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Ⅰ.貴方様と私の計略 ~ 出会いそして約束 ~
45.騎竜の最後と護衛騎士の記憶(護衛騎士視点)
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私の失態だな。あいつは逃げおおせただろうか。
視界を閉ざされてから、どれほどの時がだったのか。
時間の感覚が分からなくなってから久しい。
最初こそ共に捕らえられた、使者殿の存在を確認できていた。
それも、いつの間にか無くなった。
私の失態だな。
けして、油断していたわけではない。はずだ。
共に任に着いていたあいつもこの事態は想定外だったと思う。
上手く逃げおおせただろうか。
カーティスは・・・ああ、これも私の失態だな。
私とあいつは、隣国への使者殿の護衛の任に着いた。
敵地へ向かう使者殿の護衛は、けして安全な任ではない。
隊長には、万が一のために、遺書を書いて残してきた。
それは、あいつもだし、使者殿もだ。
騎竜に・・・カーティスに見出され、騎士になった時から覚悟していたこととはいえ、いざその時が訪れれば尻込みをしそうになった。
今回の人選は、もしもの時に逃げ帰る事が出来る可能性のある者としんがりを務める事が出来る者としての人選だった。
私とカーティスは、しんがり担当だ。
私とあいつは、使者殿の要望も有り、最後の休憩として国境沿いの森の側へと降り立った。
上空からは森に異変もなく、直ぐ傍に駐屯兵が居る、比較的安全地帯だと判断した。
実際、辺境伯領でも治安の良い地域のはずだった。
最初に手に落ちたのは、使者殿だったと思う。
いつの間にか、使者殿の姿が消えていた。
使者殿を捜すために、私とカーティスは森の周辺を見て回った。
ある一カ所、争ったような痕跡があった。
狩人が森に入るために切り開いたであろう入口付近。
痕跡を検めていれば、背後でカーティスの警告音を聞いた。
私が振り返れば、カーティスの胴から首が離れ舞っていた。
それを最後に、私の記憶は途切れている。
目の片隅で、あいつが空に飛び立つのを見た気がしたが定かではない。
事の次第を思い出していれば、近くでものがすれる音と風を切る音が聞こえる。
最後にことりという音を聞いたのを最後に、私の意識はまた闇へと帰って行った。
視界を閉ざされてから、どれほどの時がだったのか。
時間の感覚が分からなくなってから久しい。
最初こそ共に捕らえられた、使者殿の存在を確認できていた。
それも、いつの間にか無くなった。
私の失態だな。
けして、油断していたわけではない。はずだ。
共に任に着いていたあいつもこの事態は想定外だったと思う。
上手く逃げおおせただろうか。
カーティスは・・・ああ、これも私の失態だな。
私とあいつは、隣国への使者殿の護衛の任に着いた。
敵地へ向かう使者殿の護衛は、けして安全な任ではない。
隊長には、万が一のために、遺書を書いて残してきた。
それは、あいつもだし、使者殿もだ。
騎竜に・・・カーティスに見出され、騎士になった時から覚悟していたこととはいえ、いざその時が訪れれば尻込みをしそうになった。
今回の人選は、もしもの時に逃げ帰る事が出来る可能性のある者としんがりを務める事が出来る者としての人選だった。
私とカーティスは、しんがり担当だ。
私とあいつは、使者殿の要望も有り、最後の休憩として国境沿いの森の側へと降り立った。
上空からは森に異変もなく、直ぐ傍に駐屯兵が居る、比較的安全地帯だと判断した。
実際、辺境伯領でも治安の良い地域のはずだった。
最初に手に落ちたのは、使者殿だったと思う。
いつの間にか、使者殿の姿が消えていた。
使者殿を捜すために、私とカーティスは森の周辺を見て回った。
ある一カ所、争ったような痕跡があった。
狩人が森に入るために切り開いたであろう入口付近。
痕跡を検めていれば、背後でカーティスの警告音を聞いた。
私が振り返れば、カーティスの胴から首が離れ舞っていた。
それを最後に、私の記憶は途切れている。
目の片隅で、あいつが空に飛び立つのを見た気がしたが定かではない。
事の次第を思い出していれば、近くでものがすれる音と風を切る音が聞こえる。
最後にことりという音を聞いたのを最後に、私の意識はまた闇へと帰って行った。
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