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Ⅰ.貴方様と私の計略 ~ 出会いそして約束 ~
71.辺境伯の独白(閑話)
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ミリィと出会ってから、それ程時は経っていないはずなのに、私の中でミリィの存在はなくせないものになりつつある。
いや、寧ろ私の中心で存在感を遺憾なく発揮している。
ミリィが助け出されてから、目を覚ますまでも気が気ではなかった。
そんなことはないと、頭ではわかっているはずなのに、このまま目覚めないのではないかと、不安が募った。
今まで、そこまで思うほどの女性に、出会ったことはなかった。
私もいい年なのだから、それなりに女性とのつき合いはあった。
まぁ、大体振られていたわけなんだが。
私は、何処か冷めた人間だと思われているのだろう。
大切なものや護りたいもの。確かに、そう言ったものはあるし、いる。
ただ、必ずしもそちらに天秤が傾かない。
私自身の気持ちではなく、辺境伯として考え動かねばならぬ事が多い。
そのため、女性には冷たい人ねだとか、自分より大事な人がいるのねだとか、自分のことを好きではないのねだとか言われて、離れていく。
言い訳をすれば、付き合った人は大事にしたし、ちゃんと好きではあったんだ。
ただ、自分を一番大事にしてしろといい、辺境の辺境故の事情を鑑みない女性は、私の相手としては力不足であったと言うことだ。
そうこうしているうちに、この歳になり、王家に相手をあてがわれそうになる事態に陥った。
まぁ、ミリィに出会うための布石であったと思えば、気に病むことも無い。
最初、ミリィは普通のご令嬢だと思った。
少々表情の変化が乏しいものの所作や発言は普通であったから。
でもそれも、本当にさいしょのうちだけだった。
会うことを重ねる内に、普通のご令嬢とは何処か違うという感想を持つようになった。
最初は、些細なことも大局を見据えて考えることができることに驚いた。
次は、知識の多さとその深さに驚いた。
そんなことが続き、私はミリィに、興味を持った。
それからの感情の変化は早かったな。
興味を持てば、相手を良く観察する。
すると、乏しいと思っていた感情が表に出ないだけで、感情の起伏はそれなりに激しいことに気付いた。
気を許せば、一人言が増えるし、私の行動に一喜一憂している。
照れこそすれ、嫌悪感を抱かれていないことに気づけば、可愛らしい女性であると思った。
気づけば、私がミリィの言葉に一喜一憂するくらいに大事な人になっていた。
今回の件は、私自身がミリィを手放せないと認識を新たにするとともに、ミリィから離れていくのではないかということに恐怖することも認識した。
覚悟を決めねばと思っていたはずなのに、当のミリィから辺境伯として考えを訪ねられた。
しかも、返答によっては今回の件から手を引くことを考えての上でだ。
私は、頭を殴られたような衝撃を受けた。
だってそうだろう。辺境伯として最善を考えろと言われているようなものだ。
そういえば、攫われたときでさえ、辺境伯として最善の行動をとれと言われていたな。
彼女は、私に自分を一番に考えろとは言わないし、私の立場をきちんと理解してくれていた。
その上で、私の側に居たいと。私を手伝いたいと伝えてきた。
ほぼ落ちていた私が、陥落しないわけがなかった。
少しばかり、悔しくて、顔をそらすとか子供じみた行動をしてしまった。
その後、半密室といった空間で、ミリィと二人きりになった。
その直前まで、ミリィ自身に煽られていたのもあったが、無事にここに居ることのを確かめたくなった。
ミリィは、二人きりという事実に気づくまで少しばかり時間を要したようだった。
私は、ミリィの右手に指を絡ます。
ミリィから感じる熱に安心感を感じつつ、やわやわと指先を動かず。
彼女の手は、深窓のご令嬢といった感じではない。
手が荒れていたり豆があったりとか、そういうのではないが働くことを知っている手とでも言おうか。
それでも、私の手と比べると小さくて柔らかい、手入れのされた手だ。
本当に小さな手だ・・・
そう考えながら、ぐっと少しだけ力いれてにぎりこむ。
この手を離すのは嫌だなと思えば、ミリィの視線に気づく。
羞恥と戸惑いを写した瞳で、けれど迷いのない瞳で見つめてくる。
私と目が会えば、無意識なのだろう。ミリィが手を握り返してくる。瞳に写す戸惑いはそのままだ。
私は、恥ずかしさと嬉しさで目線をそらす。これは、照れというやつか?
十代の女性に照れる自分。と言うことに、少しばかり驚きを隠せず、戸惑うままに自分からこの時間の終わりを告げる。
・・・私は、ヘタレなのか?
そう思いながら、扉へと手をかけようとして、ミリィを振り返れば、落ち着いた瞳が私を見返してくる。
それを見た私は、何かに突き動かされるように、向きを変えミリィに向かう。
意識はされているのだろう。それは、わかる。
でも、二人きりというこの状況であまり私を信じすぎない方がいいと思う。
私とて、一人の男なのだから。
無理のない動作で、額に掛かる髪を払い、軽く口づける。
離れながら、ミリィの表情を盗み見れば、瞳が落ちそうな程見開いていた。
その際に、ぷくりとした唇が目に入ったが、無理やり目を離す。
本音を言えば、ミリィの艶のある唇へと触れたいし、むさぼりたいとも思う。
けれど、私はまだ彼女に明確な言葉を継げていない。
まぁ、態度に透けているのは認識しているが、現状そこへ口づけるのは駄目だと思う。
無言のまま、扉へと向かう際に、再度表情を盗み見る。
戸惑いはあれど、嫌悪を感じている風はない。
それに安堵しながら、今度こそ扉へと手をかけ、部屋を出る。
まずは、この問題を片付けよう。
そして何に憚ることなく、ミリィを構いたいし、構いたおしたい。
マルクスあたりは呆れられて、ヘーゼルには苦言を貰いそうだなと、頭の隅では考えるものの、止めようという気にはならない。
兄と弟の元へと使いをだし、メイドをつかまえてミリィのことを頼む。
その足で私は、シュトラウス家の歴史と魔族にかんする書物を納めた地下へと向かう。
地下にあるのは、初代の趣味だと言われているが、私は別の意味もあると思っている。
魔族にかんする書物は、読み物というよりは記録。
魔族と渡り合うためのものだからだ。
魔族暴走について、こちらでも少し調べておく必要があるだろう。
長く問題が無かったからと、調査と確認を怠った責はこちらにあるだろう。
明日の連絡が来るまでが勝負だな。
膨大な書籍の山にめまいを覚えつつ、一つを手に取り作業を開始した。
いや、寧ろ私の中心で存在感を遺憾なく発揮している。
ミリィが助け出されてから、目を覚ますまでも気が気ではなかった。
そんなことはないと、頭ではわかっているはずなのに、このまま目覚めないのではないかと、不安が募った。
今まで、そこまで思うほどの女性に、出会ったことはなかった。
私もいい年なのだから、それなりに女性とのつき合いはあった。
まぁ、大体振られていたわけなんだが。
私は、何処か冷めた人間だと思われているのだろう。
大切なものや護りたいもの。確かに、そう言ったものはあるし、いる。
ただ、必ずしもそちらに天秤が傾かない。
私自身の気持ちではなく、辺境伯として考え動かねばならぬ事が多い。
そのため、女性には冷たい人ねだとか、自分より大事な人がいるのねだとか、自分のことを好きではないのねだとか言われて、離れていく。
言い訳をすれば、付き合った人は大事にしたし、ちゃんと好きではあったんだ。
ただ、自分を一番大事にしてしろといい、辺境の辺境故の事情を鑑みない女性は、私の相手としては力不足であったと言うことだ。
そうこうしているうちに、この歳になり、王家に相手をあてがわれそうになる事態に陥った。
まぁ、ミリィに出会うための布石であったと思えば、気に病むことも無い。
最初、ミリィは普通のご令嬢だと思った。
少々表情の変化が乏しいものの所作や発言は普通であったから。
でもそれも、本当にさいしょのうちだけだった。
会うことを重ねる内に、普通のご令嬢とは何処か違うという感想を持つようになった。
最初は、些細なことも大局を見据えて考えることができることに驚いた。
次は、知識の多さとその深さに驚いた。
そんなことが続き、私はミリィに、興味を持った。
それからの感情の変化は早かったな。
興味を持てば、相手を良く観察する。
すると、乏しいと思っていた感情が表に出ないだけで、感情の起伏はそれなりに激しいことに気付いた。
気を許せば、一人言が増えるし、私の行動に一喜一憂している。
照れこそすれ、嫌悪感を抱かれていないことに気づけば、可愛らしい女性であると思った。
気づけば、私がミリィの言葉に一喜一憂するくらいに大事な人になっていた。
今回の件は、私自身がミリィを手放せないと認識を新たにするとともに、ミリィから離れていくのではないかということに恐怖することも認識した。
覚悟を決めねばと思っていたはずなのに、当のミリィから辺境伯として考えを訪ねられた。
しかも、返答によっては今回の件から手を引くことを考えての上でだ。
私は、頭を殴られたような衝撃を受けた。
だってそうだろう。辺境伯として最善を考えろと言われているようなものだ。
そういえば、攫われたときでさえ、辺境伯として最善の行動をとれと言われていたな。
彼女は、私に自分を一番に考えろとは言わないし、私の立場をきちんと理解してくれていた。
その上で、私の側に居たいと。私を手伝いたいと伝えてきた。
ほぼ落ちていた私が、陥落しないわけがなかった。
少しばかり、悔しくて、顔をそらすとか子供じみた行動をしてしまった。
その後、半密室といった空間で、ミリィと二人きりになった。
その直前まで、ミリィ自身に煽られていたのもあったが、無事にここに居ることのを確かめたくなった。
ミリィは、二人きりという事実に気づくまで少しばかり時間を要したようだった。
私は、ミリィの右手に指を絡ます。
ミリィから感じる熱に安心感を感じつつ、やわやわと指先を動かず。
彼女の手は、深窓のご令嬢といった感じではない。
手が荒れていたり豆があったりとか、そういうのではないが働くことを知っている手とでも言おうか。
それでも、私の手と比べると小さくて柔らかい、手入れのされた手だ。
本当に小さな手だ・・・
そう考えながら、ぐっと少しだけ力いれてにぎりこむ。
この手を離すのは嫌だなと思えば、ミリィの視線に気づく。
羞恥と戸惑いを写した瞳で、けれど迷いのない瞳で見つめてくる。
私と目が会えば、無意識なのだろう。ミリィが手を握り返してくる。瞳に写す戸惑いはそのままだ。
私は、恥ずかしさと嬉しさで目線をそらす。これは、照れというやつか?
十代の女性に照れる自分。と言うことに、少しばかり驚きを隠せず、戸惑うままに自分からこの時間の終わりを告げる。
・・・私は、ヘタレなのか?
そう思いながら、扉へと手をかけようとして、ミリィを振り返れば、落ち着いた瞳が私を見返してくる。
それを見た私は、何かに突き動かされるように、向きを変えミリィに向かう。
意識はされているのだろう。それは、わかる。
でも、二人きりというこの状況であまり私を信じすぎない方がいいと思う。
私とて、一人の男なのだから。
無理のない動作で、額に掛かる髪を払い、軽く口づける。
離れながら、ミリィの表情を盗み見れば、瞳が落ちそうな程見開いていた。
その際に、ぷくりとした唇が目に入ったが、無理やり目を離す。
本音を言えば、ミリィの艶のある唇へと触れたいし、むさぼりたいとも思う。
けれど、私はまだ彼女に明確な言葉を継げていない。
まぁ、態度に透けているのは認識しているが、現状そこへ口づけるのは駄目だと思う。
無言のまま、扉へと向かう際に、再度表情を盗み見る。
戸惑いはあれど、嫌悪を感じている風はない。
それに安堵しながら、今度こそ扉へと手をかけ、部屋を出る。
まずは、この問題を片付けよう。
そして何に憚ることなく、ミリィを構いたいし、構いたおしたい。
マルクスあたりは呆れられて、ヘーゼルには苦言を貰いそうだなと、頭の隅では考えるものの、止めようという気にはならない。
兄と弟の元へと使いをだし、メイドをつかまえてミリィのことを頼む。
その足で私は、シュトラウス家の歴史と魔族にかんする書物を納めた地下へと向かう。
地下にあるのは、初代の趣味だと言われているが、私は別の意味もあると思っている。
魔族にかんする書物は、読み物というよりは記録。
魔族と渡り合うためのものだからだ。
魔族暴走について、こちらでも少し調べておく必要があるだろう。
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