マイ•ダイアリー『書かれていることが実際に起こる日記』

鼻血の親分

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あわわわわ……私、もう酔ってぱらってる?いえ、やつだ。この世のものでない黒づくめの男だ!

人のお家に勝手に土足で入り込んでいるこの男は、よく見ると瞳が黄色がかったゴールドで、耳も尖って大きい。服装は本社ビルで見た姿と同じで黒いフード付きのブラックレインコートだった。とても恐ろしく震えていたが、やつには聞きたいことがたくさんある。

「あ、貴方がこのダイアリーに関係してるの?」
「あぁ、僕が作った呪いのダイアリーだ。長嶺理子のに呼び出されてね。それを野心家の山田健太に拾わせた」
「目的はなに!?貴方は何者なの!?」
「ふふん。僕はこの世の憎しみ、恨みなど負の感情を吸い込んで生きてる悪霊の塊だよ。一応、怖がらせないために人の形に化けてるけどね」
「いや、十分怖いですが!」
「そう?それはショックだな」
「あの、私はこのダイアリーを処分したいのです。だから、もう現れないでください!」
「処分ねぇ……君にはがっかりだな。もっと人を不幸にして負の感情をいっぱい吸わせて欲しいのに。高野真由美は才能あると思ったんだけどなぁ」
「残念ながら、そんな気にはなれません」
「あんなに酷い目にあったのに?橘美咲や山本節子を不幸にしたいでしょう?」
「彼女たちにはよくない感情があります。だから、目の前からいなくなれば、それでいいんです。それ以上の不幸は望んでいません」
「いやいや、頭の中では鞭で叩いてたでしょう。現実にやっちゃいなよ。書けばできるんだから」

──っ、やつは心の中まで見えるのか!?

「想像の世界と現実は違いますよ!犯罪になりますから!」
「ふん。つまらん人間だ」
「ご期待に添えなくてすみません。ですから私たちから離れてください。このダイアリーは燃やしますので!」
「まぁ、止めはしない。そんなものいくらでも作れるし、君に興味も無くなった。……じゃあな、干物女さん」

やつは突然目の前で消えていった。私はしばらく動けないでいる。悪霊などと現在の自然科学の知見では説明できない現象に遭遇したのだ。ドクドクと心臓の音だけが部屋中にこだましていた。

あ、あの言い草だと、ダイアリーを破棄しようとする私に幻滅したようだから、もう現れることはないと思う。こうなれば、一刻も早く燃やしてしまいたい。やはり、明後日にしよう。

私は最後にダイアリーを修正する決心をした。

9月1日(金)
橘美咲と山本節子は連携して偽りの生理休暇を取得しようとしましたが、森田課長から否認されました。そして──

逃げるなんて許さないわ。とにかく出社しなさい。それ以上は書かないから、あとは会社の良識に期待します!




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