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Ⅰ.貴方様と私の計略 ~ 出会いそして約束 ~
63.精霊魔族との交信
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ロストメモリー。なくした記憶。
人の歴史の中で埋もれ消えていった記憶は沢山ありますわね。
ーーーこんにちは
え。あなたたちは?
それもですけれど、ココは何処ですの?
ーーーそうね。あえて言うなら、あなたの夢の中かしら
私の夢?
ーーーええ。現のあなたは、意識を手放しているから
現の私・・・そう言えば、彼らが去ってからの記憶がありませんわね
ーーーそう。丁度良かったから、わたしたちは、あなたの意識へと潜ったの
意識へ潜る?私には、よくわかりませんわ
ーーーそうね。今の時代の人族には難しいでしょうね。
わたしたちは、精霊魔族だからそのあたりは得意なの。
精霊魔族・・・マルクスが、そんなことを言っていた気がしますわ。
ーーーそうね。彼は、魔族と人族の混血。人族の血が濃そうなのに、我らに近い特異な子みたいだったわ
そして、わたしたちは、精霊魔族。魔族だけれど、魔族ではない特異な存在。
あなたは、魔族の定義を知っていて?
定義は、知りませんわ。人の歴史に埋もれて、消失した定義の一つと認識していますわ。
私が魔族で知っているのは、魔族という種族が存在していること。
私達とは、思考が少し残酷や残虐によっている。と言うことくらいです。
ーーー魔族の定義は、ロストメモリーなのね。
魔族とは、種族の一つであるけれど、明確な定義があるのよ。
魔族はね、混沌と闇から生まれるの。彼らは基本的に、番という概念も血を繋げるという概念もないのよ。
例外は、魔王の血筋。彼らは、一生に一人の番と添い遂げ、血を繋げるの。
人と交わるのも魔王の血筋。だから、混血の彼も魔王の血筋。
少し話がそれたかしら。魔王の血筋以外の魔族は、ある非突然現れるの。
混沌や闇の深い場所に、それらを糧として生まれるの。
彼らにあるのは、己という個と残虐性の強い思考だけ。
時が経つにつれ、執着という概念を持つわ。
それと、己が使えるべき魔王への忠誠。これは、たまに現れない個体もあるようだけれど。
細かいことを言えば、まだあるけれど、これが魔族の定義。
魔族は、交わることで増えるのではないのですね。
・・・もしかしなくても、精霊魔族にも明確な定義があるんですの?
ーーー精霊魔族は、魔族ほど明確な定義はないわ。
あえて言うなら、人族や竜族のような肉体を持つ種族ではなく、魔族にも属さない存在全般かしら。
精霊魔族は、交わることで生まれるものもいれば、魔族のように生まれるものもいるの。
わたしたちは、魔族に近い存在かしらね。交わることで生まれた生ではないから。
わたしたちは、言うなれば森が意志を持ったような存在かしら。
長い年月を経て、わたしたちという意識体が生まれたわ。
わたしたちは、二つの意識で一人の存在。今は、融合していますけれど。
一人は、戦と力を。一人は守りと癒しを。
何故、そうなったのかはわかりませんけれど、わたしたちはそうなのです。
わたしたちは、長い年月を2人で生きてきたの。
そして、1つのルールを作ったわ。わたしたちの存在に気づいたものは友であり、手を貸そうと。
存在に気づくとは、どういうものなのです?
ーーーそうね。わたしたち精霊魔族は、不安定な存在なの。
そこに居るはずなのに、認識できるものと認識できないものが出来てしまうの。
そして、月日が経つにつれ、認識できるもの達が少なくなっていったの。
あなたは、認識できるものになるわ。
想像の域を出ないけれど、多分わたしたち精霊魔族という存在が忘れ去られていっているからだと思うの。
精霊魔族は何からでも生まれるわ。自然物だけではなく、人族や魔族が作り出した無機物から生まれることもあるの。
存在が少なくなることは、無いはずなの。
だから、精霊魔族の存在そのものがロストメモリーになっているのだと思うわ。
存在を知らなければ、認識されづらくなってしまうから。
そうなのですね。
ところで、精霊魔族であるあなたのお名前はあるんですの?
ーーー名は無いかしら。わたくしたちは、個の概念を持っているけれど、そこにこだわりがないから。
例えば、わたしたちは「魔の森の」と呼ばれるわ。
不便ではありませんの?
ーーーそうでもないわ。
わたしたちは、交流範囲が広いわけではないから、あまり困らないの。
そうなのですか。
もう一つ質問させてくださいませ。どうして、私の意思に潜ろうと思われましたの?
ーーーその答えは簡単かな。現のあなたが、わたしたちの治療を受けているからよ。
でも、左腕の傷は1度の治療では治りきらないと思う。
それに、左腕と背中の傷は跡が残るわ。
私の傷は、そんなに酷いものでしたの?
ーーーそうね。よく、走って逃げれたものだわ。と、思う程度には酷い傷よ。
特に左腕の傷は、肉が避けえぐれていたもの。
もう少しで、骨に達していたし、運が悪ければ神経を痛めていたわ。
思っていたよりも重症でしたのね。私・・・
ーーーそうよ。さて、そろそろ治療に目処が立ちそうね。
あなたもそろそろ目覚めなさい。あなたの連れが、心配しているから
ええ。そうですわね。心配ばかりかけるのは心苦しいですもの
私がそうこたえれば、意識がもうろうとする。
そう言えば、精霊魔族は何故私の傷を癒してくれたのでしょうか。
その疑問を最後に私の意識は、途絶えた。
人の歴史の中で埋もれ消えていった記憶は沢山ありますわね。
ーーーこんにちは
え。あなたたちは?
それもですけれど、ココは何処ですの?
ーーーそうね。あえて言うなら、あなたの夢の中かしら
私の夢?
ーーーええ。現のあなたは、意識を手放しているから
現の私・・・そう言えば、彼らが去ってからの記憶がありませんわね
ーーーそう。丁度良かったから、わたしたちは、あなたの意識へと潜ったの
意識へ潜る?私には、よくわかりませんわ
ーーーそうね。今の時代の人族には難しいでしょうね。
わたしたちは、精霊魔族だからそのあたりは得意なの。
精霊魔族・・・マルクスが、そんなことを言っていた気がしますわ。
ーーーそうね。彼は、魔族と人族の混血。人族の血が濃そうなのに、我らに近い特異な子みたいだったわ
そして、わたしたちは、精霊魔族。魔族だけれど、魔族ではない特異な存在。
あなたは、魔族の定義を知っていて?
定義は、知りませんわ。人の歴史に埋もれて、消失した定義の一つと認識していますわ。
私が魔族で知っているのは、魔族という種族が存在していること。
私達とは、思考が少し残酷や残虐によっている。と言うことくらいです。
ーーー魔族の定義は、ロストメモリーなのね。
魔族とは、種族の一つであるけれど、明確な定義があるのよ。
魔族はね、混沌と闇から生まれるの。彼らは基本的に、番という概念も血を繋げるという概念もないのよ。
例外は、魔王の血筋。彼らは、一生に一人の番と添い遂げ、血を繋げるの。
人と交わるのも魔王の血筋。だから、混血の彼も魔王の血筋。
少し話がそれたかしら。魔王の血筋以外の魔族は、ある非突然現れるの。
混沌や闇の深い場所に、それらを糧として生まれるの。
彼らにあるのは、己という個と残虐性の強い思考だけ。
時が経つにつれ、執着という概念を持つわ。
それと、己が使えるべき魔王への忠誠。これは、たまに現れない個体もあるようだけれど。
細かいことを言えば、まだあるけれど、これが魔族の定義。
魔族は、交わることで増えるのではないのですね。
・・・もしかしなくても、精霊魔族にも明確な定義があるんですの?
ーーー精霊魔族は、魔族ほど明確な定義はないわ。
あえて言うなら、人族や竜族のような肉体を持つ種族ではなく、魔族にも属さない存在全般かしら。
精霊魔族は、交わることで生まれるものもいれば、魔族のように生まれるものもいるの。
わたしたちは、魔族に近い存在かしらね。交わることで生まれた生ではないから。
わたしたちは、言うなれば森が意志を持ったような存在かしら。
長い年月を経て、わたしたちという意識体が生まれたわ。
わたしたちは、二つの意識で一人の存在。今は、融合していますけれど。
一人は、戦と力を。一人は守りと癒しを。
何故、そうなったのかはわかりませんけれど、わたしたちはそうなのです。
わたしたちは、長い年月を2人で生きてきたの。
そして、1つのルールを作ったわ。わたしたちの存在に気づいたものは友であり、手を貸そうと。
存在に気づくとは、どういうものなのです?
ーーーそうね。わたしたち精霊魔族は、不安定な存在なの。
そこに居るはずなのに、認識できるものと認識できないものが出来てしまうの。
そして、月日が経つにつれ、認識できるもの達が少なくなっていったの。
あなたは、認識できるものになるわ。
想像の域を出ないけれど、多分わたしたち精霊魔族という存在が忘れ去られていっているからだと思うの。
精霊魔族は何からでも生まれるわ。自然物だけではなく、人族や魔族が作り出した無機物から生まれることもあるの。
存在が少なくなることは、無いはずなの。
だから、精霊魔族の存在そのものがロストメモリーになっているのだと思うわ。
存在を知らなければ、認識されづらくなってしまうから。
そうなのですね。
ところで、精霊魔族であるあなたのお名前はあるんですの?
ーーー名は無いかしら。わたくしたちは、個の概念を持っているけれど、そこにこだわりがないから。
例えば、わたしたちは「魔の森の」と呼ばれるわ。
不便ではありませんの?
ーーーそうでもないわ。
わたしたちは、交流範囲が広いわけではないから、あまり困らないの。
そうなのですか。
もう一つ質問させてくださいませ。どうして、私の意思に潜ろうと思われましたの?
ーーーその答えは簡単かな。現のあなたが、わたしたちの治療を受けているからよ。
でも、左腕の傷は1度の治療では治りきらないと思う。
それに、左腕と背中の傷は跡が残るわ。
私の傷は、そんなに酷いものでしたの?
ーーーそうね。よく、走って逃げれたものだわ。と、思う程度には酷い傷よ。
特に左腕の傷は、肉が避けえぐれていたもの。
もう少しで、骨に達していたし、運が悪ければ神経を痛めていたわ。
思っていたよりも重症でしたのね。私・・・
ーーーそうよ。さて、そろそろ治療に目処が立ちそうね。
あなたもそろそろ目覚めなさい。あなたの連れが、心配しているから
ええ。そうですわね。心配ばかりかけるのは心苦しいですもの
私がそうこたえれば、意識がもうろうとする。
そう言えば、精霊魔族は何故私の傷を癒してくれたのでしょうか。
その疑問を最後に私の意識は、途絶えた。
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