43 / 146
Ⅰ.貴方様と私の計略 ~ 出会いそして約束 ~
43.侯爵令嬢の戦②
しおりを挟む
うう・・・何故、私が陛下に、召喚されねばなりませんの。
マルクス達を王宮へと送り出し、しばらく情報の整理をし、一息ついたタイミングで、陛下から召喚がかかる旨を伝えに、ハルカが急ぎ帰ってきました。
「お嬢様。陛下からお嬢様に召喚がかかりました」
「え?何故・・・」
私は、素で戸惑い聞き返しました。
「今回、お嬢様が騎竜であることを改めたことを報告しましたところ、難癖を付けた上位貴族がおります。
古の血族を、懐疑的に思い排除したい一派です。
旦那様とご子息様については、既に証明がされ覆さないため、お嬢様に目を付けたもようです」
ハルカの報告を聞きながら、私は頭を抱えたくなる。
「この非常時になにをおっしゃっていますの?馬鹿なの?」
私は思わず悪態をついてしまう。
「あまり、物事を俯瞰的に考えられる方ではありませんね。
とりあえず、陛下が渋々召喚状をしたためられました。
しかし、女性という考慮から、書状を出される前に早馬を出される許可を頂いたので、今ココに」
私は大きく息を吐き出し、悪感情を切り替える。
「わかりました。登城の準備をします。侍女頭とメイド長にサポートを頼んでちょうだい」
普段であれば、私の専属侍女である、メルが完璧に仕上げてくれますが、彼女は今は王宮。
我が家の侍女とメイドは優秀ではありますが、王宮へ登城するための支度を出来る者は、限られてしまいます。
そのため、年配で重職に就いている者の力を借りざるをえません。
特に現在は、其れ其れの情報網を使い情報収集を頼んでいるので、下位の者達では、恐らく手が回りません。
そういえば、侍女頭とメイド長が後任が育たないと嘆いていましたわね。
今度、出来るかは分かりませんが、力添えをしましょう。
私の準備がほぼ終わる頃、ダリオが召喚状を持ち使者が現れたと報告に来ました。
「後数分お待ちいただいて。もう終わるから」
私の言葉に肯定を示し、ダリオは使者の元へとお戻っていきます。
「それにしても、女の支度の大変さを分からないなんて、貴族としてどうなのかしら。
そもそも、余程で無い限り令嬢の古の血族である証明は要らないし、求めてはいけないもののはずなのだけれど。
本当に頭が痛いわ」
私は、準備を整え、玄関ホールへと向かう。
そこにいらっしゃる方が視界に入った瞬間に、現実逃避がしたくなりました。
「やぁ。テイラー嬢。準備は整ったのかい?」
そこには、王弟殿下の姿がありました。
私は、気を取り直し、王弟殿下の元へと行き、跪礼を行います。
「よい。顔を上げよ」
「お待たせしてしまい。申しわけございません」
私の言葉に、殿下は笑顔で気にするなと答えてくださいます。
「かまわない。急な呼び出しだ。むしろ、待たされた時間は予想していたよりも、かなり早い。いけるか?」
「はい。問題ございません」
私の言葉に、殿下はエスコートの為に手を差し出してくださいましたので、少々驚きながらも手を取り馬車へと乗り込みます。
馬車の中で、殿下は私へといくつか質問されて来ました。
「召喚の理由は聞いているか」
「概ね把握しております」
「テイラー家およびテイラー嬢は、謀反を考えてはいない」
その質問には少々驚きながらも、素直に、けれど力を込めて返答しました。
「はい。お爺さまも弟のクルツもその様なことは考えておりません」
「テイラー嬢は、古の血族である」
「はい」
私の答えに、満足したのか殿下の質問が止まりました。
「すまない。試すような事をした」
「いいえ。構いません。たいしたことではございませんので」
私の言葉に殿下は、苦笑をしながら説明くださいました。
「陛下に・・・いや、あれは兄上にだな。私の力による判定をしておいてくれと依頼された。
まぁ、詳しくは話さないが、私は異能の発露者だからな」
殿下のお言葉に、若干目を見開いてると、殿下がまじまじと私の顔を見てきます。
「それにしても・・・わからん」
殿下のお言葉に、こてんと首をかしげれば、苦笑して説明くださいました。
「ユミナに注意深く見ていれば、表情の変化に気がつくとは言われたが・・・わからん。
異能の発露と言った下りで、若干目を見開いたのが辛うじてわかっただけなだな。首をかしげる仕草は、可愛らしいが私には無表情に首をかしげているように見える」
ユミナ様のお名前が出たところで、ピクンと反応しそうになりましたが、何とか抑え王弟殿下へ返す。
「表情通り、何も感じていないかもしれませんわよ?」
殿下はにやりと笑い
「いや?本当にそうなら、そんな事をいわんものだ」
私は、そうですか。と答えながら、思う。
多分、信頼出来る方なのだろうと。
立場もおありだから、全てにおいて味方してくださる方ではないのだろうけれど。
そんなことを考えていれば、馬車は既に王宮の門をくぐるところだった。
マルクス達を王宮へと送り出し、しばらく情報の整理をし、一息ついたタイミングで、陛下から召喚がかかる旨を伝えに、ハルカが急ぎ帰ってきました。
「お嬢様。陛下からお嬢様に召喚がかかりました」
「え?何故・・・」
私は、素で戸惑い聞き返しました。
「今回、お嬢様が騎竜であることを改めたことを報告しましたところ、難癖を付けた上位貴族がおります。
古の血族を、懐疑的に思い排除したい一派です。
旦那様とご子息様については、既に証明がされ覆さないため、お嬢様に目を付けたもようです」
ハルカの報告を聞きながら、私は頭を抱えたくなる。
「この非常時になにをおっしゃっていますの?馬鹿なの?」
私は思わず悪態をついてしまう。
「あまり、物事を俯瞰的に考えられる方ではありませんね。
とりあえず、陛下が渋々召喚状をしたためられました。
しかし、女性という考慮から、書状を出される前に早馬を出される許可を頂いたので、今ココに」
私は大きく息を吐き出し、悪感情を切り替える。
「わかりました。登城の準備をします。侍女頭とメイド長にサポートを頼んでちょうだい」
普段であれば、私の専属侍女である、メルが完璧に仕上げてくれますが、彼女は今は王宮。
我が家の侍女とメイドは優秀ではありますが、王宮へ登城するための支度を出来る者は、限られてしまいます。
そのため、年配で重職に就いている者の力を借りざるをえません。
特に現在は、其れ其れの情報網を使い情報収集を頼んでいるので、下位の者達では、恐らく手が回りません。
そういえば、侍女頭とメイド長が後任が育たないと嘆いていましたわね。
今度、出来るかは分かりませんが、力添えをしましょう。
私の準備がほぼ終わる頃、ダリオが召喚状を持ち使者が現れたと報告に来ました。
「後数分お待ちいただいて。もう終わるから」
私の言葉に肯定を示し、ダリオは使者の元へとお戻っていきます。
「それにしても、女の支度の大変さを分からないなんて、貴族としてどうなのかしら。
そもそも、余程で無い限り令嬢の古の血族である証明は要らないし、求めてはいけないもののはずなのだけれど。
本当に頭が痛いわ」
私は、準備を整え、玄関ホールへと向かう。
そこにいらっしゃる方が視界に入った瞬間に、現実逃避がしたくなりました。
「やぁ。テイラー嬢。準備は整ったのかい?」
そこには、王弟殿下の姿がありました。
私は、気を取り直し、王弟殿下の元へと行き、跪礼を行います。
「よい。顔を上げよ」
「お待たせしてしまい。申しわけございません」
私の言葉に、殿下は笑顔で気にするなと答えてくださいます。
「かまわない。急な呼び出しだ。むしろ、待たされた時間は予想していたよりも、かなり早い。いけるか?」
「はい。問題ございません」
私の言葉に、殿下はエスコートの為に手を差し出してくださいましたので、少々驚きながらも手を取り馬車へと乗り込みます。
馬車の中で、殿下は私へといくつか質問されて来ました。
「召喚の理由は聞いているか」
「概ね把握しております」
「テイラー家およびテイラー嬢は、謀反を考えてはいない」
その質問には少々驚きながらも、素直に、けれど力を込めて返答しました。
「はい。お爺さまも弟のクルツもその様なことは考えておりません」
「テイラー嬢は、古の血族である」
「はい」
私の答えに、満足したのか殿下の質問が止まりました。
「すまない。試すような事をした」
「いいえ。構いません。たいしたことではございませんので」
私の言葉に殿下は、苦笑をしながら説明くださいました。
「陛下に・・・いや、あれは兄上にだな。私の力による判定をしておいてくれと依頼された。
まぁ、詳しくは話さないが、私は異能の発露者だからな」
殿下のお言葉に、若干目を見開いてると、殿下がまじまじと私の顔を見てきます。
「それにしても・・・わからん」
殿下のお言葉に、こてんと首をかしげれば、苦笑して説明くださいました。
「ユミナに注意深く見ていれば、表情の変化に気がつくとは言われたが・・・わからん。
異能の発露と言った下りで、若干目を見開いたのが辛うじてわかっただけなだな。首をかしげる仕草は、可愛らしいが私には無表情に首をかしげているように見える」
ユミナ様のお名前が出たところで、ピクンと反応しそうになりましたが、何とか抑え王弟殿下へ返す。
「表情通り、何も感じていないかもしれませんわよ?」
殿下はにやりと笑い
「いや?本当にそうなら、そんな事をいわんものだ」
私は、そうですか。と答えながら、思う。
多分、信頼出来る方なのだろうと。
立場もおありだから、全てにおいて味方してくださる方ではないのだろうけれど。
そんなことを考えていれば、馬車は既に王宮の門をくぐるところだった。
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
政略結婚の約束すら守ってもらえませんでした。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
「すまない、やっぱり君の事は抱けない」初夜のベットの中で、恋焦がれた初恋の人にそう言われてしまいました。私の心は砕け散ってしまいました。初恋の人が妹を愛していると知った時、妹が死んでしまって、政略結婚でいいから結婚して欲しいと言われた時、そして今。三度もの痛手に私の心は耐えられませんでした。
私はただ一度の暴言が許せない
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
厳かな結婚式だった。
花婿が花嫁のベールを上げるまでは。
ベールを上げ、その日初めて花嫁の顔を見た花婿マティアスは暴言を吐いた。
「私の花嫁は花のようなスカーレットだ!お前ではない!」と。
そして花嫁の父に向かって怒鳴った。
「騙したな!スカーレットではなく別人をよこすとは!
この婚姻はなしだ!訴えてやるから覚悟しろ!」と。
そこから始まる物語。
作者独自の世界観です。
短編予定。
のちのち、ちょこちょこ続編を書くかもしれません。
話が進むにつれ、ヒロイン・スカーレットの印象が変わっていくと思いますが。
楽しんでいただけると嬉しいです。
※9/10 13話公開後、ミスに気づいて何度か文を訂正、追加しました。申し訳ありません。
※9/20 最終回予定でしたが、訂正終わりませんでした!すみません!明日最終です!
※9/21 本編完結いたしました。ヒロインの夢がどうなったか、のところまでです。
ヒロインが誰を選んだのか?は読者の皆様に想像していただく終わり方となっております。
今後、番外編として別視点から見た物語など数話ののち、
ヒロインが誰と、どうしているかまでを書いたエピローグを公開する予定です。
よろしくお願いします。
※9/27 番外編を公開させていただきました。
※10/3 お話の一部(暴言部分1話、4話、6話)を訂正させていただきました。
※10/23 お話の一部(14話、番外編11ー1話)を訂正させていただきました。
※10/25 完結しました。
ここまでお読みくださった皆様。導いてくださった皆様にお礼申し上げます。
たくさんの方から感想をいただきました。
ありがとうございます。
様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、
今後はいただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。
申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。
もちろん、私は全て読ませていただきます。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
【完結】どうして殺されたのですか?貴方達の愛はもう要りません
たろ
恋愛
処刑されたエリーゼ。
何もしていないのに冤罪で……
死んだと思ったら6歳に戻った。
さっき処刑されたばかりなので、悔しさも怖さも痛さも残ったまま巻き戻った。
絶対に許さない!
今更わたしに優しくしても遅い!
恨みしかない、父親と殿下!
絶対に復讐してやる!
★設定はかなりゆるめです
★あまりシリアスではありません
★よくある話を書いてみたかったんです!!
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる