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26話 こんなに鈍感だとは思わなかったわ。
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「そうよ、あなたは地味で根暗な引きこもり女でしょう?にも関わらず似合わないお化粧に派手なドレス着て頑張っちゃって……あ~あ、痛々しいわね~。ホホホ」
私はプッチーンと何かが弾け飛んだ。
──お前はとことん性悪かっ。
「あのね、勘違いしてるようだけど私は恋愛に興味のないズボラな女じゃないの。確かに根暗ですけど、決して“干物女”ではありませんから!」
いつの間にか絵梨花の瞳から涙が消え、目が据わっていた。
「ねぇ、これも盗聴してるの?」
「今はオフレコよ。池園さん、いえ、絵梨花」
「そうやって日頃から盗聴してたのね?あの写真だってどうせあなたの仕業なんでしょう!」
「さぁどうかしら?でも大切なお花を傷つけたり、PCを壊したりするのは許されるべきではないと思いますが?」
「ほう~、わたくしが関与した証拠でも握ってらっしゃるようねぇ?」
この馬鹿女は挑発してるのか?まぁ乗ってやろうとも。
私は携帯を取り出し、自販機でのやり取りの動画を再生させた。
“やっぱ破壊しかないわね~”
“だから!?マジっすか?”
“あのね、社内の画像を自宅PCに保存したら機密情報漏洩で就業規則に反するのよ~。勿論、携帯もね~”
“絵梨花様の言う通り。あの真面目な干物女がそんな真似はしない。PCさえ壊せば問題は解決するの!”
“いいこと?干物女を社用外出させるから、その間にやっときなさ~い”
動画を見た絵梨花は目を丸くして驚いている。
「ま、まさかこんな会話まで……!?」
「これはほんの一部よ。他も合わせて然るべきところへ提出致します。まぁそのうち懲戒処分が下るから覚悟しときなさい!」
彼女の頬にツツーっと冷や汗がつたう。
「ふ、ふん、そんなの揉み消してやるわ。わたくしの力をみくびってんじゃないわよ!」
「残念ながら御父様のお力添えは叶わぬと。いい加減、現実を受け入れなさいよ」
「現実?」
「会場の雰囲気感じなかったの?専務から解放されて皆、喜んでるのよ。もう遠慮はいらないって」
「そんなことは……」
こんなに鈍感だとは思わなかったわ。この馬鹿女が自覚するのはここじゃなくて会社だ。
「来週から楽しみね。取り巻く環境が変わっていくのを肌で実感すればいいわ。そしたら自分が如何につまらない女だったって理解するから」
「あ、そう。やれるもんならやってみなさい」
どこまでも強気だな。ではこれはどう?
「あ、言い忘れたけど絵梨花からのメールは全て東薔薇主任や上司にBCCで返信してるから。皆さん、そういう目で見てるってことをお忘れなく」
「なっ、何ですって!?あ、あなたって、ほんっとに卑怯な女ね……覚えてらっしゃい!ふんっ」
絵梨花はカツンカツンと一人で会場を後にした。
それ、私のセリフなんだけど。でも少しは効いたかな……
結局、花束贈呈は無理矢理、新卒女子にやらせて事なきを得た。そしてテーブルで皆さんと楽しくコミュニケーションを図りながら、あれほど憂鬱だった謝恩会は幕を閉じた。
その後、面倒で気乗りしない主任との飲み会で口説かれたけど、どうにか躱して無事に帰宅。
『花、頑張ったわね』
『ララ様、ありがとうございました。でも、まだ絵梨花を追放する仕事が残ってますから』
『そう。じゃそれが終わってから話するね』
『えっ?お話?』
はて……それは一体何でしょう?
聞こうにも私は疲れ果てて眠ってしまった──
私はプッチーンと何かが弾け飛んだ。
──お前はとことん性悪かっ。
「あのね、勘違いしてるようだけど私は恋愛に興味のないズボラな女じゃないの。確かに根暗ですけど、決して“干物女”ではありませんから!」
いつの間にか絵梨花の瞳から涙が消え、目が据わっていた。
「ねぇ、これも盗聴してるの?」
「今はオフレコよ。池園さん、いえ、絵梨花」
「そうやって日頃から盗聴してたのね?あの写真だってどうせあなたの仕業なんでしょう!」
「さぁどうかしら?でも大切なお花を傷つけたり、PCを壊したりするのは許されるべきではないと思いますが?」
「ほう~、わたくしが関与した証拠でも握ってらっしゃるようねぇ?」
この馬鹿女は挑発してるのか?まぁ乗ってやろうとも。
私は携帯を取り出し、自販機でのやり取りの動画を再生させた。
“やっぱ破壊しかないわね~”
“だから!?マジっすか?”
“あのね、社内の画像を自宅PCに保存したら機密情報漏洩で就業規則に反するのよ~。勿論、携帯もね~”
“絵梨花様の言う通り。あの真面目な干物女がそんな真似はしない。PCさえ壊せば問題は解決するの!”
“いいこと?干物女を社用外出させるから、その間にやっときなさ~い”
動画を見た絵梨花は目を丸くして驚いている。
「ま、まさかこんな会話まで……!?」
「これはほんの一部よ。他も合わせて然るべきところへ提出致します。まぁそのうち懲戒処分が下るから覚悟しときなさい!」
彼女の頬にツツーっと冷や汗がつたう。
「ふ、ふん、そんなの揉み消してやるわ。わたくしの力をみくびってんじゃないわよ!」
「残念ながら御父様のお力添えは叶わぬと。いい加減、現実を受け入れなさいよ」
「現実?」
「会場の雰囲気感じなかったの?専務から解放されて皆、喜んでるのよ。もう遠慮はいらないって」
「そんなことは……」
こんなに鈍感だとは思わなかったわ。この馬鹿女が自覚するのはここじゃなくて会社だ。
「来週から楽しみね。取り巻く環境が変わっていくのを肌で実感すればいいわ。そしたら自分が如何につまらない女だったって理解するから」
「あ、そう。やれるもんならやってみなさい」
どこまでも強気だな。ではこれはどう?
「あ、言い忘れたけど絵梨花からのメールは全て東薔薇主任や上司にBCCで返信してるから。皆さん、そういう目で見てるってことをお忘れなく」
「なっ、何ですって!?あ、あなたって、ほんっとに卑怯な女ね……覚えてらっしゃい!ふんっ」
絵梨花はカツンカツンと一人で会場を後にした。
それ、私のセリフなんだけど。でも少しは効いたかな……
結局、花束贈呈は無理矢理、新卒女子にやらせて事なきを得た。そしてテーブルで皆さんと楽しくコミュニケーションを図りながら、あれほど憂鬱だった謝恩会は幕を閉じた。
その後、面倒で気乗りしない主任との飲み会で口説かれたけど、どうにか躱して無事に帰宅。
『花、頑張ったわね』
『ララ様、ありがとうございました。でも、まだ絵梨花を追放する仕事が残ってますから』
『そう。じゃそれが終わってから話するね』
『えっ?お話?』
はて……それは一体何でしょう?
聞こうにも私は疲れ果てて眠ってしまった──
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