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Ⅰ.貴方様と私の計略 ~ 出会いそして約束 ~
89.貴族という名の伏魔殿⑩(ユミナ視点)
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気をゆるしてはくれているのだろう。だが、男として意識されているかは微妙な気もするな。
カミラ達と対策を協議して数日。王太子殿下は変わりない日常を送り、第二王子殿下はすっかり正気を取り戻したように精力的に働いているようだ。
カミラが楽になったと笑っていた。本来のあいつは能力が高いのだろうとも言っていた。
私の記憶でも、第二王子殿下はそつなくこなすタイプだった。今までの噂の方が私の知る殿下とはかけ離れていたから、今の方が親しみがわく。
現在、私はテイラー侯爵の元を訪れ、殿下達と話した内容を含む対策を伝えていた。
「ところで、シュトラウス辺境伯はわしを信用してもよいのか」
そう、侯爵は聞いてきた。私は、苦笑をしながら信じていますよと返す。
「私は、ミリィの身内は信じたいという思いもありますが、侯爵はそれとは別に信じていますよ。
辺境を預かるものとして初動で正しく動いてくださる方々はありがたいですし、何より国を思って動いてくださる方は信用に値しますよ。
今回も多く助けられましたし」
そういえば、髭のない顎をなで小さく笑ったようだった。
「なんじゃ。わりと信用度が高くて驚くんじゃが。まぁ、わしも人のことは言えんしにたりよったりかの」
「光栄ですね」
私も答えながら笑う。侯爵に信用されていることは存外嬉しいものだった。
そして、意を決したように真剣な表情でテイラー侯爵へと向き直る。
「話は変わるのですが…正式に申し込んでもよいですか」
侯爵は小さく笑うとからかうように告げてきた。
「なんじゃ。辺境伯は本気になったのかの」
少し面映ゆくなり、首に手を当て視線をそらしながらも小さくうなずく。
「そう…ですね。彼女の隣を他の誰かに譲りたくはないという程度には」
侯爵はおかしそうに笑っている。なんだか、ちょっと居心地が悪いな。
どうも、見透かされているようなそんな感じがするからなのかもしれない。
「わしはかまわんよ。ミラが了承するならじゃが。それに、君にならミラとそれに従うものを任せてもよいと思ったから話を持ち掛けたわけじゃしの」
「彼女に従うものもですか?」
私が疑問をそのまま口にのせれば、テイラー侯爵は小さくうなずいている。
それに、私はどうやら試されていたらしい。
「ああ。君は既に知の侯爵の隠語の意味を知っておるのだろう。ということはじゃ、ミラを主にと仰ぐものもおるだろう。
現に、メルはミラを主と決めている節があるからの。あれは、たぶんミラについていくじゃろ。
わしが気づいておらんだけで他にもおるだろうな。あれは他を引き付ける」
「それはわかります。ミリィは人を誑し込む素質があるのではないかと感じていたところです。
まぁ、敵も作りやすいのかもしれませんが」
私は、カミラ達殿下方とミラの関係を思い出す。友人にしては親しく少しだけ距離が近い。
思い出せば胸に焼けつくような感情が生まれるのを自覚する。
「あれじゃの。辺境伯も思ったより若かったの」
侯爵は楽しそうに笑っている。い、いたたまれない。私自身の気持ちを見透かされている気がする。
自分の親にほど近い御仁ではあるが…ミリィの身内でもあるんだよな。
「そ…そういえば、侯爵家では古い風習を守っているとお伺いしましたが、どのようなものなのですか」
笑っていた侯爵が、怪訝な顔をしていたが私の腰で揺れる鞘飾りを目にとめにやりと意地悪そうに笑う。
「なんじゃ。気になることでもあるのか」
なんだか、もろもろばれているような…いや、でもわからなかったんだ。
いろいろ調べてみたが鞘飾りに関する風習を見つけられなかった。
辛うじて書物として残っていたのも、シュトラウス領で残っている風習の物だけだった。
「何やら見透かされているようで居心地悪いのですが、そうですね。
彼女を泣かせてしまったので、いろいろ調べてみたのですが、結局わからなかったんです。
父から娘へ送る鞘飾りの風習とはなんですか。辛うじて昔爺様が母から息子へ送る鞘飾りの意味は分かったのですが、それ以外はさっぱりでして」
そう、直球で問いかけてみれば、侯爵は少しだけ虚をつかれたような表情をする。
「まぁ、そうじゃの。その風習は古い。古から受け継がれておる風習じゃ。
その風習に関する書物があるとすれば、古の血族か王族くらいではないか?
そうじゃの…父から娘へ。母から息子へ。どちらも守りの願いが込められておることには変わりない。
そうじゃの。母から息子へ送る鞘飾りは息子へ鞘飾りを送る娘が現れるまでの守りを意味しておる。
わしが言えるのはこれぐらいかの。あとは、ミラ本人にでもきくとよかろ」
侯爵はそれきり口を閉ざされてしまい、聞き出すのは無理そうだった。
私は、侯爵へと礼をいい部屋を後にする。
それにしても、息子へ鞘飾りを送る娘が現れるまでか。前向きに考えれば、私に都合がよい気がする。
ミリィも私を思ってくれている。そう意味しているようにも思える。
彼女が私に心を許してくれているようにも思えてならない。
私の思い過ごし。ということもないのだろうとも思う。
私に抱きしめられて寝るくらいだから、気を許してはくれているのだろう。
男として意識されているかは少し疑問に思わなくもないが。
部屋へと戻れば、カミラと王太子殿下から書簡が届いていた。
カミラからは私的なものと公的なものが。王太子殿下からは私的なもののようだ。
とりあえず、公的なものを確認すれば、私への言いがかりとしか言えない陳情に対する、辺境伯としての申し開きを述べよということらしい。
面倒この上ないが、所定の書式で返答を記載していく。辺境伯としての封蝋を押印し使いを出した。
私的なものについては、カミラも王太子殿下もどちらも内容は同じだった。
第二王子殿下に関する調査と分かったことが書かれていた。
最初に秘薬と疑われる香水を評価したのは、マレフィセント伯爵の血縁であったらしい。
現在は、同じ伯爵を賜っているらしいが、当時は子爵であったらしい。
何が認められ、伯爵になったのかは私は知らないが、現在は伯爵であることは間違いない。
なんでも、気に入った香りであることを含め、献上品に侍従殿にもどうぞという形で、少しずつ広めていったらしい。
子爵本人が動いていたことにも驚くが、献上品に紛れ込ませていたことにも驚く。
侍従への賄賂と取られても不思議ではないと思うが、正しく賄賂で会ったのかもしれないとも思う。
それに負けじと、マレフィセント伯爵や他の子爵家が真似ていたというから呆れるしかなかった。
そういえば、シュトラウス家としては必要最低限の献上品は収めるが、それ以外に送ったことはないな。
賄賂は…ないとは言えないか。兵や傭兵の士気を上げるために行う贈答も賄賂だからな。
カミラと王太子殿下の書簡に記載されているのは、それぞれ自身の派閥に属するものが多いようだった。
まぁ、派閥に属する貴族を調べる方が、自然であるし怪しまれにくい。
陣営に属するものの身上調査だと言えなくもないからな。
にしても、書簡に記載されている内容にうんざりする。
まるで、伏魔殿だと言わんばかりの内容だ。やれ、賄賂を贈っているだの、他を引きずり降ろそうと仮作しているなどといった内容ばかりだからだ。
私も貴族の末席にいるが、そこまでして貴族という地位を守りたいのかと思う。
いや、違うか?出世したいのかもしれない。
我が国では、国への貢献によって貴族位が繰り上げられる。ただ、今の上位貴族に空きはなかったはずだ。
だから、引きずり降ろしあわよくば自分はと思うのだろうが…
堅実に仕事をしていれば苦労もあるだろうが、引きずり降ろされる理由もないだろうにと思う。
まぁ、私のような辺境伯はその限りではないのかもしれないが。
私個人としては、辺境伯としての地位に固執はしていない。むしろシュトラウス家を北の辺境に留め置くことを王家が固執している。
ただ、本気でミリィと添い遂げたいのであれば、それなりの力がいる。彼女を守るためというのもあるが、世間的な話もないわけではない。
侯爵家の令嬢を平民へと嫁がせるのはさすがに無理だからだ。ミリィの身一つであればやりようはあるが、ミリィとそれを慕うものというとそうもいかない。
はぁ…
考えれば考えるだけ問題は出てくるし、考えることはなくならない。
少しばかり、嫌になるなと思い、休憩をするためにお茶の準備を頼むことにした。
カミラ達と対策を協議して数日。王太子殿下は変わりない日常を送り、第二王子殿下はすっかり正気を取り戻したように精力的に働いているようだ。
カミラが楽になったと笑っていた。本来のあいつは能力が高いのだろうとも言っていた。
私の記憶でも、第二王子殿下はそつなくこなすタイプだった。今までの噂の方が私の知る殿下とはかけ離れていたから、今の方が親しみがわく。
現在、私はテイラー侯爵の元を訪れ、殿下達と話した内容を含む対策を伝えていた。
「ところで、シュトラウス辺境伯はわしを信用してもよいのか」
そう、侯爵は聞いてきた。私は、苦笑をしながら信じていますよと返す。
「私は、ミリィの身内は信じたいという思いもありますが、侯爵はそれとは別に信じていますよ。
辺境を預かるものとして初動で正しく動いてくださる方々はありがたいですし、何より国を思って動いてくださる方は信用に値しますよ。
今回も多く助けられましたし」
そういえば、髭のない顎をなで小さく笑ったようだった。
「なんじゃ。わりと信用度が高くて驚くんじゃが。まぁ、わしも人のことは言えんしにたりよったりかの」
「光栄ですね」
私も答えながら笑う。侯爵に信用されていることは存外嬉しいものだった。
そして、意を決したように真剣な表情でテイラー侯爵へと向き直る。
「話は変わるのですが…正式に申し込んでもよいですか」
侯爵は小さく笑うとからかうように告げてきた。
「なんじゃ。辺境伯は本気になったのかの」
少し面映ゆくなり、首に手を当て視線をそらしながらも小さくうなずく。
「そう…ですね。彼女の隣を他の誰かに譲りたくはないという程度には」
侯爵はおかしそうに笑っている。なんだか、ちょっと居心地が悪いな。
どうも、見透かされているようなそんな感じがするからなのかもしれない。
「わしはかまわんよ。ミラが了承するならじゃが。それに、君にならミラとそれに従うものを任せてもよいと思ったから話を持ち掛けたわけじゃしの」
「彼女に従うものもですか?」
私が疑問をそのまま口にのせれば、テイラー侯爵は小さくうなずいている。
それに、私はどうやら試されていたらしい。
「ああ。君は既に知の侯爵の隠語の意味を知っておるのだろう。ということはじゃ、ミラを主にと仰ぐものもおるだろう。
現に、メルはミラを主と決めている節があるからの。あれは、たぶんミラについていくじゃろ。
わしが気づいておらんだけで他にもおるだろうな。あれは他を引き付ける」
「それはわかります。ミリィは人を誑し込む素質があるのではないかと感じていたところです。
まぁ、敵も作りやすいのかもしれませんが」
私は、カミラ達殿下方とミラの関係を思い出す。友人にしては親しく少しだけ距離が近い。
思い出せば胸に焼けつくような感情が生まれるのを自覚する。
「あれじゃの。辺境伯も思ったより若かったの」
侯爵は楽しそうに笑っている。い、いたたまれない。私自身の気持ちを見透かされている気がする。
自分の親にほど近い御仁ではあるが…ミリィの身内でもあるんだよな。
「そ…そういえば、侯爵家では古い風習を守っているとお伺いしましたが、どのようなものなのですか」
笑っていた侯爵が、怪訝な顔をしていたが私の腰で揺れる鞘飾りを目にとめにやりと意地悪そうに笑う。
「なんじゃ。気になることでもあるのか」
なんだか、もろもろばれているような…いや、でもわからなかったんだ。
いろいろ調べてみたが鞘飾りに関する風習を見つけられなかった。
辛うじて書物として残っていたのも、シュトラウス領で残っている風習の物だけだった。
「何やら見透かされているようで居心地悪いのですが、そうですね。
彼女を泣かせてしまったので、いろいろ調べてみたのですが、結局わからなかったんです。
父から娘へ送る鞘飾りの風習とはなんですか。辛うじて昔爺様が母から息子へ送る鞘飾りの意味は分かったのですが、それ以外はさっぱりでして」
そう、直球で問いかけてみれば、侯爵は少しだけ虚をつかれたような表情をする。
「まぁ、そうじゃの。その風習は古い。古から受け継がれておる風習じゃ。
その風習に関する書物があるとすれば、古の血族か王族くらいではないか?
そうじゃの…父から娘へ。母から息子へ。どちらも守りの願いが込められておることには変わりない。
そうじゃの。母から息子へ送る鞘飾りは息子へ鞘飾りを送る娘が現れるまでの守りを意味しておる。
わしが言えるのはこれぐらいかの。あとは、ミラ本人にでもきくとよかろ」
侯爵はそれきり口を閉ざされてしまい、聞き出すのは無理そうだった。
私は、侯爵へと礼をいい部屋を後にする。
それにしても、息子へ鞘飾りを送る娘が現れるまでか。前向きに考えれば、私に都合がよい気がする。
ミリィも私を思ってくれている。そう意味しているようにも思える。
彼女が私に心を許してくれているようにも思えてならない。
私の思い過ごし。ということもないのだろうとも思う。
私に抱きしめられて寝るくらいだから、気を許してはくれているのだろう。
男として意識されているかは少し疑問に思わなくもないが。
部屋へと戻れば、カミラと王太子殿下から書簡が届いていた。
カミラからは私的なものと公的なものが。王太子殿下からは私的なもののようだ。
とりあえず、公的なものを確認すれば、私への言いがかりとしか言えない陳情に対する、辺境伯としての申し開きを述べよということらしい。
面倒この上ないが、所定の書式で返答を記載していく。辺境伯としての封蝋を押印し使いを出した。
私的なものについては、カミラも王太子殿下もどちらも内容は同じだった。
第二王子殿下に関する調査と分かったことが書かれていた。
最初に秘薬と疑われる香水を評価したのは、マレフィセント伯爵の血縁であったらしい。
現在は、同じ伯爵を賜っているらしいが、当時は子爵であったらしい。
何が認められ、伯爵になったのかは私は知らないが、現在は伯爵であることは間違いない。
なんでも、気に入った香りであることを含め、献上品に侍従殿にもどうぞという形で、少しずつ広めていったらしい。
子爵本人が動いていたことにも驚くが、献上品に紛れ込ませていたことにも驚く。
侍従への賄賂と取られても不思議ではないと思うが、正しく賄賂で会ったのかもしれないとも思う。
それに負けじと、マレフィセント伯爵や他の子爵家が真似ていたというから呆れるしかなかった。
そういえば、シュトラウス家としては必要最低限の献上品は収めるが、それ以外に送ったことはないな。
賄賂は…ないとは言えないか。兵や傭兵の士気を上げるために行う贈答も賄賂だからな。
カミラと王太子殿下の書簡に記載されているのは、それぞれ自身の派閥に属するものが多いようだった。
まぁ、派閥に属する貴族を調べる方が、自然であるし怪しまれにくい。
陣営に属するものの身上調査だと言えなくもないからな。
にしても、書簡に記載されている内容にうんざりする。
まるで、伏魔殿だと言わんばかりの内容だ。やれ、賄賂を贈っているだの、他を引きずり降ろそうと仮作しているなどといった内容ばかりだからだ。
私も貴族の末席にいるが、そこまでして貴族という地位を守りたいのかと思う。
いや、違うか?出世したいのかもしれない。
我が国では、国への貢献によって貴族位が繰り上げられる。ただ、今の上位貴族に空きはなかったはずだ。
だから、引きずり降ろしあわよくば自分はと思うのだろうが…
堅実に仕事をしていれば苦労もあるだろうが、引きずり降ろされる理由もないだろうにと思う。
まぁ、私のような辺境伯はその限りではないのかもしれないが。
私個人としては、辺境伯としての地位に固執はしていない。むしろシュトラウス家を北の辺境に留め置くことを王家が固執している。
ただ、本気でミリィと添い遂げたいのであれば、それなりの力がいる。彼女を守るためというのもあるが、世間的な話もないわけではない。
侯爵家の令嬢を平民へと嫁がせるのはさすがに無理だからだ。ミリィの身一つであればやりようはあるが、ミリィとそれを慕うものというとそうもいかない。
はぁ…
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