37 / 146
Ⅰ.貴方様と私の計略 ~ 出会いそして約束 ~
37.侯爵家の女主人
しおりを挟む
知の侯爵と呼ばれる、侯爵家の女主人に求められるのは、情報の整理能力と真実を見る力。
私も頑張らねば。
皆を見送った私は、まずは現状の整理を始めます。
「ダリオ、現状の整理をするわ」
テイラー家の執事長を務める、ダリオと共に女主人の執務室へ入る。
「現在、北の辺境伯領の情報をどこまでつかめているの」
「北の辺境伯領の情報は、辺境伯領からの情報が正しいことも多く、素早くあげられるため常時集めているわけではありませんので、辺境伯様からの情報が最新で全てです」
ダリオの返答に、少し考え結論を出す。
「では、急ぎ北の辺境伯領と国境付近に偵察を。どんな小さな事でも情報を拾って来て下さい。
それから、ハルカとカレンはお爺さまに着いているわね?」
ダリオが頷くのを確認しながら、止めることなく思考を続ける。
元々、ハルカとカレンは、お爺さま専属なのだから、当たり前ではあるのだけど。
そうね。あちらの情報も欲しいわね。情報の精査に必要だわ。
「お爺さまに、あちらの情報をこちらに流して貰うように頼んでちょうだい。
あげる情報の優先順位を決めるのに必要だわ。
それと、情報の共有はマメに行ってちょうだい。個々の判断で、素早く揚げる必要があるものは、お爺さまとクルツに直接あげて貰って構わないわ。
その場合は、後付けで報告を。
それから、クルツにカリンとカイトの双子を付けてちょうだい。
普段着いている二人は、情報の収集に回して」
クルツとは、カリンとカイトが相性が一番いいわ。
それに、素早く多くを集めるなら、カリンとカイトではたりない。
一通りの指示を出し、現在上がっている情報に目を通す。
とりあえずは、北の国境だけで問題が起きているようですわね。
北は元々不安定は地域ではありますけれど、シュトラウス家が辺境伯になってからは、比較的安定してましたのに。
ここ最近で辺境伯領で何か変化があったかしら?
・・・あったわ。ユミナ様が王都に滞在しているわ。
王都から国境まで、馬車で7日程度。
早馬を乗り継いでも、2日程度かかるわ。
王家所属の騎竜隊の助力を得られて、半日程度かしら。
そう考えるとユミナ様の留守を狙った?
可能性としては比較的高いけれど、決定打にかけるわね。
「ダリオ。王都貴族の動向と情勢を調査してちょうだい。
何故、今なのかが気になるわ。ユミナ様が辺境伯領を留守にしているからなのか、別の理由があるのか。
判断するための情報がいるわ」
後は、辺境伯との連絡経路が欲しいわね。
お爺さまの許可はいるけれど・・・そうね。彼らにしましょう。
少しばかり、クセが強いけれど、多分大丈夫よね?
「ヘーゼルとマルクスはいるかしら?」
私の言葉に、二つの影が現れる。
一人は年配の男性でもう一人は若い男性。
本来、二人はお爺さまの専属の様なもの。
私に出来るかしら?いえ、やらなければ!
「お嬢が我らを使うのは珍しいね」
若い男性は、マルクス。少し、剽軽な性格をしている。
そして、使われる相手をしっかりと選んでくる。
ヘーゼルは、少しひねくれてるし、使える相手を選ぶ。
「そうね。貴方たちは、まだ私を本気で認めてはいないでしょう?」
「では、何故今呼んだ」
ヘーゼルが、目を細め見下ろしてくる。
うう・・・この二人の威圧感は相変わらずですわね。
本能に訴えかけるというか。でも、ひるむわけにはいかないのよ。
「当たり前のことを聞かないでちょうだい。
貴方たちが適任だと判断したからに決まっています。
ただ、他家がかかわるから、お爺さまに判断を仰がねばなりませんが。
既に認識していると思うけれど、北の辺境伯領・・・というか、国境で不穏な動きが発生しています。
テイラー家としては、情報の収集と提供。あとは、必要に応じて実力行使です。やることは、何時もと変わらないわ。
そこで、シュトラウス辺境伯との連絡経路としての昨日を貴方たちにお願いしたいの。
既に、辺境伯にはハルカとカレンが顔を合わせています。
彼らに連絡経路となって貰っても良いのですが、彼らはお爺さまの護衛も兼ねていますから、適任ではありません。
それに、貴方たちなら、国境と王都を半日程度で移動可能でしょう?」
私は、一通りの説明をし、ヘーゼルとマルクスを見つめます。
目をそらしたらだめな気がするわね。
「当主の許可は」
「お爺さまは現在王宮に上がっていて、帰ってこないと思うわ。
だから、貴方たちに直接許可をとって貰って、そのまま辺境伯領へ行って貰おうかと思って」
私の答えに、二人は一瞬虚を突かれたような顔をし、マルクスが笑い出しました。
「よくそれで、俺たち使おうと思ったね」
マルクスの言葉に、私はそうよね。と答えます。
「私、最近、守りたいものが増えましたの。そして、譲れないものも。ですから、必要だと判断すれば、無茶だと思っても通しますわ」
「それが、辺境伯か?」
ヘーゼルの問に私は、頷き
「私、お父様から頂いていた、形見の鞘飾りを渡しましたの」
そう答えた。
鞘飾り。母から息子へ。父から娘へと贈られるお守りの様なもの。
父から娘への鞘飾りは、娘の安全を祈願する意味合いと娘の大事な人の安全を祈願する意味合いがある。
娘の鞘飾りは、娘の大切な人へと贈られるものだからだ。
母から息子への鞘飾りは、息子の安全を祈願する意味を持つ。
息子の大切な人から鞘飾りが贈られるまで。
私はお父様から、クルツはお母様から鞘飾りを頂いています。
既に廃れた風習だけれど、お母様がお爺さまから頂いていたから。
テイラー家に残っている古い風習の一つだとお爺さまが後に教えてくださいました。
そして、私はユミナ様へ鞘飾りを送りました。
それが、意味することはそういうことで。
ユミナ様がご存じかはわかりませんけれど。
「そうか」
ヘーゼルは、それだけ言う。マルクスは、少し逡巡したのちこちらに問いかけてくる。
「お嬢は俺たちのことをどう思っている」
どうとは?
漠然とした問いかけに、質問の意味と答を考える。
「質問の意図をとりかねるのですけれど。そうですわね。
私に出来ないことを出来ることについては、すごいと思いますし、敬意を払いたいと思っていますわ。
そして、私にとってあなた方は、仲間であり、家族であり、兄弟のようなものだと認識しております。
私は、あなた方が傷つくことは望みませんし、いなくなれば悲しいです。
けれど、私は上に立つものとして、おそらく酷な指示を出すこともあると思いますわ。
それだけでなく、本心はどうあれ切り捨てる判断をすることもあるでしょう」
これで、答えになりますか。と、マルクスを見つめる。
内心は、これで良いのかという不安が渦巻いていますけれど。
「嬢ちゃんは、甘いな」
そうですか?と、問えば、当主とその奥方は、使うものと使われるものだと言い切られた。と、答えられました。
どうやら、お爺さまとお婆さまは、私とは考え方が違うようですわね。
多分、私の考え方は市井にいた事があり、その上に貴族としての考え方をのせているからなのだとか思います。
「まぁ、嫌いな考え方ではないな」
そう言って、行ってくるとマルクスは、ヘーゼルと共に姿を消しました。
どうやら、私の回答はお気に召してくださったようです。
ひとまず、彼らとお爺さまに任せましょう。
しばらくして、お爺さまからの連絡が届きました。
マルクスとヘーゼルの件については、一部条件付きにはなったようですけれども、許可がおりたようですわ。
クルツからもカリンとカイトが着くことに了承の返答が添えられていました。
次は、王宮での情報のようですわね。
現在、王宮では右往左往しているようです。
北の隣国からは、国境付近での演習の予定は連絡されていないようですわ。
まぁ、同盟国ではないのですから、致し方ないですけれど。
こちらについては、辺境伯による防衛ラインの強化と厳戒態勢をしきつつ、隣国への遺憾の意と真意を確かめるべく使者を送ることにしたようです。
今回の使者さまは、命の危険が伴うわね。
隣国に我が国に敵対意思があった場合は、無事に帰ってこれる保障はないですし。
ヘタをすると拘束や首が落とされることもあるはず。
あ。一応、騎竜隊が護衛につくようですわね。
まぁ、リスクが少し減る程度でしょうけど。
ユミナ様は、ヘーゼルとマルクスを伴って、北に帰られたようですわね。
辺境伯領との連絡用の騎竜に同乗したようです。
と言うことは、ヘーゼル達とは移動自体は別行動・・・何もなければ良いけれど。
でも、そろそろ着く頃合かしら?
それにしても、議席権を持つ貴族たちは、何をしてますの?
事態が発覚し国王による議席招集がかかってから、数刻。
馳せ参じたのは、半数にも満たないだなんて。
社交シーズンなのだから、ほぼ王都に滞在しているでしょうに。
対岸の火事。
自分には関係ない事だとお考えなのでしょうか。
北の国境が崩れれば、国内は荒れるというのに。
平和ぼけと言う奴かしらね。
あとは・・・お爺さまが欲しい情報が纏められているわね。
北の国境付近の情報。
辺境伯領の情報。
王都に滞在中の貴族の動向。
市井の情報。
市井の情報?
何に・・・ああ。市井の噂話には幾ばくかの真実がありますものね。
後は、市井の物流情報。何処に何が流れているかについても確認する必要がありそうね。
「ダリオ。市井の噂も含む情報の収集を持ってきてちょうだい。
それと、ここ数年の物流に関する情報もお願い」
それから、私は情報の波に埋もれながら、集まる情報を精査整理し、必要な場所へと流していく。
テイラー家の女性が求められるのはのは、社交術。
けれど、それよりも重要視されるのは、思考力と観察眼。
情報の精査と整理。それて、それらを判断する能力。
噂の中の真実を見極める力。
私の社交術は、ちょっぴり心許ないけれど、
テイラー家の女として、女主人として出来ることを頑張らねば。
私も頑張らねば。
皆を見送った私は、まずは現状の整理を始めます。
「ダリオ、現状の整理をするわ」
テイラー家の執事長を務める、ダリオと共に女主人の執務室へ入る。
「現在、北の辺境伯領の情報をどこまでつかめているの」
「北の辺境伯領の情報は、辺境伯領からの情報が正しいことも多く、素早くあげられるため常時集めているわけではありませんので、辺境伯様からの情報が最新で全てです」
ダリオの返答に、少し考え結論を出す。
「では、急ぎ北の辺境伯領と国境付近に偵察を。どんな小さな事でも情報を拾って来て下さい。
それから、ハルカとカレンはお爺さまに着いているわね?」
ダリオが頷くのを確認しながら、止めることなく思考を続ける。
元々、ハルカとカレンは、お爺さま専属なのだから、当たり前ではあるのだけど。
そうね。あちらの情報も欲しいわね。情報の精査に必要だわ。
「お爺さまに、あちらの情報をこちらに流して貰うように頼んでちょうだい。
あげる情報の優先順位を決めるのに必要だわ。
それと、情報の共有はマメに行ってちょうだい。個々の判断で、素早く揚げる必要があるものは、お爺さまとクルツに直接あげて貰って構わないわ。
その場合は、後付けで報告を。
それから、クルツにカリンとカイトの双子を付けてちょうだい。
普段着いている二人は、情報の収集に回して」
クルツとは、カリンとカイトが相性が一番いいわ。
それに、素早く多くを集めるなら、カリンとカイトではたりない。
一通りの指示を出し、現在上がっている情報に目を通す。
とりあえずは、北の国境だけで問題が起きているようですわね。
北は元々不安定は地域ではありますけれど、シュトラウス家が辺境伯になってからは、比較的安定してましたのに。
ここ最近で辺境伯領で何か変化があったかしら?
・・・あったわ。ユミナ様が王都に滞在しているわ。
王都から国境まで、馬車で7日程度。
早馬を乗り継いでも、2日程度かかるわ。
王家所属の騎竜隊の助力を得られて、半日程度かしら。
そう考えるとユミナ様の留守を狙った?
可能性としては比較的高いけれど、決定打にかけるわね。
「ダリオ。王都貴族の動向と情勢を調査してちょうだい。
何故、今なのかが気になるわ。ユミナ様が辺境伯領を留守にしているからなのか、別の理由があるのか。
判断するための情報がいるわ」
後は、辺境伯との連絡経路が欲しいわね。
お爺さまの許可はいるけれど・・・そうね。彼らにしましょう。
少しばかり、クセが強いけれど、多分大丈夫よね?
「ヘーゼルとマルクスはいるかしら?」
私の言葉に、二つの影が現れる。
一人は年配の男性でもう一人は若い男性。
本来、二人はお爺さまの専属の様なもの。
私に出来るかしら?いえ、やらなければ!
「お嬢が我らを使うのは珍しいね」
若い男性は、マルクス。少し、剽軽な性格をしている。
そして、使われる相手をしっかりと選んでくる。
ヘーゼルは、少しひねくれてるし、使える相手を選ぶ。
「そうね。貴方たちは、まだ私を本気で認めてはいないでしょう?」
「では、何故今呼んだ」
ヘーゼルが、目を細め見下ろしてくる。
うう・・・この二人の威圧感は相変わらずですわね。
本能に訴えかけるというか。でも、ひるむわけにはいかないのよ。
「当たり前のことを聞かないでちょうだい。
貴方たちが適任だと判断したからに決まっています。
ただ、他家がかかわるから、お爺さまに判断を仰がねばなりませんが。
既に認識していると思うけれど、北の辺境伯領・・・というか、国境で不穏な動きが発生しています。
テイラー家としては、情報の収集と提供。あとは、必要に応じて実力行使です。やることは、何時もと変わらないわ。
そこで、シュトラウス辺境伯との連絡経路としての昨日を貴方たちにお願いしたいの。
既に、辺境伯にはハルカとカレンが顔を合わせています。
彼らに連絡経路となって貰っても良いのですが、彼らはお爺さまの護衛も兼ねていますから、適任ではありません。
それに、貴方たちなら、国境と王都を半日程度で移動可能でしょう?」
私は、一通りの説明をし、ヘーゼルとマルクスを見つめます。
目をそらしたらだめな気がするわね。
「当主の許可は」
「お爺さまは現在王宮に上がっていて、帰ってこないと思うわ。
だから、貴方たちに直接許可をとって貰って、そのまま辺境伯領へ行って貰おうかと思って」
私の答えに、二人は一瞬虚を突かれたような顔をし、マルクスが笑い出しました。
「よくそれで、俺たち使おうと思ったね」
マルクスの言葉に、私はそうよね。と答えます。
「私、最近、守りたいものが増えましたの。そして、譲れないものも。ですから、必要だと判断すれば、無茶だと思っても通しますわ」
「それが、辺境伯か?」
ヘーゼルの問に私は、頷き
「私、お父様から頂いていた、形見の鞘飾りを渡しましたの」
そう答えた。
鞘飾り。母から息子へ。父から娘へと贈られるお守りの様なもの。
父から娘への鞘飾りは、娘の安全を祈願する意味合いと娘の大事な人の安全を祈願する意味合いがある。
娘の鞘飾りは、娘の大切な人へと贈られるものだからだ。
母から息子への鞘飾りは、息子の安全を祈願する意味を持つ。
息子の大切な人から鞘飾りが贈られるまで。
私はお父様から、クルツはお母様から鞘飾りを頂いています。
既に廃れた風習だけれど、お母様がお爺さまから頂いていたから。
テイラー家に残っている古い風習の一つだとお爺さまが後に教えてくださいました。
そして、私はユミナ様へ鞘飾りを送りました。
それが、意味することはそういうことで。
ユミナ様がご存じかはわかりませんけれど。
「そうか」
ヘーゼルは、それだけ言う。マルクスは、少し逡巡したのちこちらに問いかけてくる。
「お嬢は俺たちのことをどう思っている」
どうとは?
漠然とした問いかけに、質問の意味と答を考える。
「質問の意図をとりかねるのですけれど。そうですわね。
私に出来ないことを出来ることについては、すごいと思いますし、敬意を払いたいと思っていますわ。
そして、私にとってあなた方は、仲間であり、家族であり、兄弟のようなものだと認識しております。
私は、あなた方が傷つくことは望みませんし、いなくなれば悲しいです。
けれど、私は上に立つものとして、おそらく酷な指示を出すこともあると思いますわ。
それだけでなく、本心はどうあれ切り捨てる判断をすることもあるでしょう」
これで、答えになりますか。と、マルクスを見つめる。
内心は、これで良いのかという不安が渦巻いていますけれど。
「嬢ちゃんは、甘いな」
そうですか?と、問えば、当主とその奥方は、使うものと使われるものだと言い切られた。と、答えられました。
どうやら、お爺さまとお婆さまは、私とは考え方が違うようですわね。
多分、私の考え方は市井にいた事があり、その上に貴族としての考え方をのせているからなのだとか思います。
「まぁ、嫌いな考え方ではないな」
そう言って、行ってくるとマルクスは、ヘーゼルと共に姿を消しました。
どうやら、私の回答はお気に召してくださったようです。
ひとまず、彼らとお爺さまに任せましょう。
しばらくして、お爺さまからの連絡が届きました。
マルクスとヘーゼルの件については、一部条件付きにはなったようですけれども、許可がおりたようですわ。
クルツからもカリンとカイトが着くことに了承の返答が添えられていました。
次は、王宮での情報のようですわね。
現在、王宮では右往左往しているようです。
北の隣国からは、国境付近での演習の予定は連絡されていないようですわ。
まぁ、同盟国ではないのですから、致し方ないですけれど。
こちらについては、辺境伯による防衛ラインの強化と厳戒態勢をしきつつ、隣国への遺憾の意と真意を確かめるべく使者を送ることにしたようです。
今回の使者さまは、命の危険が伴うわね。
隣国に我が国に敵対意思があった場合は、無事に帰ってこれる保障はないですし。
ヘタをすると拘束や首が落とされることもあるはず。
あ。一応、騎竜隊が護衛につくようですわね。
まぁ、リスクが少し減る程度でしょうけど。
ユミナ様は、ヘーゼルとマルクスを伴って、北に帰られたようですわね。
辺境伯領との連絡用の騎竜に同乗したようです。
と言うことは、ヘーゼル達とは移動自体は別行動・・・何もなければ良いけれど。
でも、そろそろ着く頃合かしら?
それにしても、議席権を持つ貴族たちは、何をしてますの?
事態が発覚し国王による議席招集がかかってから、数刻。
馳せ参じたのは、半数にも満たないだなんて。
社交シーズンなのだから、ほぼ王都に滞在しているでしょうに。
対岸の火事。
自分には関係ない事だとお考えなのでしょうか。
北の国境が崩れれば、国内は荒れるというのに。
平和ぼけと言う奴かしらね。
あとは・・・お爺さまが欲しい情報が纏められているわね。
北の国境付近の情報。
辺境伯領の情報。
王都に滞在中の貴族の動向。
市井の情報。
市井の情報?
何に・・・ああ。市井の噂話には幾ばくかの真実がありますものね。
後は、市井の物流情報。何処に何が流れているかについても確認する必要がありそうね。
「ダリオ。市井の噂も含む情報の収集を持ってきてちょうだい。
それと、ここ数年の物流に関する情報もお願い」
それから、私は情報の波に埋もれながら、集まる情報を精査整理し、必要な場所へと流していく。
テイラー家の女性が求められるのはのは、社交術。
けれど、それよりも重要視されるのは、思考力と観察眼。
情報の精査と整理。それて、それらを判断する能力。
噂の中の真実を見極める力。
私の社交術は、ちょっぴり心許ないけれど、
テイラー家の女として、女主人として出来ることを頑張らねば。
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
夫は私を愛してくれない
はくまいキャベツ
恋愛
「今までお世話になりました」
「…ああ。ご苦労様」
彼はまるで長年勤めて退職する部下を労うかのように、妻である私にそう言った。いや、妻で“あった”私に。
二十数年間すれ違い続けた夫婦が別れを決めて、もう一度向き合う話。
寡黙な貴方は今も彼女を想う
MOMO-tank
恋愛
婚約者以外の女性に夢中になり、婚約者を蔑ろにしたうえ婚約破棄した。
ーーそんな過去を持つ私の旦那様は、今もなお後悔し続け、元婚約者を想っている。
シドニーは王宮で側妃付きの侍女として働く18歳の子爵令嬢。見た目が色っぽいシドニーは文官にしつこくされているところを眼光鋭い年上の騎士に助けられる。その男性とは辺境で騎士として12年、数々の武勲をあげ一代限りの男爵位を授かったクライブ・ノックスだった。二人はこの時を境に会えば挨拶を交わすようになり、いつしか婚約話が持ち上がり結婚する。
言葉少ないながらも彼の優しさに幸せを感じていたある日、クライブの元婚約者で現在は未亡人となった美しく儚げなステラ・コンウォール前伯爵夫人と夜会で再会する。
※設定はゆるいです。
※溺愛タグ追加しました。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる