マイ•ダイアリー『書かれていることが実際に起こる日記』

鼻血の親分

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「私は長嶺さんの復讐を考え行動していた。お察しの通り、橘美咲に近づいたのは目的があるからだ」
「それは専務の情報収集のためですか?」
「専務の動きは秘書室の友人から情報を得ている。私は専務の携帯や業務PCを狙っていたんだ」
「そこに証拠が残されているのですね?」
「あぁ、彼女の手記にはそう書かれていた」

なるほど。でも手詰まりのようですね。なぜダイアリーを活用しなかったの?いえ、ダイアリーの力を知らないのか。ここは下手に言わない方がいいかな。……質問を変えよう。

「山田さんは専務に直接お会いしたことはありますか?」
「美咲に連れられて邸宅にお邪魔したことがある。その時に携帯を盗もうと試みたが、うまくいかなかった。彼の書斎にも忍び込んだが、PCを見る時間はなかったんだ」
「すごい行動力ですね。でも、そこまでするには、やはり長嶺さんのことを気の毒だと思ったからですか?」
「まぁ、それが大きい。私は後悔している。目の前で苦しんでいる部下を助けることができなかったことを」
「もしよろしければ、彼女の手記を見せていただくことは可能ですか?」
「……それはちょっと考えさせてくれ。それよりも、君たちには策があるのか?」

その問いにどう答えれば良いのか迷っていた。すると、直人が代わりに答えてくれた。
「具体的な策はこれから考えますが、専務の携帯とPCを手に入れるには、山田さんの協力が必要です。特に秘書室との繋がりがあるのはありがたいですね」
「おい、まさか専務室に侵入しようと考えているのか?防犯カメラがあることを知っているだろう?」
「ええ、まぁそんな危険なことはしませんよ。ただ、同志は多い方がいいですし、いかがですか?貴方の復讐に私たちも加わるということで」
「うむ……私には時間がないし」
「それは?」
「再来月から二年間の海外出向が決まってるんだ」
「では、なおさら急いだ方がいいですね」
「分かった。協力しよう。この件に関しては情報を共有してくれ。私も関係者に伝える」 

よし、彼を味方に引き込むことに成功した。分かってはいたけど、ちょっとドキドキしたな。

そして、大きな仕事を終えた喜びで私たちは満足して会議室から退出した。その時、自販機コーナーでサボっている橘美咲と山本節子、そしてパープーに山田係長と一緒に歩いている姿を目撃されてしまった。

「あ……」

ふふふ。あのおバカな表情、写真に残しておきたいくらいだわ。悔しいでしょう!知らないところで彼と一緒にいるからね!さあ、仕返ししてみて。待ってるから──




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