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第7話 この御方たちは雲上の存在なの!!

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 ──ああ、さよなら。愛しきタカフミィーニさま。もう貴方に逢えないなんて辛いですわ。……でも仕方ありません。今までありがとうございました。



***



 それからというものの、わたくしは召使いとして一心不乱に働いた。でも段々とモモシャリーさまたちの風当たりが強くなってきて……。

 ──パシーンッ!

「誰がゼラニウムなど飾れと言ったか⁈」

 サラーニャさまが鬼の形相で私をぶつ。

「も、申し訳ございません。美しいゼラニウムで気持ちが和らぐかと思いまして」
「お前はタカフミィーニに逢えない恨みを我らに見せつけてるんだろうが!」
「そんなつもりは……」

 激昂したサラーニャさまが花瓶からゼラニウムを抜き取って床へ投げ捨てた。更にそれをグリグリと踏みつける。

「ああっ……」
「ふん! 後片付けしとけ!」

 わたくしは悲しみに堪えながら無残な姿になったお花を拾う。そこへ上機嫌のモモシャリーさまが殿方を連れて現れた。

「お、お前はララコスティか⁈」

 はて、何処かでお会いしたかしら?

「シンクリアさま、御安心ください。そこの元悪役令嬢の召使いは記憶を失ってますの」
「なに⁈ そ、それはまことか⁈」
「そうです。ね、ララコスティ」
「はい」
「うーむ、俄に信じがたいがあのララコスティが正気でそのような奴隷服を着るとは思えない」
「そうでしょう。だから記憶喪失なんですの。あ、そうだララコスティ。まだ内密のお話だけど私たち婚約したの!」
「ご婚約⁈ それはおめでとうございます」
「うふふ、この御方が誰だかわかってないようね」

 えーと、どなたでしょう? 

「申し訳ございません。思い出せません」
「ふっ、どうやら演技ではないようだな。私はこの国の第1王子であるシンクリアだ。ちなみに第2王子は愛人の子らしいが会ったこともなく行方も知らん。その他に王子は存在しない。よって私が次の国王となる」

 この国の王子さま⁈ そして次期国王さまって!

「し、知らずとは言え、大変失礼いたしました!」

 わたくしは思わずひれ伏せた。

「記憶がないなら仕方ない」
「いいこと、ララコスティ。つまり次の王妃は私と言うことなの。よぉく覚えときなさい!」
「かしこまりました!」

 この御方たちは雲の上の存在なんだわ。

 ──わたくしは心からそう思った。

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