マイ•ダイアリー『書かれていることが実際に起こる日記』

鼻血の親分

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ざっざっざっと4人が次から次へとゲートパスを通り抜ける。私たちは橘太郎を告発するために弁護士事務所に向かっていた。歩きながら、ふと思う。

──これはまさにデジャヴ!

気がつくと自分を中心に親衛隊が配置されていた。かつて妄想してたことが現実に起こっているのだ。先陣の山田健太は何かを吹っ切ったような表情で前を向いて歩いている。左手の佐藤拓也はちょっとニヤけているが、緊張もしているようだ。右手の松本絵梨は拳を握りしめ、気合いが入ってる様子。そして、後陣の自称彼氏の高橋直人は、信念を貫いて真っ直ぐ歩いている姿がとてもかっこいい。

私は心の中で「進めー!」と叫んでいた。

***

弁護士の助言に従い、私たちは労働基準監督署を訪れ、集めた証拠とこれまでの経緯を詳しく説明した。監督署からは会社に対して指導が行われることとなった。そして、これからもう一つの目的地へ向かう必要がある……

「──よし、ご了承いただきました」

会社に戻ると午後4時を回っていた。しかし、私たちはできるだけのことをやり遂げたという達成感に満たされている。あとは指導を受ける会社の対応を待つのみだ。ただ、気がかりなのは直人のこと。行政指導は人事本部が対応することになる。つまり、直人の所属する部署がによって対応しなければならず、本部で風当たりが強くなる可能性があるのだ。さらに、この指導は法的効力がないため、結果がどうなるか予測もできない。私は直人が不利益を被らないように願うしかなかった。この会社は橘太郎のものではない。ましてや相手は行政だ。理性ある人たちが良い方向に進めてくれることを信じたいと思う。

「あぁっ、高野!佐藤!なんてことをしたんだ!」
職場がざわついている。もうバレていた。労基から早々と連絡が入ったのだろう。森田課長が声を荒げ、橘美咲と山本節子が腕を組んで睨んでいた。
「労基に直訴するなんて、どうかしてるわ!」
久しぶりに美咲から話しかけられた?いえ、怒鳴られたわ。それでは、私も久しぶりに会話しましょう。
「橘さん、こうでもしないと会社の悪しき風土は変わらないと思いまして~」
「何よその言い草!貴女の行動が会社の品位を下げていることに気づかないの!?」
「はて???これ以上、下げないようにしたまでですけど?」
「チッ!そんな訴え起こしてもね、お父様、いえ専務は処分されないわ。いいこと?この代償は高くつくから覚悟しなさい!」

「──それはどうでしょうか?」
「あっ、高橋さん!?」

そこへ現れたのは、さっきまで行動をともにしていた高橋直人に山田健太、松本絵梨だった。




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