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Ⅰ.貴方様と私の計略 ~ 出会いそして約束 ~
03.辺境伯の苦難(ユミナ視点)
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はぁ。どうしたものか。
不調法な令嬢ときな臭い家の令嬢しかいないのか?
私の名前は、ユミナ・シュトラウス。
我が国の国境に領地を構える、しがない辺境伯である。
現在は、信頼できる兄に一時的に領地運営と防衛を任せ、久々に上京している。
平たく言えば、友人でもある王弟殿下に呼び出されたからだ。
何でも、国王が自ら私の婚約者を決めるために動こうとしているらしい。
27歳にもなって、婚約者はおろか恋人すら居ない現状に、危機を感じているらしい。
シュトラウス家としては、兄の息子が居るし、少々難はあるが弟も居る。
後継に困らないのだから、ほっておいて欲しいと思う。
まぁ、王の考えもわからないでもない。
兄は結婚に関して、国と若干揉めているし、弟は決して品行方正ではない。
とは言え、私自身が従順で品行方正かと言われると、そんな事はないのだが。
まぁ、社交のシーズンだし、相手探しも何とかなるだろう。私は、そう軽く考えていた。
が!舞踏会に出席した今、そう考えていた自分を殴り飛ばしたい心境である。
「ごきげんよう。シュトラウス様」
私は、声をかけてきた令嬢を一瞥し、誰であったかを考える。
確か、きな臭い事業に手を出していると噂されている、ベルディナル公爵家の令嬢だ。
後ろに控えているのは、取り巻きだろう。確か、クロムウィル侯爵家の令嬢とメリル伯爵家の令嬢だ。
「御機嫌よう。ベルディナル嬢」
私の返答に、ベルディナル嬢は、にっこりと品の良い笑みを浮かべ、話しかけてくる。
「舞踏会でシュトラウス様をお見かけするのは、久しくありませんでしたから、思わずお声かけしてしまいました。不調法をお許しください。ご領地の方はよろしいのですか?」
いや待て、不調法とか言いながら、会話続ける上に、質問してくるのかよ。
私は、少々げんなりしながら、顔に笑みを貼り付けならが会話を続ける。
「そうですね。土地柄、どうしても領地に籠もりがちになってしまいますので、王弟殿下にたまには舞踏会に出席しろとどやされまして。領地を兄に任せて参加させていただいているのですよ」
令嬢たちは、まぁと声をあげながら、何が面白いのかわからないがころころ笑っている。
私は、内心大きなため息をつきながら、令嬢たちから逃れるため、話を切り上げにかかる。
「申し訳ありません。ベルディナル嬢。久々の社交のため、挨拶をしておく方がまだいらっしゃいますので、失礼させていただきます」
少々失礼にはなるが、私は軽く一礼し、相手の返答を待つ事なくその場を離れる。
そして、失礼にならない程度に会場を見回し、今度こそため息をついた。
舞踏会を社交をなめていた。そうそう、我が家に都合が良い令嬢が居るわけがなかった。
はぁ。どうしたものか。
不調法な令嬢ときな臭い家の令嬢しかいないのか?
私の名前は、ユミナ・シュトラウス。
我が国の国境に領地を構える、しがない辺境伯である。
現在は、信頼できる兄に一時的に領地運営と防衛を任せ、久々に上京している。
平たく言えば、友人でもある王弟殿下に呼び出されたからだ。
何でも、国王が自ら私の婚約者を決めるために動こうとしているらしい。
27歳にもなって、婚約者はおろか恋人すら居ない現状に、危機を感じているらしい。
シュトラウス家としては、兄の息子が居るし、少々難はあるが弟も居る。
後継に困らないのだから、ほっておいて欲しいと思う。
まぁ、王の考えもわからないでもない。
兄は結婚に関して、国と若干揉めているし、弟は決して品行方正ではない。
とは言え、私自身が従順で品行方正かと言われると、そんな事はないのだが。
まぁ、社交のシーズンだし、相手探しも何とかなるだろう。私は、そう軽く考えていた。
が!舞踏会に出席した今、そう考えていた自分を殴り飛ばしたい心境である。
「ごきげんよう。シュトラウス様」
私は、声をかけてきた令嬢を一瞥し、誰であったかを考える。
確か、きな臭い事業に手を出していると噂されている、ベルディナル公爵家の令嬢だ。
後ろに控えているのは、取り巻きだろう。確か、クロムウィル侯爵家の令嬢とメリル伯爵家の令嬢だ。
「御機嫌よう。ベルディナル嬢」
私の返答に、ベルディナル嬢は、にっこりと品の良い笑みを浮かべ、話しかけてくる。
「舞踏会でシュトラウス様をお見かけするのは、久しくありませんでしたから、思わずお声かけしてしまいました。不調法をお許しください。ご領地の方はよろしいのですか?」
いや待て、不調法とか言いながら、会話続ける上に、質問してくるのかよ。
私は、少々げんなりしながら、顔に笑みを貼り付けならが会話を続ける。
「そうですね。土地柄、どうしても領地に籠もりがちになってしまいますので、王弟殿下にたまには舞踏会に出席しろとどやされまして。領地を兄に任せて参加させていただいているのですよ」
令嬢たちは、まぁと声をあげながら、何が面白いのかわからないがころころ笑っている。
私は、内心大きなため息をつきながら、令嬢たちから逃れるため、話を切り上げにかかる。
「申し訳ありません。ベルディナル嬢。久々の社交のため、挨拶をしておく方がまだいらっしゃいますので、失礼させていただきます」
少々失礼にはなるが、私は軽く一礼し、相手の返答を待つ事なくその場を離れる。
そして、失礼にならない程度に会場を見回し、今度こそため息をついた。
舞踏会を社交をなめていた。そうそう、我が家に都合が良い令嬢が居るわけがなかった。
はぁ。どうしたものか。
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