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15話 何でもかんでも私に押し付けて!
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ふむむむむむっ……
『花、とても上手だわ。プロ並みねぇー。と言ってもわたくしが書いたようなものだけどね』
自分でも信じられないでいる。それは見事な楷書体だった。いざ集中してみれば、姿勢から筆の持ち方や筆使いなど自然な流れで書ける!書けるのだ!
『は、はい。すごいです』
この摩訶不思議な現象はなに?私は自身の能力に加え、ララ様のスキルまで身につけたのだろうか。
だとすると、精神統一によって潜在能力が引き出されたのだ。そのメカニズムは解明できないが、これは大きな自信に繋がる。
『ララ様、絵梨花に完了メールを送ります』
これでお局に頭を下げる必要はなくなった。ざまぁみろだ!
敵の思惑を外した嬉しさで胸がいっぱいだった。そして小さな反撃を思いつく。
早速フロアーに戻り、賞状をスキャンしてPDFに変換した。絵梨花に証拠を見せつけてやるのだ。
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
RE: ご依頼の件
池園さん、宛名書きが完了しましたことをご報告致します。PDFをご確認ください。
綾坂花
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
勿論、東薔薇主任へのBCCも忘れない。絵梨花の傲慢な命令文も是非、見てもらいたいものだ。
私は五メートル先の絵梨花の様子をアクリル板からそっと覗く。メールを開いた彼女は顔が引き攣っていた。直ぐにお局を手招きして二人でPDFを眺めている模様……
あの悔しそうな顔ったら傑作だ!記念写真撮りたいくらいだわ!
『してやったわね、花!』
『はい。スッキリしました』
絵梨花からの返信は無かったけど、程なく主任からメールが届いた。BCCで。
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
RE: 謝恩会の準備
東薔薇様、
賞状が完成しました。引き続き打ち合わせ通り、席表の作成を進めます。各課世話役からの出欠も整っておりますので、どうぞご安心ください。
池園絵梨花
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
RE: 謝恩会の準備
池園さん、ありがとうございます。引き続きよろしくお願いします。
東薔薇ハルト
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
『うふふ。東薔薇の内通で絵梨花の動きが丸見えになったわねー』
そこは謎だ。何を考えてるのか不気味ではある。だけど、お陰で次の手が読めることは助かるわ。
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
RE: ご依頼の件
綾坂さん、ホテルの席表を速やかに完成させなさい。席表案を参考に。
池園絵梨花
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
そう来ると思った。こんなの楽勝です。
ファイルを開くと、三十幾つの丸テーブルに二百五十人もの席表案が記されていた。思ったよりは大変な作業だったけど、挫けない。
すると、また馬鹿女からメールが届いた。
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
RE: ご依頼の件
話変わるけど、今週の業務報告資料も宜しく。両方とも今日中にね。
池園絵梨花
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
『またか!何でもかんでも私に押し付けて!』
流石に怒りで身体が震えてしまう。
『花、これも上司へ送ってやりなさい』
『勿論、そうします。絵梨花のメールは全て、然るべき上位に送ります。BCCで!』
私は猛烈な勢いでタッチタイピングを繰り返す。絵梨花Grのサボり盗撮も出来ないくらいに集中した。
優先は業務報告ね。よし、送信。
毎週、完璧な報告資料を作成している。これを絵梨花は自分が作成したかのように上司へ報告しているのだろう。単に転送しているだけなのに。
上司も上司。いつも私が作成していると知らないのか不思議で仕方ない。全てバラしてやろう。
お次は席表だ。ここでゲストテーブルがあることを知った。購買部の謝恩会だけど、各部テーブルも一つ用意されている。そこで生産管理部のテーブルに“伊集院翔”と名前が記されていた。
ええっ?翔様も謝恩会に呼ばれてたんだ!?
『花、とても上手だわ。プロ並みねぇー。と言ってもわたくしが書いたようなものだけどね』
自分でも信じられないでいる。それは見事な楷書体だった。いざ集中してみれば、姿勢から筆の持ち方や筆使いなど自然な流れで書ける!書けるのだ!
『は、はい。すごいです』
この摩訶不思議な現象はなに?私は自身の能力に加え、ララ様のスキルまで身につけたのだろうか。
だとすると、精神統一によって潜在能力が引き出されたのだ。そのメカニズムは解明できないが、これは大きな自信に繋がる。
『ララ様、絵梨花に完了メールを送ります』
これでお局に頭を下げる必要はなくなった。ざまぁみろだ!
敵の思惑を外した嬉しさで胸がいっぱいだった。そして小さな反撃を思いつく。
早速フロアーに戻り、賞状をスキャンしてPDFに変換した。絵梨花に証拠を見せつけてやるのだ。
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RE: ご依頼の件
池園さん、宛名書きが完了しましたことをご報告致します。PDFをご確認ください。
綾坂花
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勿論、東薔薇主任へのBCCも忘れない。絵梨花の傲慢な命令文も是非、見てもらいたいものだ。
私は五メートル先の絵梨花の様子をアクリル板からそっと覗く。メールを開いた彼女は顔が引き攣っていた。直ぐにお局を手招きして二人でPDFを眺めている模様……
あの悔しそうな顔ったら傑作だ!記念写真撮りたいくらいだわ!
『してやったわね、花!』
『はい。スッキリしました』
絵梨花からの返信は無かったけど、程なく主任からメールが届いた。BCCで。
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RE: 謝恩会の準備
東薔薇様、
賞状が完成しました。引き続き打ち合わせ通り、席表の作成を進めます。各課世話役からの出欠も整っておりますので、どうぞご安心ください。
池園絵梨花
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RE: 謝恩会の準備
池園さん、ありがとうございます。引き続きよろしくお願いします。
東薔薇ハルト
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『うふふ。東薔薇の内通で絵梨花の動きが丸見えになったわねー』
そこは謎だ。何を考えてるのか不気味ではある。だけど、お陰で次の手が読めることは助かるわ。
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RE: ご依頼の件
綾坂さん、ホテルの席表を速やかに完成させなさい。席表案を参考に。
池園絵梨花
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そう来ると思った。こんなの楽勝です。
ファイルを開くと、三十幾つの丸テーブルに二百五十人もの席表案が記されていた。思ったよりは大変な作業だったけど、挫けない。
すると、また馬鹿女からメールが届いた。
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RE: ご依頼の件
話変わるけど、今週の業務報告資料も宜しく。両方とも今日中にね。
池園絵梨花
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『またか!何でもかんでも私に押し付けて!』
流石に怒りで身体が震えてしまう。
『花、これも上司へ送ってやりなさい』
『勿論、そうします。絵梨花のメールは全て、然るべき上位に送ります。BCCで!』
私は猛烈な勢いでタッチタイピングを繰り返す。絵梨花Grのサボり盗撮も出来ないくらいに集中した。
優先は業務報告ね。よし、送信。
毎週、完璧な報告資料を作成している。これを絵梨花は自分が作成したかのように上司へ報告しているのだろう。単に転送しているだけなのに。
上司も上司。いつも私が作成していると知らないのか不思議で仕方ない。全てバラしてやろう。
お次は席表だ。ここでゲストテーブルがあることを知った。購買部の謝恩会だけど、各部テーブルも一つ用意されている。そこで生産管理部のテーブルに“伊集院翔”と名前が記されていた。
ええっ?翔様も謝恩会に呼ばれてたんだ!?
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