マイ•ダイアリー『書かれていることが実際に起こる日記』

鼻血の親分

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「よし、パスコードを解析、解除……えっと、画像、画像……あ、これかな?ええっ、なんか見てはいけないものを見た気がするよぉ!」

なんと、本当にセクハラの証拠が確認されたのだ。
橘太郎が座ってる彼女の背後から抱きつく写真や、スカートの中を無理矢理撮影してる写真、さらに太ももに手を置こうとするが彼女が顔を背けて拒否してる写真など、証拠が多数ある。
衝撃的な写真の数々に一同が沈黙したが、私は決意を持って山田健太に詰め寄った。

「山田係長、この画像と貴方が所持してるダイアリーを組み合わせれば、橘専務を追い詰めることができます」
「……いや、しかし、どうするんだ?」
「これらの証拠を持って弁護士に相談します」
「ま、待て、早まるなよ!」
「では、どうすればいいと思いますか?」
「……」
「もう逃れられませんよ。長嶺さんの無念を晴らしましょう」

弁護士に聞いた上で警察または労働基準監督署にこれらの証拠を持って行けば、専務は罰せられるはず。迷ってる選択肢はない。

「高橋、こんなこと上層部に報告したら止められるんじゃないか?会社のイメージが損なわれるからな。やはり社内での対応が良いと思うが?」
「私は上層部に報告せずに行動します。事後承諾という形で進めます」
「そんなことをしたらお前が処分されるかもしれないぞ?」
「それは構いません。ただ、事態を冷静に考える必要があります。橘太郎を快く思っていない役員や社員もいるし、逆にヒーローとして称えられるかもしれませんよ」
「ヒーローだと?馬鹿な……」

山田健太が利己的な考え方をしていることが分かった。彼にとっては長嶺理子のことなどどうでもいい。自身の評価が一番重要なのだ。

「ふん、つまらない男ね」
「えっ?」
「山田係長、どう思おうとも私は貴方から奪いますよ」
「なんだと、まさかお前が?」
「そんなことくらい楽勝ですわ」
「答えろ!お前がダイアリーを盗んだのか?」
「そのことを知りたければ持ってきなさい!」
「高野さん!?」
松本絵梨が思わず制止しようとしたが、私は止まらない。
「それに加えて、黒ずくめの男の正体も明らかにしてみせます」
「ハッ……やつを、見たのか?」
「ええ、8階で目撃しました。しかし、すぐに姿を消しました。おそらく彼は長嶺さんのダイアリーに関与している人物ではないかしら。それに、あの男はこの世のものではないようですね?」
それを聞いて山田健太はうつむき、黙った。私は追い討ちをかける。
「山田係長、あれは長嶺さんの怨念から生まれたものかもしれません。橘太郎を処罰した後、ダイアリーの痕跡は処分しないと我々は呪われる可能性があります」
「の、呪われるか……私は出向中に幹部登用試験が控えている。橘専務の推薦で合格するだろう。だから彼が失脚するのを恐れていた。しかし、黒ずくめの男が気がかりだった。私も彼はこの世のものとは思えないんだ……分かったよ。お前の言う通りにしよう。ダイアリーを持ってくる」

よし、山田健太が陥落した。いよいよだ!




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