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「どう説明するのですか!?」と松本絵梨から後で問い詰められた。彼女とは、山田健太のダイアリーを盗んだことは内緒にする約束をしてたはずだった。しかし、ついはったりをかましてしまい、何も考えていなかった。明日、山田は長嶺理子の遺したダイアリーを持ってくる。「黒づくめの男の仕業にしよう」と、咄嗟に思いついた言葉でどうにか彼女を納得させることに成功した。それよりも──
「貴女も黒ずくめの男に遭遇してたんでしょう?」
「あ、はい。実は何度か見かけたことがあります」
「やっぱり……ダイアリーを所持してる人に付き纏ってるのね」
「でも話しかけられたり、直接的な危害を受けたことはありませんでした。ただ、怖かったです」
「そうなんだ。じゃあ、もうすぐ私の周りに現れることになるのかしら」
……たくっ、嫌だわ。早く橘太郎を罰し、ダイアリーを処分しないといけない。明日は勝負の日になりそうね。
8月31日(木)
橘美咲は有休を取得し、同じく有休の山田健太と映画を観て食事を楽しみました。
一方、山本節子は在宅勤務でしたが、ほとんど寝ていました。
森田課長は定例の報告会を忘れており、何も準備していなかったので、慌てて私に資料作りを指示してきました。
私はそれを30分で仕上げ、10時に親衛隊を率いて社外へ出かけ、労働基準監督署で橘太郎を告発しました。社内に戻ると大騒ぎになっていました。
定時で即座に退社した私は急いで自宅に帰り、早速ダイアリーを開いて明日の予定を確認した。
「──ん?っておい、山田は有休?ふざけるな!でも、労基に行って告発したと……」
よく分からないけど不安だ。確実に実行するためにはダイアリーに書き加えるしかない。と言うか、全部書き直してやる。
『橘美咲と山本節子は森田課長の指示で、有休や在宅勤務を取りやめて出社しました。山田健太も同様に出社し、ダイアリーを持参してきました。そして、森田課長は忘れていた報告会の資料を橘と山本に丸投げしました。私は高橋直人、松本絵梨、佐藤拓也、山田と一緒に弁護士に会い、相談しました。その後、労働基準監督署に橘太郎のセクハラを告発しました。』
元々の印字された文字の上に大きくバツ印を書いて、取り消しの意思を示した。
これでいい。お前らの怠慢と専務の権力は明日で終わりだ。ふふふ、そして橘美咲と山本節子、森田秀夫は報いを受けることになる。見届けてやろう。あ、そうだ!花束を用意しよっかな。何が相応しいかしら……うん、あれだな。買いに行こう。プレゼントNGの黒いチューリップを。花言葉は『さよなら。私を忘れてください──』
「貴女も黒ずくめの男に遭遇してたんでしょう?」
「あ、はい。実は何度か見かけたことがあります」
「やっぱり……ダイアリーを所持してる人に付き纏ってるのね」
「でも話しかけられたり、直接的な危害を受けたことはありませんでした。ただ、怖かったです」
「そうなんだ。じゃあ、もうすぐ私の周りに現れることになるのかしら」
……たくっ、嫌だわ。早く橘太郎を罰し、ダイアリーを処分しないといけない。明日は勝負の日になりそうね。
8月31日(木)
橘美咲は有休を取得し、同じく有休の山田健太と映画を観て食事を楽しみました。
一方、山本節子は在宅勤務でしたが、ほとんど寝ていました。
森田課長は定例の報告会を忘れており、何も準備していなかったので、慌てて私に資料作りを指示してきました。
私はそれを30分で仕上げ、10時に親衛隊を率いて社外へ出かけ、労働基準監督署で橘太郎を告発しました。社内に戻ると大騒ぎになっていました。
定時で即座に退社した私は急いで自宅に帰り、早速ダイアリーを開いて明日の予定を確認した。
「──ん?っておい、山田は有休?ふざけるな!でも、労基に行って告発したと……」
よく分からないけど不安だ。確実に実行するためにはダイアリーに書き加えるしかない。と言うか、全部書き直してやる。
『橘美咲と山本節子は森田課長の指示で、有休や在宅勤務を取りやめて出社しました。山田健太も同様に出社し、ダイアリーを持参してきました。そして、森田課長は忘れていた報告会の資料を橘と山本に丸投げしました。私は高橋直人、松本絵梨、佐藤拓也、山田と一緒に弁護士に会い、相談しました。その後、労働基準監督署に橘太郎のセクハラを告発しました。』
元々の印字された文字の上に大きくバツ印を書いて、取り消しの意思を示した。
これでいい。お前らの怠慢と専務の権力は明日で終わりだ。ふふふ、そして橘美咲と山本節子、森田秀夫は報いを受けることになる。見届けてやろう。あ、そうだ!花束を用意しよっかな。何が相応しいかしら……うん、あれだな。買いに行こう。プレゼントNGの黒いチューリップを。花言葉は『さよなら。私を忘れてください──』
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