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Ⅰ.貴方様と私の計略 ~ 出会いそして約束 ~
20.辺境伯の怒りと采配(ユミナ視点)
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とりあえず、王の判断待ち…だな。
私は今、腸が煮えくり返るような怒りと共に途方もない呆れを感じている。
理由はいたってわかりやすい。
シトラン殿から、第二王子殿下のあきれる行動とミリィへ対する暴言の数々を聞いたからである。
その当の殿下は、「私は悪くない」とずっとぶつぶつ言っている。
「殿下。何か言い分があるのならお伺いしますが」
私の声に反応を示さない殿下に、無駄であろうと思いつつ、今後の話をしていく。
「殿下は、先ぶれもなく侯爵家の別邸へ訪問し、令嬢に危害を加えたわけですから、
国王と王太子殿下並びに王弟殿下へこのことは報告させていただきます。
また、それに伴い宰相閣下などの議席権を保持する貴族に報告さえると思われます。
その際に、王位継承権所有者として施政者の資質を問われる可能性がございます。
心しておいていただければと存じます」
施政者の資質といったところで、若干びくりと身を震わせたようですが、その他に特段反応を示されません。
「また、先ほど申し上げましたことは、辺境伯家としてこの場に居合わせたものの判断です。
別途、テイラー家としての判断によって、何等かの報告が上がる可能性もあります」
私は、テイラー家の家令に用意してもらった書面に、シトラン殿からの聞いた内容と私の判断とを書き込んでいく。
「シトラン殿。内容を確認の上、こちらに署名いただけるか」
「拝見させていただきます」
私は、シトラン殿に書類を渡す。
その間、第二王子殿下の監視を引き受ける。現在の私の権限では、殿下を拘束できないが、足止め程度はできるだろう。
それにしても、第二王子殿下の様子がおかしいのが気になるな。
馬鹿と名高い第二王子殿下でも、殿下としての最低限のモラルを保持されていたと思ったのだが。
まぁ、私の知らぬ数年の内に堕落されたのかもしれないが…
私は、書類を確認するシトラン殿を目の端にとらえつつ、殿下の様子を観察する。
両の目は空ろではないな。違法施術によって傀儡化されているわけではなさそうだ。
肌の色も健康的だな。後、考えられるのは、話術による洗脳…か?
ただ、これの立証はなかなか難しい。殿下の会話相手との会話を逐一検証しなければならないし、すでに洗脳済みである場合は、検証すらできない。
とはいえ、一番楽なのは、ただの馬鹿って説なんだが。
「辺境伯、こちら、署名いたしました」
私は、シトラン殿の言葉に殿下に対する考察を止め、書類を受け取る。
シトラン殿の署名の下に、自身の署名を行い、封筒に入れ封蝋で封をする。
封蝋は、テイラー家のものではなく、シュトラウス家のものを使う。
入口に待機している、テイラー家の家令に、クルツの許可を得て王宮にこの封書を届けてくれるよう頼む。
家令は、賜りましたと部屋を出て行った。
「さて、第二王子殿下だが、ここに留め置くことはできない。テイラー侯爵家の迷惑になるからだ。
シトラン殿。申し訳ないのだが、王宮へお連れしてもらえるか」
「承知いたしました」
シトラン殿は、本来の主ではない私の言葉に、同意の意を示すと、王宮へ帰るための準備を始める。
第二王子殿下を一人にはできないので、準備が整うまで私に一緒にいてくれと留め置いてだが。
まぁ、第二王子殿下の護衛の意味もあるだろうが、体の良い見張りを頼まれたわけだ。
流石、王太子殿下の懐刀の一人。というわけか。
ミリィやクルツとも交流があるようだし、場合によっては私とも縁ができる可能性があるのか。
私は、第二王子殿下の側に控えながら、この先について考える。
とりあえず、第二王子殿下の処遇は王たちに丸投げしたから、王の判断待ちだな。
ただ、第二王子殿下の様子については、カミラ殿下にはお伝えしておくべきだろうな。
それよりも、ミリィが何ともないとよいのだが…
私は今、腸が煮えくり返るような怒りと共に途方もない呆れを感じている。
理由はいたってわかりやすい。
シトラン殿から、第二王子殿下のあきれる行動とミリィへ対する暴言の数々を聞いたからである。
その当の殿下は、「私は悪くない」とずっとぶつぶつ言っている。
「殿下。何か言い分があるのならお伺いしますが」
私の声に反応を示さない殿下に、無駄であろうと思いつつ、今後の話をしていく。
「殿下は、先ぶれもなく侯爵家の別邸へ訪問し、令嬢に危害を加えたわけですから、
国王と王太子殿下並びに王弟殿下へこのことは報告させていただきます。
また、それに伴い宰相閣下などの議席権を保持する貴族に報告さえると思われます。
その際に、王位継承権所有者として施政者の資質を問われる可能性がございます。
心しておいていただければと存じます」
施政者の資質といったところで、若干びくりと身を震わせたようですが、その他に特段反応を示されません。
「また、先ほど申し上げましたことは、辺境伯家としてこの場に居合わせたものの判断です。
別途、テイラー家としての判断によって、何等かの報告が上がる可能性もあります」
私は、テイラー家の家令に用意してもらった書面に、シトラン殿からの聞いた内容と私の判断とを書き込んでいく。
「シトラン殿。内容を確認の上、こちらに署名いただけるか」
「拝見させていただきます」
私は、シトラン殿に書類を渡す。
その間、第二王子殿下の監視を引き受ける。現在の私の権限では、殿下を拘束できないが、足止め程度はできるだろう。
それにしても、第二王子殿下の様子がおかしいのが気になるな。
馬鹿と名高い第二王子殿下でも、殿下としての最低限のモラルを保持されていたと思ったのだが。
まぁ、私の知らぬ数年の内に堕落されたのかもしれないが…
私は、書類を確認するシトラン殿を目の端にとらえつつ、殿下の様子を観察する。
両の目は空ろではないな。違法施術によって傀儡化されているわけではなさそうだ。
肌の色も健康的だな。後、考えられるのは、話術による洗脳…か?
ただ、これの立証はなかなか難しい。殿下の会話相手との会話を逐一検証しなければならないし、すでに洗脳済みである場合は、検証すらできない。
とはいえ、一番楽なのは、ただの馬鹿って説なんだが。
「辺境伯、こちら、署名いたしました」
私は、シトラン殿の言葉に殿下に対する考察を止め、書類を受け取る。
シトラン殿の署名の下に、自身の署名を行い、封筒に入れ封蝋で封をする。
封蝋は、テイラー家のものではなく、シュトラウス家のものを使う。
入口に待機している、テイラー家の家令に、クルツの許可を得て王宮にこの封書を届けてくれるよう頼む。
家令は、賜りましたと部屋を出て行った。
「さて、第二王子殿下だが、ここに留め置くことはできない。テイラー侯爵家の迷惑になるからだ。
シトラン殿。申し訳ないのだが、王宮へお連れしてもらえるか」
「承知いたしました」
シトラン殿は、本来の主ではない私の言葉に、同意の意を示すと、王宮へ帰るための準備を始める。
第二王子殿下を一人にはできないので、準備が整うまで私に一緒にいてくれと留め置いてだが。
まぁ、第二王子殿下の護衛の意味もあるだろうが、体の良い見張りを頼まれたわけだ。
流石、王太子殿下の懐刀の一人。というわけか。
ミリィやクルツとも交流があるようだし、場合によっては私とも縁ができる可能性があるのか。
私は、第二王子殿下の側に控えながら、この先について考える。
とりあえず、第二王子殿下の処遇は王たちに丸投げしたから、王の判断待ちだな。
ただ、第二王子殿下の様子については、カミラ殿下にはお伝えしておくべきだろうな。
それよりも、ミリィが何ともないとよいのだが…
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