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第11話 このままでは済まさないわっ!!

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「タカフミィーニさま。わたくし、記憶が戻りましたの!」


「なんと!」

 タカフミィーニさまが片膝ついて礼を取る。

「ララコスティさま、ようございました。思い切ってキスした甲斐があったと言うものです」
「えっ⁈」

 キ、キス⁈ キスしたの⁈ そうだっけ⁈ あっ、そうだった。キャーーッ!

 途端にわたくしの頬は火が出るくらいに紅潮していく。

 恥ずかしいよお! こんな真っ赤なお顔、見られたくないわ!

 わたくしはベッドから起き上がるや否や、タカフミィーニさまに背を向けた。

「タカフミィーニさま、シンクリア王子並びにゼウス家のこれまでの仕打ち、絶対に許しません!」
「お気持ちはよくわかります」
「このままでは済まさない。復讐よ!」 
「ララコスティさま?」
「今までありがとう、タカフミィーニさま。では、ご機嫌よう!」

 颯爽と奴隷部屋から出ようとするわたくしをタカフミィーニさまが扉の前でお止めになった。

「お待ちください! どうなさるというのですか⁈」

 そりゃあ、殴って暴れてこの宮殿から出て行く迄ですわ! ……と彼の前では言えないよね。

「モモシャリーたちに、ご挨拶して此処から出て行きます」
「出て行く? どちらへですか?」
「両親が追放されてる国へ参り、今後のことを考えますわ」
「ララコスティさま、先ずは落ち着いて聞いてください」
「……?」

 タカフミィーニさまは、扉の向こうで見張ってるアプレンに異常がないか確認する素振りを見せる。そして誰も居ないことを見極めた上で小声で話された。

「ご両親さまは確かにこの国におられませんがルイ家のお屋敷は厳重な警備のもと、存在しています」
「ど、どういうことでしょう? 所領は没収されたはずでは?」
「騎士団は警備の指示だけで詳細は知らされてません。ただ今回の公爵家の争いごと、ゼアス家の仕掛けた陰謀はもっと大きなものではないかと……」
「わたくしが……その、悪役令嬢だったからルイ家は国外追放されたのではないって仰るの?」
「まさか。それに貴女は悪役令嬢ではありません」

 いえ、わたくしはこの国の次期国王であるシンクリア王子と婚約しておきながら、前世の想いを引きずって貴方に恋してたのよ。不届きなオンナと言われても仕方ないのよ?

「とにかく、今は我慢するのです」
「我慢ですって⁈」
「幸い貴女はゼアス家の公務室に出入りできます。ここで何か証拠を掴むのです。何を企んでいたのかを!」

 でも正気を取り戻したわたくしに、はたして我慢できるかしら?

「ララコスティさま、今がチャンスです。暫くは召使いのフリをなさってください」
「えーっ?」

 彼に両手を握られ懇願されてしまった。

 ああ、そんな目でわたくしを見つめないでくださらない? お恥ずかしいですわ。お化粧もしてないのに。あーあー、わかった、わかりましたよ!

「そうですね。これはルイ家の面目に関わること。召使いのフリでも何でもやってみますわ!」

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