貴方様と私の計略

羽柴 玲

文字の大きさ
上 下
52 / 146
Ⅰ.貴方様と私の計略 ~ 出会いそして約束 ~

52.暗躍する者達(???視点)

しおりを挟む
思ったよりもたいしたことなかったわ



ねえ。あれは、ドラゴンかしら?
ん?いや、あれは人に飼い慣らされた、確か騎竜とか言う奴だ。
強い?
個体差が激しいな。あれは、中の中ぐらいか。
そう。つまんないわ。でも、あれを狩れば喜んでくれる?
どうだろうな。手間は省けるかもしれんが。
むぅ・・・じゃあ、遊びましょう

森の中から見える、赤い小さなドラゴン。
まだ、私に気づかない。
もう少し近づいてみようかしら。

大胆に、けれど気づかれないように。
直ぐ傍まで近づいてみる。まだ、気づかない。

つまらないわ。こんなに近づいても気づいてもらえない。

あら?これは?

目の前のドラゴンから警戒の声が聞こえ、生温かいものが私をぬらす。
そして、私の周りを蠢く触手。

この触手は、私に気づいてる?
いや、気づいてないみたいだぞ?現に、向こうの小さなドラゴンに気をむけている。

あのドラゴンは、弱そうね?
小さいし、スピードが速いんじゃないか?ああ、ほら。なかなかの回避行動だ。
ほんとね。あれは、捕らえるのは難しそう。それより、触手。
あ?これ、魔族だろ。しかも、眷属として縛られてる奴。
眷属としての縛り。触手は望んだ?
そこまでは、しらん。
そう。触手きっていい?
やめておけ。後が色々面倒だ。それに、あれにはかかわらぬ方がよかろう。厄災の匂いが纏わり付いてる。
むぅ。やっぱりつまらない。

・・・?

私に向けられる意思を感じる。
だれ?誰が気づいたの?

彼女?彼女が気づいてる?
あ?・・・確かに、あれは気づいてるな。
ねぇ・・・
そうだな

気づいたなら、手を貸してあげる
守ってあげる

私の力を得たいなら我の力を得たいなら

私の存在に気づけば良い 我の存在を認識すれば良い

私は死を招くもの我は生を招くもの

さあ、赤のワルツをさあ、黒のルンバを


私は、彼女に近づき、我が結界へと閉じ込める
傷ついた彼女を癒すため

さて、彼女を傷つけた代償を、あれに払って貰いましょう。

私の剣で、あれの手足を切り刻む。
あれは、まだ気づかない。私の存在に。
自らの身を傷つけられてなお、気づかない。
あれと我は近しいはずなのに、気づかない。

あれの手足は傷つき、彼女の大きな傷は癒えた。
さあ、我らの役目は終わった。
あれは去り、我らは彼女を放つ。

気づいてくれて、ありがとう。退屈していたの。
我は、常にここにいる。何かあればまた来ると良い。

私たちに、気づいたあなたは、我らの友となった。
友には力を貸し、傷を癒す。

私は、彼女を見送り、我らの住処へと戻る。
途中、最初のドラゴンが、首を残し無くなっていたけれど
我らの意志には残らなかった。

気づかぬ者は捨て置かれ、記憶にも残らない。
気づく者は助けられ、永久の記憶になる。

私はこの森に住みしもの。
我はこの森に在る意志。

私は・・・我は・・・


少し疲れたね。
そうだな。
少しだけ休もうか。
次は、誰が気づいてくれるかな。

微睡みに身を任せながら、未来で出会う奇跡に思いをはせた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

旦那様、離縁の申し出承りますわ

ブラウン
恋愛
「すまない、私はクララと生涯を共に生きていきたい。離縁してくれ」 大富豪 伯爵令嬢のケイトリン。 領地が災害に遭い、若くして侯爵当主なったロイドを幼少の頃より思いを寄せていたケイトリン。ロイド様を助けるため、性急な結婚を敢行。その為、旦那様は平民の女性に癒しを求めてしまった。この国はルメニエール信仰。一夫一妻。婚姻前の男女の行為禁止、婚姻中の不貞行為禁止の厳しい規律がある。旦那様は平民の女性と結婚したいがため、ケイトリンンに離縁を申し出てきた。 旦那様を愛しているがため、旦那様の領地のために、身を粉にして働いてきたケイトリン。 その後、階段から足を踏み外し、前世の記憶を思い出した私。 離縁に応じましょう!未練なし!どうぞ愛する方と結婚し末永くお幸せに! *女性軽視の言葉が一部あります(すみません)

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

【完結】彼を幸せにする十の方法

玉響なつめ
恋愛
貴族令嬢のフィリアには婚約者がいる。 フィリアが望んで結ばれた婚約、その相手であるキリアンはいつだって冷静だ。 婚約者としての義務は果たしてくれるし常に彼女を尊重してくれる。 しかし、フィリアが望まなければキリアンは動かない。 婚約したのだからいつかは心を開いてくれて、距離も縮まる――そう信じていたフィリアの心は、とある夜会での事件でぽっきり折れてしまった。 婚約を解消することは難しいが、少なくともこれ以上迷惑をかけずに夫婦としてどうあるべきか……フィリアは悩みながらも、キリアンが一番幸せになれる方法を探すために行動を起こすのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも掲載しています。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

【完結】愛も信頼も壊れて消えた

miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」 王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。 無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。 だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。 婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。 私は彼の事が好きだった。 優しい人だと思っていた。 だけど───。 彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。 ※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

私があなたを好きだったころ

豆狸
恋愛
「……エヴァンジェリン。僕には好きな女性がいる。初恋の人なんだ。学園の三年間だけでいいから、聖花祭は彼女と過ごさせてくれ」 ※1/10タグの『婚約解消』を『婚約→白紙撤回』に訂正しました。

処理中です...