マイ•ダイアリー『書かれていることが実際に起こる日記』

鼻血の親分

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パチン、パチンとバッカリアの花を切り落とす橘美咲は、憎しみに満ちた様相を呈していた。そして、デクスに散ったピンクの花びらを一枚一枚引きちぎる山本節子の表情は、快感に浸っているかのようで異様な光景だった。時刻は17時15分。彼女たちの退社時間の犯行だ。

私は動画を見ながら、悔しさや苛立ちではなく、「このバカどもが罠にかかったな~」という喜びに溢れていた。直ぐに親衛隊メンバーに転送した。橘美咲たちには、タイミングを見計らって突きつけてやろう。今はまだ早い。
恐らく、彼女は山田健太に昨日の出来事を確認してるでしょう。係長代行として知らない間に業務が進められていることに、苛立ちや嫉妬心が燃えていたのだと推測する。まぁ、何か言われたら、私も反論する用意はある。

それはさておき、高橋直人や松本絵梨との打ち合わせが始まるのでサテライトオフィスに向かった。
なぜこの3人なのかと言えば、ダイアリーの力を知る共通点があるからだ。山田は存在を知っているものの信用がおけず、佐藤拓也の前では話すことができない。だから、この3人でと私が提案したのだ。

「これが専務のスケジュール表です。後で共有フォルダーに入れますね」
高橋直人は山田健太からもらった情報をプリントアウトし、テーブルに並べた。
「高橋さん、もしかして専務の携帯を手に入れるつもりですか?」
「はい、それが唯一の方法です」
「つまり、何かしらダイアリーに書いて、専務を罠にかける考えなんですね?」
松本絵梨も同じ思考を巡らせていたようだ。
「専務は明日の15時、オンライン会議の後、社外へ出かけます。その前に手に入れれば、時間も稼げます」
「なるほど。そのタイミングで携帯を落とし、出かけさせるんですね」
「専務室は8階にありますね。この階のトイレに置き忘れたとかはいかがでしょう?事前に待機して、そこで奪います」
「いいですね。それは僕の仕事です。ただし、その後、データの確認作業が必要です。ロックも解除しなければなりませんし、困難な作業が予測されます」
「それはIT担当の佐藤くんにお願いしましょう。彼なら何とかしてくれると思います」
「よし、ではその作戦で進めましょう」
「その前に一つ提案があります。この作戦は3人だけの秘密にしませんか?佐藤くんはダイアリーのこと何も知らないのです。そして山田さんは、どう動くか読めません」
「山田係長を信用してないのですか?」
「松本さん、彼は何かを隠しているわ。それに私がダイアリーを所持していることも知らない。だから、言わない方が良いと思う」
「そうですね。彼にはあいまいに伝えましょう。松本さん、それで良いですか?」
「はい。ただ、今日の打ち合わせのことを言ってるので……」
「貴女はダイアリーを知らないことになってるし、彼に作戦の説明は難しいでしょう?」
「そうですね。怪しまれます。専務のスケジュール表を見ながら話がまとまらなかったということにします」
「了解です。では、明日に向けて準備しましょう」

さて、明日のダイアリーが楽しみだ。書き込む内容も考えなければならないし、ますます面白くなってきたわ!





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