26 / 35
26
しおりを挟む
「よし、パスコードを解析、解除……えっと、画像、画像……あ、これかな?ええっ、なんか見てはいけないものを見た気がするよぉ!」
なんと、本当にセクハラの証拠が確認されたのだ。
橘太郎が座ってる彼女の背後から抱きつく写真や、スカートの中を無理矢理撮影してる写真、さらに太ももに手を置こうとするが彼女が顔を背けて拒否してる写真など、証拠が多数ある。
衝撃的な写真の数々に一同が沈黙したが、私は決意を持って山田健太に詰め寄った。
「山田係長、この画像と貴方が所持してるダイアリーを組み合わせれば、橘専務を追い詰めることができます」
「……いや、しかし、どうするんだ?」
「これらの証拠を持って弁護士に相談します」
「ま、待て、早まるなよ!」
「では、どうすればいいと思いますか?」
「……」
「もう逃れられませんよ。長嶺さんの無念を晴らしましょう」
弁護士に聞いた上で警察または労働基準監督署にこれらの証拠を持って行けば、専務は罰せられるはず。迷ってる選択肢はない。
「高橋、こんなこと上層部に報告したら止められるんじゃないか?会社のイメージが損なわれるからな。やはり社内での対応が良いと思うが?」
「私は上層部に報告せずに行動します。事後承諾という形で進めます」
「そんなことをしたらお前が処分されるかもしれないぞ?」
「それは構いません。ただ、事態を冷静に考える必要があります。橘太郎を快く思っていない役員や社員もいるし、逆にヒーローとして称えられるかもしれませんよ」
「ヒーローだと?馬鹿な……」
山田健太が利己的な考え方をしていることが分かった。彼にとっては長嶺理子のことなどどうでもいい。自身の評価が一番重要なのだ。
「ふん、つまらない男ね」
「えっ?」
「山田係長、どう思おうとも私は貴方から奪いますよ」
「なんだと、まさかお前が?」
「そんなことくらい楽勝ですわ」
「答えろ!お前がダイアリーを盗んだのか?」
「そのことを知りたければ持ってきなさい!」
「高野さん!?」
松本絵梨が思わず制止しようとしたが、私は止まらない。
「それに加えて、黒ずくめの男の正体も明らかにしてみせます」
「ハッ……やつを、見たのか?」
「ええ、8階で目撃しました。しかし、すぐに姿を消しました。おそらく彼は長嶺さんのダイアリーに関与している人物ではないかしら。それに、あの男はこの世のものではないようですね?」
それを聞いて山田健太はうつむき、黙った。私は追い討ちをかける。
「山田係長、あれは長嶺さんの怨念から生まれたものかもしれません。橘太郎を処罰した後、ダイアリーの痕跡は処分しないと我々は呪われる可能性があります」
「の、呪われるか……私は出向中に幹部登用試験が控えている。橘専務の推薦で合格するだろう。だから彼が失脚するのを恐れていた。しかし、黒ずくめの男が気がかりだった。私も彼はこの世のものとは思えないんだ……分かったよ。お前の言う通りにしよう。ダイアリーを持ってくる」
よし、山田健太が陥落した。いよいよだ!
なんと、本当にセクハラの証拠が確認されたのだ。
橘太郎が座ってる彼女の背後から抱きつく写真や、スカートの中を無理矢理撮影してる写真、さらに太ももに手を置こうとするが彼女が顔を背けて拒否してる写真など、証拠が多数ある。
衝撃的な写真の数々に一同が沈黙したが、私は決意を持って山田健太に詰め寄った。
「山田係長、この画像と貴方が所持してるダイアリーを組み合わせれば、橘専務を追い詰めることができます」
「……いや、しかし、どうするんだ?」
「これらの証拠を持って弁護士に相談します」
「ま、待て、早まるなよ!」
「では、どうすればいいと思いますか?」
「……」
「もう逃れられませんよ。長嶺さんの無念を晴らしましょう」
弁護士に聞いた上で警察または労働基準監督署にこれらの証拠を持って行けば、専務は罰せられるはず。迷ってる選択肢はない。
「高橋、こんなこと上層部に報告したら止められるんじゃないか?会社のイメージが損なわれるからな。やはり社内での対応が良いと思うが?」
「私は上層部に報告せずに行動します。事後承諾という形で進めます」
「そんなことをしたらお前が処分されるかもしれないぞ?」
「それは構いません。ただ、事態を冷静に考える必要があります。橘太郎を快く思っていない役員や社員もいるし、逆にヒーローとして称えられるかもしれませんよ」
「ヒーローだと?馬鹿な……」
山田健太が利己的な考え方をしていることが分かった。彼にとっては長嶺理子のことなどどうでもいい。自身の評価が一番重要なのだ。
「ふん、つまらない男ね」
「えっ?」
「山田係長、どう思おうとも私は貴方から奪いますよ」
「なんだと、まさかお前が?」
「そんなことくらい楽勝ですわ」
「答えろ!お前がダイアリーを盗んだのか?」
「そのことを知りたければ持ってきなさい!」
「高野さん!?」
松本絵梨が思わず制止しようとしたが、私は止まらない。
「それに加えて、黒ずくめの男の正体も明らかにしてみせます」
「ハッ……やつを、見たのか?」
「ええ、8階で目撃しました。しかし、すぐに姿を消しました。おそらく彼は長嶺さんのダイアリーに関与している人物ではないかしら。それに、あの男はこの世のものではないようですね?」
それを聞いて山田健太はうつむき、黙った。私は追い討ちをかける。
「山田係長、あれは長嶺さんの怨念から生まれたものかもしれません。橘太郎を処罰した後、ダイアリーの痕跡は処分しないと我々は呪われる可能性があります」
「の、呪われるか……私は出向中に幹部登用試験が控えている。橘専務の推薦で合格するだろう。だから彼が失脚するのを恐れていた。しかし、黒ずくめの男が気がかりだった。私も彼はこの世のものとは思えないんだ……分かったよ。お前の言う通りにしよう。ダイアリーを持ってくる」
よし、山田健太が陥落した。いよいよだ!
1
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~
橋本洋一
歴史・時代
この世が乱れ、国同士が戦う、戦国乱世。
記憶を失くした優しいだけの少年、雲之介(くものすけ)と元今川家の陪々臣(ばいばいしん)で浪人の木下藤吉郎が出会い、二人は尾張の大うつけ、織田信長の元へと足を運ぶ。織田家に仕官した雲之介はやがて内政の才を発揮し、二人の主君にとって無くてはならぬ存在へとなる。
これは、優しさを武器に二人の主君を天下人へと導いた少年の物語
※架空戦記です。史実で死ぬはずの人物が生存したり、歴史が早く進む可能性があります
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
六華 snow crystal 5
なごみ
現代文学
雪の街、札幌を舞台にした医療系純愛小説。part 5
沖縄で娘を産んだ有紀が札幌に戻ってきた。娘の名前は美冬。
雪のかけらみたいに綺麗な子。
修二さんにひと目でいいから見せてあげたいな。だけどそれは、許されないことだよね。
“K”
七部(ななべ)
現代文学
これはとある黒猫と絵描きの話。
黒猫はその見た目から迫害されていました。
※これは主がBUMP OF CHICKENさん『K』という曲にハマったのでそれを小説風にアレンジしてやろうという思いで制作しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる