貴方様と私の計略

羽柴 玲

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Ⅰ.貴方様と私の計略 ~ 出会いそして約束 ~

73.侯爵令嬢の心情(閑話)

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魔王陛下と情報交換してから数日、私たちは情報の裏付けと相手への牽制に明け暮れていましたわ。
ヘーゼルへとマルクスは、情報の裏付けと相手と魔族の繋がりの確たる証拠を。
ユミナ様と私が牽制の作業を受け持ちました。
何故か、私の所に集まる情報の整理と精査もしていましたけれど。

そして、何故かユミナ様に心乱される数日でしたわ。

最初こそ、ユミナ様の腰元で揺れる鞘飾りの存在が嬉しく思う余裕もあった。
ユミナ様がシュトラウス領の風習で鞘飾りを渡していると認識されているからこそ、こっそり嬉しさを噛みしめていた。
でも、ふとした瞬間にユミナ様が私との距離を詰めてくると、些細な余裕は吹き飛んでしまう。

ある時は、書類整理をしながら指を絡められ
またある時は、肩が触れあうのではないかと言うほどの距離で並んで座られ
またある時は、髪に触れられ撫でられもした
そして、眠る前に部屋へ遠くって下されば、別れ際にお休みと額へと口づけられた

私は、シュトラウス領の風習なのだと思うと共に、仮の婚約と言われたのを思い出しては、その一貫なのかとも考えていた

私は、ユミナ様に触れられることは嫌ではないし、寧ろ嬉しいと思っている。
でも、それと同じくらい戸惑いもあって。
多分、私がユミナ様の行為の意味をとりかねているからなのだと思う。
それに、私も少しだけずるいのかもしれませんわね。
ユミナ様のお心を聞かない代わりというように、私も言葉にしていませんもの。
だって、恐いもの。ユミナ様に否定されたら、当分立ち直れる気がしません。

でも、一つだけ気づいたことがありますわ。
たまにユミナ様から感じる熱を発散させるために私に触れているのでないかと思うのです。
その熱の意味は分からないけれど、私に触れた後は瞳にあった熱が消えているからなのですけれど。

そういえば、1度だけその熱が消えていない時がありましたわ。
でも、その時はヘーゼルへとマルクスが何処からともなく現れて、ユミナ様へ何か言っている様でしたわ。
私も、もう少し危機感を持てと苦言を呈されたけれど、結局あれは何だったのかしらね?
あれから、幾ら考えても答えが出ぬ問。最近は、答えを出すことを若干諦めつつある。

それよりも、喫緊で考えねばならないことが多いというのもあるけれど。
相手の王家と魔族の繋がり。そして、リヒテンシュタイン少将と魔族の繋がりがあと一息で掴める。
上手くいけば、明日の朝には全ての情報が出そろうはずですわ。

出揃えば、反撃開始のはじまりですから、さっさと片付けてしまいましょう。
そして、ユミナ様に振り向いて貰うためにどうすれば良いかを考え、行動するわ。
今のこの距離を手放したくないですもの。あわよくば、もう少しだけ近づきたいですもの。

動機が不純?
そんなことは、些細なことですわ。
全ての問題は、解決してしまえば問題ではなくなるのですもの。
手をこまねいて、ただ無駄に過ごすよりは、建設的だと思いませんこと?
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