31 / 36
31話 そんな過去があったなんて…
しおりを挟む
『まず、わたくしが風俗嬢になった理由だけどー』
『は、はい。……ゴクン』
これは覚悟を決めて聞かねば!あえて今まで聞かなかったララ様のヒストリー。だって殺人とか身近にあり得ないし普通に怖いからね。
『簡単に言えば、お金を稼ぐためよ。海外で暮らす夢があったからね』
『お金……ですか』
話を要約するとこうだ。才能溢れる彼女は大学卒業後に実家へ戻り、茶道の道に進むというレールが敷かれていた。でも、お家を継ぐ気はなく、ご両親の反対を押し切って就職したのだ。そのため援助がなくなり都会でギリギリの生活をしていたらしい。
『生活も苦しかったけど、子供の頃から毎年旅行してた海外に素敵な思い出がたくさんあってね、いつか移住したいって考えるようになったの』
なるほど。で、手っ取り早く稼ぐ方法として風俗嬢……なのか?うーむ、私には到底理解し難い思考回路だ。
『ヘルスだから、本番ないし』
いやいや、そういう問題じゃないよ。
しかし、ここから想像を超えた展開が待っていた。偶然にしては出来過ぎなのだ。
『わたくし、実は購買部、部品購買課だったの』
『……はい?』
『まぁ、一年で退職したけどね。花の先輩よ』
えっと、同じ会社?しかも購買部ですって?つまり、ララ様もこのフロアに居たってこと?
『その時の課長が門前だったのよ』
『ええええぇぇぇぇーーーー!?』
余りにも衝撃的な情報に、私の脳味噌はパンク寸前になった。
な、何故もっと早く言ってくれなかったの!?
『言うタイミングが無かったし。でね、彼には良くしてもらってたけど……』
ララ様はOLしながら風俗で働いていた。そこへ部長がたまたま店舗に訪れてバレたそうだ。そこからおかしな関係になっていく。勤務中、人の居ない所でセクハラし放題と彼は色情狂へ変貌したのだ。
信じられないよ。あの部長が?
お話を聞いてもピンとこなかった。
『結局、セクハラされるのが嫌で会社辞めちゃったけどね』
その後は風俗嬢一本で稼いでいたけど、足繁くララ様の元へに通う部長は交際を迫っていたらしい。それは余りにもしつこく、家を調査するなど最早、彼はストーカーになっていた。
『わたくし、会社でセクハラされてたボイスレコーダー(携帯)の存在をチラつかせて、ストーカーをやめさせようと接客中口論になって……』
それで激昂した部長は、お部屋にあった果物ナイフを盗んで仕事終わりのララ様を店舗近くで待ち伏せし、背後から無理やり刺したという。
『酷いです。自分勝手も甚だしい』
『多分、会社に訴えることを恐れて、わたくしを刺し殺し携帯を奪って逃げたと思うの』
『ララ様、そのボイスレコーダーは本物ですか?それとも脅しですか?』
『本物よ。わたくしも花みたいなこと、してたのよね』
そうだったんだ。気丈に見えたララ様だけど、そんな過去があったなんて……部長の変貌と言い、未だに信じられない話だ。
だけど何の証拠もない。どうやって彼を問い詰めればいいの?
『一つ、方法と言うか可能性があるわ』
『それは?』
『そのボイスレコーダーのデータを当時の教育係にメールしてるの。彼に相談してたけど……結局動いてくれなかったわ。なので、まだ保存してるか分かんないけどね』
『誰ですか?その頼りない教育係って?』
『部品購買課でわたくしと歳が近い人ってだいたい分かるでしょ』
ん?だから……?ハッ!
つい、あの男性が浮かんでしまった。
『ああっ、もしかして東薔薇主任ですかっ!?』
『は、はい。……ゴクン』
これは覚悟を決めて聞かねば!あえて今まで聞かなかったララ様のヒストリー。だって殺人とか身近にあり得ないし普通に怖いからね。
『簡単に言えば、お金を稼ぐためよ。海外で暮らす夢があったからね』
『お金……ですか』
話を要約するとこうだ。才能溢れる彼女は大学卒業後に実家へ戻り、茶道の道に進むというレールが敷かれていた。でも、お家を継ぐ気はなく、ご両親の反対を押し切って就職したのだ。そのため援助がなくなり都会でギリギリの生活をしていたらしい。
『生活も苦しかったけど、子供の頃から毎年旅行してた海外に素敵な思い出がたくさんあってね、いつか移住したいって考えるようになったの』
なるほど。で、手っ取り早く稼ぐ方法として風俗嬢……なのか?うーむ、私には到底理解し難い思考回路だ。
『ヘルスだから、本番ないし』
いやいや、そういう問題じゃないよ。
しかし、ここから想像を超えた展開が待っていた。偶然にしては出来過ぎなのだ。
『わたくし、実は購買部、部品購買課だったの』
『……はい?』
『まぁ、一年で退職したけどね。花の先輩よ』
えっと、同じ会社?しかも購買部ですって?つまり、ララ様もこのフロアに居たってこと?
『その時の課長が門前だったのよ』
『ええええぇぇぇぇーーーー!?』
余りにも衝撃的な情報に、私の脳味噌はパンク寸前になった。
な、何故もっと早く言ってくれなかったの!?
『言うタイミングが無かったし。でね、彼には良くしてもらってたけど……』
ララ様はOLしながら風俗で働いていた。そこへ部長がたまたま店舗に訪れてバレたそうだ。そこからおかしな関係になっていく。勤務中、人の居ない所でセクハラし放題と彼は色情狂へ変貌したのだ。
信じられないよ。あの部長が?
お話を聞いてもピンとこなかった。
『結局、セクハラされるのが嫌で会社辞めちゃったけどね』
その後は風俗嬢一本で稼いでいたけど、足繁くララ様の元へに通う部長は交際を迫っていたらしい。それは余りにもしつこく、家を調査するなど最早、彼はストーカーになっていた。
『わたくし、会社でセクハラされてたボイスレコーダー(携帯)の存在をチラつかせて、ストーカーをやめさせようと接客中口論になって……』
それで激昂した部長は、お部屋にあった果物ナイフを盗んで仕事終わりのララ様を店舗近くで待ち伏せし、背後から無理やり刺したという。
『酷いです。自分勝手も甚だしい』
『多分、会社に訴えることを恐れて、わたくしを刺し殺し携帯を奪って逃げたと思うの』
『ララ様、そのボイスレコーダーは本物ですか?それとも脅しですか?』
『本物よ。わたくしも花みたいなこと、してたのよね』
そうだったんだ。気丈に見えたララ様だけど、そんな過去があったなんて……部長の変貌と言い、未だに信じられない話だ。
だけど何の証拠もない。どうやって彼を問い詰めればいいの?
『一つ、方法と言うか可能性があるわ』
『それは?』
『そのボイスレコーダーのデータを当時の教育係にメールしてるの。彼に相談してたけど……結局動いてくれなかったわ。なので、まだ保存してるか分かんないけどね』
『誰ですか?その頼りない教育係って?』
『部品購買課でわたくしと歳が近い人ってだいたい分かるでしょ』
ん?だから……?ハッ!
つい、あの男性が浮かんでしまった。
『ああっ、もしかして東薔薇主任ですかっ!?』
0
お気に入りに追加
98
あなたにおすすめの小説


極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
スカイ・コネクト
宮塚恵一
現代文学
「センパイ、どこでも空はつながってるんすよ」
杉並蓮司は趣味の野鳥観察以外には外へ出ることもない、日々をただ惰性で生きる青年。
普段のように大学の元後輩である花恋と川沿いを歩いていると、高校時代の後輩、真琴と再会する。
真琴は大学の演劇サークルの座長になっており、蓮司が昔書いた脚本を劇の題材に使いたいと申し出る。
六華 snow crystal 8
なごみ
現代文学
雪の街札幌で繰り広げられる、それぞれのラブストーリー。
小児性愛の婚約者、ゲオルクとの再会に絶望する茉理。トラブルに巻き込まれ、莫大な賠償金を請求される潤一。大学生、聡太との結婚を夢見ていた美穂だったが、、

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる