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Ⅰ.貴方様と私の計略 ~ 出会いそして約束 ~
62.囚われの侯爵令嬢⑧
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私がここで引くわけにはいかないのですわ。
事が動いたのは、囚われてから数日。1週間ほど経ったときでしたわ。
何時ものように、メビウス伍長が訪れ、お夕飯を頂いた。
そして、何時もと違うことが起こりましたの。
水車小屋の扉が乱雑に開かれ、入口に夥しい水溜まり。
いいえ、多分あれは血溜まり。むせ返るような、鉄さびに似た生々しい臭いがする。
「てめぇ。てめぇのせいで・・・」
入口には、歪な何か。
正確には、人の形をしたローブから幾重もの触手が這い出している。
私は、これを知っていますわね。
私を攫っていったときにこれと同じものを見ていますわ。
「てめぇを攫ってこなければ、あいつは傷つかなかったのに」
それは、うつろな声で恨み言を紡ぐ。
私の記憶が正しければ、屋敷に現れた際には、傍らに蝙蝠のような羽を持った者が居ましたわね。
「てめぇのせいで、あいつは・・・あいつの綺麗な羽が・・・」
そう言えば、ダリオが羽を一対切り落としていたわね。
それを見た、今目の前にいるものが逆上して、彼らが赤く染まって行ったのだわ。
「あ・・・」
油断なく見つめていたはずなのに。
気づけば、私は森の中に立っていた。
魔族の転移魔法。行使者が目印と定めた場所に一瞬で転移できる魔法。
恐らく、私を王都から辺境へと連れ去ったのもこの魔法なのだろう。
でも、行使出来る者は少ないと聞いていましたのに。
目の前の魔族は、メビウス伍長が言っていた中位魔族なのだろうと予測を立てる。
それも、転移魔法を行使出来るというならば、上位寄りの中位魔族。
「っ!!」
左腕に走った、鋭い痛みによって、思考が中断される。
チラリと目をやれば、肩から肘にかけ衣服が破れ血に染まっているのが見える。
・・・これ以上、見ない方が身のためな気がしますわね。
まだ、大丈夫。お母様たち程血が流れてはいませんもの。
「くく・・・あいつの味わった痛み。てめぇに味わわせてやるよ」
背筋に冷たいものが流れるのと感じつつ、あたりを観察する。
それなりに護身中は習いましたけれど、私は優秀ではなかったのですけれど、そうも言ってられませんわね。
直ぐ側の幹へと身を寄せ、魔族の視界から隠れるように駆け出す。
囚われている間に、軽いワンピースに着替えさせられていて、良かったですわ。
攫われたときのドレスと靴では、身軽に動けませんもの。
「あれ?逃げるんだ?でも、逃がさないよ?」
かける足下を弄ぶように、触手が鞭打つ。
時折、ワンピースと共に肉が裂ける感触と痛みが襲う。
最初に傷つけられた左腕はもはや感覚が無く動かない。
痛みと恐怖でもつれ、ともすれば止まりそうになる足を必死で動かし、かける。
わた、くしは、また、皆に、ユミナさ、まにあ、あうのです。
ここで、ひく、引くわけには、いかない、のですわ。
そう度切れ途切れに思い、駆ければ開けた場所に出る。
そして、切り株で寄り添うように眠る、少年と少女が目に入る。
私を狙う触手が、切り株へと伸びるの認識すれば、私は無意識に彼らに覆いかぶさるようにする。
「ぐっ・・・」
背中に鋭い痛みを感じ、僅かに呻き声が喉から漏れる。
私は、腕の中の小さな存在へと目を向ける。
良かった。傷はおっていなさそう。
でも、何故こんな処に?
「なに?もう、逃げるのは辞めるの?切り刻まれてくれるの?」
魔物は、何故か私の正面から現れ、可笑しそうに言う。
「もう少し粘ってくれれば面白いのに」
私は微かな違和感を感じる。
魔物は、彼らを認識出来ていませんの?
「まぁいいや。じゃあ死んで?」
その声と共に、触手が私の目の前に迫ってくる。
恐怖から思わず目をつむり、身構える。
?
けれど、襲われるはずの痛みはなく、恐る恐る目を開く。
「すまない。遅くなった」
そこには、切り落とされた、数本の触手と武器を構えるヘーゼル。
「お嬢、無事・・・では、なさそうだな」
そして、私を庇うように立つ、マルクス。
「ヘーゼル、マルクス」
私は、かすれる声で二人の名を呼ぶ。
「話は後だ。とりあえず、これを退ける」
ヘーゼルが魔族を相手に、戦闘を始める。
私には、早すぎて何が何だかわからないけれど。
「お嬢。とりあえず、止血したけど・・・なんてもん庇ってるんだ・・・」
マルクスが、私の大きな傷・・・左腕の裂傷を止血してくれる。
感覚がもうなくて、それを感じることは難しいのだけれど。
「なんてもの?」
言葉の意味がわからず、首をかしげる。
「それ」
マルクスは、私の腕の中を指さす。
「あ。そうだった。彼らを保護できないかしら。なぜ、こんな処にいるのかわからないのだけれど」
私がそう言えば、苦虫を噛みつぶしたような表情でマルクスが、答える。
「あーお嬢。彼らは・・・」
マルクスが何か迷うように口を開こうとしたところで、腕の中から別の声が聞こえた。
「あなたは私に気づいたの?」
「それに、我らは守られたのか?」
幼き姿からは想像できない、落ち着いた女性と男性の声。
「私たち寝過ぎた?」
「寝過ぎたようだな」
私は、彼らに目線を合わせるようにし、語りかける
「気づいたとか、よく分かりませんけれど、ここは危ないですわ」
私の言葉に、彼らは私を見つめてくる。
「人が私たちに気づいたのは何時ぶりかしら」
「人は我らを忘れて久しいからな」
彼らの言葉に、首をかしげていると、マルクスが補足してくれる。
「彼らは、この森の精霊魔族だ。
おそらく、二人で一対なのだと思う。
どうも、戦うものと守るものの組み合わせの様だけど」
珍しい組合せだと、説明するマルクスを彼らは見つめる。
「あなたもわかるの?」
「おまえは・・・人?いや、混血か。我らに近いな」
その言葉に、マルクスは苦笑を浮かべていると、ヘーゼルが直ぐ側へと降り立つ。
「精霊魔族か。聞いたことはあるな。自分には縁が無さそうだ」
ヘーゼルの目線の先には、触手を傷つけられた魔族が苛立たしげに佇んでいる。
「てめぇ、なにもんだ?」
「答える義理はない」
ヘーゼルの返答に、魔族の側の幹が爆ぜる。
「てめぇ・・・」
「そろそろ、いい加減にしてくれるかなぁ」
魔族の後から、無表情に怒りをたたえた、メビウス伍長が現れる。
傍らに、一人の男を携えて。
彼の側の男は、メビウス伍長よりも少し年上に見える。
そして、身に付けている階級章は大佐。メビウス伍長より上位者であることを示している。
「君が暴走してくれたおかけで、俺の計画台無しなんだけど」
「きさま。何を考えている。何故、指示通りに動けぬ」
メビウス伍長は、魔族を憎々しげに見つめた後、私に気づき手を振ってくる。
一方大佐は、魔族から目を離すことなく、にらみつけている。
「魔族である俺を部下にでもしたつもりか?
我が主の命だから従っていたに過ぎない」
魔族は、苛立たしげに触手を地面へと叩きつけている。
叩きつけているだけで、彼らを攻撃しようとはしない。
「ふん。まぁよい。苦情は主の主にする」
大佐のその言葉に、魔族は動きを止める。
「てめぇ・・・憶えてろよ」
憎々しげにつぶやき、触手をおさめている。
「侯爵令嬢。君はまだ使いどころありそうだけど、番犬も出てきたし諦めるしかないかな?」
メビウス伍長が、私へと軽く問いかけてくる。
私は、落ち着くように息を吐き出す。
「何のことかわかりませんわ。お世話になっておいて、少々心苦しいですけれど、家に帰らせて頂きますわ」
私は、少しかすれ、震える声を自覚しつつ、メビウス伍長を見つめる。
最後は、少しばかりの嫌味を混ぜ込む。
やられてばかりは、少々癪ですもの。
「それは、残念」
メビウス伍長は、そう言い大佐へと向き直る。
「だそうですよ。ミール大佐殿。あの番犬から彼女を攫うのは少々ほねかと」
ミール大佐と呼ばれた男は、メビウス伍長をにらみつけ悪態をつく。
「貴様が手を抜くからだ」
大佐の言葉に、何のことですか?と言うように、メビウス伍長は首をかしげている。
絶対、伍長は、大佐をおちょくってますわ。
「まあいい。今日の処は引いてやる。いくぞ」
大佐は、伍長と魔族を引き連れ、姿を消す。
私達は手を出すことなく、彼らを見送る。
おそらく、ヘーゼルあたりは動くことも出来たのでしょうけど、マルクスと二人私を守るようにその場を動かなかった。
そして、二人の存在に安心したためか、
腕の傷と全身の傷によるものなのか、私は意識を手放した。
遠くで、慌てるように私の名を呼ぶ声を聞いた気がした。
事が動いたのは、囚われてから数日。1週間ほど経ったときでしたわ。
何時ものように、メビウス伍長が訪れ、お夕飯を頂いた。
そして、何時もと違うことが起こりましたの。
水車小屋の扉が乱雑に開かれ、入口に夥しい水溜まり。
いいえ、多分あれは血溜まり。むせ返るような、鉄さびに似た生々しい臭いがする。
「てめぇ。てめぇのせいで・・・」
入口には、歪な何か。
正確には、人の形をしたローブから幾重もの触手が這い出している。
私は、これを知っていますわね。
私を攫っていったときにこれと同じものを見ていますわ。
「てめぇを攫ってこなければ、あいつは傷つかなかったのに」
それは、うつろな声で恨み言を紡ぐ。
私の記憶が正しければ、屋敷に現れた際には、傍らに蝙蝠のような羽を持った者が居ましたわね。
「てめぇのせいで、あいつは・・・あいつの綺麗な羽が・・・」
そう言えば、ダリオが羽を一対切り落としていたわね。
それを見た、今目の前にいるものが逆上して、彼らが赤く染まって行ったのだわ。
「あ・・・」
油断なく見つめていたはずなのに。
気づけば、私は森の中に立っていた。
魔族の転移魔法。行使者が目印と定めた場所に一瞬で転移できる魔法。
恐らく、私を王都から辺境へと連れ去ったのもこの魔法なのだろう。
でも、行使出来る者は少ないと聞いていましたのに。
目の前の魔族は、メビウス伍長が言っていた中位魔族なのだろうと予測を立てる。
それも、転移魔法を行使出来るというならば、上位寄りの中位魔族。
「っ!!」
左腕に走った、鋭い痛みによって、思考が中断される。
チラリと目をやれば、肩から肘にかけ衣服が破れ血に染まっているのが見える。
・・・これ以上、見ない方が身のためな気がしますわね。
まだ、大丈夫。お母様たち程血が流れてはいませんもの。
「くく・・・あいつの味わった痛み。てめぇに味わわせてやるよ」
背筋に冷たいものが流れるのと感じつつ、あたりを観察する。
それなりに護身中は習いましたけれど、私は優秀ではなかったのですけれど、そうも言ってられませんわね。
直ぐ側の幹へと身を寄せ、魔族の視界から隠れるように駆け出す。
囚われている間に、軽いワンピースに着替えさせられていて、良かったですわ。
攫われたときのドレスと靴では、身軽に動けませんもの。
「あれ?逃げるんだ?でも、逃がさないよ?」
かける足下を弄ぶように、触手が鞭打つ。
時折、ワンピースと共に肉が裂ける感触と痛みが襲う。
最初に傷つけられた左腕はもはや感覚が無く動かない。
痛みと恐怖でもつれ、ともすれば止まりそうになる足を必死で動かし、かける。
わた、くしは、また、皆に、ユミナさ、まにあ、あうのです。
ここで、ひく、引くわけには、いかない、のですわ。
そう度切れ途切れに思い、駆ければ開けた場所に出る。
そして、切り株で寄り添うように眠る、少年と少女が目に入る。
私を狙う触手が、切り株へと伸びるの認識すれば、私は無意識に彼らに覆いかぶさるようにする。
「ぐっ・・・」
背中に鋭い痛みを感じ、僅かに呻き声が喉から漏れる。
私は、腕の中の小さな存在へと目を向ける。
良かった。傷はおっていなさそう。
でも、何故こんな処に?
「なに?もう、逃げるのは辞めるの?切り刻まれてくれるの?」
魔物は、何故か私の正面から現れ、可笑しそうに言う。
「もう少し粘ってくれれば面白いのに」
私は微かな違和感を感じる。
魔物は、彼らを認識出来ていませんの?
「まぁいいや。じゃあ死んで?」
その声と共に、触手が私の目の前に迫ってくる。
恐怖から思わず目をつむり、身構える。
?
けれど、襲われるはずの痛みはなく、恐る恐る目を開く。
「すまない。遅くなった」
そこには、切り落とされた、数本の触手と武器を構えるヘーゼル。
「お嬢、無事・・・では、なさそうだな」
そして、私を庇うように立つ、マルクス。
「ヘーゼル、マルクス」
私は、かすれる声で二人の名を呼ぶ。
「話は後だ。とりあえず、これを退ける」
ヘーゼルが魔族を相手に、戦闘を始める。
私には、早すぎて何が何だかわからないけれど。
「お嬢。とりあえず、止血したけど・・・なんてもん庇ってるんだ・・・」
マルクスが、私の大きな傷・・・左腕の裂傷を止血してくれる。
感覚がもうなくて、それを感じることは難しいのだけれど。
「なんてもの?」
言葉の意味がわからず、首をかしげる。
「それ」
マルクスは、私の腕の中を指さす。
「あ。そうだった。彼らを保護できないかしら。なぜ、こんな処にいるのかわからないのだけれど」
私がそう言えば、苦虫を噛みつぶしたような表情でマルクスが、答える。
「あーお嬢。彼らは・・・」
マルクスが何か迷うように口を開こうとしたところで、腕の中から別の声が聞こえた。
「あなたは私に気づいたの?」
「それに、我らは守られたのか?」
幼き姿からは想像できない、落ち着いた女性と男性の声。
「私たち寝過ぎた?」
「寝過ぎたようだな」
私は、彼らに目線を合わせるようにし、語りかける
「気づいたとか、よく分かりませんけれど、ここは危ないですわ」
私の言葉に、彼らは私を見つめてくる。
「人が私たちに気づいたのは何時ぶりかしら」
「人は我らを忘れて久しいからな」
彼らの言葉に、首をかしげていると、マルクスが補足してくれる。
「彼らは、この森の精霊魔族だ。
おそらく、二人で一対なのだと思う。
どうも、戦うものと守るものの組み合わせの様だけど」
珍しい組合せだと、説明するマルクスを彼らは見つめる。
「あなたもわかるの?」
「おまえは・・・人?いや、混血か。我らに近いな」
その言葉に、マルクスは苦笑を浮かべていると、ヘーゼルが直ぐ側へと降り立つ。
「精霊魔族か。聞いたことはあるな。自分には縁が無さそうだ」
ヘーゼルの目線の先には、触手を傷つけられた魔族が苛立たしげに佇んでいる。
「てめぇ、なにもんだ?」
「答える義理はない」
ヘーゼルの返答に、魔族の側の幹が爆ぜる。
「てめぇ・・・」
「そろそろ、いい加減にしてくれるかなぁ」
魔族の後から、無表情に怒りをたたえた、メビウス伍長が現れる。
傍らに、一人の男を携えて。
彼の側の男は、メビウス伍長よりも少し年上に見える。
そして、身に付けている階級章は大佐。メビウス伍長より上位者であることを示している。
「君が暴走してくれたおかけで、俺の計画台無しなんだけど」
「きさま。何を考えている。何故、指示通りに動けぬ」
メビウス伍長は、魔族を憎々しげに見つめた後、私に気づき手を振ってくる。
一方大佐は、魔族から目を離すことなく、にらみつけている。
「魔族である俺を部下にでもしたつもりか?
我が主の命だから従っていたに過ぎない」
魔族は、苛立たしげに触手を地面へと叩きつけている。
叩きつけているだけで、彼らを攻撃しようとはしない。
「ふん。まぁよい。苦情は主の主にする」
大佐のその言葉に、魔族は動きを止める。
「てめぇ・・・憶えてろよ」
憎々しげにつぶやき、触手をおさめている。
「侯爵令嬢。君はまだ使いどころありそうだけど、番犬も出てきたし諦めるしかないかな?」
メビウス伍長が、私へと軽く問いかけてくる。
私は、落ち着くように息を吐き出す。
「何のことかわかりませんわ。お世話になっておいて、少々心苦しいですけれど、家に帰らせて頂きますわ」
私は、少しかすれ、震える声を自覚しつつ、メビウス伍長を見つめる。
最後は、少しばかりの嫌味を混ぜ込む。
やられてばかりは、少々癪ですもの。
「それは、残念」
メビウス伍長は、そう言い大佐へと向き直る。
「だそうですよ。ミール大佐殿。あの番犬から彼女を攫うのは少々ほねかと」
ミール大佐と呼ばれた男は、メビウス伍長をにらみつけ悪態をつく。
「貴様が手を抜くからだ」
大佐の言葉に、何のことですか?と言うように、メビウス伍長は首をかしげている。
絶対、伍長は、大佐をおちょくってますわ。
「まあいい。今日の処は引いてやる。いくぞ」
大佐は、伍長と魔族を引き連れ、姿を消す。
私達は手を出すことなく、彼らを見送る。
おそらく、ヘーゼルあたりは動くことも出来たのでしょうけど、マルクスと二人私を守るようにその場を動かなかった。
そして、二人の存在に安心したためか、
腕の傷と全身の傷によるものなのか、私は意識を手放した。
遠くで、慌てるように私の名を呼ぶ声を聞いた気がした。
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