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Ⅰ.貴方様と私の計略 ~ 出会いそして約束 ~
15.辺境伯様の不貞?⑤(ユミナ視点)
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なんてことだ!!ミリィ・・・
私は、とりあえずテイラー邸へと向かうことにした。
ミリィが家に帰っている事を願って。
しかし、私の期待は早々に打ち砕かれる事になる。
「シュトラウス様?今、姉さんは留守にしていますが・・・」
私はクルツのその言葉に、私は項垂れる。
「ミリィ・・・テイラー嬢がどこに居るかわからないだろうか・・・」
私は事の子細を説明する。途中、睨まれるような険しい視線を向けられたが、非は私にあるのだから甘んじて受け止める。
「説明も言い訳も話すらする間もなかったんだ・・・それに、あんな表情をさせたままでいるのは嫌なんだ」
クルツは、私の話を聞き終えると、はぁ。と一つ息をつき、恐らくと教えてくれた。
「この状況で家に帰っていないと言うことは、姉さんはアトリエに居るんだと思います」
「アトリエ・・・」
「はい。アトリエには・・・僕が案内しましょう。馬なら直ぐですし」
「ああ。頼む」
私は、クルツに頭を下げた。
クルツは、馬を用意させるから、少しだけ待ってくれ。と言われ、私は庭先で待たせて貰うことにする。
ミリィ・・・なんな、絶望的な顔をさせてしまった。
間が悪かったと言えばそうだが、ベルディナル嬢を強く拒否しなかった私にも非はある。
ベルディナル公爵家は、既に動きだしている。と言うことなのか?
ベルディナル嬢は、元からグイグイくるタイプだろう。
今回の動きにも無理がなかった。自然過ぎて、避けたら怪我をさせてしまうと思ってしまった。
そう言えば、ベルディナル公爵家からの釣書が届いていたな。
元々、私と婚約させたかったから、今回は動きが速いのか?
「お待たせしました」
私が思考に耽っていると、クルツが馬を連れてやって来た。
「いや。問題ない」
クルツは、遅れずついてきてください。と一言添えると、アトリエへ馬を走らせる。
私も遅れることなく、馬を走らせる。
走り出して数分間といったところで、クルツは馬を止めた。
「ここが、アトリエになります」
そう、説明をしながら、館へとクルツは歩を進める。
しかし、その屋敷は慌ただしく、私とクルツは顔を見合わせた。
「何かあったのでしょうか」
そう言いながら、クルツは玄関の扉を開き、家令に問いかけている。
「何かあったのか?」
「坊ちゃん!!はい。お嬢様が今対応されておりますが、第二王子殿下が何故かいらしています」
「は?第二王子殿下がなぜ」
その問に、家令は答えを持ち合わせていないのだろう。申しわけありません。と、頭を下げている。
クルツも思わず疑問が口をついて出ただけなのか、気にする風もない。
「第二王子殿下がいらいているようです。応接室に向かいましょう」
私は、クルツの後を付いて歩く。
この館の規模と雰囲気では、本来殿下を迎える予定はないのだろう。と、察せられる。
「お前には断る理由がないだろ!氷の毒華と呼ばれているお前ごときが!」
向かう道すがら、殿下の怒鳴り声が聞こえて来た。
それを聞くと、クルツは血相を変えて駆け出し、応接室と思われる扉を勢い良く開いた。
「あ・・・」
ごんっ
それと同時に、ミリィが倒れる姿が目に入ってきた。
私よりも前にいた、クルツが駆け寄りミリィを抱きとめている。
「姉さん!」
私は、ミリィに駆け寄りたい衝動を堪え、殿下へと向き直る。
殿下の腕を掴み、制止しようとしているシトラン殿と呆けた顔の殿下がいた。
「殿下。一体何があったのかお教え願えますか」
怒気を含ませ殿下に問えば、ビクリとされ
「私は悪くない!!!」
そう言って、俯かれました。
これは、殿下から話を聞くのは難しそうだと思い、シトラン殿に目配せをした後、ミリィの元へと向かう。
「ミリィは、休ませて医者に診せるべきだろう。頭を打ち付けていたように見えたから、動かさない方が賢明だろう」
私は、備え付けのベルを鳴らし、家令を呼ぶと医者を呼ぶように言い、殿下と話すための部屋はないかと問いかける。
「少々お時間頂ければ、隣の部屋をご用意できます」
「では、たのむ」
私の言葉に、家令は一度クルツを伺い、頷くのを確認し部屋を後にする。
「シトラン殿、部屋の準備ができ次第、殿下と隣へ移って頂き、話を聞かせて下さい」
「はい。承知しております。私の力不足で申し訳ありません」
シトラン殿は、私とクルツに対し、謝罪と共に頭を下げられる。
その間、殿下は俯いたまま身動きひとつせず立ち尽くされています。
にしても、シトラン殿の態度は殿下を軽んじているのだが、何も反応がないとは。
茫然自失・・・今のこの現実が信じられない。といったところか。
シトラン殿が恐らく一部始終を見られているはずだ。
殿下が口をつぐんでも問題は無い。
むしろ、施政者としての資質を疑われる事態だな・・・
あとは、ミリィか。
ミリィ・・・大丈夫なのだろうか。
頭を打ち付けて、意識がないとか。
ざっと見た感じ、外傷はない。意識を失っているだけなら良いのだが。
ミリィ・・・ミリィ・・・
私は、テイラー家の家令たちが呼びに来るまで、側でミリィの様子を窺っていた。
私は、とりあえずテイラー邸へと向かうことにした。
ミリィが家に帰っている事を願って。
しかし、私の期待は早々に打ち砕かれる事になる。
「シュトラウス様?今、姉さんは留守にしていますが・・・」
私はクルツのその言葉に、私は項垂れる。
「ミリィ・・・テイラー嬢がどこに居るかわからないだろうか・・・」
私は事の子細を説明する。途中、睨まれるような険しい視線を向けられたが、非は私にあるのだから甘んじて受け止める。
「説明も言い訳も話すらする間もなかったんだ・・・それに、あんな表情をさせたままでいるのは嫌なんだ」
クルツは、私の話を聞き終えると、はぁ。と一つ息をつき、恐らくと教えてくれた。
「この状況で家に帰っていないと言うことは、姉さんはアトリエに居るんだと思います」
「アトリエ・・・」
「はい。アトリエには・・・僕が案内しましょう。馬なら直ぐですし」
「ああ。頼む」
私は、クルツに頭を下げた。
クルツは、馬を用意させるから、少しだけ待ってくれ。と言われ、私は庭先で待たせて貰うことにする。
ミリィ・・・なんな、絶望的な顔をさせてしまった。
間が悪かったと言えばそうだが、ベルディナル嬢を強く拒否しなかった私にも非はある。
ベルディナル公爵家は、既に動きだしている。と言うことなのか?
ベルディナル嬢は、元からグイグイくるタイプだろう。
今回の動きにも無理がなかった。自然過ぎて、避けたら怪我をさせてしまうと思ってしまった。
そう言えば、ベルディナル公爵家からの釣書が届いていたな。
元々、私と婚約させたかったから、今回は動きが速いのか?
「お待たせしました」
私が思考に耽っていると、クルツが馬を連れてやって来た。
「いや。問題ない」
クルツは、遅れずついてきてください。と一言添えると、アトリエへ馬を走らせる。
私も遅れることなく、馬を走らせる。
走り出して数分間といったところで、クルツは馬を止めた。
「ここが、アトリエになります」
そう、説明をしながら、館へとクルツは歩を進める。
しかし、その屋敷は慌ただしく、私とクルツは顔を見合わせた。
「何かあったのでしょうか」
そう言いながら、クルツは玄関の扉を開き、家令に問いかけている。
「何かあったのか?」
「坊ちゃん!!はい。お嬢様が今対応されておりますが、第二王子殿下が何故かいらしています」
「は?第二王子殿下がなぜ」
その問に、家令は答えを持ち合わせていないのだろう。申しわけありません。と、頭を下げている。
クルツも思わず疑問が口をついて出ただけなのか、気にする風もない。
「第二王子殿下がいらいているようです。応接室に向かいましょう」
私は、クルツの後を付いて歩く。
この館の規模と雰囲気では、本来殿下を迎える予定はないのだろう。と、察せられる。
「お前には断る理由がないだろ!氷の毒華と呼ばれているお前ごときが!」
向かう道すがら、殿下の怒鳴り声が聞こえて来た。
それを聞くと、クルツは血相を変えて駆け出し、応接室と思われる扉を勢い良く開いた。
「あ・・・」
ごんっ
それと同時に、ミリィが倒れる姿が目に入ってきた。
私よりも前にいた、クルツが駆け寄りミリィを抱きとめている。
「姉さん!」
私は、ミリィに駆け寄りたい衝動を堪え、殿下へと向き直る。
殿下の腕を掴み、制止しようとしているシトラン殿と呆けた顔の殿下がいた。
「殿下。一体何があったのかお教え願えますか」
怒気を含ませ殿下に問えば、ビクリとされ
「私は悪くない!!!」
そう言って、俯かれました。
これは、殿下から話を聞くのは難しそうだと思い、シトラン殿に目配せをした後、ミリィの元へと向かう。
「ミリィは、休ませて医者に診せるべきだろう。頭を打ち付けていたように見えたから、動かさない方が賢明だろう」
私は、備え付けのベルを鳴らし、家令を呼ぶと医者を呼ぶように言い、殿下と話すための部屋はないかと問いかける。
「少々お時間頂ければ、隣の部屋をご用意できます」
「では、たのむ」
私の言葉に、家令は一度クルツを伺い、頷くのを確認し部屋を後にする。
「シトラン殿、部屋の準備ができ次第、殿下と隣へ移って頂き、話を聞かせて下さい」
「はい。承知しております。私の力不足で申し訳ありません」
シトラン殿は、私とクルツに対し、謝罪と共に頭を下げられる。
その間、殿下は俯いたまま身動きひとつせず立ち尽くされています。
にしても、シトラン殿の態度は殿下を軽んじているのだが、何も反応がないとは。
茫然自失・・・今のこの現実が信じられない。といったところか。
シトラン殿が恐らく一部始終を見られているはずだ。
殿下が口をつぐんでも問題は無い。
むしろ、施政者としての資質を疑われる事態だな・・・
あとは、ミリィか。
ミリィ・・・大丈夫なのだろうか。
頭を打ち付けて、意識がないとか。
ざっと見た感じ、外傷はない。意識を失っているだけなら良いのだが。
ミリィ・・・ミリィ・・・
私は、テイラー家の家令たちが呼びに来るまで、側でミリィの様子を窺っていた。
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