく、テスタメント侯爵家の問題になっていることを認識していない。
教育がなっていない。馬鹿である。それ以上の問題だというのに。
―――確か、現在のテスタメント侯爵はマグノリア様のお兄様だったはず。あまりいい噂は聞かないけれど、何とか侯爵家としての体面を保っているといった感じだったともうのですけれど。
「そうか。君の話は分かった。これは、辺境伯としてテスタメント侯爵家へと抗議させてもらう。そちらの令嬢が辺境伯への越権行為をはたらいたと。本来であれば、王家へと奏上をするところだが、年若い令嬢のしでかしたことだ。一度目は目をつむろう」
ユミナ様は、穏やかでありながら恐ろしさを含む声音でそうおっしゃられています。そして、シュトラウス家の騎士として警護にあたっていたものに、マグノリア様のお帰り頂くように指示をしていらっしゃいます。
「なっ!?なんで、そうなりますの!私は、何もしていませんわ」
マグノリア様がヒステリックにそう叫んでいましたけれど、指示された騎士は問答無用で庭園から追い出していましたわ。
―――爵位こそテスタメント侯爵の方が高いが、王家の信頼と忠誠はシュトラウス辺境伯爵の方が高いですものね。多分、奏上されたらテスタメント侯爵家に勝ち目はないですわ。
「さて、何があったか話してもらえるかい?」
マグノリア様の姿が庭園から消えるのを確認し、ユミナ様が私へと向き直り問いかけてこられました。
私は頷き返しながら、どう伝えるべきか少しだけ思案し、ゆっくりと口を開いたのですわ。
私は、ユミナ様と庭園でお茶の時間を楽しんでいました。
暖かな日差しが花々を揺らし、優しく穏やかな時間が流れていました。
今日は、ユミナ様と久しぶりのデートなのですわ。ユミナ様のお仕事が一区切りつき、少し落ち着けるそうおっしゃって、デートに誘ってくださったのです。
シュトラウス領の小さな町にある庭園の花が綺麗に咲いているから見に行かないかと誘ってくださいました。
私は、二つ返事で了承し、今に至りますの。公共の場で人の眼があるためか、ユミナ様は適度な距離を保って私と接してくださっています。ですから、私も少しだけ余裕をもってこのデートを楽しめています。
「お、お客様。お待ちください。そちらは、本日領主様が貸し切られて…」
「知っていましてよ。ですから、こちらに来たのですもの」
穏やかな時間が流れていた空間に、前触れもなくそんな声が飛び込んできましたの。
―――何事ですの?
私とユミナ様は、声のする庭園の入り口へと視線を向け、そこである人を見つけました。
「…マグノリア様」
そう。そこには、深紅のドレスに身を包んだマグノリア様がいらっしゃいました。
何やら物騒な表情をされて、こちらへと歩いてっこられているようです。
―――どうされたのかしら?
「ごきげんよう。シュトラウス辺境伯様」
マグノリア様は私の存在を無視され、ユミナ様へと声をかけている。
その時、微かに香る香りに覚えがあるようで…
「?!マルクスっ」
私は、恥や外聞等気にするなく、慌ててマルクスへと声をかける。
今日の護衛としてついていた、マルクスとメビウスが私の声とほぼ同時に動いていました。
私とユミナ様へと魔力を帯びた障壁を構築しているようです。
先ほど感じた香りを感じなくなりましたもの。
―――二人が気づいてくれてよかったわ。これは、あの秘薬の香りですもの。でも、どうしてマグノリア様からこの香りが?
「テスタメント嬢。少々不躾ではないか?今日は、私がここを貸し切っていたはずだが?」
ユミナ様は私の慌てた姿を見ることもなく、マグノリア様だけを見つめているようです。
ですが、一瞬私へと視線だけを向け、頷いてくださっている様に見えました。
私は、慌てて立ち上がってしまっていたのを何事もなかったように座りましたわ。
ユミナ様の後ろにはマルクスが、私の後ろにはメビウスがわからない程度ですけれど、厳しい表情で立っています。
「申し訳ありません。ただ、小耳にはさんだことがございまして…早急にお耳に入れなければと」
マグノリア様は、口元を扇で隠してはいますけれど、目が意地悪そうに笑っているいます。恐らくですけれど、口元も意地悪そうに弧を描いているのでしょう。
「そこにいらっしゃる、ミリュエラ様とその後ろに控えている方が謀反を考えていると。そう小耳にはさみましたの」
彼女は、私の方を見下したように見つめながら、楽しそうな声音で話されています。
―――そういう話をする場合は、もう少し神妙な声で話すものでしてよ?
「私の伝手で、王都で情報を収集しましたところ、王に奏上もされているようでしたから、信ぴょう性があると思いません?」
マグノリア様は可愛らしく小首を傾げられています。けれど…
―――何故かしら?こう…胸のあたりがもやっとしてイラっとしますわ
少しだけ己の内へと思考を向けていた私の反応が気に入らなかったのか、マグノリア様は少々苛立たし気にユミナ様へ話かけています。
「これは、辺境伯として問題ではございませんの?」
―――なんとなくですけれど…弟君との婚約を破棄されたことを恨んでいらっしゃるのかしら?
「はぁ。不躾にもほどがあるな。これがテスタメント家の品と言うやつなのか?」
重いため息と共に、ユミナ様がそんなことをおっしゃれば、マグノリア様の顔が種に染まりました。
―――ストレートな言葉であれば、馬鹿にされたことは、お分かりになるのね。
ユミナ様は、再三『不躾にもほどがある』とおっしゃっていました。これは、言葉の通りの意味ともう一つ意味があるのですわ。
お前の家は礼儀を教えていないのか。そう、暗に非難し、馬鹿にしているのです。
マグノリア様はそれにお気づきのようではございませんでした。
―――社交の場に初めて出る令嬢でももう少し、駆け引きができると思うのですけれど…苦手…いえ、どちらかと言えばご存じないのかしら?
「それに、古い話を持ってきたものだね。それについては、解決しているはずだが?」
ユミナ様は少々うんざりしたように、眉間に皺をよせていらっしゃいます。
―――そうなのよね。何故今頃その話題を?と言う感じだわ
私がまだ王都に居た頃。ユミナ様と婚約をする前。確かに私は、謀反の疑いを奏上されている。
ユミナ様も王家も私を疑いはしませんでしたけれど、貴族の中には信じられた方もいらっしゃいましたわ。
でも、それもお爺様やクルツ、ユミナ様が言いがかりであり、そんな事実がないことを反論の証拠と共に議会へ提出し、王家も議会もそれを承認しています。
ですから、私の謀反の疑いははれているはずなのです。また、新たな火種が奏上されていれば別ですけれど、お爺様からもクルツからもそんな連絡はありませんし、ユミナ様もご存じない様子。
メビウスについては、古の血約もありますし、私に不利になることはしないでしょう。
「何をおっしゃっていますの?そのような疑いをかけられるような令嬢なのですよ?辺境伯家には相応しくありませんわ」
マグノリア様は自身ありげに、断言されています。けれど…
―――マグノリア様の言い分もわからなくはないですけれど、それを決めるのはあなたではないわ。辺境伯であるユミナ様や王家の方々が決めること。テスタメント侯爵家が越権行為をしたと奏上されてもおかしくありませんわ。
普通の貴族への越権行為であれば、それほど厳しく罰せられることはないけれど、辺境伯への越権行為はその限りではありませんの。
辺境伯は王による指名制。手柄により与えられたり、血筋によって受け継がれる爵位ではない。
ですから、辺境伯への越権行為は間接的に王への越権行為とみなされることがあるのですわ。
そう見なされれば、重い処罰を受けることになります。一番軽いもので爵位のはく奪。重いものでは処刑も過去にはあったと記憶しています。
「テスタメント嬢。君のその発言は、辺境伯への越権行為ととらえられるが、それを認識しているか?」
「何をおっしゃっていますの?私は事実を申し上げただけです」
マグノリア様の返答にユミナ様は、あからさまに顔をしかめられました。
それもそうでしょう。彼女は、越権行為をしている認識なく、それを行っているのですもの。
これは、彼女自身の問題だけではなく、テスタメント侯爵家の問題になっていることを認識していない。
教育がなっていない。馬鹿である。それ以上の問題だというのに。
―――確か、現在のテスタメント侯爵はマグノリア様のお兄様だったはず。あまりいい噂は聞かないけれど、何とか侯爵家としての体面を保っているといった感じだったともうのですけれど。
「そうか。君の話は分かった。これは、辺境伯としてテスタメント侯爵家へと抗議させてもらう。そちらの令嬢が辺境伯への越権行為をはたらいたと。本来であれば、王家へと奏上をするところだが、年若い令嬢のしでかしたことだ。一度目は目をつむろう」
ユミナ様は、穏やかでありながら恐ろしさを含む声音でそうおっしゃられています。そして、シュトラウス家の騎士として警護にあたっていたものに、マグノリア様のお帰り頂くように指示をしていらっしゃいます。
「なっ!?なんで、そうなりますの!私は、何もしていませんわ」
マグノリア様がヒステリックにそう叫んでいましたけれど、指示された騎士は問答無用で庭園から追い出していましたわ。
―――爵位こそテスタメント侯爵の方が高いが、王家の信頼と忠誠はシュトラウス辺境伯爵の方が高いですものね。多分、奏上されたらテスタメント侯爵家に勝ち目はないですわ。
「さて、何があったか話してもらえるかい?」
マグノリア様の姿が庭園から消えるのを確認し、ユミナ様が私へと向き直り問いかけてこられました。
私は頷き返しながら、どう伝えるべきか少しだけ思案し、ゆっくりと口を開いたのですわ。
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。
しげむろ ゆうき
恋愛
男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない
そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった
全五話
※ホラー無し
選ばれたのは美人の親友
杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。
あなたが「消えてくれたらいいのに」と言ったから
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
「消えてくれたらいいのに」
結婚式を終えたばかりの新郎の呟きに妻となった王女は……
短いお話です。
新郎→のち王女に視点を変えての数話予定。
4/16 一話目訂正しました。『一人娘』→『第一王女』
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる