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Ⅱ.貴方様と私の計略 ~ 旅路 ~
116.侯爵令嬢、辺境伯領へ①
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やっとですわ…思ったよりも長い道のりでしたわね。
たった今、私たちは辺境のシュトラウス領へと入ったと、現在御者を務めているマルクスからそう言われました。
馬車の中には、侍女のメルと竜族のノヴァが居ます。ノヴァは、メルの膝を枕に小さくなって眠っているようでしたわ。
ノヴァと出会ってから、7日程。そして、王都を旅立ってから、13日程たっていました。
旅立ち3日目で竜の社へ到着し、気づけばそこで3日程経過し、その後体調を崩してしまった私のために、更に3日程足止めをくらい、残りの行程を進んだ結果ですわ。
まぁ、残りの行程も天気に恵まれ、順調に進んだのは良かったですわ。
「旦那の屋敷には、日が暮れる前には到着できると思う」
マルクスの言葉に了承の返事を返しながら、私は少しだけ緊張をする。
以前お世話にはなっているけれど、今回はその時とは状況が違う。
前回は、私が攫われて救出後の保護という理由がありました。
けれど今回は、特に理由がありません。しいて言うなら、ユミナ様に請われ、私がそれを受けただけ。
私とユミナ様は婚約者だけれど、まだ婚姻を結んだわけではない。
ただ、例外がないわけではないのよね。相手のお家の風習等の差異が大きい場合に、それを学ぶために結婚前に相手のお宅にお世話になることはある。王族が最たるものですわね。
王族は婚姻前に相手は、王宮へと入る。部屋は客間ですけれど。親元を離れ、伴侶となるために必要な勉強や振る舞いを学んでいくのです。
確かに、王都で大半を生きてきた私は、辺境の習わしなどは詳しくありませんけれど、婚姻前から住まうほどでもない。
―――でも、私もユミナ様とあまり会えない状況は嫌でしたもの。
お会いするのに、片道7日の距離。マルクスに頼めばその限りでもないかもしれませんけれど、頼りすぎるのは良くありませんわ。
だって、私は彼に返せるものがあまりないのですもの。
そうこうしていれば、馬車がガタンという揺れと共に止まる。
外を伺えば、まだ日は高くお屋敷へ着いたわけではなさそうでしたわ。
私は外に注意しながら、おとなしくしていれば、言い争うような声が漏れ聞こえてくる。
「…えれ!…さまに…ふ…な…!」
とぎれとぎれで、意味はわかりませんでした。マルクスの声は聞こえませんから、彼が対応しているわけではなさそうです。
「どうした?」
「いや、あれ」
ユミナ様の声が聞こえたと思えば、マルクスが簡潔に何か答えている。
「…マグノリア」
ふと聞こえてきた、女性の名前にどきりとする。その名を呟いたのは、ユミナ様の声でしたから。
「だれなんだ?」
「あ、ああ。私の弟の元婚約者だ」
ユミナ様は、少しだけ声を潜めて、マルクスへと説明を始めました。
「マグノリアは、一番最近の婚約者であった女性なんだ。解消された理由がちょっとあれでな。
辺境伯家として、少々看過できない思想を持っていたんだ。
まぁ、女性だから多少のことは目をつむるんだが、民のことを一切かんがみず、全て己のために。といった感じでな。
王都には、そういう貴族の方が多いが、ここではそれほど多いわけじゃない。
実際にその思想が理由で、兵の多くを失ったことがあってな。
その中には、弟の友人もいた。それだけが原因の全てではないが、婚約が解消されるに至った。
そして、現在に至るまで弟には婚約者がいない」
漏れ聞こえるユミナ様の話を聞きながら、数年前でここシュトラウス領であった問題を思い出す。
たしか、当時はユミナ様が辺境伯を賜ってからそれほど立っていなかったはず。
詳しい記録はあまり残っていなかったけれど、多数の死傷者がでたと記録されていましたわ。
「あら?」
そこまで、考えたところで私は、何か引っかかりを覚えました。
マグノリア…辺境。婚約者…そして、解消…もしかして…
「メル。もしかして、マグノリアは、マグノリア・テスタメント様かしら?」
「テスタメントのご令嬢は、確かに一度婚約を解消されていますね。お相手の方を把握しておりませんから、なんとも言えませんが」
メルの回答に私は、頷きを返す。でも、確か何処かの辺境の三男坊だったと見たような気がするのだけれど。
私はそっと、馬車の窓にかかる布を少しだけまくる。御者側にあるそれは、本来は御者との意思疎通をするための者ですから、あまり遠くを見ることができるわけではありません。
ですけれど、少しだけ離れた先に派手なドレスを着た女性と一人の男性が罵声らしきものを浴びせていることが見て取れました。
男性の後ろには、多くのドレスが見え隠れしていることから、ドレスを扱う被服店なのでしょう。
私は、派手な女性へと視線を戻し、彼女を見つめる。私が、知るその人であるかを確認するために。
ですけれど、私には顔の判別はできませんでしたわ。でも、馬車の紋様は判別できました。
間違いなく、テスタメント侯爵家の紋様でしたわ。そして、マグノリア様と店主、そしてテスタメント家の馬車が見事に道を塞いでいましたわ。
「…マルクス。あれは、テスタメント侯爵家のマグノリア様ね?私が対応しましょうか」
そっと、マルクスへと声をかければ、ちょっと待てと言われ、ユミナ様へと確認をしている。
大人しく座って待っていれば、馬車の入り口が開きました。
「ミリィ。悪いね」
「いいえ。侯爵家の方が相手でしたら、私が対応した方がしがらみがありませんから」
ユミナ様にかけられた言葉にそう返しながら、私はユミナ様の手を取り馬車を降りる。
「ノヴァは起きそうにないから、メルはそこで待っていて」
ヘーゼルへと目配せし、私はユミナ様にエスコートされた状態で、マグノリア様の元へと歩を進める。
手には旅行用の簡素な扇を持ち、彼女へ声をかける前に広げ口元を隠すように構える。
「ごきげんよう。マグノリア様」
私がそう声をかければ、驚いたようにマグノリア様が振り替えられます。
「…ごきげんよう。ミリュエラ様」
不機嫌を隠そうともしない声音に、内心苦笑をもらす。
「どうしましたの?こんな往来で。通行の邪魔になっていましてよ」
「ミリュエラ様こそどうされたのですか。辺境にいらっしゃるなんて珍しいですわね」
こちらを伺い、値踏みするような視線で、私の問いには答えぬまま、そう問いかけてくる。
―――私も社交や腹の探り合いは得意ではないけれど、彼女はちょっとあれだわ
「私は、ユミナ様と彼の領地を散策していましたの」
その言葉に、私の隣に初めて人がいることに気づいたかのように、ユミナ様へと視線を向ける。
そして、もうこれ以上開かないという程度に、目が見開かれる。
「それで、マグノリア様はどうされたのですか」
マグノリア様の態度に内心苦笑をしながら、黙殺する。そして、再度同じ問いを投げかける。
「…いえ。今立ち去ろうとしていたところですの。失礼させていただくわ」
バツが悪い顔でそう言い残し、そそくさと馬車へと乗り込み去っていく。
―――あれは、社交では不利ですわね。全部顔にでていますもの
「店主。何があった。問題でもあったか」
私がそんなことを考えていれば、ユミナ様は店主と思しき男性へと声をかけている。
「あ…りょ、領主様の手を煩わせて申し訳ないです」
男性は、恐縮しきったのか、しきりに頭を下げている。
「いや。問題がないならいい。何かあれば、領主館へ来てくれれば対応可能であれば対応する」
そうユミナ様は言い残し、馬車へ向けて私をエスコートしようとする。特に、逆らう理由もないですから、私はユミナ様に促されるまま馬車へと戻る。
「あそこは被服商ですの?」
そう問えば、ユミナ様は頷きを返してくださいます。
「ああ。シュトラウス家はあまり利用していないが、領内で裕福な家や貴族に名を連ねているものが利用する程度には、名の知れた店だな」
「そうなのですね。それにしても、マグノリア様は何をなさっていたのかしら」
ユミナ様の答えに頷きを返し、マグノリア様に対する疑問を口にするれば、わからないと返答くださいました。
そして、私は馬車に戻り、元の場所へと腰を据える。ノヴァは起きた気配はなく、メルも特に問題があったようではない。
「あと少しで、屋敷に着く。もう少し我慢してくれ」
「ええ」
ユミナ様は私の返答を聞き届け、扉を閉じる。そして、ほどなくして馬車が再度走り出す。
私は、馬車の揺れに身を任せながら、少しだけの緊張と楽しみを胸に抱いていました。
たった今、私たちは辺境のシュトラウス領へと入ったと、現在御者を務めているマルクスからそう言われました。
馬車の中には、侍女のメルと竜族のノヴァが居ます。ノヴァは、メルの膝を枕に小さくなって眠っているようでしたわ。
ノヴァと出会ってから、7日程。そして、王都を旅立ってから、13日程たっていました。
旅立ち3日目で竜の社へ到着し、気づけばそこで3日程経過し、その後体調を崩してしまった私のために、更に3日程足止めをくらい、残りの行程を進んだ結果ですわ。
まぁ、残りの行程も天気に恵まれ、順調に進んだのは良かったですわ。
「旦那の屋敷には、日が暮れる前には到着できると思う」
マルクスの言葉に了承の返事を返しながら、私は少しだけ緊張をする。
以前お世話にはなっているけれど、今回はその時とは状況が違う。
前回は、私が攫われて救出後の保護という理由がありました。
けれど今回は、特に理由がありません。しいて言うなら、ユミナ様に請われ、私がそれを受けただけ。
私とユミナ様は婚約者だけれど、まだ婚姻を結んだわけではない。
ただ、例外がないわけではないのよね。相手のお家の風習等の差異が大きい場合に、それを学ぶために結婚前に相手のお宅にお世話になることはある。王族が最たるものですわね。
王族は婚姻前に相手は、王宮へと入る。部屋は客間ですけれど。親元を離れ、伴侶となるために必要な勉強や振る舞いを学んでいくのです。
確かに、王都で大半を生きてきた私は、辺境の習わしなどは詳しくありませんけれど、婚姻前から住まうほどでもない。
―――でも、私もユミナ様とあまり会えない状況は嫌でしたもの。
お会いするのに、片道7日の距離。マルクスに頼めばその限りでもないかもしれませんけれど、頼りすぎるのは良くありませんわ。
だって、私は彼に返せるものがあまりないのですもの。
そうこうしていれば、馬車がガタンという揺れと共に止まる。
外を伺えば、まだ日は高くお屋敷へ着いたわけではなさそうでしたわ。
私は外に注意しながら、おとなしくしていれば、言い争うような声が漏れ聞こえてくる。
「…えれ!…さまに…ふ…な…!」
とぎれとぎれで、意味はわかりませんでした。マルクスの声は聞こえませんから、彼が対応しているわけではなさそうです。
「どうした?」
「いや、あれ」
ユミナ様の声が聞こえたと思えば、マルクスが簡潔に何か答えている。
「…マグノリア」
ふと聞こえてきた、女性の名前にどきりとする。その名を呟いたのは、ユミナ様の声でしたから。
「だれなんだ?」
「あ、ああ。私の弟の元婚約者だ」
ユミナ様は、少しだけ声を潜めて、マルクスへと説明を始めました。
「マグノリアは、一番最近の婚約者であった女性なんだ。解消された理由がちょっとあれでな。
辺境伯家として、少々看過できない思想を持っていたんだ。
まぁ、女性だから多少のことは目をつむるんだが、民のことを一切かんがみず、全て己のために。といった感じでな。
王都には、そういう貴族の方が多いが、ここではそれほど多いわけじゃない。
実際にその思想が理由で、兵の多くを失ったことがあってな。
その中には、弟の友人もいた。それだけが原因の全てではないが、婚約が解消されるに至った。
そして、現在に至るまで弟には婚約者がいない」
漏れ聞こえるユミナ様の話を聞きながら、数年前でここシュトラウス領であった問題を思い出す。
たしか、当時はユミナ様が辺境伯を賜ってからそれほど立っていなかったはず。
詳しい記録はあまり残っていなかったけれど、多数の死傷者がでたと記録されていましたわ。
「あら?」
そこまで、考えたところで私は、何か引っかかりを覚えました。
マグノリア…辺境。婚約者…そして、解消…もしかして…
「メル。もしかして、マグノリアは、マグノリア・テスタメント様かしら?」
「テスタメントのご令嬢は、確かに一度婚約を解消されていますね。お相手の方を把握しておりませんから、なんとも言えませんが」
メルの回答に私は、頷きを返す。でも、確か何処かの辺境の三男坊だったと見たような気がするのだけれど。
私はそっと、馬車の窓にかかる布を少しだけまくる。御者側にあるそれは、本来は御者との意思疎通をするための者ですから、あまり遠くを見ることができるわけではありません。
ですけれど、少しだけ離れた先に派手なドレスを着た女性と一人の男性が罵声らしきものを浴びせていることが見て取れました。
男性の後ろには、多くのドレスが見え隠れしていることから、ドレスを扱う被服店なのでしょう。
私は、派手な女性へと視線を戻し、彼女を見つめる。私が、知るその人であるかを確認するために。
ですけれど、私には顔の判別はできませんでしたわ。でも、馬車の紋様は判別できました。
間違いなく、テスタメント侯爵家の紋様でしたわ。そして、マグノリア様と店主、そしてテスタメント家の馬車が見事に道を塞いでいましたわ。
「…マルクス。あれは、テスタメント侯爵家のマグノリア様ね?私が対応しましょうか」
そっと、マルクスへと声をかければ、ちょっと待てと言われ、ユミナ様へと確認をしている。
大人しく座って待っていれば、馬車の入り口が開きました。
「ミリィ。悪いね」
「いいえ。侯爵家の方が相手でしたら、私が対応した方がしがらみがありませんから」
ユミナ様にかけられた言葉にそう返しながら、私はユミナ様の手を取り馬車を降りる。
「ノヴァは起きそうにないから、メルはそこで待っていて」
ヘーゼルへと目配せし、私はユミナ様にエスコートされた状態で、マグノリア様の元へと歩を進める。
手には旅行用の簡素な扇を持ち、彼女へ声をかける前に広げ口元を隠すように構える。
「ごきげんよう。マグノリア様」
私がそう声をかければ、驚いたようにマグノリア様が振り替えられます。
「…ごきげんよう。ミリュエラ様」
不機嫌を隠そうともしない声音に、内心苦笑をもらす。
「どうしましたの?こんな往来で。通行の邪魔になっていましてよ」
「ミリュエラ様こそどうされたのですか。辺境にいらっしゃるなんて珍しいですわね」
こちらを伺い、値踏みするような視線で、私の問いには答えぬまま、そう問いかけてくる。
―――私も社交や腹の探り合いは得意ではないけれど、彼女はちょっとあれだわ
「私は、ユミナ様と彼の領地を散策していましたの」
その言葉に、私の隣に初めて人がいることに気づいたかのように、ユミナ様へと視線を向ける。
そして、もうこれ以上開かないという程度に、目が見開かれる。
「それで、マグノリア様はどうされたのですか」
マグノリア様の態度に内心苦笑をしながら、黙殺する。そして、再度同じ問いを投げかける。
「…いえ。今立ち去ろうとしていたところですの。失礼させていただくわ」
バツが悪い顔でそう言い残し、そそくさと馬車へと乗り込み去っていく。
―――あれは、社交では不利ですわね。全部顔にでていますもの
「店主。何があった。問題でもあったか」
私がそんなことを考えていれば、ユミナ様は店主と思しき男性へと声をかけている。
「あ…りょ、領主様の手を煩わせて申し訳ないです」
男性は、恐縮しきったのか、しきりに頭を下げている。
「いや。問題がないならいい。何かあれば、領主館へ来てくれれば対応可能であれば対応する」
そうユミナ様は言い残し、馬車へ向けて私をエスコートしようとする。特に、逆らう理由もないですから、私はユミナ様に促されるまま馬車へと戻る。
「あそこは被服商ですの?」
そう問えば、ユミナ様は頷きを返してくださいます。
「ああ。シュトラウス家はあまり利用していないが、領内で裕福な家や貴族に名を連ねているものが利用する程度には、名の知れた店だな」
「そうなのですね。それにしても、マグノリア様は何をなさっていたのかしら」
ユミナ様の答えに頷きを返し、マグノリア様に対する疑問を口にするれば、わからないと返答くださいました。
そして、私は馬車に戻り、元の場所へと腰を据える。ノヴァは起きた気配はなく、メルも特に問題があったようではない。
「あと少しで、屋敷に着く。もう少し我慢してくれ」
「ええ」
ユミナ様は私の返答を聞き届け、扉を閉じる。そして、ほどなくして馬車が再度走り出す。
私は、馬車の揺れに身を任せながら、少しだけの緊張と楽しみを胸に抱いていました。
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