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Ⅰ.貴方様と私の計略 ~ 出会いそして約束 ~
84.貴族という名の伏魔殿⑤(ユミナ視点)
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不満と焦燥。久しく忘れていた感情だった。
彼女によって感じさせられているこの感情は、煩わしいと思うと同時に彼女を愛しいと感じる故の物だ。
あれか。ミリィは人たらしの才能でもあるのか?
敵を作ることも多そうだが、その分味方を増やすことも多そうだ。
そんなことを思いながら、目の前で繰り広げられる会話を眺める。
面識があるのは知っていたが、何というか仲が良すぎるだろう。
そんなことを思いながら、私の思考は過去へと遡っていった。
「ミリィ。時間だ。カミラ殿下の元へ行くよ」
私はミリィと戯れた後、時間までの間仕事をかたづけていた。
ミリィには、好きに過ごせば良いと言えば、同じ部屋で読書をすることにしたようだ。
この部屋にいれば、護衛の心配もさほど無いということで、マルクスの他にヘーゼルとメビウスが手伝ってくれた。
メビウスについては、信用はまだそこまでないからほぼ雑用を頼んではいたが、能力の高さには驚かされる。
軍人や護衛ではなく、文官として出世が望めるほどだった。
本人に問えば、責任ある仕事は面倒だから好まないと返された。気軽に気ままに出来るくらいが丁度良いのだと言っていた。
メルと呼ばれた侍女については、ミリィ専属なのだと聞いた。
彼女は傭兵から侍女へ転職したらしい。没落こそしているが元々それなりの貴族だたったのだと本人が言っていた。
だから、一通りの礼儀作法は身についているから、転職はさして難しくはなかったのだと笑っていた。
傭兵時代の話を聞けば、一応通り名があったと言うから聞いてみれば、一時名をはせた名だった。
紅蓮の鉄壁。私は、名前と功績しか知らなかったから、まず女性であったことに驚いた。そして、次に侍女として目の前にいることにも驚く。
紅蓮の鉄壁とは、護衛対象を守り抜く姿勢と功績からつけられたと聞いた。
彼女が護衛につけば安泰だと言われるほどだったらしい。
紅蓮とついているのは、本人が赤く血に染まっていた様を現しているのだと。因みに、本人の血ではなく返り血だと言うのが一般的な見解だった。
本人にそのことを興味本位で尋ねてみれば、笑ってごまかされた。
これは、深く追求しないのが身のためなのかもしれない。
カミラ殿下の部屋へと行くのにエスコートを申し出れば、迷う素振りをされ地味に凹んだ。
理由を尋ねてみれば、今のミリィはローブで目深にフードを被っているのだから、エスコートされているのはおかしいのではないかと言われ、納得するしかなかった。
「じゃあ、私の横を歩いて?」
そう、言ってみれば、戸惑いながらも了承の返事をもらえ少し安堵する。
そんな私をマルクスとメビウスは遠慮なく笑い、ヘーゼルとメルになんとも言えない視線を向けられた。
・・・うん。私自身もどうかとは思っているんだ。でも、傍にいたいのだから、仕方ないだろう。カミラ殿下の部屋に着けば、距離をとらざるを得ないだろうからな。
まぁ、そんなやりとりをしつつ、王族の執務室があるエリアへと足を踏み入れる。
近衛による身分の確認が行われ、無事に通過する。
これについては、心配はしていなかったが、ミリィがフードも取らず通過できたことには少なからず驚いた。
貴賓待遇とは、まさにこのことだなと思う。
マルクスとヘーゼルは、テイラー家縁の者としての印章を保持していたことにも少し驚いた。
メビウスとメルは、私とミリィの付き人として私の責任で身元を保障した。
こんこん
カミラ殿下の執務室の扉を軽く叩き返事を待てば、扉が開かれ侍従が顔を出す。
「シュトラウス辺境伯でしたか。残りの方々増えるとご連絡のあった方々ですか?」
侍従は少しばからり訝しんだ目線を送りながら聞き返してくる。
「ああ。テイラー家縁の者たちとこちらは国王の貴賓・・・かな」
貴賓といところで、ミリィを指し示しておく。
ミリィも印章が見えやすいように姿勢を調整している。
「左様ですか。少々お待ちください」
そう言って、侍従は一度部屋の中へと戻っていく。
暫くして再度扉が開かれ、部屋へと招き入れられる。
「皆様をお通しするようにとの事ですので、どうぞお入りください」
カミラの執務室は、人をもてなすためのエリアと実務を行うエリアに分かれており、今回は人をもてなすためのエリアに通される。
そこには既に、カミラの他に王太子殿下と第二王子殿下がそろっていた。
「遅かったな」
カミラにそう声をかけられ、小さく苦笑する。
多分時間通りのはずなのだが・・・そう思いながらも、頭を下げておく。
その間に、カミラは侍従へと人払いを命じ下がらせる。
「さてと。非公式だ。楽に話せ」
カミラの言葉に頭をあげ、一言言っておく。
「殿下方が早いだけです。私が遅いわけではありません」
そう言えば、カミラが笑いながら、許せ。と言うので、今回はしょうがないなと流しておく。
「さてと。何気に大所帯だなユミナ」
「そうですね。私も登城してから知りました」
私の言葉に、カミラは少しばかり意外そうな顔をしている。
まぁ、そうだな。普通私が招いたと思うよな。
「フードの彼女は兄上の客か?」
ミリィの胸元で揺れる印章に気づいたのかそう問いかけられる。
「そうですね。侯爵と陛下が認めた貴賓ではありますが、皆様ご存じの方ですよ」
私がそう言えば、殿下方は顔を見合わせ首をひねっている。
そのやりとりを大人しく見ていたミリィが私の袖を引き、私の前へと歩を進める。
そして、フードをそっと後ろへ落とせば、殿下方は驚き声を上げる。
「テイラー嬢か!」
「ミラ?!」
「ミラ・・・いや、テイラー嬢」
ミリィは、驚きの言葉を受け止め略式でありながらも丁寧な返答をしている。
「王弟殿下、王太子殿下、第二王子殿下。お久しぶりでございます。テイラー公爵家のミリュエラでございます」
ミリィの態度に、カミラは少し感心しているような表情をしている。
王太子殿下は、ミリィの前へと移動して来て顔を上げさせている。
「本当に久しぶりだね。とは言っても、私はつい最近まで忘れていたのだけれどね。ねぇ、昔のようにミラと呼んでもいいかな」
ミリィは、若干面食らっているようだが、頷きを返している。
「かまいませんわ。それに、私も忘れさせられていましたもの」
「そう。あ、非公式の場では、私のこともエーナスでいいよ」
王太子殿下は、普段よりも少し幼さを感じる笑顔でミリィと話している。
私は、少しの焦燥を感じながらも耐える。
「・・・テイラー嬢。すまない」
王太子殿下とミリィの軽いやりとりに気をとられていたため、第二王子殿下の動きに気付くのが遅れた。
気がつけば、ミリィへと深く頭を下げ謝罪を口にしている。
「・・・頭を上げてください。第二王子殿下。それに、何に対する謝罪ですの?」
ミリィが第二王子殿下へと向き直り、謝罪に対する疑問を告げている。
第二王子殿下は、頭を下げた姿勢のまま、ミリィこ問いへと答えている。
「君を貶める発言をした。それに、怪我を負わせてしまったから」
少し震えているような声で、第二王子殿下は簡潔に謝罪について説明する。
そこには、いいわけも余分な情報もなく、ただただ己の非を詫びている姿があった。
「・・・謝罪は受け取りますわ。けれど、そんなに気に病まなくてもよろしいのです。私があなた方の事を思い出すきっかけにもなりましたし。
何より、私自身がそれほど気にしていませんもの。ですから、よろしければ昔のようにミラと呼んでくださいな」
王太子殿下に目線で確認をし、ミリィは自らの手で第二王子殿下の頭を上げさせながら言葉を発している。
「それに・・・貴方の立場で軽々しく頭を下げてはいけませんわ。たとえ、非公式の場ででもですわ」
ミリィの言葉に、第二王子殿下は弱々しく笑みを浮かべる。
「俺のことも、デュオでかまわないよ。ミラ」
何だかなぁと思う。ミリィが過去に第一王子殿下と第二王子殿下と出会った話は聞いていたし、2人の殿下がミリィを大切な友人だと言っていたことも知ってはいた。
だから、目の前の光景も不思議に思うほどの事でもないし、想像も出来たであろう光景だ。
でもな。しかしだ。頭ではわかっていても、心が 不満と焦燥を感じている。
それだけ、ミリィと2人の殿下の距離は近かった。
久しく感じることのなかった感情に、少しばかり私は振り回され気味だ。
自身に自信がない故とわかっていながらも、彼女に対して自信を感じられる未来が想像できない。
3人の姿を視界に納めながら、私は鞘飾りに触れる。
不安がって、瞳に涙を浮かべながら、私の側にいてもいいのかと問うてきたミリィを思い出す。
好意の透ける表情で、秘密だと告げた彼女を。
そうして、自身の不満と焦燥をなだめていれば、カミラが呆れたように声をかけてきた。
「エーナスもデュオもこっちに来て座りなさい。
ユミナとテイラー嬢もそこに座るといい。
君たちは・・・」
カミラがヘーゼル達に目を向けていることに気づいたミリィが、彼らへ目配せし少しだけ下がらせる。
「彼らは、私の護衛と侍女です。マルクスはユミナ様のサポート・・・かしら?
・・・こほん。なので、お気になさらなくても大丈夫です」
ミリィの言葉にカミラは、頷きを返している。
私たちは、カミラの座る応接スペースへと向かい、其れ其れ腰を下ろす。
「さてと。そろそろ本題に入るとしよう」
カミラのその一言で、今日集まった目的である、第二王子殿下に関する話が始まった。
彼女によって感じさせられているこの感情は、煩わしいと思うと同時に彼女を愛しいと感じる故の物だ。
あれか。ミリィは人たらしの才能でもあるのか?
敵を作ることも多そうだが、その分味方を増やすことも多そうだ。
そんなことを思いながら、目の前で繰り広げられる会話を眺める。
面識があるのは知っていたが、何というか仲が良すぎるだろう。
そんなことを思いながら、私の思考は過去へと遡っていった。
「ミリィ。時間だ。カミラ殿下の元へ行くよ」
私はミリィと戯れた後、時間までの間仕事をかたづけていた。
ミリィには、好きに過ごせば良いと言えば、同じ部屋で読書をすることにしたようだ。
この部屋にいれば、護衛の心配もさほど無いということで、マルクスの他にヘーゼルとメビウスが手伝ってくれた。
メビウスについては、信用はまだそこまでないからほぼ雑用を頼んではいたが、能力の高さには驚かされる。
軍人や護衛ではなく、文官として出世が望めるほどだった。
本人に問えば、責任ある仕事は面倒だから好まないと返された。気軽に気ままに出来るくらいが丁度良いのだと言っていた。
メルと呼ばれた侍女については、ミリィ専属なのだと聞いた。
彼女は傭兵から侍女へ転職したらしい。没落こそしているが元々それなりの貴族だたったのだと本人が言っていた。
だから、一通りの礼儀作法は身についているから、転職はさして難しくはなかったのだと笑っていた。
傭兵時代の話を聞けば、一応通り名があったと言うから聞いてみれば、一時名をはせた名だった。
紅蓮の鉄壁。私は、名前と功績しか知らなかったから、まず女性であったことに驚いた。そして、次に侍女として目の前にいることにも驚く。
紅蓮の鉄壁とは、護衛対象を守り抜く姿勢と功績からつけられたと聞いた。
彼女が護衛につけば安泰だと言われるほどだったらしい。
紅蓮とついているのは、本人が赤く血に染まっていた様を現しているのだと。因みに、本人の血ではなく返り血だと言うのが一般的な見解だった。
本人にそのことを興味本位で尋ねてみれば、笑ってごまかされた。
これは、深く追求しないのが身のためなのかもしれない。
カミラ殿下の部屋へと行くのにエスコートを申し出れば、迷う素振りをされ地味に凹んだ。
理由を尋ねてみれば、今のミリィはローブで目深にフードを被っているのだから、エスコートされているのはおかしいのではないかと言われ、納得するしかなかった。
「じゃあ、私の横を歩いて?」
そう、言ってみれば、戸惑いながらも了承の返事をもらえ少し安堵する。
そんな私をマルクスとメビウスは遠慮なく笑い、ヘーゼルとメルになんとも言えない視線を向けられた。
・・・うん。私自身もどうかとは思っているんだ。でも、傍にいたいのだから、仕方ないだろう。カミラ殿下の部屋に着けば、距離をとらざるを得ないだろうからな。
まぁ、そんなやりとりをしつつ、王族の執務室があるエリアへと足を踏み入れる。
近衛による身分の確認が行われ、無事に通過する。
これについては、心配はしていなかったが、ミリィがフードも取らず通過できたことには少なからず驚いた。
貴賓待遇とは、まさにこのことだなと思う。
マルクスとヘーゼルは、テイラー家縁の者としての印章を保持していたことにも少し驚いた。
メビウスとメルは、私とミリィの付き人として私の責任で身元を保障した。
こんこん
カミラ殿下の執務室の扉を軽く叩き返事を待てば、扉が開かれ侍従が顔を出す。
「シュトラウス辺境伯でしたか。残りの方々増えるとご連絡のあった方々ですか?」
侍従は少しばからり訝しんだ目線を送りながら聞き返してくる。
「ああ。テイラー家縁の者たちとこちらは国王の貴賓・・・かな」
貴賓といところで、ミリィを指し示しておく。
ミリィも印章が見えやすいように姿勢を調整している。
「左様ですか。少々お待ちください」
そう言って、侍従は一度部屋の中へと戻っていく。
暫くして再度扉が開かれ、部屋へと招き入れられる。
「皆様をお通しするようにとの事ですので、どうぞお入りください」
カミラの執務室は、人をもてなすためのエリアと実務を行うエリアに分かれており、今回は人をもてなすためのエリアに通される。
そこには既に、カミラの他に王太子殿下と第二王子殿下がそろっていた。
「遅かったな」
カミラにそう声をかけられ、小さく苦笑する。
多分時間通りのはずなのだが・・・そう思いながらも、頭を下げておく。
その間に、カミラは侍従へと人払いを命じ下がらせる。
「さてと。非公式だ。楽に話せ」
カミラの言葉に頭をあげ、一言言っておく。
「殿下方が早いだけです。私が遅いわけではありません」
そう言えば、カミラが笑いながら、許せ。と言うので、今回はしょうがないなと流しておく。
「さてと。何気に大所帯だなユミナ」
「そうですね。私も登城してから知りました」
私の言葉に、カミラは少しばかり意外そうな顔をしている。
まぁ、そうだな。普通私が招いたと思うよな。
「フードの彼女は兄上の客か?」
ミリィの胸元で揺れる印章に気づいたのかそう問いかけられる。
「そうですね。侯爵と陛下が認めた貴賓ではありますが、皆様ご存じの方ですよ」
私がそう言えば、殿下方は顔を見合わせ首をひねっている。
そのやりとりを大人しく見ていたミリィが私の袖を引き、私の前へと歩を進める。
そして、フードをそっと後ろへ落とせば、殿下方は驚き声を上げる。
「テイラー嬢か!」
「ミラ?!」
「ミラ・・・いや、テイラー嬢」
ミリィは、驚きの言葉を受け止め略式でありながらも丁寧な返答をしている。
「王弟殿下、王太子殿下、第二王子殿下。お久しぶりでございます。テイラー公爵家のミリュエラでございます」
ミリィの態度に、カミラは少し感心しているような表情をしている。
王太子殿下は、ミリィの前へと移動して来て顔を上げさせている。
「本当に久しぶりだね。とは言っても、私はつい最近まで忘れていたのだけれどね。ねぇ、昔のようにミラと呼んでもいいかな」
ミリィは、若干面食らっているようだが、頷きを返している。
「かまいませんわ。それに、私も忘れさせられていましたもの」
「そう。あ、非公式の場では、私のこともエーナスでいいよ」
王太子殿下は、普段よりも少し幼さを感じる笑顔でミリィと話している。
私は、少しの焦燥を感じながらも耐える。
「・・・テイラー嬢。すまない」
王太子殿下とミリィの軽いやりとりに気をとられていたため、第二王子殿下の動きに気付くのが遅れた。
気がつけば、ミリィへと深く頭を下げ謝罪を口にしている。
「・・・頭を上げてください。第二王子殿下。それに、何に対する謝罪ですの?」
ミリィが第二王子殿下へと向き直り、謝罪に対する疑問を告げている。
第二王子殿下は、頭を下げた姿勢のまま、ミリィこ問いへと答えている。
「君を貶める発言をした。それに、怪我を負わせてしまったから」
少し震えているような声で、第二王子殿下は簡潔に謝罪について説明する。
そこには、いいわけも余分な情報もなく、ただただ己の非を詫びている姿があった。
「・・・謝罪は受け取りますわ。けれど、そんなに気に病まなくてもよろしいのです。私があなた方の事を思い出すきっかけにもなりましたし。
何より、私自身がそれほど気にしていませんもの。ですから、よろしければ昔のようにミラと呼んでくださいな」
王太子殿下に目線で確認をし、ミリィは自らの手で第二王子殿下の頭を上げさせながら言葉を発している。
「それに・・・貴方の立場で軽々しく頭を下げてはいけませんわ。たとえ、非公式の場ででもですわ」
ミリィの言葉に、第二王子殿下は弱々しく笑みを浮かべる。
「俺のことも、デュオでかまわないよ。ミラ」
何だかなぁと思う。ミリィが過去に第一王子殿下と第二王子殿下と出会った話は聞いていたし、2人の殿下がミリィを大切な友人だと言っていたことも知ってはいた。
だから、目の前の光景も不思議に思うほどの事でもないし、想像も出来たであろう光景だ。
でもな。しかしだ。頭ではわかっていても、心が 不満と焦燥を感じている。
それだけ、ミリィと2人の殿下の距離は近かった。
久しく感じることのなかった感情に、少しばかり私は振り回され気味だ。
自身に自信がない故とわかっていながらも、彼女に対して自信を感じられる未来が想像できない。
3人の姿を視界に納めながら、私は鞘飾りに触れる。
不安がって、瞳に涙を浮かべながら、私の側にいてもいいのかと問うてきたミリィを思い出す。
好意の透ける表情で、秘密だと告げた彼女を。
そうして、自身の不満と焦燥をなだめていれば、カミラが呆れたように声をかけてきた。
「エーナスもデュオもこっちに来て座りなさい。
ユミナとテイラー嬢もそこに座るといい。
君たちは・・・」
カミラがヘーゼル達に目を向けていることに気づいたミリィが、彼らへ目配せし少しだけ下がらせる。
「彼らは、私の護衛と侍女です。マルクスはユミナ様のサポート・・・かしら?
・・・こほん。なので、お気になさらなくても大丈夫です」
ミリィの言葉にカミラは、頷きを返している。
私たちは、カミラの座る応接スペースへと向かい、其れ其れ腰を下ろす。
「さてと。そろそろ本題に入るとしよう」
カミラのその一言で、今日集まった目的である、第二王子殿下に関する話が始まった。
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