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Ⅰ.貴方様と私の計略 ~ 出会いそして約束 ~
10.次期侯爵の独白(クルツ視点)
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姉さん。
姉さんが幸せなら僕はそれでいい。
僕の名前は、クルツ・テイラー。
現テイラー侯爵の孫で養子。一応、次期テイラー侯爵である。
僕は覚えていないけれど、両親が死んだときに僕と姉さんを引き取ってくれたらしい。
冬の寒空の下、両親の亡骸と共に数日過ごした後にお祖父さまが保護してくれたらしい。
後でお祖父さまが教えてくれた。
発見したとき、僕よりも姉さんの方が危なかったのだと。
僕を守ることに全力を尽くしていて、自分は二の次にしていたのだと姉さんは笑っていた。
だから、僕は姉さんの幸せを誰よりも願っている。
まぁ、姉さんには言わないけれど。
先日から、姉さんはシュトラウス辺境伯様と懇意にしている。
舞踏会でのお祖父さまの提案をシュトラウス様が受けたのだろう。
僕はお祖父さまが何故あんな提案をしたのかよく分からなかった。
でも、お祖父さまは姉さんを悪いようには絶対にしない事を知っている。
厳しい人だけれど、優しい人だから。
お祖父さまには、姉さんには秘密にしておくように言われていたが、今思うと姉さんに選択の余地と考える余地を与える為なのだとわかる。
まさか、姉さんに第二王子殿下の婚約者の打診が来るとは思わなかった。
いや、来るべくして来たのだろう。
王家はテイラー侯爵家を敵には回したくないだろう。
建国と共にある侯爵家だから、叩けばほこりの出る時期もあっただろうが、現在はまっとうな家だし、なによりもお祖父さまがいる。
お祖父さまの後に侯爵家を背負うとか、僕には荷が重いんだけど、まぁそれはいい。
僕は姉さんと第二王子殿下の婚約は反対の立場である。
あの、バカ王子に姉さんはもったいない。
しかも、氷の毒華なら感情が乏しそうだし、都合が良いとかのたまってるらしい。
それをお祖父さまと聞いた時は、感情を抑えるのが大変だった。お祖父さまと二人、バカ王子殿下をお隠しするか否かを本気で検討してしまった。
国王陛下と王弟殿下の前で。陛下は真っ青になって、お祖父さまを取りなしていたっけ。
王弟殿下は・・・腹を抱えて笑っていたな。変なお人だ。
まぁ、姉さんの意思を尊重して無理強いしない事を引き出せたからよしとしよう。
反対にシュトラウス様との婚約は姉さんが決めるなら賛成してもいい。
辺境伯様は、僕にもキチンと気を遣ってくれる。
一時的な婚約を持ちかけた家の後継である僕にも。
家に来れば、僕にも挨拶をしてくれる。
姉さんへの贈り物があれば、何回かに1回位僕にも手紙をくれる。
まぁ、内容は姉さんのことや社交の話と辺境伯領と侯爵領についてだから、甘い内容はほぼない。
ただ何となく、シュトラウス様は姉さんを気に入ったらしいことは伝わった。
当の姉さんは全くもって気付いてないみたいだけど。
シュトラウス様を名前で呼び、愛称で呼ばれているにもかかわらず、気づかない姉さんはちょっとばかし、鈍いのではないだろうか?
まぁ、あれだよな。
シュトラウス様には悪いけど、僕は姉さんが幸せならそれでいい。
たまに悩んでいるようだけど、今姉さんは、いい顔をしてる。
だから、シュトラウス様。
僕の大切な姉さんを泣かせたらただじゃおかないからな。
姉さんが幸せなら僕はそれでいい。
僕の名前は、クルツ・テイラー。
現テイラー侯爵の孫で養子。一応、次期テイラー侯爵である。
僕は覚えていないけれど、両親が死んだときに僕と姉さんを引き取ってくれたらしい。
冬の寒空の下、両親の亡骸と共に数日過ごした後にお祖父さまが保護してくれたらしい。
後でお祖父さまが教えてくれた。
発見したとき、僕よりも姉さんの方が危なかったのだと。
僕を守ることに全力を尽くしていて、自分は二の次にしていたのだと姉さんは笑っていた。
だから、僕は姉さんの幸せを誰よりも願っている。
まぁ、姉さんには言わないけれど。
先日から、姉さんはシュトラウス辺境伯様と懇意にしている。
舞踏会でのお祖父さまの提案をシュトラウス様が受けたのだろう。
僕はお祖父さまが何故あんな提案をしたのかよく分からなかった。
でも、お祖父さまは姉さんを悪いようには絶対にしない事を知っている。
厳しい人だけれど、優しい人だから。
お祖父さまには、姉さんには秘密にしておくように言われていたが、今思うと姉さんに選択の余地と考える余地を与える為なのだとわかる。
まさか、姉さんに第二王子殿下の婚約者の打診が来るとは思わなかった。
いや、来るべくして来たのだろう。
王家はテイラー侯爵家を敵には回したくないだろう。
建国と共にある侯爵家だから、叩けばほこりの出る時期もあっただろうが、現在はまっとうな家だし、なによりもお祖父さまがいる。
お祖父さまの後に侯爵家を背負うとか、僕には荷が重いんだけど、まぁそれはいい。
僕は姉さんと第二王子殿下の婚約は反対の立場である。
あの、バカ王子に姉さんはもったいない。
しかも、氷の毒華なら感情が乏しそうだし、都合が良いとかのたまってるらしい。
それをお祖父さまと聞いた時は、感情を抑えるのが大変だった。お祖父さまと二人、バカ王子殿下をお隠しするか否かを本気で検討してしまった。
国王陛下と王弟殿下の前で。陛下は真っ青になって、お祖父さまを取りなしていたっけ。
王弟殿下は・・・腹を抱えて笑っていたな。変なお人だ。
まぁ、姉さんの意思を尊重して無理強いしない事を引き出せたからよしとしよう。
反対にシュトラウス様との婚約は姉さんが決めるなら賛成してもいい。
辺境伯様は、僕にもキチンと気を遣ってくれる。
一時的な婚約を持ちかけた家の後継である僕にも。
家に来れば、僕にも挨拶をしてくれる。
姉さんへの贈り物があれば、何回かに1回位僕にも手紙をくれる。
まぁ、内容は姉さんのことや社交の話と辺境伯領と侯爵領についてだから、甘い内容はほぼない。
ただ何となく、シュトラウス様は姉さんを気に入ったらしいことは伝わった。
当の姉さんは全くもって気付いてないみたいだけど。
シュトラウス様を名前で呼び、愛称で呼ばれているにもかかわらず、気づかない姉さんはちょっとばかし、鈍いのではないだろうか?
まぁ、あれだよな。
シュトラウス様には悪いけど、僕は姉さんが幸せならそれでいい。
たまに悩んでいるようだけど、今姉さんは、いい顔をしてる。
だから、シュトラウス様。
僕の大切な姉さんを泣かせたらただじゃおかないからな。
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